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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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境界と闇光と元初の神

「……」
「……」
夜。アルンのある宿屋で俺はライト、リン、そしてレイトと共に欠片を見ていた。
「……欠片は俺達をSAOの時の姿にほぼ変えていた」
「俺の場合はダークの装備その物だったけどな」
リンはそう言う。
「何故純白の英雄が漆黒の滅殺者の持つ武装を手に入れたかは疑問だが、一つだけ共通点が在るのは……」
「……ダークの力が欠片に収まっていて、俺達がゲームの中で手に入れたユニークスキルが滅殺剣に融合した……って事か」
俺は言うと、レイトが頷く。
「その通りだ」
「でも、欠片が三つ……これが意味する事って……」
リンが言うと、ライトはリンの肩を叩いて首を振る。
「奴がそう簡単にくたばらねぇよ。彼奴は不死身だぞ?」
「……そう、だな」
「彼奴の事さ。絶対帰ってくる。モドキは許せねぇけど、片っ端から殴り壊せば問題ねぇ!!」
俺は三人に言う。
「本っ当にポジティブ思考だな」
「ああ。ダークには勿体ねぇ」
ライトとリンが笑うと、俺はそれに便乗して笑った。
「……欠片……か」
その一方で、レイトが欠片を持って見ていることに、俺達は気にも止めなかった。










