ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~
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勇者と狩人と神のシモベ
「ダークのスキルが使えた?」
「ああ……何か……一緒になったような感じでな……」
トライドロンでの道中、俺はリンにあのダークに似た姿の事を問いただしていた。
リンが今持つ刀はシャドウ・バーサーク、つまりはダークの刀その物だ。
「後、こんな欠片が落ちてたんだが」
リンから渡された欠片を持って見てみると、闇色に染まっていた。
「……何の変鉄もない欠片だな」
「だろ?でもさ、それを持った瞬間、コイツらが出てきたんだし、何か在ると思わないか?なぁ、レイト?」
「俺に振るな、純白の英雄。第一、それだけで奴に繋がるとは限らんだろう?そもそも、アレが何故ダーク個体その物だったかと言うことに疑問を持て」
「……?」
「レイトが言いたいのは、ダークが何故彼処で消滅したのかって事だよ、リン」
トライドロンを運転しながら、タツは言う。
「おお、流石タッちゃん!」
「で、狩人ライト。何処に行く?」
「ああ……まずはアルンで武器調達しないといけないな……マトモに戦えるのはリンとかレイト辺りだし……こうなるんだったらダークにニューロリンカー作って貰うべきだったなぁ……」
俺は後悔していると、突然鳥の鳴き声が聞こえた。……鳥?
「ミヤビ、窓を凝視してくれないか?」
「……?」
ミヤビは外を窓越しで見ると、次の瞬間、バトルモードになった。
「……ケツァルコアトルス、絶滅恐竜」
「は?」
「恐らく、同じ出所」
「は!?」
「逃げるが得策、タツ、GO」
「お、おう!!」
トライドロン二号車と連絡をすると、すぐに二台ともケツァルコアトルスから逃走を開始した。
逃走から数分。
ミヤビによって氷付けとなり、晴人のウィザードラゴンのドラゴテイルによってケツァルコアトルスは討伐され、俺たちはアルンに入った。しかし……
「何だこりゃ……」
市街に入ると、そこはプレイヤーの骸でアルンの景色がまるで地獄絵図になっていた。
「……酷い、誰が……」
「サナ、お前はトライドロンに居ろ。レイト、ストレア、サナを頼む」
「任せろ」
「了解!」
サナ達をトライドロンに置いて、俺、ライト、リン、ミヤビ、キリト、タツ、晴人は市街を歩き始めた。
「……人間の死骸は、いつ見ても気味が悪いな。慣れたつもりだったが……」
人を殺したことのある俺でさえ、気持ち悪くなる。残虐すぎる光景に、唯一堂々としていたのはミヤビだけだった。……そうだよな。リアルキラーだもんな、お前は。
「ライト、アレ」
そんなことを考えていると、突如目の前に二人のダークらしき姿があった。
しかし、様子が違う。
「……シャドウ、起動。目標、漆黒の勇者」
「……ダークネス、起動。目標、雷獣の狩人」
途端、顔を此方に向けるや否や、接近してきた。
「<イニジオ・ハイルロード>!!」
「「<螺旋>」」
ミヤビのイニジオ・ハイルロードは、螺旋によって消され、氷は消えた。
「変身!」
「クソッ!!」
晴人とリンが姿を変えると、それぞれが迎撃を開始する……と思いきや。
「「<バスターノヴァ>」」
「「ガハッ!!」」
同時に吹き飛ばされ、一発解除した。
「晴人!!」
「リン!!」
二人に近付こうとする俺達の前に、ダークが前に現れる。
「「邪魔すんなぁ!!!」」
同時に蹴りを叩き込もうとすると、同時に刀の腹で受け止められ、地面に叩き付けられた。
「「カハッ!!」」
「二人とも!!」
タツが近寄ろうとするも、何かの結界により近付けない様だった。
「お前らの神は我が王によって消滅した」
「お前らはイレギュラーな存在。よって、我ら漆黒の幻影が派遣された。貴様らは滅ぶべき存在だ。消え失せろ」
途端、俺は何かがキレた。
「ダークの顔で……声で……言葉を語るな!!」
俺の渾身の拳はどてっ腹へと吸い込まれ、三メートル程下がった。
「……ダークが消滅した?はっ、有り得ねぇな!!」
そして、ライトの渾身の蹴りも、どてっ腹へと吸い込まれ、同じく三メートル程下がった。
「彼奴が早々にくたばる奴じゃねぇのは承知の事実なんだよ!!」
「何故ならなぁ!!」
同時に拳を向けて叫ぶ。
『俺達の死人神は、不死身なんだよ!!嘗めんなよ、奇跡の奇術師をよ!!』
