元虐められっ子の学園生活
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生態系と厨二病
イヌ科という動物には、イヌ、オオカミ、コヨーテ、ジャッカル、キツネ、タヌキと言ったものが含まれる。
イヌ科の動物の殆どは、発達した鼻や耳を持ち、獲物を確実に追跡する。
地形などの適応力も高く、基本的な物であれば何でも食べることができる。。
開けた草原に生息していることもあり、目線よりも高い位置に障害物は存在しないため、
まさに平原のハンターと言えるだろう。
しかし近来、森林伐採などの影響により、中でも一番知能のあるオオカミが少なくなっている。
オオカミは基本的に家族を一グループとして行動し、
獲物を追う際の連携も卓越している。
まさに家族の絆と言える。
古来ではオオカミが祭り上げられることもあり、
その生態は無視できないものとなっている。
つまり、オオカミは偉大なのだ。
しかもその季節に合わせて体毛を調節し、体調を整える能力をもっている。
なんと素晴らしいことか。因みに私の家には冷暖房の器具が一切存在しない。
だからこそ人間はオオカミの生態を見習うべきだと思う。
家族の繋がりや友人との会話に意味があるかは知らないが、
コミュニケーションの退化を進出する現代社会は終わっている。
もしも私が生まれ変わるのなら、神になりたい。
「君達は何か?職員室が好きなのかね?」
職員室。
毎度お馴染みの様に平塚先生にお小言を食らっている。
「比企谷は熊絶賛。鳴滝に至っては何だこれ…結論 神…もう動物じゃないだろう」
「甘いですね先生。
仏教等では神は人間が昇華した姿だと言われているんですよ?
そうなれば神もまた動物の一種。ヒト科なのです。
しかも飲まず食わず…コミュニケーションもいらない…素晴らしい」
「おお…」
「神にだって役割はあるだろう…比企谷は共感するな」
え?役割?知らんよそんなものは。
神がいなくても人は生きている。
どっかで聞いた言葉だが、いい言葉だな。
「先生って、現国の教師じゃ…」
「私は生活指導だ…故に生物の先生に丸投げされたんだ。
それで、これらの何処が野性動物の生態なんだ?」
「野性動物の群れ社会に対する強烈なアンチテーゼです」
「動物社会のコミュニケーション能力退化の俺なりに考えた解決方法です」
「お前たちは…」
神って良いよね。
誰かの願いを叶える存在として知られてるけど実際仕事をしない空想的な存在。
て言うか神っているの?
「君達は群れることが罪悪だと思っているのか」
「先生だって個体って言うか独身っ」
「ふっ!」
"パシィッ!"
「……ちっ」
「た、助かったのか…」
全くこの暴力教師は…。
「…時に、この前の依頼者はうまく行ったのか?」
「はぁ、まぁ本人は納得したみたいなんで。
そう言えばこの前の勝負はどうなったんですか?」
勝負?殴り合いか?
「ああ、安心したまえ。
勝負の採点は私の独断と偏見で決めてある。
ここんとこにしまってあるさ」
「っ………」
ポンッとムネヲ叩く平塚先生に比企谷が若干の反応をして目をそらす。
「比企谷は大きい方が好きなのか?」
「なっ!ばっかお前!生き遅れの胸がはぅあっ!?」
ああ、今のは比企谷が悪いな…。
「………腹減ったなぁ」
諸君、雨だ。
本来ならこの昼休み、屋上の排水タンクの上で風を受けながら食べているのだが。
生憎の雨なわけで、屋上に出ることが出来ない。
更に食事を取ると言うことはネックウォーマーを外すと言うことであり、
それは教室の人間にみられる可能性があると言うことでもある。
「………はぁ…」
どうするか。
久しぶりに便所飯でもするか?
