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フリージング 新訳

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第3話 Pandora Mode 1

 
前書き
どおもです。今回、原作を所持していないのが、仇になり、途中テキトーになってしまってるかも知れません。
ですが、どうか暖かい眼で見て下さい。お願いします。(土下座)
 

 
カーニバル、と言うらしい。
パンドラ個人の純粋な戦闘能力を相対的に判断する為の、1対多による公式の集団模擬戦大会。実戦を想定しているため、上位ランカーへの集団的攻撃等、あらゆる行為が認められている。
このカーニバルでの序列がそのまま個人の序列となるため、上位につくほどパンドラとして優秀と認められる。
そんな重大な物を、俺は邪魔してしまったらしい。

「最悪だ……」

頭を抱えながら、学園の廊下を歩く。
因みに、今着ている服は、ゼネティックス学園の男子生徒用制服が、赤くカラーリングされている物だ。(閃の軌跡の制服みたいな)
普通は、薄い茶色なのだが、何故か俺のは赤だった。
学園長であるシスター・マーガレットに挨拶がてら聞いてみたところ、

「その方が、貴方には合っているでしょう。」

と、ニコニコ顏で言われた。
会長とは少し違う威圧感を持った笑みだった。
だがしかし……まさか学園長は俺の『特異体質』に気づいているのだろうか……
だとしたら、少し厄介かもしれないが…まあ、いいか。

「あ、いたいた。探しましたよ、アオイ君。」

名前を呼ばれ、振り向くと、そこには、会長さんと同い年くらいの女子生徒がいた。
会長とは違った、自然な笑顔を浮かべ、黒いロングヘアを靡かせた少女。
当然初対面だ。

「えっと……貴方は……?」
「ああ、ごめんなさい。初めましてですね。私、生徒会役員の、ティシー・フェニールといいます。」

そう言いながら、ティシーさんはぺこりと、丁寧にお辞儀した。

「どうぞ、よろしくお願いします。」
「い、いえ!こちらこそ!」

思わず、少し大きめの声で応えてしまった。どうやら、この人も、会長さんと同類なのかはわからないが、仲良く出来そうだ。いい人そうだし。

「さて、アオイ君は、まず手当ですね。」
「え?なんのですか?」
「いや、何って、さっき、ボルトウェポンの直撃受けてましたよね?」

はて?
ボルトウェポンとはなんぞや?
意味がわからず、首を傾げていると、ティシー先輩(おそらく)が、説明してくれる。

「あのですね、ボルトウェポンっていうのは、パンドラが持っている専用武装のことですよ。アオイ君が直撃した、あの大きな鎖のことですね。」

ああ。あれか。

そうか、あれは直撃したらヤバイ奴なのか……どうしよう…今さら演技でも…

「まあ、大丈夫ならいいんですけどね。怪我がないなら何よりですし。」
「そ、そうですよね……」

愛想笑いで誤魔化す。
それにしても危なかった……この人がしつこくなかったらどうなっていただろう……

「ダメですよ〜。ちゃんと手当しないと〜。」
「あ、会長。」

どうなるんだろうなぁ!

「もぉ〜アオイ君たら、先に行かないでください。」
「いや、先に行ったというか、貴方が置き去りにしたというか……」
「それでは、学園の案内を続けましょうか〜」

自由だなー。
手当はどうした?
学園の案内とかしてた?

「すいません、アオイ君。会長はああいう性格なんです……」
「ええ……何と無くわかりました……」

そして、もう一つ。
ティシー先輩は苦労人だ。


1時間後


さて、学園の案内もひと段落したところで……

「そう言えば、さっき闘ってた人の名前ってなんて言うんですか?」

何気なく聞いてみた。
すると、先輩二人が、険しい顔をする。

「どうして、そんなこと聞くんですか?」

会長さんが同じような口調で。
しかし、それでいてどこか険しい声音で質問してくる。

「いや、ほら、さっきの、カーニバル?で、邪魔しちゃったので、謝罪に…「絶対にダメです!」……うぇ?」

言い終わる前に、会長さんが俺に掴みかかってきた。それも結構、真剣な顔で。
糸目は変わらないが………

「いいですか!彼女は二年生のサテライザー・エル・ブリジットといって、『接触禁止の女王』と呼ばれていて、二年生だけでなく、学園でも恐れられているんです!しかも、今はカーニバルに負けた上、顔まで傷つけられていて……」

会長の長い説明を受けていたその時だ。
背後に気配を感じた。
今朝と同じ、圧倒的な力の威圧感。
会長と先輩も、固まっている。
俺は、四部の恐怖と六部の好奇心で、ゆっくりと、振り向く。

「あ……」

そこには、彼女がいた。
夕焼けに反射して輝くブロンドの髪は、神々しくも美しい。
右目がガーゼで覆われ、蒼い綺麗な光は失われているが、もう一方の目は、鋭くこちらを見据えている。
杖をついてはいるが、貧弱さは感じられず、負けたにもかかわらず、勝者のように堂々としている。

