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鎧虫戦記-バグレイダース-

作者:
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第17話 中国人でも恋がしたい!

 
前書き
どうも蛹です。
今回は少しノロケ話があります。
私は恋愛をしたことがないので、正直書くのは無謀です。
しかし、ないと面白くないのも事実!!
“良薬口に苦し”と思って読んでください!(我ながら意味不明)

それでは第17話 始まります!! 

 
「‥‥‥‥ねぇ、迅さん」

マリーは迅に話しかけた。

「何だい?マリー」

迅は返事をした。しかし、顔は向けなかった。

「どうしてそんなに″鎧人″の事に詳しいの?」

それは確かに誰もが訊きたい質問だった。

「‥‥‥‥俺も博士と一緒に″種″を製作していたからさ」

これならだれもが納得するであろう答えだった。

「‥‥‥‥でも」

マリーは最も訊いてはならないことを訊いた。

「その迅さんでも治し方が分からないの?」

一瞬、迅の周りの空間が震えた気がした。

「‥‥‥‥‥‥‥あぁ」

迅は自分の顔を押さえながら言った。

「作ったのは“スメラギ博士″でオレはその補助をしたまでなんだ。
 だから、オレは″種″についてもほとんど知らない。」

ホークアイは間に割り込みながら言った。

「だったらスメラギって人に訊けばいいんじゃないか?」

迅は小さな声で言った。

「“スメラギ博士″は‥‥‥‥‥‥死んだよ」

そう言われたホークアイはうつむいた。

「‥‥‥ごめん、迅さん」

迅は背中を向けたまま言った。

「いや‥‥‥‥良いんだ」

そういって部屋を後にした。



    **********



「‥‥‥‥ハァ」

病院の控室のソファに座り、豪はため息をついた。

「まさか、そこまでひどいモンだとはな‥‥‥」

豪はそのままソファに寝転んだ。

 ズキッ!!

「痛ッ!!」

突然、頭に激痛が走った。

「‥‥‥‥‥何だったんだ?」

豪は頭を押さえたままつぶやいた。

「オイオイ、めっちゃ不吉じゃねぇか‥‥‥‥」

豪は右の手の平で両目を覆って言った。

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 ピトッ

「うおぁッ!」

突然、何か冷たいものを額に置かれて豪は驚いた。
豪は急いで起き上がり、その方向を見た。

「‥‥‥‥何だ、雨か」

豪の視線の先には大きな女の子がいた。

「お水ですよ、ただの」

両手にはコップを持っていた。

「‥‥‥‥一人にしろって言ったろ?」
「嫌です」
「‥‥‥‥はぁ」

俺は仕方なく彼女に隣に座るように勧めた。
座っているはずだが豪よりも目線が高い。

「‥‥‥‥やっぱりデカいな。何度見ても」
「ガーーン!何でみんな私の事、大きいって言うんですかぁ!」
「‥‥‥‥フフッ、ハハハ」

豪は笑った。少し寂しそうに。

「‥‥‥‥やっぱ簡単には立ち直れそうにないや」

雨は視線を下ろした。

「‥‥‥‥‥嫌です」

彼女のスカートに雫が落ちた。

「私‥‥‥豪さんが″鎧虫″になるなんて‥‥‥‥絶対嫌です‥‥‥‥!」

彼女は大粒の涙を流しながら泣き始めた。

「あぁあぁ‥‥‥‥この場合、泣くのは俺だろオイ」

豪は雨の泣く姿を見て、少し慌てている。

「別に病気みたいに進行するとかそんなんじゃないんだぜ?」

豪は自分の胸に拳を当てた。

「俺の心が折れたらって話だ。だから‥‥‥‥心配すんなって」

そう言って、少し無理した笑顔を見せた。

「‥‥‥らしいです」

彼女は両手で涙をぬぐった。

「やっぱりその方が豪さんらしいです♪」

彼女は満面の笑みを浮かべた。

「それって俺は堅苦しい笑顔浮かべてるのがお似合いってのかよぉ!」
「違いますよぉ!」
「ハハハハハハハハ」
「フフフフフフフフ」


「豪さんって意外と明るい人だったんだな」
「雨さん、あんなに楽しそうに笑ってる♪」

2人の楽しそうな姿を陰から見ていたアスラとマリーはつぶやいた。

『2組目のバカップルの完成か‥‥‥?』

ホークアイはその更に後ろで思った。



    **********



「ったく、アイツ等‥‥‥‥」

豪は部屋のドアを閉めながら、あの後の事を思い出していた。



「豪さん!」

アスラとマリーが駆け寄りながら言った。

「何だ、お前らも俺の言ったことを無視してんのか」

豪はため息まじりに言った。

「雨さんと仲良くなって良かったね♪」

マリーは笑顔で言った。

「あんな良い人がいてくれてよかったな、豪さん!」

アスラも笑顔で言った。

「うらやましい限りだぜ」

ホークアイもニヤけながら言った。

「‥‥‥‥‥‥‥何でお前ら知ってんだ?」

豪の一言に全員は口を閉じた。

「お前ら覗いてたなぁーーーーーッ!!!」

豪は激怒した。

「ご、ごめんなさぁ~~いッ!」

そう言いながら3人は急いで逃げて行った。

 ポンッ

「まぁ、そんなことだってあるさ」

リオさんは豪の肩に手を置き言った。

「アンタ‥‥‥‥‥‥いつからいたんだ?」

そのあと豪はもう一度、激怒した。



「人を見せ物みたいに見やがって」

少し笑いながら豪はつぶやいた。
そして、握りしめた左手を開いた。

そこには一枚の小さく折りたたまれた紙があった。

「雨はあいつ等に気が付いてたのかもな‥‥‥‥」

これは彼女が去る時に、あとで返事ください、と言いつつ渡していったものだ。

『何かよっぽど大事なことが書かれているのか‥‥‥?』

そう思いながら豪は紙を広げていった。
そこには綺麗な字でこう書いてあった。

 
――――我到现在一直爱你(今までずっと大好きでした)