……聞いてみるか。
「なぁ、比企谷」
「んをっ」
「……どうした?」
何故か話しかけただけで驚いた比企谷。
「いや、教室で話しかけられたこと無かったからな。
少し驚いただけだ」
「そうか。
それで、誰も来ない昼飯場所ってないか?」
「は?…ああ、そう言うことか。
そうだなぁ…普段なら俺もベストプレイスで食ってる筈なんだけどな。
悪い、知らねぇわ」
「……そうか」
さて困った。
このままでは空腹状態で五時間目を受けなくてはならなくなる。
その場合、授業中に腹がなったりしてとてつもなく惨めな思いをするだろう。
「それじゃ分かんないから、ちゃんといってよ!」
「ん?何だ?」
「…あれは、由比ヶ浜とその仲間達だな」
何やら険悪なご様子。
見るとクラス全体が注視し、気まずい空間が場をしはいしている。
「どうすんだ?」
「俺には関係がない。
精々身内で潰しあえ…」
「ふむ……」
「まぁ、別に助けようなんて気はこれっぽっちもないが。
知ってる女の子が泣きそうになってるのを見てると胃がキュルキュルなって飯が不味くなるんだよ」
「……分からないこともないな。
今時分飯が食えない状況だが…」
「それにああやって攻撃されるポジションは俺の物であって、
そう易々と譲ってやるつもりはない」
「いや、俺もそのポジションにいるんだがな。
兎も角腹がへった」
そう言うと比企谷は立ち上がる。
件のグループに向いて一言物申すと…
「おい、その辺で……」
「うっさい!」
「そ、その辺でジュース「コラコラ、逃げるな」いや、俺にはジュースを買うという指名が…」
俺は逃げようとした比企谷を掴んで座らせる。
しかしこうなってしまってはどうにもならない。
ならば俺は、例の噂を利用させて貰うとしよう。
「…お前ら、喧嘩なら他所でやれや」
「はぁ?って…鳴滝…これあーしらの問題だから、口出さないでくんない?」
「その問題も、今はクラス全体の問題と化している」
「はぁ?意味わかんないし」
「成る程、カーストの央にいるやつでも、状況の理解能力は底辺と見える」
お、おい、喧嘩なら他所でな?
と、比企谷が裾を引っ張るが、今は無視。
「ま、まぁまぁ…二人「テメェは黙ってろや!」……え?」
仲裁に入ってきた葉山に反射的に怒鳴った。
「カーストのトップの癖にこう言った状況の仲裁が糞ほど遅ぇんだよ!
お陰でクラス全体が飯マズ状態じゃねぇか!ああ!?」
俺はまだ食べてないけどね。
「…俺は」
「何なら昔みたいに仲間率いて団結させてみろや!
出来るだろ!毎日のように馬鹿騒ぎするくらいだからなぁ!」
全員沈黙。
反論者無し。
「仲直りならば今すぐしろ。
喧嘩するなら他所へ行け。
あと葉山死ね」
そう言って俺は自分の席へ座る。
無言で弁当(自作)を取りだし、食べる準備をする。
これでいい。
この状況ならば、クラスの大半が空気に居たたまれなくなって出ていくことは必至。
そして俺は飯が食える。
まさに一石二鳥。
「お、おれ、購買行ってこよ」
「あ、俺も!」
「あ、私はお手洗いに…」
思惑通り、クラスからゾロゾロと出ていく。
残っているのは俺、金髪、由比ヶ浜、糞な葉山グループだけ。
さぁ、飯だ。
「…ごめんね。
私さ、人に合わせないと不安って言うか…。
つい空気読んじゃうって言うか…。
いやー、もう昔からそうなんだよね。
おままごとでホントはママ役やりたいんだけど、他にやりたい子がいるからってポチ役やってたり。
団地育ちのせいかもだけど…」
「何が言いたいのか全然分かんないんだけど」
ふむ、どうやら仲直りを選んだようだな。
だが由比ヶ浜。俺にも理解できないぞ。
「だよね、私もよく分かんないんだけどさ…。
でもね、ヒッキーやユキノン、ツクモン見てて思ったんだ。
お互いに本音で言い合って、空気読んで、無理に合わせてないで……楽しそうで…」
俺としては真面目に話していたつもりだったんだが。
そうか、面白く見えたか。
「何か私、今まで必死になって人に合わせてきて…それって間違ってたのかなって思うようになってきて…。
だってヒッキーとかマジヒッキーじゃん。
休み時間とか寝たふりしてたり、本読んで笑ってたりしてキモいし」
『ヌグッ』
ん?比企谷の声か?
もしかして廊下にいる?