「サテライザー・エル・ブリジット……先輩…………」

名前を呼ぶと、ギロリと睨みつけられ、少したじろぐ。
だが、そんなもので諦める俺ではない。

「あ、あの、サテライザー先輩!」

声をかけるが、無視される。
おっとっとっと。待て待て。まだ切れるところではないだろ。

「待ってください!」

今朝と同じように、彼女の手を掴み、こちらを向かせる。

「っ!」
「俺は、ただ貴方に謝りたいだけで…って、うわっ!」
「あっ!」

サテライザー先輩が腕を強く振り解き、俺と距離を取ろうとするが、お気づきだろうか?彼女は、今、杖をついて立っている。
だから、そんな乱暴に振り払うと……

「きゃっ!」

必然的に倒れてしまう。
思いの外、可愛らしい悲鳴を短くあげ、その場に尻餅をついてしまう。

「め、メガネ、メガネ…」

どうやら、転んだ衝撃で、メガネを落としたらしい。地面を探り探りで探している。

その姿は、どこか愛らしい。

あえて言おう。

サテライザー先輩マジ可愛いっす!

もう少し見ていたいという願望もないこともないが、流石にそれは意地悪すぎる。

しゃがみこみ、メガネを拾う。

「はい、どうぞ。」
「え?、あ………」

メガネを掛けた先輩は、俺の顔にピントが合ったようで、頬を赤らめすぐさま立ち上がり、歩き始める。
いや、待て待て待て‼︎

「ちょっ、サテライザー先輩‼︎」

もう一度、手を掴む。もう何回目だろうか?前世よりも多い気がする。そもそも女子からは嫌われてたし……

「……なして……」
「え?」

サテライザー先輩が何かを言ったが、うまく聞き取れなかった。

「はな……」
「サテライザー先輩?」

頬を赤く染めたまま、彼女は腕を払いのける。

「私に、触るな‼︎」

流石にここまで言われると、凹む。かなり……いや、良いですけどね?嫌われてるのは、前世でもここでも慣れてますから。
でもさ、そこまで触るなとか言わなくてもいいじゃないですか……なんですか?
菌が付くからとかですかね?

「あらぁ?随分と気が立ってるじゃないの。サテライザー・エル・ブリジット?」

ブツブツしてると、会長さんとも、サテライザー先輩とも別方向から、新しい声がした。
全員がそちらを向く。

「ガネッサ……ローランド……」

サテライザー先輩が呟く。
よく見ると、先ほど、俺と先輩にボルトウェポンをぶつけてきた人である……

二人が睨み合う。火花が散ったように見えたのは、絶対に俺だけでは無いはずだ。

「何かしら?まさか、私に楯突く気ですの?学年2位のサテライザー・エル・ブリジット?」

挑発的な態度に、サテライザー先輩はぎりっと歯をくいしばる。

「なんなら、今ここでカーニバルの続きをしてもいいのよ!」
「……身のほど知らずが。」

ちょっと待って!
なんで会っただけで戦闘になるんですかね⁉︎
展開早すぎませんかね⁉︎(作者展開がうろ覚え)
なに今のカッコ!やめろよ!せっかく読んでくれてる読者の皆が離れちゃうだろ‼︎(メタ発言)

「「ボルトウェポン、展開!」」

なんか始まってるし!

「ノヴァ・ブラッド!」

サテライザー先輩が大型ブレードを握りしめ、

「束縛の鎖!」

ガネッサ先輩が鎖を操る。

そして、戦争が始まる。

「ムカつくのよぉ!サテライザー‼︎」

ガネッサ先輩が鎖を操って、サテライザー先輩を攻撃するも、たやすく弾かれる。

「あらあら、どうしましょう…」
「て、何やってんですか会長!止めましょうよ!」
「ええ、そうですね。一応校則違反ですし……」
「だったら…!」

必死に言うが、俺の願いは、思わぬところで砕かれる。

「でも、みんなやってますし。」

ティシー先輩である。
じゃあ、校則の意味っていったい……

とかやってるうちに……

「がはぁっ‼︎」

勝負はついていた。
一閃。
ガネッサ・ローランドは、たった一閃の斬撃で、地に伏していたのである。

「強え………」
「やっぱり…ガネッサさんかわいそう。」

会長。そんなこと言ってるけど、半分はあんたのせいだからね?
止めなかったあんたにも責任はあるからね?

