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遊戯王GX 〜プロデュエリストの歩き方〜

作者:ざびー
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エピソード26 〜制裁タッグデュエル 前編〜

 
前書き
ようやく書ける。

まずは十代&翔ペアから。相手はもちろんあの兄弟……

※【時の機械 タイムマシーン】のミスを修正しました。 

 
月一試験でもつかわれたお馴染みのデュエルフィールドの観客席は満席状態で皆一心に何が始まるのを待っている。そして、クロノス先生が舞台の中央に立つ。

「それで〜は、いまか〜ら制裁タッグデュエルを始めるノ〜ね!!」

制裁タッグデュエルの開会を高らかに宣言する。そして、その言葉にオベリスク・ブルーの生徒は惜しみない拍手を送り、逆にラー・イエロー、オシリス・レッドの生徒達はお通夜にでも参加しているかのような暗い雰囲気を醸し出していた。

「今から行う制裁デュエルは叢雲紫苑、翠、丸藤 翔、遊城 十代、計四名の罰則を決めるためのデュエルなノーね。なノーデ、それに相応しいデュエル達を呼んでいるノーね!カモーン!ナノーネ!!」

クロノスの掛け声と共に両サイドから二人の人物がバク転、宙返りと香港映画さながらのアクションを見せながら、登場してくる。

「我ら流浪の番人!」

「訳あって、貴様らと相手することになった!」

「「我らを倒さぬには、道は開けぬ!!」」

デーンとカッコよく登場して来た額に"迷"と"宮"の二文字が書かれている二人の人物。そして、彼らが放つ気迫に会場の皆、息を飲む。

「流浪って……。番人が職務放棄しちゃダメだろ」

「クビになって、再就職中?」

上から紫苑、翠の順である。二人の全く緊張感のない発言にずっこける一同。

「あ、あの二人には緊張感とかそういった物がないのかしら……」

観客席で観戦している明日香が呆れたと呟く。

「ほう、迷宮兄弟ですか。兄弟ならではの息のあったコンビネーションと優れたタクティクスでデュエルキング、武藤遊戯を苦しめた伝説のデュエリストですか。いやはや、こんなところでお目にかかれるとは。」

「迷宮兄弟には、遊城 十代と丸藤 翔ペアの相手をしてもらうノーね」

「すっげー、伝説のデュエリストとデュエルできるなんて!やったな、翔!」

「そう思うのはアニキだっけっすよ。けど、どんな相手がこようとも負けないっす!!」

十代は強敵二人を前にして、臆したりせず寧ろワクワクしている様子。翔は若干緊張を残しているものの、ヘタレてはいない。

「ん?私たちの相手は?」

「それは心配ないノーね。二人には別の相手を用意してあるノーネ!」

すると白のぴっちりとしたスーツを着込んだ男性と黒のドレスを着た女性がフィールドへと上がってくる。

「「だれだ?」」

「彼らについては私から説明しましょう。」

いつの間にか校長がフィールドへと上がって来ていた。

「黒紀 イリナさんと塞刄 真君とです。彼らは現役のプロデュエリストであり、タッグデュエルでは他のものに追随を許さないと評されるほどの実力者です。迷宮兄弟のお二人のように伝説はないですが、実力だけなら私が保証します。」

二人は紫苑方を一瞥すると、敵意ある視線をはなってくる。

なるほどな、鮫島の刺客か……。

鮫島の意図を汲み取ると紫苑は誰にも気づかれないように獰猛な笑みを浮かべる。




「まずーわ、遊城 十代と丸藤 翔ペア対迷宮兄弟のデュエルを始めるノーね!」

ウヲォォォォォと観客が一気に沸き立つ。

「デュエルを始める前に簡単〜なルール説明ーをするノーね。ライフは共有で8000。フィールド、墓地も共有で、それぞれのペアは自分のターンを迎える度にペアと入れ替わるノーね。そして、もちろん助言も駄目ナノーネ」