「あの…そう言うわけで…別に由美子の事が嫌だって事じゃないから。
これからも仲良く出来るかな…?」
「ふーん。ま、いいんじゃない?」
「ごめん。ありがと、由美子」
そう言って扉へ向かっていく由比ヶ浜。
俺も丁度弁当を食べ終わる。
「ええ!何でヒッキーがここにいるの!?
もしかして聞いてた!?」
そして急に廊下の方から由比ヶ浜の声が聞こえてくる。
「な、何をでしょう」
「聞いてたんだ!盗み聞きだ!
変態!ストーカー!えとあと、いやもうホントマジキモすぎだから…」
「少しは遠慮しろよ…」
「はぁ?今さら遠慮なんてするわけ無いじゃん!
誰のせいだと思ってんの?バカ」
何なのこの二人。
急にラブコメ開始しましたよ。
もうお前ら付き合っちゃえよ。
「…誰のせいって、そりゃあ…雪ノ下だよな…」
「俺的にはお前のせいだと思いたい」
「うお!?急に現れるな!ビックリしちゃっただろ」
「何なの?俺って怪人か何かなの?
ヒーローによって爆発させられる存在なの?」
「いや、そんなこと言ってねえけど…」
「…慰められたとき、どんな顔をすれば良いのか知らないんだ……」
「…笑えよ」
「(ニコォ…」
「ちょ、こわ、怖いよ…目だけしか見えないぶん怖さ増してるよ…あと怖い」
「お前、そこまで言うか…」
そんな昼休みの出来事だった。
さぁ放課後だ。
今までは直ぐに帰ってバイトへ行くのだが、
今ではもう部室へ行くのが日常化している自分が惨めでかわいそうだ。
はぁ……どっかに百万円落ちてないかな…。
「…ん?何だ?」
「…どした」
「いや、部室前で女子二人が…」
俺が指を指すと比企谷はすたすたと歩いていき、
「…………何してんの」
と、声を掛けた。
「「ひゃっ!」」
突飛な声をあげて驚く女子二人。
と言うか雪ノ下と由比ヶ浜。
「いきなり声をかけないでくれるかしら!」
「悪かったよ…で、何してんの?」
「……部室に不振人物が居るの…」
「はぁ?」
不振人物?
俺…じゃないよな。
だって俺廊下にいるし。
「よし、鳴滝、ゴー」
「いや待て、行くのは構わんが何故俺が抜擢されたかを問いたい」
「ほら、昼の教室でやったようにさ」
「あの時のツクモン、何かいつも以上に怖かったし…」
待て、それは普段から怖いと言っているのか?
やはり笑った方が良いのか?…ダメか。
「分かった。分かったから。
そんな『お前なら出来る!』見たいな目線は止めろ雪ノ下」
「そんなつもりは無かったのだけど」
嘘を言うな。
"ガラッ"
「ちーっす。お前誰だ?」
俺は扉を開けて早々になかにいる男に問いかけた。
男は太った体型にメガネを掛け、茶色のロングコートを羽織っていり。
髪型は特に整えていないようで色は白。
確かに見てみれば不振な男だ。
「ふっふっふっふ…。
まさかこんなところで出会うとは…待ちわびたぞ!比企谷八ま…ヒィィィィ!?
鳴滝九十九!何故此処にぃ!?」
何で会うやつ全員こんなに怯えるの?
俺ってそんなに怖い?
「比企谷くん。
彼は貴方の名前を呼んだようだけど、知り合い?」
「あんなやつは知らない。
知っていても知らない」
「ま、まさかこの相棒の顔を忘れたと申すか!?
見下げ果てたぞ八エモン!」
「誰が八エモンだ!
…何のようだ材木座」
「その通り!我が名は七代目剣豪将軍、材木座義輝だ!」
テンションの移り変わりが激しいやつだな。
「…そのお友だち、貴方に用があるんじゃないの?」
「友達じゃねぇっつの…」
まぁ、この男…材木座くん?との友達関係は疲れるだろうな。
主に精神的に。
「さよう!我に友達など居らぬ!ホント……マジで、独り……とぅあ!
