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劇場版・少年少女の戦極時代

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サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!
  分かり合えると信じるから

 黒い鎧武が前に出て、両者のソニックアローを受け止めた。太刀筋はやはり荒いが、速い。
 鎧武はあっというまにバロンとマリカに斬りつけた。

 その間に、こちらにコウガネが近づいて来る。
 龍玄が止めようとしたが、コウガネはソニックブームが起きるほどの一太刀を龍玄に浴びせてから、またこちらへ歩いて来た。


「変身!」
《 カモン  ドラゴンフルーツアームズ  Bomb Voyage 》

 月花へ変身し、すぐさまコウガネにDFロッドを突き出した。だがコウガネはびくともしない。
 それどころか、一太刀の速さで二太刀を月花に叩き込んだ。

『くぅ…っ』

 倒れた月花を、マリカが抱え起こした。バロンは――一人、鎧武と戦っている。

『無闇に突っ込んじゃだめよ。相手をよく観察しながら動くの』
『やってみる…!』

 支えられながら立ち上がる。月花はマリカと並んで、コウガネと向き合った。

 マリカが斬りつけられれば月花が、月花が斬りつけられればマリカが、それぞれの武器による一撃を揮った。自滅戦法的だが、これ以上にコウガネに対する有効策がなかった。

『もっとよ! もっと呼吸を合わせて!』
『はい!』

 次第に月花にもマリカの間合いが分かってきた。マリカが作ってくれる隙に、月花は時にDFボムを放ち、時にDFロッドを揮った。月花が隙を作った時も、マリカは巧く攻撃を入れていた。
 付け焼刃であれ、これほど頼もしいコンビネーションはない。

(イケる、かも…!)

 そう思うと同時、視界の端を青い影が過ぎ去った。影は紘汰にぶつかって消えた。

『避けて!』

 マリカの叫びで我に返ったが、遅かった。注意を逸らした月花に、コウガネが剣を大上段から振り下ろそうとしていた。

『ぐわ、ああああ!!』

 コウガネが剣を止めてふり返った。
 月花もまた、目にした。鎧武が倒れ、彼の体から黒煙が昇華されていく光景を。

(さっきの蒼いカゲ。まさか、シャムビシェがなにか?)

 ふり返った先のラピスは、信じられないものでも見るかのように鎧武を見ている。


 オレンジアームズに戻った鎧武は、無双セイバーを杖に起き上がり、コウガネに挑んだ。

『何故だ! 何故、黄金の果実である私が、貴様ごときにィ!!』
『黄金の果実だ? ふざけんな! お前なんかただの金メッキだ!』

 コウガネが鎧武へ離れざまにディメンションソードを放ったが、鎧武は揺らがなかった。
 鎧武はカチドキロックシードをセットし、カチドキアームズに換装するや、反撃を開始した。


 カチドキ旗が鎧武の闘気を受けて、火の粉を散らす。
 二本の旗の猛攻に、コウガネも剣と盾で応じるが、今押されているのは確実にコウガネのほうだった。

 鎧武はカチドキ旗を薙いで、コウガネの立つ地面を焦熱に焼いた。そこに浮き上がったコウガネを、カチドキ旗2本で切り裂いた。

『ぐおぉ……おのれぇぇぇぇぇ!!』

 コウガネの姿が黒いイナゴの群れに分解された。イナゴの群れは鎧武に、龍玄に、バロンに、マリカに取り付き、彼らを工場から攫って去ってしまった。

『シャムビシェ。おっかけよっ』

 シャムビシェは肯いた。

 月花はバックルにセットしたドラゴンフルーツの錠前を外し、ヒマワリの錠前を出して開錠した。

《 ヒマワリアームズ  Take off 》

 ヒマワリ色の機動翼が月花を鎧った。

「ジュグロンデョ……やっぱりキミは」

 シャムビシェに手を差し出す。二人は両肩を組み合うようにして、空へ舞い上がった。鎧武たちを連れ去ったイナゴの大群を追って。




 鎧武たちが落とされたのは、採掘場だった。

 黒いイナゴが水たまりの対岸で集まり、再びゴールデンアームズのコウガネの姿となった。加えて、コウガネは騎馬も同時に生成したらしかった。
 コウガネは武将のように馬を駆り、馬上から剣で戒斗たちに斬りつける。
 ゲネシスバロンやマリカのソニックアローさえスピードが及ばず、ただ金の一斬を浴びる有様だった。

 とにかく月花は、急いで鎧武のそばに降り立ち、シャムビシェを離した。

「コウタ」

 シャムビシェがカチドキ鎧武に歩み寄る。

「どうしてキミは諦めないの? 全部無駄になってしまうかもしれないのに」
『無駄なんかじゃない』

 鎧武は立ち上がり、まっすぐシャムビシェを見つめた。

『確かに人は傷つけ合うけど、それだけじゃない。きっと分かり合うことだってできる! 俺はそれを信じて戦う』

 鎧武は極の鍵を出し、カチドキロックシードの鍵穴に鍵を入れて回した。

《 ロック・オープン  極アームズ  大・大・大・大・大将軍 》

 全てのロックシードのアームズが鎧武を囲んで回り、鎧武に吸収された。鎧武の甲冑は銀に変わり、背中のマントが風に揺らめいた。

「キミは強いね。ボクなんかよりずっと」

 ラピスは銀の腕輪を掲げた。すると腕輪から青い光が流れ出し、光は馬の形を象った。

 鎧武は肯き、その馬に跨り、手綱を叩いて馬を走らせた。コウガネに向けて一直線に。 
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