「なぁなぁ、早くやろーぜ!」

「ほう、我々を前にしても臆しないか。その心意気だけは褒めてやろう」

「だが、勝つのは我々」

「「迷宮兄弟だ!」」

「そんなのやってみないとわからないっす!雑魚兄弟!!」

「なんだと⁉︎」

「我らが兄弟の絆を侮辱するか?よかろう、消し炭にしてくれようぞ!」

翔の挑戦的な発言にボルテージが上昇する迷宮兄弟。

思惑通りかな?と翠は観客席でニシシと笑っていた。先日十代たちに吹き込んだのはわざと相手を挑発し、冷静なプレイングをさせなくするという戦術。まぁ、それでやられたら元も子もないのだが……。

「デュエルを始める前にルール説明をするノーね。ルールはタッグフォースルール。そして、互いの場と墓地とライフは共有。ライフにいたっては8000なノーね。それでーは、両者準備はオーケーなのーね?」

「「「「デュエル!!」」」」

十代&翔VS迷宮兄弟

「まずは僕のターン、ドロー!手札からジャイロイドを守備表示で召喚。カードを一枚伏せてエンドっす。」



LIFE8000

手札4枚

魔法・罠 伏せ一枚


【ジャイロイド】☆3 DEF1000


「私のターン、ドロー。地雷蜘蛛を攻撃表示で召喚し、カードを二枚伏せ、ターンエンドだ」

【地雷蜘蛛】☆4 ATK2200

攻撃する際にコイントスを行い、ハズレるとライフを半分失うというデメリットがあるモンスターだが、その攻撃力は2000超えと攻撃しない分にはいい壁になる。

迷宮兄

ライフ8000

手札3枚

魔法・罠伏せ二枚


【地雷蜘蛛】☆4 ATK2200



「俺のターン、ドロー!行くぜ俺は手札から【融合】を発動!手札のフェザーマンとバーストレディで融合召喚!現れよ、マイフェイバリットヒーロー!【E・HERO フレイムウィングマン】!」

【E・HERO フレイムウィングマン】☆6 ATK2100

十代得意の融合が早速行われ、召喚されたのは片腕に竜の口を模した砲口が装着されたヒーロー。

「ほう、やるではないか。」

「だが、我らが僕、地雷蜘蛛の攻撃力にはちと足らんな」

ふはははと高笑いする迷宮兄弟。だが、十代には策があるらしく、余裕の笑みを浮かべている。

「それはどうかな?手札から【エネミー・コントローラー】を発動!このカードは相手モンスターの表示形式を変更させる効果と自分のモンスター一体を生贄に捧げ、相手モンスターのコントロールを奪取する効果がある。俺は一つ目の効果を発動!地雷蜘蛛を守備表示に!!」

