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鎧虫戦記-バグレイダース-

作者:
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第18話 これはカマキリですか?

 
前書き
どうも蛹です。
ついに暴走してしまい、カマキリ型の″鎧虫″と化した豪。
果たして、全員は豪を助けることが出来るのか?

今回、久しぶりのアイツが出て来ます。ショーする奴も。
そして、″超技術″を使用する戦いになっていきます。
壮絶な戦いが今、始まる!

それでは第18話、始まります!!
 

 
「ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!」

そこにいたのは、手紙の返事をできずにいた豪ではない。
10mを超えるカマキリ型の"鎧虫″だった。

 ガラガラガラガラ‥‥‥‥

巨大化した時に天井が崩れて瓦礫が降って来ていた。
しかし、そんな状況の中でも雨は必死に叫び続けていた。

「豪さぁんッ!!」

カマキリ型は雨を冷たい瞳で凝視している。

「‥‥‥‥‥‥‥‥?」

カマキリ型は首をかしげるような動作をした。

「雨!!離れろォッ!!」

迅は雨に駆け寄りながら叫んだ。カマキリ型は鎌を軽く振り上げた。

 ドギャッッ!!

振り下ろした衝撃で世界が一瞬真っ白になった。
弾ける前にいた雨と迅の姿も見えなくなった。

「雨さん!!」

マリーは真っ白な光景に向かい叫んだ。

 ‥‥‥‥‥‥ザッ

「はぁ、はぁ、はぁ、間に合った‥‥‥‥‥‥」

迅は雨を抱えて後ろに現れた。

「うぅ‥‥‥‥グスッ、豪さんが‥‥‥豪さんがぁ‥‥‥‥‥‥」

雨は迅に泣きついていた。

「大丈夫だ。まだ‥‥‥‥間に合う」

迅はカマキリ型を睨みながら言った。
カマキリ型は何を考えているのか不可解な行動をしていた。

「ギィ‥‥‥ギィィィィ」

何かをつぶやいているように見えないこともない。
迅は雨をゆっくりと下ろした。

「雨、君は安全な場所に避難するんだ。できる限り、村の住民を避難させながら」

雨は泣きながら首を振った。

「嫌です!私も戦いますッ!!」

ホークアイは割り込みながら言った。

「いくらなんでもそれは無茶だろ!!」
「ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!」

 グワッ!!

カマキリ型の鎌が勢いよく雨に向かい振り下ろされた。

「危ないッ!!」

 ガシャシャシャン!

 ガキィィィィンッ!!

アスラは換装しつつ日本刀でその鎌を受けた。

 ギャギャギャギャッ

カマキリ型の鎌は何故か切断できなかった。
アスラは刀から火花を散らしながら耐えている。

「何でこんなに硬いんだ!?」

アスラは歯を食いしばりながら言った。

「豪さんは特に斬撃に強い堅固な″鎧骨格”で全身を覆う
 ”防刃堅鋼《ソリッドメタル》″という能力を持っています!!」 

よく見ると、カマキリ型の鎌が少し黒くてツヤのある材質になっていた。

「″超技術″まで使えるのかよッ!!」

アスラは何とかこの状態を保ったまま叫んだ。

「逆に言えば、″超技術″を使えるほどの意識が残っているということだ!
 だが、急いで豪の精神を叩き起こさないと本当に戻れなくなるぞ!!」

迅は息を切らしたままアスラに叫んだ。

「でも叩き起こすって言ったってどうやって‥‥‥‥ぐッ!」

アスラはそろそろ限界が来ているようだった。

 ガササッ  バッ!

茂みの中から黒い影が飛び出した。

 サクッ!

黒い影はいともたやすくカマキリ型の鎌を切断した。

「うおっ!」

アスラは突然軽くなったことでバランスを崩しかけた。
しかし、何とか持ち直した。
そして、アスラは黒い影の着地した位置を見た。
 
「お、お前は‥‥‥!!」

黒い影はゆっくりと立ち上がった。

「この程度の敵に追いつめられているとはな‥‥‥‥」

黒い影はアスラたちにつぶやいた。

「あ、アギトォッ!!」

みんなは喜びのあまり叫んだ。

「‥‥‥‥‥お前らこんなので大丈夫なのか?」

アギトはため息まじりにつぶやいた。
みんなは急いでアギトに駆け寄った。

「スゴイな!何であんな簡単に斬れたんだ?」

ホークアイは興奮気味に訊いた。
アギトは少し目をそらした。

「‥‥‥‥教えると思うか?」

ホークアイは食い下がった。

「教えてくれよ!」

アギトは少しだけ視線を戻した。

「‥‥‥‥仕方ないな」

アギトは全員の前にブレードの付いた腕を出した。

 キィィィィィィィィィィィン

ブレードは高音を発しながら振動し始めた。

「これが俺の能力、″音速裂刃《ソニックブレード》″だ」

ホークアイはへぇ、と言いつつ手を伸ばそうとした。

「触らない方がいいぞ。振動でズタズタになりたいなら話は別だがな」

ホークアイはすぐに手を引いた。

「分かりやすく言えば‥‥‥‥‥ハッ!」
「ギィィィィィィィィィィィッ!!」

 ブオッ!