「……何故解らない。ダークネスウィングは消滅したと」
「……心理、理解不能。理解不能。理解……」
「それがニンゲンと言う物なのさ、残念ながら、ね」
途端、ダーク二人が吹き飛んだ。
「げっ」
「マジか……」
ライトとリンが同時に言う。
「さぁ、下等なニンゲン達よ、反撃をするなら今だよ?最も、最初で最後かも知れないけどね?」
「アルマ!!」
リンが叫ぶと、アルマが俺達に何かを投げる。
「それは贈り物だよ、白い少女からの、ね?」
アルマはそう言うと、何処かへ消えた。
「……良くわかんねぇ奴」
「それでも、チャンスだぜ?」
すると、スレイブが表に出てくる。
「今こそ来たれ!!インクルシオォオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!」
途端、鎖と竜が現れ、次の瞬間、鎧・インクルシオを纏った。
「後はお願いします!」
スレイブはそう言うと、アッサリと交代した。
「スレイブ!?」
「ライト!行くぞ!!」
ライトはミヤビから生成して貰った氷の剣を持つと、突進していく。
「「おおおおおおっ!!」」
同時にダークモドキにラッシュを掛ける。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!」
「ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラァッ!!」
某スタンドの如く加速し続ける剣筋は、やがてモドキの刀を折った。
「「何っ!?人間ごときが………っ!」」
「「人間を嘗めるんじゃねぇええええええええええええっ!!!!!」」
途端、アルマから貰った何かが光ると、それはリングになって指に収まる。
そして、知らぬ間に俺達は叫んだ。
「迅王牙ァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!」
「英雄剣ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンッ!!!!!!!!」
それは黒雷となって落ち、ライト達を包む。そして、それが弾けたとき。
「全てを葬る翡翠の雷!雷獣の狩人、ライト!!」
「闇を纏い、闇と共に歩みを続け、人を守るために人を切る。漆黒の英雄、ライト!!」
『黒雷と共に今、貴様らに絶望と死を与えてやる!!』
「「ふざけるな!!」」
「ライト!行けるな!!」
「おう!さぁ、審判を開始する!!」
ライト達の腕に黒雷が纏い、それは螺旋を描いた。
「滅殺剣狩人複合スキル……」
「滅殺剣英雄剣複合スキル……」
「「死ねぇええええええええっ!!」」
そして、一瞬のすれ違いが起こり、
「「<螺旋加速>!!」」
ダークモドキが消えた。
同時に姿が元に戻ると、アルンが元の景色を取り戻した。
一方。
「へぇ……流石だね」
「っ……アルマ、貴方は何を……っ!」
アルマはジェイダが居る部屋で、空間の変化を感じとっていた。
「君が持っていた欠片を渡しただけに過ぎないよ」
「アルマ……貴方って人は……っ!」
アルマに殴り掛かろうとするジェイダは、すぐに痛みで動きを止めた。
「無茶はしない方が良い。暫くすれば元に戻る」
「……貴方は、人間が嫌いなんじゃ無いの?」
「嫌い?ある意味ではそうだね。でも、君はニンゲンではない、そうだろ?」
「……っ!」
アルマの言葉に、ジェイダは息を詰めた。
「僕達の教えでは、ニンゲン以外は皆仲間、と言う教えさ。つまり、ニンゲン以外は全て同志と言うこと。仲間は守れと教えられて来てるんでね」
アルマはそう言うと、部屋から出ていこうとする。
「……アルマ、一つだけ聞かせて」
「なんだい?」
「……何故、鍵を渡しに行ったの?」
「気まぐれ……と言いたいところだけど、ダークネスウィング……彼も人外の存在だ。助けるべき仲間、と見ただけさ」
アルマはそう言うと、部屋から出ていった。
後書き
次回、ゴッド・サーガは!
欠片が三つ……これを意味する事って……
パーティを決めよう。アルンを拠点にして。
神だかなんだか知らねぇが、ダークを返しやがれ白黒野郎!!
次回、境界と闇光と元初の神。
ゴッド・サーガよ、解放せよ!!
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