【地雷蜘蛛】☆4 DEF100

謎の電波が発せられ、その身を丸くする地雷蜘蛛。

「ふん、だが守備表示にしたところでダメージは通らんぞ!」

「甘いぜ!フレイムウィングマンには相手モンスターを破壊した時、その攻撃力分のダメージを与えられるぜ。やれ、フレイムウィングマン!フレイムシュート!」

砲口から火炎球が吐き出され、地雷蜘蛛を焼き、その余波が迷宮兄弟を襲う。

迷宮兄弟LP 8000→5900

「ヤッタっす、兄貴!先制ダメージを与えたっす!」

「おう!だけど、デュエルは終わっちゃいねぇ。まだ、安心できねぇぞ、翔。」

落ちこぼれのオシリス・レッドが伝説のデュエリストに先制ダメージしかも、2000もの大ダメージを与えた事により、会場にざわめきが起こる。

「俺はこれでターンエンドだ。」

「私はこのエンドフェイズ時に【奇跡の残照】を発動する。。これで破壊された【地雷蜘蛛】を特殊召喚する。」

「ウげっ!?また出てきやがった!」



十代

LP8000

手札2枚

魔法・罠一枚


【ジャイロイド】☆3 DEF1000

【E・HERO フレイムウィングマン】☆6 ATK2100


「私のターン、ドロー!兄者、モンスターを借りても?」

「あぁ、弟の為なら寧ろ本望だとも。」

なんとも白々しいやりとりをする迷宮兄弟。会話から察するにモンスターの生贄の許可なのだろう。

「手札から魔法カード【生け贄人形】を発動する。兄者の【地雷蜘蛛】を生け贄に手札からレベル7モンスターを特殊召喚する。私は【雷魔神ーサンガ】を特殊召喚!」

【雷魔神 ー サンガ】☆7 ATK2600

やや燻んだ黄色のボディから腕が伸びたモンスターが登場する。いきなりの最上級モンスターの召喚に歓声が巻き起こる。

「バトルだ!サンガでフレイムウィングマンを攻撃!」

「くっ……フレイムウィングマンが⁉︎」

十代LP 8000→7500

「兄者、済まなかった。お礼だ受け取ってくれ。手札から魔法カード【闇の指名者】を発動。【風魔神 ー ヒュウガ】を選択する。」

「もちろん私のデッキにヒュウガは入っている。ふふふ、ありがとう弟よ。」

「いやいや、当然の事をしたまでだ。私は【暴風小僧】を召喚し、カードを一枚伏せてターンエンドだ。」


迷宮兄弟

LP 5800

手札一枚

魔法・罠伏せ二枚



【雷魔神 ー サンガ】☆7 ATK2600

【暴風小僧】☆4 ATK1500


「流石だな。強力なモンスターを召喚しつつ、パートナーの手札を補充させる。なんて強力な相手なんだ。」

「あ……三沢君、居たのね」

明日香の心無い本音に三沢と呼ばれた男はがっくりと肩を落とす。

「嘘よ…………半分は……。それで、あなたの推測ではどちらが勝ちそうなの?」

「半分って…………。まぁ、今のところ、優先なのは迷宮兄弟の方だな。だが、十代達の方がライフは上回っている。まぁ、勝負は始まったばかりだからな。実際、どちらが勝つとは言えない。」

そう。と明日香は短く返答すると、中央のデュエルフィールドへと視線を戻す。


「僕のターンっす!ドロー。手札から融合を発動して、場のジャイロイドと手札のスチームロイドを融合!現れよ、【スチームジャイロイド】!!そして、【スチームジャイロイド】で【暴風小僧】に攻撃するっす!」

【スチームジャイロイド】 ☆6 ATK2200

「やらせぬわぁ!!サンガの特殊能力発動!相手モンスターの攻撃時、そのモンスターの攻撃力を0にする。リフレクト・サンダー・バリケード!」

スチームジャイロイドは電磁波の妨害を受け、暴風小僧のカウンターをくらい、破壊されてしまう。

翔LP7500→6000

「くぅ、やられちゃったすか……。僕は【エクスプレスロイド】を守備表示で召喚。そして、効果を発動。墓地からロイド二体を手札に戻す。スチームロイドとジャイロイドを手札に戻す。カードを一枚伏せてエンドっす。」

モンスターを破壊されても焦ることなく、代わりの壁を用意し、さらに手札を補充を行う。恐らくだが、ひと昔前の翔なら破壊された時点で焦ってしまい、重大なミスを犯してしまっていただろう。




LP 6000

手札三枚

魔法・罠伏せ二枚


【エクスプレスロイド】☆4 DEF1600


「ドロー。手札から魔法カード【死者蘇生】発動。墓地より【地雷蜘蛛】を特殊召喚し、さらに【生け贄人形】を発動。地雷蜘蛛を生け贄に手札から【水魔神 ー スーガ】を特殊召喚!」