時に八幡よ、奉仕部とはここでいいのだな?」
そうか、彼もまた友達居ないんだ。
次からは優しく接してやろう。
「ええ、ここが奉仕部よ」
「………やはりそうか!
平塚教諭から助言いただいた通りなら八幡。
貴様には我の願いを叶える義務があるわけだな」
まて、何故雪ノ下から目をそらした。
そんなに怖いのか雪ノ下は。
……怖い?かもしれないなぁ。
「別に奉仕部は貴方の願いを叶えるわけではないの。
ただ、お手伝いをするだけよ」
「……ふ、ふむ!ならば八幡よ!我に手を貸せ!」
あ、また反らした。
…もしかしてコミュ症ってやつか?
「コラムコラムッ!
我とお主の関係にそんな粗末なものは必要な…い……」
雪ノ下をみて固まる材木座くん?もう呼び捨てでいいや。
っておいおい!汗だらだらじゃねえか!
「雪ノ下、睨んでやるなよ。
彼を見ろ。まるで蛇に睨まれたカエルじゃねぇか」
「別にそんなつもりは無いのだけど、比企谷くん、ちょっと…」
そう言って比企谷を引っ張ってこそこそと話を始める奉仕部部員(俺を除く)。
「取り敢えず材木座と呼ばせてもらうぞ」
「う、うむ。苦しゅうないぞ」
まだ怯えてんな。
まぁ良いけど。
「それで、君の依頼はどんなもの何だ?
それによって(雪ノ下の)対応が変わってくるんだが」
「う、うむ。実は我は今度、素人小説の新人賞に応募しようとしているのだが…。
友達がいないので良いのか悪いのか分からん。
そこで、諸君に感想が聞きたい。読んでくれ」
「小説?あ、これか」
俺は床に散らばった紙を広い集める。
内容は……ファンタジーか。
「…………………………………………」
「……い、おい、鳴滝!」
「ん?どうした比企谷」
「材木座から聞いたから分かったが、小説の感想なんだってな。
その原稿、コピーするから渡してくれ」
「ん、了解」
どうやら読みふけっていたようだ。
俺は比企谷に原稿を渡す。
「………因みに聞くが、どこまで読んだ?」
「へ?あと一枚って所だが」
「早ッ!」
「流し読みでもしたのか?」
「いや、速読だが」
「貴方って色々飛び抜けてるのね」
今までやることなかったしなぁ。
暇潰しで本読んでたらいつの間にか身に付いたスキルだ。
「どーも。
一応感想言おうか?」
「いや、後日、全員一緒に聞きたい」
「そうか?別にいいが…死ぬなよ」
「えっ!?どういう意味?」
雪ノ下辺りは毒舌吐きそうだなぁ。
うっかり自殺に追い込むくらいの勢いで言いそうだ。
翌日の放課後。
雪ノ下の寝顔をみて比企谷が危ない橋を渡ろうとしたことはさておいて。
「さて!では感想を聞かせてもらうとするか!」
材木座がドカリと椅子に座って腕をくむ。
そう言えばあれ、厨二病って言うんだってね。
俺、はじめて知ったよ。
「ごめんなさい。私こう言うの良く分からないのだけど」
「構わん!盆属の意見も聞きたかったところでな。
好きにいってくれたまへ!」
あ、終わった。
「そう、詰まらなかった。
読むのが苦痛ですらあったわ。想像を絶する詰まらなさ」
「ゲッフゥ!?
さ、参考なまでに…どの辺が詰まらなかったのか…御教授願えるかな…?」
「そうね、まず文面が滅茶苦茶ね。
何故いつも倒置法なの?てにをはの使い方しってる?
小学校で習わなかった?」
「ぬぐぅぉはぁ…それは平易な文体で読者に親しみを…」
「それは最低限まともな日本語が書けるようになってからではないの?
それにルビだけど、誤用が多すぎるわ。
能力にチカラなんて読み方は無いのだけど。
聞くのだけど、この『幻紅刃閃』はどこから来ているの?」
「ち、違うのだ!最近の小説はルビに特徴を…」
「ここでヒロインが服を脱いだのは何故?