「くっ……かくなる上は……」

俺が呆然としていると、ガネッサ先輩が立ち上がり、サテライザー先輩を睨んでいる。
それを見た会長が、何かを危惧したように大声を張り上げる。

「いけません、ガネッサさん!」

そんな静止は聞かずに、ガネッサ先輩は吠えるように叫ぶ。

「パンドラモード、解放‼︎」

その叫びと共に、ガネッサ先輩の身体は黒い、フルフェイスの鎧に包まれた。

そして、サテライザー先輩に向けて、もう一度鎖を放つ‼︎

「な、んだよアレ!」

衝撃波から身を守るように、顔をうでまわりで、隠し、舌打ちをしながら喚く。

「やめなさい、ガネッサさん!」

会長がもう一歩進み、力強い声で叫ぶ。

「実戦以外でのパンドラモードの使用は重大な校則違反ですよ!」
「私にとっては今この時が……」

だが、その言葉すら、今のガネッサ先輩には届いていない。

鎖を操り、素早く動くサテライザー先輩を追い詰めていき、

「実戦ですわぁ‼︎」

その先に付いたアンカーが、直撃した!
本日二度目だ。

それによって此方に飛ばされてきたサテライザー先輩を、先ほど、あんなに触るなと言われたにも関わらず、俺は何のためらいも無く抱きとめた。

「だい、じょうぶですか?」
「へ、あ…う〜」

先輩は、今までに見たことないほど顔を赤くしていた。
すごいよ。今ならこの人三倍早く動けそう。
だが、さすがはサテライザー先輩。それでも、俺の手を今まで通りに払いのける。

カチコチ

そう、今まで通りに……

カチコチ

今まで通り…

カチコチ

今まで……
じゃないよなぁ。なんか動きがすごく固いし。右手と右足同時に出てるし。
それに、何より……

「あの、武器忘れてますけど?」
「へ?あ……」

この人くらい戦い慣れしている人が、戦闘中に武器を手放すとは思えないのだが……

「余所見するとは、いい度胸ね!」

とかやってたら黒鎧のガネッサ先輩が襲ってきた‼︎

どんっ‼︎
と突き飛ばされ、尻餅をつく。

そして、先輩は、束縛の鎖によって、

「グハァ‼︎」

その身を裂かれ、

「サテライザー先輩‼︎」

鎖に繋がれ、吊るされる。

「おい、ガネッサ先輩!もう十分だろ!」

まだ続けようとするガネッサ先輩の前に立ち、その行く手を阻む。

「あんたの勝ちだ!これ以上やって何になる⁉︎」

いつの間にか、生徒が集まっており、俺のことを間抜けな奴とでも言うような目で見ている。

「あのねぇ。あんたが何処の誰なのかは知らないけど……」

ガネッサ先輩は拳を握りしめ、

「私の邪魔をしないで!」

それを俺に向けて放った。

ズガンッ!

派手な音がし、場に緊張が走る。

誰かが殴られた音だ。いつ聴いても、気持ちのいい音ではない。

殴られた衝撃で、よろける。

『ガネッサ先輩』が

俺の方が先輩の拳を避け、クロスカウンターを叩きこんだのだ。

「なっ⁉︎にをしたのよ、貴方!」

先輩がアンカーを俺に飛ばしてくる。
だが残念。そんな見え見えの攻撃じゃ当たらない。
襲いかかるアンカーを、右に左にと避ける。その切っ先は、掠りもしない。

「くっ、なんなのよ貴方は⁉︎」

休むことなくアンカーを操作する。
三本同時の攻撃がくる。

1本目。難なく避ける。

2本目。避けたはいいが、少し掠った。

3本目。これくらいなら……

がちん‼︎

避けようとしたら、脚に何かが引っかかる感触があり、そこに眼をやる。

鎖だ。2本目の鎖が、右脚に引っかかり、その名の通り、俺の動きを束縛している。

「終わりよ!名前も知らない誰かさん‼︎」

さらにアンカーを追加し、俺に止めを刺しにくる。

「……仕方ないか。」

ちっ、と舌打ちをし、右手をかざす。

さて、今さらながら、この世界においての気づいたことその3。

「ボルトウェポン、展開」

今まで何度も、作り出したことはあったが、これの総称は、さっき初めて聞いた。
右手に光が集まり、形を成す。
それを片手で構えて、横に薙ぐ‼︎

ズパァン!

サテライザー先輩のような大ぶりではなく、長年仕込まれた、無駄を全て省いた、一閃。

俺に襲いかかってきた2本の鎖を、弾き飛ばした。
光が弾け、その中から、身の丈に近い程の長さを持った、太く分厚い片刃の長剣が現れる。
柄は白銀に輝き、紅い宝石が怪しく光っている。
その銀色の刃は、鋭い輝きを放ち、まるで、両断出来ないものなどないと言うかのようだ。

「あ…貴方…いったいなんなの⁉︎」

ガネッサ先輩が、怯えたように呟き、後ずさる。

さてさて、この世界について、わかったことその3だったか?
それは俺が……

「化け物だよ……」

そうゆうことだ。
俺は白銀の長剣、グラディウスを低く構える。

あ〜あ、もう少し隠しておくつもりだったのになぁ……

「最悪だ……」
 
 

 
後書き
さてさて、何はともあれ、ナンバリング3話目、全部で4話目でした。
今回は戦闘シーン。難しかったですね……
因みに、カズトが最後に出した剣は
新妹魔王の契約者の刃更が使っている剣と考えてください。
では、また次回もお願いします。

1/20、ボルトウェポンの名前を紫電剣からグラディウスに変えました。
1/23、グラディウスの形状を両刃から片刃に変えました。 
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