「くっ……また出てきたっす!」

三魔神の内、二体が場に揃う。さらに迷宮兄弟、兄の手札には弟によって手札に加えられたモンスターがいる。

「まだだ。暴風小僧は風属性モンスター用のダブルコストモンスター……よって、私は暴風小僧を生け贄にして、【風魔神 ー ヒュウガ】を召喚する!!」

青、黄色、緑の三体の魔神のそろい踏みに会場がより一層沸き立つ。

「まだ終わりではない!場の三魔神を生贄に捧げ、出でよ!!我らが最強の僕!【ゲート・ガーディアン】!!」

【ゲート・ガーディアン】☆11 ATK3750

伝説のモンスターの登場に盛り上がりが最高潮に達する。心なしか迷宮兄弟もドヤ顔を決めている。一方、紫苑達は……

「出た!!ただの乗っただけ(ゲート・ガーディアン)!!」

「そのまま、殴った方がいいだろ……。」

「なるほど、確かに君のいうことも一理あるな」

「そんなこというのは、貴方達だけよ……」


上から翠、紫苑、三沢、明日香だ。紫苑曰く、攻撃力高いだけ。効果で破壊すればOK。らしい。まさしくその通りと納得させられてしまう明日香

「ゲート・ガーディアンでエクスプレスロイドを攻撃!!」

「その瞬間、リバースカードオープン【スーパーチャージ】!僕の場のモンスターがロイドのみの場合、攻撃された時、デッキから二枚ドローできる。」

「くっ……だが、【メテオレイン】を発動。このターン、攻撃力が相手の守備力を超えている場合、貫通ダメージを与える。喰らえ、ゲート・デストラクション!!」

翔LP6000→3350

ガーディアンから放たれた強力な一撃は容易くロイドを破壊し、翔たちのライフをごっそりと削り取る。この一撃でライフアドが逆転してしまう。


「私はカードを一枚伏せてターン、エンドだ。ふはは、貴様らはこのモンスターを倒さぬ限りこのデュエルに勝利することはできない!」

「うるさい!ハゲ兄弟!そんなモンスター、紫苑さんのナチュルたちに比べれば月とすっぽんだ!」

挑発と受け取った迷宮兄弟はやってみろと高笑いをする。だが、実際にただの脳筋モンスターよりもナチュルのがタチが悪い。

模擬戦と称して紫苑対翔&十代で変則デュエルをした時は一ターンでナチュル・エクストリオとガイアストライオを並べられ、何もできずに蹂躙されたのは翔たちにとっては記憶に新しい。
そんなわけでただ破壊耐性を持たない高攻撃力モンスターなど恐るるに足りなくなっている。


迷宮兄弟

LP5800

手札なし

魔法・罠伏せ一枚


【ゲート・ガーディアン】☆11 ATK3750


「よく言ったぜ、翔。こんな脳筋モンスターなんかさっさと倒しちまおうぜ。俺のターン、ドロー!!俺はリバースカードオープン【融合準備】。デッキの融合モンスターを選択し、そのカードに記されている素材モンスターを手札に加えられる。俺は【E・HERO ネクロイド・シャーマン】を選択し、その素材である【E・HERO ワイルドマン】を手札に加える。さらに墓地に【融合】カードがある時、手札に加えられる。

いくぜ、融合を発動して手札のネクロダークマンとワイルドマンを融合!現れよ、【E・HERO ネクロイド・シャーマン】!!さらにネクロイド・シャーマンの効果を発動だ。ゲート・ガーディアンを破壊!さらに墓地から【地雷蜘蛛】を守備表示で特殊召喚させるぜ。」

ネクロイド・シャーマンが呪文を口ずさむとゲート・ガーディアンが苦しみだし破壊される。
迷宮兄弟はあっさりとエースモンスターを破壊された事に驚くが、まだ奥の手が隠されているのか、余裕の笑みを崩さない。

「手札から【強欲な壺】を発動して、二枚ドロー。【天使の施し】を発動して、三枚ドローして、二枚捨てる。さらに【死者蘇生】を発動して俺の墓地からフレイムウィングマンを特殊召喚!甦れ、俺のフェイバリット!