必要性が皆無よね。白けるわ。」
「ヒギィィィ!そー言う要素が無いと…」
「完結していない作品を読ませないでくれるかしら。
文才の前に常識を身に付けた方が良いわね」
「ひぎぁぁぐはぁぁ!?………ガク…」
うわぁ…容赦ねぇ…。
比企谷、フォローしてやれよ。
このままだとホントに自殺しそうだぞ…。
「その辺でいいんじゃないか?
余り一編に言ってもあれだし…」
「まだ言い足りないのだけど、まぁ良いわ。
それじゃあ次は由比ヶ浜さん」
「ふぇ!?……あー…えっと、難しい漢字、沢山しってるね!」
「ぐぼぅ!?」
「ひっ!じゃあヒッキー!」
もう材木座は自殺一歩手前だぞ。
…比企谷。お前が心をケアしてやるんだ!
「八幡…お前なら分かってくれるよな…?」
材木座は半泣きで比企谷をみる。
それに答えるかの様に比企谷はうっすらと笑って見せた。
「で、あれって何のパクリ?」
「ぐぶろばっ!?」
「とどめ指してどうすんだ!」
「いや、お前のアイコンタクトは止めを指せと訴えてるように見えたから」
材木座は余りの感想に床を転がりだし、軈て壁に激突した。
「あー、取り敢えず俺の意見は要らないよな?」
「う、ぐぅ…まだだ。まだ終わっていない!」
苦しそうに胸に手を当てて立ち上がる材木座。
その表情には罵倒による恐怖が刻み込まれているようだった。
「さあ!聞かせてくれ!」
「まぁ、感想事態は3人が言ったから。
アドバイスでも出そうかな。
取り敢えず、この小説は何を思って書いた?」
「わ、我の想像のままに…」
「それじゃあダメだ。
材木座、君はさっき『読者に親しみを』って言ったけど、
この小説の内容からして君の趣味に走りすぎている。
詰まり、読者側からすれば自分だけが楽しめればそれで良いって感じ取れるんだ」
「そ、そんなつもりは…」
「それが作者と読者の違いだよ。
読者の嗜好は千差万別。それこそ億にだって昇る。
時代の流れに添う様にとは言わないけど、それでも読む側の事も考えなくちゃいけない」
「………」
「だからこれはボツ。
けど、この作品の構成は間違いじゃない。
見直しをすれば悪い点が見つかるように、何度も繰り返し読み返すことで
より良質な作品になっていくんだ」
「すげ…」
「ほぇ~…」
「……」
「だから、手本となる小説とか、教材を見て学ぶのも1つの手として頑張ってみてよ」
「…ありがとう。
我はどうやら誤解していたようだ。
鳴滝九十九に出会ったら逃げろと言う噂は偽り。
真の鳴滝は素晴らしい男だったのだな!」
もしかして俺の噂は学校中に広まっているのでは無かろうか。
「それで…その。
新作が書けたら…また読んでくれるか?」
「…ドMなの?」
「あんだけ言われてまだやるのかよ…」
「無論だ。
ここに来れば作品の悪いところが沢山わかる。
自分が書いたものに感想を言ってもらえるのは良いものだ…。
それに素晴らしいアドバイザーが居るからな!」
最早罵倒されにくる事が目的に聞こえるが。
「わかった。また読むよ」
「間違っても自殺はダメだからな」
「お前、まだ引っ張るのかよ…」
「ハハハハ!去らばだ!」
バッとコートを翻して退室していった材木座。
更なる技術向上を祈るとしよう。
こうして、長いようで短かった一日は、依頼終了と共に終わりを迎えるのだった。
「…ところで、何であんなに詳しいんだ?」
「そりゃ、俺が小説書いてるからだよ。
ちゃんと店舗に並んでるぞ?」
「「「はぁっ!?」」」
「いや、将来的に人と余り関わらなくて済む職場探してたらいつの間にか…」
「あー、傷…か」
「………」
「ネックウォーマーの下ってどうなってるの?」
「残念なことに企業秘密だ。
おいそれと見せるわけにはいかんな」
「ぶー、ケチー」
後書き
オリ主の意見はなるべく良いことを言おうとしたらこうなっちゃいました。
何か矛盾していると言うかなんと言うか、まぁ、ここまで読んでくださった方には感謝の程を。
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