劇場版・少年少女の戦極時代
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!
分かり合えると信じるから
黒い鎧武が前に出て、両者のソニックアローを受け止めた。太刀筋はやはり荒いが、速い。
鎧武はあっというまにバロンとマリカに斬りつけた。
その間に、こちらにコウガネが近づいて来る。
龍玄が止めようとしたが、コウガネはソニックブームが起きるほどの一太刀を龍玄に浴びせてから、またこちらへ歩いて来た。
「変身!」
《 カモン ドラゴンフルーツアームズ Bomb Voyage 》
月花へ変身し、すぐさまコウガネにDFロッドを突き出した。だがコウガネはびくともしない。
それどころか、一太刀の速さで二太刀を月花に叩き込んだ。
『くぅ…っ』
倒れた月花を、マリカが抱え起こした。バロンは――一人、鎧武と戦っている。
『無闇に突っ込んじゃだめよ。相手をよく観察しながら動くの』
『やってみる…!』
支えられながら立ち上がる。月花はマリカと並んで、コウガネと向き合った。
マリカが斬りつけられれば月花が、月花が斬りつけられればマリカが、それぞれの武器による一撃を揮った。自滅戦法的だが、これ以上にコウガネに対する有効策がなかった。
『もっとよ! もっと呼吸を合わせて!』
『はい!』
次第に月花にもマリカの間合いが分かってきた。マリカが作ってくれる隙に、月花は時にDFボムを放ち、時にDFロッドを揮った。月花が隙を作った時も、マリカは巧く攻撃を入れていた。
付け焼刃であれ、これほど頼もしいコンビネーションはない。
(イケる、かも…!)
そう思うと同時、視界の端を青い影が過ぎ去った。影は紘汰にぶつかって消えた。
『避けて!』
マリカの叫びで我に返ったが、遅かった。注意を逸らした月花に、コウガネが剣を大上段から振り下ろそうとしていた。
『ぐわ、ああああ!!』
コウガネが剣を止めてふり返った。
月花もまた、目にした。鎧武が倒れ、彼の体から黒煙が昇華されていく光景を。
(さっきの蒼いカゲ。まさか、シャムビシェがなにか?)
ふり返った先のラピスは、信じられないものでも見るかのように鎧武を見ている。
オレンジアームズに戻った鎧武は、無双セイバーを杖に起き上がり、コウガネに挑んだ。
『何故だ! 何故、黄金の果実である私が、貴様ごときにィ!!』
『黄金の果実だ? ふざけんな! お前なんかただの金メッキだ!』
コウガネが鎧武へ離れざまにディメンションソードを放ったが、鎧武は揺らがなかった。
鎧武はカチドキロックシードをセットし、カチドキアームズに換装するや、反撃を開始した。
カチドキ旗が鎧武の闘気を受けて、火の粉を散らす。
二本の旗の猛攻に、コウガネも剣と盾で応じるが、今押されているのは確実にコウガネのほうだった。
鎧武はカチドキ旗を薙いで、コウガネの立つ地面を焦熱に焼いた。そこに浮き上がったコウガネを、カチドキ旗2本で切り裂いた。
『ぐおぉ……おのれぇぇぇぇぇ!!』
コウガネの姿が黒いイナゴの群れに分解された。イナゴの群れは鎧武に、龍玄に、バロンに、マリカに取り付き、彼らを工場から攫って去ってしまった。
『シャムビシェ。おっかけよっ』
シャムビシェは肯いた。
月花はバックルにセットしたドラゴンフルーツの錠前を外し、ヒマワリの錠前を出して開錠した。
《 ヒマワリアームズ Take off 》
ヒマワリ色の機動翼が月花を鎧った。
「ジュグロンデョ……やっぱりキミは」
シャムビシェに手を差し出す。二人は両肩を組み合うようにして、空へ舞い上がった。鎧武たちを連れ去ったイナゴの大群を追って。
鎧武たちが落とされたのは、採掘場だった。
黒いイナゴが水たまりの対岸で集まり、再びゴールデンアームズのコウガネの姿となった。加えて、コウガネは騎馬も同時に生成したらしかった。
コウガネは武将のように馬を駆り、馬上から剣で戒斗たちに斬りつける。
ゲネシスバロンやマリカのソニックアローさえスピードが及ばず、ただ金の一斬を浴びる有様だった。
とにかく月花は、急いで鎧武のそばに降り立ち、シャムビシェを離した。
「コウタ」
シャムビシェがカチドキ鎧武に歩み寄る。
「どうしてキミは諦めないの? 全部無駄になってしまうかもしれないのに」
『無駄なんかじゃない』
鎧武は立ち上がり、まっすぐシャムビシェを見つめた。
『確かに人は傷つけ合うけど、それだけじゃない。きっと分かり合うことだってできる! 俺はそれを信じて戦う』
鎧武は極の鍵を出し、カチドキロックシードの鍵穴に鍵を入れて回した。
《 ロック・オープン 極アームズ 大・大・大・大・大将軍 》
全てのロックシードのアームズが鎧武を囲んで回り、鎧武に吸収された。鎧武の甲冑は銀に変わり、背中のマントが風に揺らめいた。
「キミは強いね。ボクなんかよりずっと」
ラピスは銀の腕輪を掲げた。すると腕輪から青い光が流れ出し、光は馬の形を象った。
鎧武は肯き、その馬に跨り、手綱を叩いて馬を走らせた。コウガネに向けて一直線に。
ページ上へ戻る