バトルだ、フレイムウィングマンで地雷蜘蛛へと攻撃!喰らえ、フレイムシュート!!」

またしても、フレイムウィングマンの火炎球によって焼かれる地雷蜘蛛……哀れ。

「ぬぐぅ……またしても、小癪な小童が!」

迷宮兄弟LP5800→3600

「へへん、どうだ。さらにネクロイドシャーマンでダイレクトアタックだ!」

「させぬ!リバースカードオープン【リビングデッドの呼び声】!!墓地より甦れ!ゲート・ガーディアン!!」

破壊された直後に復活を果たすゲート・ガーディアン。十代の手札にはゲート・ガーディアンをどうにかできるカードはなく、攻撃をストップさせられてしまう。

「くっ、またかよ……。俺はターンエンドだ。」

大ダメージを与えられなかった事に悔しがる十代。


十代

LP3350

手札三枚

魔法・罠伏せなし



【E・HERO ネクロイド・シャーマン】☆6 ATK1900

【E・HERO フレイムウィングマン」☆6 ATK2100



「私のターン、ドロー!手札より【命削りの宝札】を発動する。効果により、デッキから五枚ドローする。」

「こ、ここに来て大量ドロー⁉︎そんなのありすっか⁉︎」

手札ゼロから一気に五枚まで増やす迷宮弟に抗議の声を漏らす翔。場にはゲート・ガーディアンがおり、さらに大量に手札を加えられた事により一気に不利となる。

「ふはは、残念だったな!私は永続魔法【強者の苦痛】を発動する。これにより、相手モンスターは自身のレベル×100ポイント攻撃力が減少する。」

【E・HERO ネクロイド・シャーマン】☆6ATK1900→1300

【E・HERO フレイムウィングマン】☆6 ATK2100→1500

十代のモンスターはそれぞれレベル6のため、その100倍、600ポイントダウンさせられる。融合モンスターは総じてレベルが高めな分、こういったカードはよく効いてしまう。

「さらに装備魔法【デーモンの斧】を装備させ、ゲート・ガーディアンでネクロイド・シャーマンを攻撃!くらえ、ゲート・デストラクション!!」

禍々しい大斧を手にし、ネクロイド・シャーマンへと斬りかかる。だが、斧が当たる直前、黒い影に阻まれる。

「なにっ⁉︎」

「俺は墓地の【ネクロ・ガードナー】の効果でゲート・ガーディアンの攻撃を無効にしたのさ。」

十代は施しの時に捨てていたネクロ・ガードナーのおかげで致死の一撃を防ぎ、得意そうな顔をする。

「小癪な。私はカードを二枚伏せてターン、エンドだ」


迷宮兄弟

LP3600

手札一枚

魔法・罠伏せ二枚

【リビング・デッドの呼び声】

【デーモンの斧】



【ゲート・ガーディアン】☆11 ATK4750



迷宮兄弟の場に存在するゲート・ガーディアンが禍々しい斧を手に持ち、翔を見下ろし、威圧する。だが、そんな脅しに屈せず逆に睨み返す。

現在、相手の場には全体弱体化の【強者の苦痛】と単体を大幅に強化させる【デーモンの斧】、脳筋モンスターこて【ゲート・ガーディアン】が存在し、圧倒的な火力を算出している。このターンにこれらのカードを除去できなければ返しのターンで大ダメージもしくは決着がつく。そんな圧倒的に不利な局面なのだが翔は臆せずにデッキからドローする。


「(お兄さんや紫苑さんならこんな不利な状況でも多分、簡単に覆しちゃうっす…………。僕もあの人たちに追いついて、立派なデュエリストになるために……。)