  
「‥‥‥‥ははっ」

豪は思わず笑った。

「こういうのは俺から言うもんだろ‥‥‥」

そう言いながら涙がこぼれそうになった。

〖‥‥‥‥せ‥‥‥‥‥‥‥〗
「なっ‥‥‥‥‥‥!?」

何かが豪の頭の中に響いた。

 ズキッ!!

「グッ‥‥‥‥‥!!」

再び豪の頭に激痛が走った。

「‥‥‥‥‥‥どうしたんってんだ?‥‥‥‥俺は‥‥‥‥」

豪は頭を抱えたままつぶやいた。



    **********



「‥‥‥おはよう」

豪は目をこすりながら食堂に入った。

「おはよー、豪さん」

マリーは豪に笑顔で挨拶をした。

「おはよう」

豪は席に座りながら返事をした。

「‥‥‥‥‥」

一瞬、雨と目が合った。

「‥‥‥‥‥」

しかし、挨拶は交わされなかった。 2人とも顔を赤くしていた。
あんなことがあった後では、お互い意識しすぎて話すきっかけが見つからなかった。

「‥‥‥2人とも、顔が赤いけど熱でもあるんじゃないか?」

迅は2人に言った。

「‥‥‥‥大丈夫です」
「‥‥‥‥‥俺も」

二人はぎこちなく返答した。

「‥‥‥‥‥‥‥‥?」

迅は鈍感なので、気付いていないようだ。

「そういえば、迅さん」

マリーに呼ばれた迅は返事をした。

「何だい?マリー」

マリーは顔をうつむいたまま言った。

「昨日の事‥‥‥‥もう怒ってない?」

一瞬、迅は何のことか分かってないようだったが思い出したように言った。

「あぁ‥‥‥‥怒るも何も始めから怒ってないよ」
「本当に怒ってないの?」
「あぁ、もちろん」
「‥‥‥‥‥良かったぁ」

マリーは安堵した。

「オレもごめんな、迅さん」

ホークアイは頭を下げた。

「良いって。オレも大人なんだからいちいち怒んないよ」

それを聞いたホークアイは少し笑顔になった。

『‥‥‥‥‥‥‥実際どうなんだろう?』

アスラは自分なりに推測した。

『多分、迅は本当に怒ってないと思う』

迅は笑顔でみんなと話していた。

『迅は意外と子供っぽいけど、みんなの事を第一に考えてくれる良い奴だ』

豪と雨は何だかポカポカした雰囲気をキープしていた。

『迅は怒っているというより、辛いんだ』

リオさんは話す相手がおらず、挙動不審な状態であった。

『“スメラギ博士”との記憶は迅にとって忘れてはいけないが
 思い出したくない、とても辛いことものだったのだろう』

迅はアスラの方を見た。

「ん、どうした?アスラ」

アスラは笑顔を見せた。

「何でもねぇよ」

迅もそれにつられて笑顔になった。


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

雨は話しかけるタイミングを計っていた。
そして、彼女はついに決心した。

「あ、あの‥‥‥‥‥‥‥‥」

 ズキッ!!

「痛ッ!!」

豪は激痛のあまり身を丸めた。

「豪さん!?」

雨は豪に近寄ろうとした。

「来るなッ!!」

豪は叫んだ。しかし、その叫びは雨に対するものではないようだった。

〖‥‥‥‥せ‥‥‥‥‥‥‥〗
「来るんじゃねぇッ!!」

豪は何やら混乱しているようだ。

〖‥‥‥‥殺せ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥〗
「!!?」

豪の頭の中に謎の声が聞こえて来た。

〖殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ〗
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ‥‥‥‥‥‥‥‥うぅ」

頭の中を虫が這いずり回るような不快感が襲った。

〖殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ〗

「ぐっ‥‥‥‥‥やめろ‥‥‥‥‥やめてくれ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

脳が埋め尽くされるように一つの言葉がささやかれ続けた。

〖殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
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 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
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 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ〗

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

 メキメキメキメキメキメキ‥‥‥‥‥‥‥ッ!! 

豪の全身が変形を始めた。

「豪ッ!意識を強く保てッ!!」

迅は豪にそう叫んだが、もうすでに遅かった。

〖人間を‥‥‥‥‥‥殺せェッ!!!〗
「うああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 メキメキメキメキメキメキメキメキッ!!

豪は完全に何かに呑まれた。

「にンゲんヲ‥‥‥‥‥コろス!!」

豪の姿は完全に人間ではなかった。そこにいたのは――――――

「ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!!!!」

唯の暴れまわる″鎧虫″だった。

「豪さぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!!」

雨は悲痛な声で叫んだ。 
 

 
後書き
豪ォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!
ついに壊れてしまった豪。彼は巨大なカマキリの″鎧虫″へと変貌してしまう。

目の前で暴走してしまった豪に雨はどうするのか?
果たして、豪は再び彼女と微笑み合うことが出来るのか?
壮絶になって来た中国編。

次回 第18話 これはカマキリですか? お楽しみに! 
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