翌朝。俺達は皆を呼んで集めた。
「どうしたの?」
「いきなり召集とは穏やかじゃないな」
サナ、キリトが先頭に、ミヤビ、ストレア、晴人、タツが入ってくる。
「悪いな、こんな朝早くから」
俺は謝ると、真剣な顔をする。
「この時間から呼んだのは他でもない。……パーティを決めよう。アルンを拠点にして」
『!?』
皆が驚いた顔をして俺達を見る。
「いきなりどうして?」
「アインクラッドは今地上に在ると言う情報があるし、何よりグロッケンの方も気になる。万が一ってのもあるから、今ならある程度パーティを決めていれば大体の動きは出来る」
「……確かに理にはかなってはいますが、アルンはどうするおつもりで?」
タツが質問してくる。まぁ、想定の範囲内だ。
「この世界の現状はVR空間からステージが飛び出た状態だ。なら、俺のシステム権限が作用する。ガーディアンズを設置して防衛する」
「可能なのか?」
「やってみないと解らないが……可能性としては」
俺はライトの質問に答えると、紙を読む。
「それじゃパーティを。一班は俺、キリト。二班はライト、リン、レイト、サナ、タツ。三班はミヤビと晴人だ。ストレアは万一の為の保険としてアルンにて待機だ」
「二班の方が偏り過ぎてないか?」
キリトが言う。
「……俺もそう思ったんだが、他にバランスの取りようが無かったんでな」
俺はそう言うと、キリトが納得したようにライトとリンを見た。
「「何で俺達を見る」」
一句違わずそのまま二人は言うと、俺は頭を押さえた。
「それにだな……スレイブとはリンクは繋がったものの、ロード達とのリンクが繋がらないからな。俺はキリトと、ミヤビは晴人と一緒にいた方が良い」
「そうだな。魔法使いが一人でも居るなら女の子につけた方が良い」
「「俺達も」」
「お前らは絶賛使用不可だろ」
「「……ごもっとも」」
ライトとリンを言葉で殴ってと。
「そんじゃ、各員、トライドロン一台所有な。……レイト、全員乗れそうか?」
「問題ない。クリムから指示を受けて整備をした。いつでも出せるし全員が乗れるスペースは作った」
レイトがそう言うと俺は頷く。
「それじゃ、準備ができしだ……」
途端、大きな揺れがアルンを襲った。
「うおっ!」
「何だ!?」
急いで外に出ると、そこにはモンスターの大群と、空に浮かぶ白黒人間が。
「……白黒?」
「……アレか?ダンガンロンパの」
「……ああ、熊か」
俺達が口々に言うと、白黒人間が言う。
「……貴様らが、ダークネスウイングのシモベか」
『誰がだ!!』
全員の声が一致した。少なくとも彼奴のシモベになった覚えはない。
「まぁ、良い。奴は私が亜空絶空間に取り込んだからな。今更貴様らがどうこうしようが構うまい」
「……!ダークを!?」
「しかし……奴との絆が在るものを放って置くわけにも行かない。ウロヴォロスの名に置いて……貴様らを殲滅する。我はウロヴォロス!破壊と創造の神だ!!」
途端、モンスター達が一斉に俺達に襲い掛かる。
「ライト、リン!」
「レイト、サナたちを頼む!!」
「よっしゃ!行くぜ!!」
すぐに欠片で姿を変えると、モンスター達を葬る。
「ほう……流石はダークネスウイングのシモベ……中々やるではないか」
「シモベじゃねっうの!!」
俺が雷を放つと、雷は白黒人間に当たることなく逸れた。
「んなっ!?」
「ダークネスウイングの固有結界、中々に使えるな。これなら、世界のリセットをし、創り換えるのも動作でもない」
白黒人間はそう言うと、見たことのある翼を出した。
「そいつは……!」
「見よ、貴様らの希望が絶望の物となる……!」
途端、翼から黒い物が放たれ、サナ達に向かった。
「サナァアアアアアアアアアッ!!」
ライトが駆けるも、それよりも早くサナ達につく方が速かった。
ドガァアアアアアン!
爆発が起き、次の瞬間、サナ達は消えていた。
「……ダークの消滅能力」
「……人間を……消しやがった」
「……てんめぇええええええええええええええっ!!」
ライトの怒りが露になり、白黒人間に向かって飛んだ。
「ライト!!」
俺はライトの服の裾を掴み、落とす。
「ライト!!俺は……!」
「落ち着け。まだ、俺達に切札はある」
俺はそう言う。俺には感じる。皆の光が。
途端、一筋の闇が白黒人間を襲った。
「なっ!?」
一筋の闇は白黒人間の頬をかすり、地面は爆発した。
「……<奪命槍(ヴォーパルランス)>……やはり精度は甘いな」
「貴様は……っ!!」
白黒人間の見る方を見ると、風になびく黒い外套、そして、銀色の髪。
まさしく、あれはーーーーーーー
「バカな……ダークだと!?」
「違うな。俺はアーチャー。ただそれだけの存在だ」
銀髪の男はそう言うと、指を鳴らす。
途端、サナ達がすぐ隣に現れた。
「サナ!?」
「固有結界<破壊幻想(デストラクトファンタズム)>を発動させてもらった。最も、ライトは気付いた様だがな」
地面に降りると、アーチャーは言う。
「さぁ、神よ。降参するなら今のうちだ」
「……ふふっ。アーハッハッハ!!」
突然、白黒人間が笑い出した。
「僕の制御から外れている幻影が居たとはね!!ダークネスウイング……やはり食えない男よ。しかし……」
すぐに黒い空間からダークが何人も現れた。
「これだけの大群を焼き払えるかなアァアアアアアアアアチャアアアアアアアアアアアアアアッ!」
「………ッ!」
弓を構え、矢を生成するアーチャーの前に、サナとタツが立つ。
「二人共!?」
「ライト君を少しだけでも怒らせた罪は重いよ……!」
「僕らの怒りは……」
「「マキシマムだ!!」」
途端、サナとタツに光と闇が包み、それが弾けると斬撃が一斉にダークモドキを薙ぎ払った。
『うおっ!』
俺達は同時に避けると、サナ達を見る。
「……トリガー起動」
「さぁ、終わりにしましょう」
二人の持つ剣の鍔からは、黒い帯と白い帯が現れていた。
「「消え失せろ!!」」
同時に剣を何回も振るうと、帯が放たれ、モンスター共々モドキを薙ぎ払った。
「ライト君!リン君!」
「ライト!!」
「行け、ライト」
三人の声にあわせて、黒い翼を出して白黒人間に特攻する。
「おおおおおおりゃあああああああああああああああああっ!!」
まずリンが蹴りを放ち、
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!」
ライトが両手で螺旋ラッシュを放ち、翼を吹き飛ばす。
「何っ!?」
「テメェは吹き飛んどけこのやろう!!」
そして、最後に黒い雷槍を生成し、放った。
「<消滅黒雷槍(ディストピアダークボルトランス)>!!」
「くっ……!」
強大な爆発が起き、その後には何も居なかった。
「……逃げられた」
「だろうな………」
「くっそ!ここで倒せれば楽だったのに!!」
「まぁ、皆が無事で良かっただけ良しとしようぜ」
俺達は地面に降り立つと、
「ライト君!」
「おわっ!!」
サナがライトに抱き付いた。……そう言えば何処いったんだろ、新羅。
「あ、そうだ。お前何だ?」
俺は黒い外套を着た男に言う。
「俺はダーク。オリジナルの分身体だ。最も、別世界ではアーチャーと呼ばれているので、出来ればアーチャーと呼んで欲しい」
「……それって」
「……まさか」
ライトとリンは同時に顔を見合わせて、驚愕の顔をした。











一方で。

「ハァ……ハァ……」
少女は走っていた。
「ここまで来れば……安心、だよね……」
岩影に隠れると、胸元からペンダントを取り出し、それを見る。
「黒い欠片……これを届けないと……」
少女は呟くと、再び走り始めた。 
 

 
後書き
次回は、ダークの方に視点を。 
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