やってやるっす!兄貴のモンスターを借りるっす!」

「おう、あんな脳筋軽く捻ってやれ!」

勝つと決心した翔をパートナーの十代が後押しする

「僕はネクロイド・シャーマンとフレイムウィングマンを生贄に捧げ…………来い!!僕の秘密兵器【アーマロイドガイデンゴー】!!!」

二体を生贄に巨大ロボが戦隊物よろしく登場する。

「フハハ、二体を生贄にモンスターを召喚したと思いきや、我らのゲート・ガーディアンな遠く及ばんわ!!」

「そんな事ない!アーマロイドガイデンゴーの効果を発動するっす!」

翔が効果の発動を宣言すると、一瞬の静寂の後、会場全体に嘲笑の声が響きわたる。

「しょ、翔くん……ガイデンゴーの効果は、ロイドモンスターに生贄にした時だけなのに……」

明日香はここまでミスどころか善戦してきた翔に対し、半ば呆れてしまう。同じように観戦している生徒ー主にオベリスク・ブルー生から野次が飛ぶ。

「くはは!あのバカ(レッド)、効果間違えてやんのー!くはは!」

「ま、所詮、クズはクズ。いくら伝説に名を連ねる相手に善戦したところで結局は変わらない。」

そんな野次の飛ぶ中、紫苑はため息を吐き、翠は口を手で抑え、笑いを堪えている。

「ふん、拍子抜けもいいところだ。小僧、よくカードテキストを覚えておくんだな。そのモンスターはロイドモンスターを生贄に捧げなければ効果は発動できぬ。」

迷宮兄弟も笑いを通り越し、逆に哀れむような表情をする。一方、翔達はニヤリと笑みを浮かべる。

「テキストをよく読むのはお前達だ!僕はキッチリとロイドを生贄に捧げたっす!」

「「「「「は???」」」」」

翔が声高らかに宣言をする。

「ま、まさか…………ネク"ロイド"・シャーマン……?」

その言葉の意味を皆、理解すると今度はどよめきが起こる。

「「ぬわぁにぃぃぃ!!??」」

迷宮兄弟も流石に驚きを隠せずに、声をあげてしまう。

「ぷ、プププ……あっはははははははは!!!」

そんな中で翠だけが楽しそうに笑い声をあげる。

「あははは。まさか本当にやるとは……。私もびっくりしたよ。あはは、みんなナイスリアクション過ぎ。」

「むしろ、あんなの本当にやるとは……。」

お腹を抱えて笑う翠となぜか呆れている紫苑。実は前日の相談の時に挑発の件とは、別にみんなを一泡吹かせてやろうということで翠が翔たちに吹き込んでいたのだ。

一本取られた迷宮兄弟は苦々しい表情をし、相手を睨みつける。

「蹴散らせ、アーマロイド!!|グラビティティ・レイズ!!」

フィールドの中央に空間を歪ませるほどの重力場が発生し、互いの場のカードを飲み込んでいく。迷宮兄弟が伏せていた二枚のカードは破壊カードである【聖なるバリアー ミラーフォース】、そして、カウンター罠である【アヌビスの裁き】であった。サイクロンや大嵐といったカードを発動させていたら、アヌビスの裁きの効果でモンスターを破壊され、大ダメージを受けていた。

「くっ、バックカードを破壊されてしまったが、きさまのモンスターでは、ゲート・ガーディアンは倒せぬ!」

負け惜しみなのか、破壊されない自信があるのか、いまだ余裕の態度を見せる迷宮兄弟。だが、完全にフラグである。

「僕は装備魔法【巨大化】をアーマロイドガイデンゴーに装備させるっす!このカードは自分のライフが相手よりも下の場合、装備モンスターの攻撃力を二倍にするっす!」

【アーマロイドガイデンゴー】☆8 ATK2700→5400

ずんずんと大きさを増し、大きさはゲート・ガーディアンを越し、天井につきそうである。

「よっしゃー!これで、ゲート・ガーディアンの攻撃力を超えたぜ!」

「バトルだ!【アーマロイドガイデンゴー】でゲート・ガーディアンを攻撃!イレクトリシティクラッシュ!!」

必殺の右ストレートがゲート・ガーディアンを捉え、粉砕する。会場はゲート・ガーディアンが一度目は効果、そして、二度目は戦闘によって……またしても破壊された事にどよめきが起こる。

迷宮兄弟LP3600→1950

「ぐ、ぐぬぅぅぅぅ……。だが、我らのライフが下回ったことにより、巨大化のデメリットにより、攻撃力を半分になってもらう。」

【アーマロイドガイデンゴー】☆8 ATK2700→1350

僕はカードを二枚伏せてターンエンドっす。」

迷宮兄弟の二人は悔しげな表情を浮かべ、逆に翔は勝ち誇ったような笑みを浮かべる。




LP3350

手札二枚

魔法・罠伏せ二枚

【巨大化】



【アーマロイドガイデンゴー】☆8 ATK1350



「私のターン、ドロー!」

迷宮兄弟へとターンが回り、今引いたばかりのカードを確認すると、ニヤリと口角をあげて、また余裕そうな表情をつくる。

「小僧、二度もゲート・ガーディアンを破壊したことは褒めてやろう。だが、破壊するのに気を使い過ぎ、勝ちを急いだな!!フハハ!」

「ど、どうゆうことすか!?」

「ほう……兄者。アレを使うつもりですか?」

「あぁ、弟よ……。些か勿体無い気がするが、彼奴らもこいつにトドメを刺されるなら本望だろう。」

フハハと高笑いする迷宮兄弟に少し動揺してしまう翔。アーマロイドガイデンゴーは弱体化してしまっているものの、伏せカードは有り、さらに自分たちのライフは相手の二倍ほど。そうそう覆されるような局面でもない。

