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東方喪戦苦【狂】

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二十四話 液体

《やれやれ、危ない危ない》
黒い、人間の形をした不確かな者が妖力の刀を受け止める。

[うん。本当にね、裕海はボスが死なないようにと命令しているのだから。]
今度は透明な人間の形が言った。


「…助かったぜ。ハツ、タツ…」
鬼隆は、頭を押さえていた手をゆっくりと離して言った。


[気にすることはないよ。]
《そうだ。俺たちは、裕海の命令で来たのだから。》

狂夜は、妖刀を握ったまま呆れたように言った
「…今度は、液体人間かよ…なんだ?ネタに走ってるのか?」


[ふふ、そうかもね。]
透明の人間の形の少年、タツが笑った。


《ネタではねぇがな。》
自分の姿を崩したり戻したりしながらハツは、言う。


「そうか、んじゃあ三人でかかって来るのか?」
狂夜は、両手を挙げて「降参」とでも言うように微笑んだ。

《いや、悪いが。BOSSは、もう再起不能(リタイア)のようだ。》

[そうだね。あんな大技を喰らってこれ以上持つはずがないもん。]


不意に狂夜が眼を細めて言った。

「ほう?あの魔法の正体を知ってたのか?」


[うん。あんなの喰らったらひとたまりもないもんね。BOSSは、まだ完全には蝕まれなかったようだが。]

《おいおい。俺たちは、実体の無い液体だぜ?物理的な攻撃も精神に直接触れる攻撃も幻覚も、きかない。心なんか無いんだから。》



「ほう?今確かに何も効かないと言ったよな~。んじゃあ試してやるぜ。」
狂夜は、両手の手のひらをハツ達に向けた。

獄炎(メラガイアー)

手から放たれた火炎は、三人を包み込んで燃える。

「液体なんだからよぉ~そりゃあ熱で溶けるよなぁ~」
狂夜は、ニヤッと笑った。



[いいや、不正解だ。]




ハツ達を襲った火炎は、散った。


《俺たちの身体は、ただの液体じゃない。燃えねぇよ、ましてやそんなチンケな炎じゃな。》


ハツの発言に対して狂夜は、薄く笑った。
「…へぇ…」


[?どうしたんだい?]

タツは、狂夜に少し不信感を抱いた。
技が一つ失敗したのにも関わらず笑っていたから。


その笑いを見たタツは、不信感からか止まった。


そして思った。
この男は、何か秘策を持っている、と。


タツは、人間見たいな足で一歩下がる。





そして、隔離される。

タツは、一瞬で一つの空間に隔離された。

周りには、誰もいない。

いるのは、狂気の塊のような人間ただ一人。


[これは…どういう…ことだい?]
タツは、冷や汗を流した。
蛇に睨まれた蛙のように。


「いや、本当に燃えないか、試してみたいだけだ。」


そういって狂夜は




行った。




…だめ押しという奴を。





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後に響いたのは、タツの絶叫ただ一つ。



液体人間だろうと究極生命体だろうと狂夜に勝てるものなど居なかった。





ましてや…



怒りに身を任せる狂夜に… 
 

 
後書き
魔法のところ書いててなんか死にたくなった。 
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