カマキリ型は素早く鎌を振り下ろした。

 タンッ!

アギトは跳びあがった。 

「はぁぁッ!!」

 サクッ!

まるで、バターでも切るかのように振り下ろされたもう片方の鎌を切り裂いた。

「ギィィィィィィィィィィィッ!!」

カマキリ型は苦しみもだえている。

 ダンッ!   スタッ

アギトは斬り裂いた鎌を蹴り、みんなの近くに着地した。

「スゲェ~~~~~ッ」

全員は驚嘆の声を上げた。
アギトはまた顔をそらした。

「‥‥‥‥‥高速で振動しているブレードは接触した物体の分子構造を分解する」

多分、照れているのだろう。彼は誰とも目を合わせなかった。

「ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!!!」

カマキリ型は苦痛によるものか声を上げた。
鎌の付いてない両腕を振り回して暴れている。

「豪さんッ!」

雨は必死にカマキリ型に叫んだ。

「どうしたんだ急に?」

アスラは誰に対するものでもない質問をした。

「ギィィィィィィィィィィィィィァァアァァアアアァァァアアァァアァァ!!」

カマキリ型は大声を上げた。

「あああぁああぁぁぁあああああぁぁぁあああぁぁあああああぁぁぁぁ!!!」

雨はそれを聞いて涙を流した。

「‥‥‥‥‥‥‥戦ってる」

彼女はつぶやいた。

「豪さんが‥‥‥‥‥‥戦っています!」

彼女は全員に呼びかけた。

「早く‥‥‥‥早く助けないと!!」

全員は雨に呼応した。

「あぁ、分かった!!」


〖盛り上がってるとこ悪いねぇww〗
「なッ!!!?」

カマキリ型の方から突然声が聞こえた。
全員はカマキリ型の方向を見た。しかし、そこには誰もいなかった。

「一体誰が‥‥‥‥?」
〖こっちこっちww〗

全員は声を出している者の正体に気付けずにいた。

〖豪くんの中からって言えば分かるかなぁ?〗
「ッッ‥‥‥嘘だろ‥‥‥‥‥ッ!?」

全員は信じられなかった。だが、どう聞いても
その声はカマキリ型から、そう豪の中から聞こえて来ていた。

「誰だお前はッ!!」
〖そこの元将軍なら知ってんじゃないの?〗

謎の声はこう言った。
迅は目を開いた。眼光から禍々しい雰囲気を感じた。

「‥‥‥‥‥ディーンか」
〖そーそー大正解ww〗

迅は鋭い目つきでカマキリ型を睨んだ。

「相変わらずのクソ加減だな」

ディーンは笑いながら言った。

〖クソはひでぇなwwだが、俺はお前の方がクソ野郎だと思うぜ?
 ″庶民″の出のくせして裏切りやがった最低の男がよぉ〗

迅は鼻で笑った。

「お前も″貴族″の出のくせして喋り方がなってないな」

ディーンは笑い始めた。

〖そんな事よりよぉ、大丈夫なのか?このままじゃコイツ死んじまうぜ?〗

カマキリ型は頭を押さえるような動きを見せている。

「ああああぁああぁぁぁああああぁぁぁぁぁアアアアァァァァァァアアアアアア!!!」

カマキリ型は大声を上げた。

「ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!」
〖俺の一手間でホラ、こうなる〗

完全に再び呑み込まれたようだ。
迅は歯ぎしりをした。

「厄介な能力だぜ‥‥‥‥」

マリーは迅に訊いた。

「ディーンって人はどんな能力なの?」

ホークアイも話に割り込んだ。

「そうだよ迅さん!よっぽど憎んでる相手なんだろ?」

迅は少しの間、黙り込んだ。

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥″ポゼス″だ」
「えっ?」
「はっ?」

「ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!!!!」

カマキリ型は腕に力を込めているようだ。

 ズボァッ!

両腕の切断面から高速で腕が生えて来た。

「んなのアリかよ!!」

アスラは刀を構え、叫んだ。
迅は全員に聞こえるように説明した。

「おそらく、″鎧骨格″の性能が通常の″鎧虫″より良い上に
 その管制が全く出来ていないから、あんな無茶な再生が可能なんだろう」

〖そーだよーwwだから急いで助けないと
 コイツの身体が耐えられなくなって壊れちまうぜぇ?〗

ディーンは他人事のように笑いながら言った。

「クッソ~~ッ!まるで“違う世界の住人”だぜ」

アスラはディーンの言葉の不快感に地団太を踏んだ。
それを聞いた迅はつぶやいた。

「そう、奴は今“違う世界の住人”なんだ。だからタチが悪い」

真に受けられたのでアスラは少し焦っていた。 
 

 
後書き
貴族と庶民についての関係はここでの戦いには全く関係ありません。

この話では″超技術″が3つも分かりました(内1つはほとんど不明)。
ディーンの能力は結構ありがちです。予想してみては?

“違う世界の住人”とはどういうことなのか?(これもヒント)
″ポゼス″とはどのような能力なのか?
戦いはまだまだ続く。

次回 第19話 幽霊なんかよりも中国の方がよっぽど怖いというのは偏見ではないはずだ
お楽しみに! 
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