「ちょっと、翔たち……相手を本気にさせ過ぎたか?」

予想されるのが、切り札(エース)を超えたジョーカーの存在だ。

「見せてやろう!我らの本当のエースモンスターを手札から魔法カード【ダーク・エレメント】を発動!!このカードは墓地にゲート・ガーディアンが存在するときにのみ発動が可能。ライフを半分支払い、デッキから【闇の守護神 ー ダーク・ガーディアン】を特殊召喚する!!出でよ、ダーク・ガーディアン!!」

迷宮兄弟LP3600→1800

【闇の守護神 ー ダーク・ガーディアン】☆11 ATK3800

禍々しいオーラを放ち、その手には身の丈ほどの大鎌を持ったモンスターが現れる。その攻撃力は僅かにだが、ゲート・ガーディアンをも超える。

「やれ、ダーク・ガーディアン!アーマロイドガイデンゴーに攻撃しろ!!」

「や、やらせない!トラップ発動【聖なるバリア ミラーフォース】!」

「ダーク・ガーディアンは戦闘及び魔法・罠では破壊されない!よって、戦闘は続行だ!」

展開された光の障壁をもろともせず、大鎌を振り下ろす。

「うわぁぁぁぁぁぁ!!??」

翔LP3350→900

「翔!?大丈夫か!!」

「イテテ……大丈夫っす、アニキ。」

派手に吹き飛ばされ、腰を打ったのか痛そうに抑えている。そして、ついに翔達のライフは1000をきってしまい、レッドゾーンへと突入する。

「私はこれでターンエンドだ。さっきまでの虚勢はどうした?先ほどと同じように倒してみるがいい。できればの話だがな!」

それだけ言うとまたフハハと高笑いをする。十代も今現在手札にダーク・ガーディアンを倒せるカードがないのか悔しそうな表情をする。


迷宮兄弟

LP900

手札なし

魔法・罠なし



【闇の守護神 ー ダーク・ガーディアン】☆11 ATK3800

「俺のターン、ドロー!よし!俺は手札から魔法カード【融合】を発動して、手札のバースト・レディとクレイマンを融合!来い、【E・HERO ランパートガンナー】!」

【E・HERO ランパードガンナー】☆6 DEF2500

「このモンスターは守備表示の時、攻撃力を半分にして、ダイレクトアタックができるぜ。やれ、ランパートガンナー!ランパート・ショット!」

全弾発射が行われ、放たれたミサイルが迷宮兄弟の二人を襲う。

「ぐぅぅぅ、小癪な!だが、次のターンで終わりだ!」

迷宮兄弟LP1800→800

「上手い!これなら、どんな高い攻撃力を持つモンスターが居てもダメージを与えられるわ!」

「確かに。それに守備表示ならば、戦闘破壊されてもダメージは通らない。」

明日香と三沢が十代のプレイングを褒める一方で、紫苑はここに来て、融合素材に融合カードってどんな引きだよ……とつぶやいていた。


「へへ、どんなもんだい!カードを一枚伏せて、これでターンエンドだ」


十代

LP900

手札なし

魔法・罠伏せ二枚



【E・HERO ランパート・ガンナー】☆6 DEF2500


「私のターン、ドロー!手札から装備魔法【メテオストライク】をダーク・ガーディアンに装備。」

「っ⁉︎拙いぞ!あのカードはモンスターに貫通効果を与える装備カード。十代達がいくら壁モンスターを並べても、意味がない!?」

三沢が現在の状況を実況し、焦った表情を浮かべる。だが、十代はこんなピンチな状況でも、むしろ楽しんでいるかのように笑っている。

「ふん、笑っていられるのももう終わりだ!やれ、ダーク・ガーディアン!ランパート・ガンナーへ攻撃!」

攻撃の指示を受け、ダーク・ガーディアンは大鎌を大きく横薙ぎに振るう。大鎌から放たれた斬撃がランパート・ガンナーを容易く切り裂き、地面へと着弾するともうもうと土煙を立ち昇らせる。ゲート・ガーディアンをも超えるダーク・ガーディアンの一撃を喰らい、迷宮兄弟の二人は勝ち誇ったように高笑いをあげ、観戦をしていた生徒たちは十代の負けだと思った

「まだデュエルは終わってねぇぜ!!」

その時、突如土煙の中から声が響く。煙が晴れ、そこには、よろよろと立ち上がる十代とそれを支える翔。そして、デュエルが終了すると共に消えるはずのソリッドビジョンも顕在である。

「なん……だと……!?なぜ立っている!デュエルは決したはずでは……」

「俺はダメージを受ける直前、翔が伏せていた【体力増強剤スーパーZ】を発動させていたのさ!!」

十代LP900→2900→1600


翔が【聖なるバリア ミラーフォース】とは別にもう一枚伏せていたカードが結果的に致死の一撃となる攻撃を耐える要因となったのだ。

「くっ……だが、次のターンで終わらせてくれよう!これでターンエンドだ。」

「僕のターン、ドロー!!このターンで終わりっす!手札から【天使の施し】を発動!三枚ドローして、二枚捨てる。そして、手札から魔法カード【超機合体】発動!!このカードは墓地のロイドモンスターを除外して、ロイドと名のつくモンスターを融合召喚できるっす。僕は墓地の【スチームジャイロイド】、【エクスプレスロイド】、【アーマロイドガイデンゴー】、【スチームロイド】、【ジャイロイド】の五体を除外して融合召喚!!戦神無双!【極戦機王 ヴァルバロイド】!!」

【極戦機王 ヴァルバロイド】☆12 ATK4000

召喚されたのは、紫苑が翔へと与えたカード。そのレベルは遊戯王にて最高位のレベル12。そして、その攻撃力は翔の兄、亮が使役する【サイバー・エンド・ドラゴン】と並ぶ。

「な、なん……だと……!?攻撃力4000!?」

「バトルだ!ヴァルバロイドでダーク・ガーディアンに攻撃!!」

ヴァルバロイドの強烈な一撃がダーク・ガーディアンを捉える。

迷宮兄弟LP800→600

「ぬぐぉぉぉぉぉぉぉぉ!!??くっ、やるな……だが、ダーク・ガーディアンは戦闘では破壊されぬ!」

「甘いっす!ヴァルバロイドは戦闘を行った相手モンスターの効果を無効にする!これで、ダーク・ガーディアンの戦闘耐性はなくなったっす!そして、ヴァルバロイドは1ターンに二度攻撃できる!やれ、ヴァルバロイド!」

迷宮兄弟LP600→400

「ぬぐぅぅぅぅ……。貴様、よくも!」

「そして、ヴァルバロイドは相手モンスターを破壊した時、1000ポイントのダメージを与える。これで終わりっす!」

迷宮兄弟400→ー600

デュエル終了のブザーが鳴ると拍手が鳴り響き、歓声が雨あられのように降り注ぐ。

「ガッチャッ!っす。勝ったすよ、アニキ〜!」

「あ、コラ!?翔!俺の台詞だぞ、ソレ!!」

「へへん、今回活躍したのは僕っすから、言う権利はあるんす〜」

歓声が鳴り止まぬ内にじゃれあい出す二人。その姿を見て、紫苑ははぁと肩を竦める。

「たっく、締まらんな、あいつらは……。」

「まぁ、いいんじゃない、無事勝てたしね〜。次は私達だし、張り切って行こうか!」


 
 

 
後書き
12000字越えはやり過ぎた……。長らくお待たせしました。せっかくなので次回予告的な……?

◆◇◆

翔と十代の勝利で決した制裁タッグデュエル一回戦目。そして、興奮冷めやらぬ内に二戦目がおこなわれる。相手は紫苑をふと泡吹かせる為に差し向けられた鮫島の刺客。

真「オーバーレイ!エクシーズ召喚!現れよ【*********】!」

黒機「墓地融合召喚!深淵の淵より出でよ!【*********】!!」

エクシーズ召喚と墓地からの融合を操る二人組。いつものサイバー流とは一味違う二人に苦戦を強いられる?紫苑と翠。そんな二人は勝利を勝つ事ができるのか!!

翠「勝利の方程式は既に整っている!巻きおこせ、革命の風!発動【***】!!」


《制裁タッグデュエル後編 VSサイバー》お楽しみに!ではでは(^o^)/
 
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