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鎧虫戦記-バグレイダース-

作者:
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第14話 中国はありとあらゆるものが雑というのは偏見だ

 
前書き
おひさしぶりです蛹です。
投稿がメチャクチャ遅くなりました。本当にすいません。
最近、本当に忙しくて‥‥‥‥‥‥‥‥え?
オリジナルストーリーズ書いてたじゃんって?

‥‥‥‥すいません。本当は話がなかなか思いつかなかっただけです。
   (忙しかったというのも半分本当)

気を取り直して、それでは第14話 始まります!!
 

 
アスラは身体を起こして女の人に訊いた。

「あの、ところで名前はなんていうんですか?」

女の人は答えた。

「雨《ユー》と言います」
「ユー‥‥‥‥‥‥ねぇ」

中国人なのにyou?とアスラは思ったが、そんなことはあり得ないだろう。

「どうやって書くんですか?」

雨は手の平に指で書いてみせた。

「‥‥‥‥‥‥ふーん」

いまいち理解できてないようなので雨は紙とペンを取り出して書いてみせた。

「この字は雨、そっちの言葉でrainを意味します」

つまり、彼女はこっち読みでレインちゃんとなる。

「よろしく、雨ちゃん」
「こちらこそ、よろしくお願いします」

とても礼儀の正しい人のようだ。こちらに深々と礼をしている。

「‥‥‥‥‥‥あ」

アスラは自らの身にあったとんでもないことを思い出した。

「えっと‥‥‥その‥‥‥‥‥」

もにょもにょと何か話しているアスラに雨は訊いた。

「どうしたんですか?質問なら受け付けますけど」

オレは意を決して質問した。

「オレさっき君と当たったんだろうけどさ‥‥‥‥‥‥」

訊きにくいことなので、一呼吸置いた。

「どこに当たったの?」

それを聞いた雨は少し頬を赤く染めた。

「わ‥‥‥‥‥‥」

彼女は目線をそらしてから胸に手を当てて言った。

「私の‥‥‥‥お胸に‥‥‥‥‥‥‥‥」

アスラは顔が真っ赤になった。
目は焦点が合っておらず、口から言葉にならない言葉が漏れていた。

「すいませんでしたァァァァァァーーーーーーーーーッ!!!」

アスラの日本人の遺伝子に刻まれし伝説の謝罪法、DOGEZAが炸裂した。
雨は慌ててアスラに言った。

「ベ‥‥‥‥別に怒ってませんから」
「いや、でもオレ、命の恩人に対して失礼なことを」
「大丈夫ですよ、私はむしろあなたがケガしてなければ」
「本当にすいませんでしたァァァァーーーーーーッ!!!」

アスラの見事なDOGEZAは微動だにしていない。
あまりにも騒がしかったので、マリーが目を覚ました。

「う~~ん‥‥‥ムニャ‥‥‥‥アスラ?」

身体を起こし、辺りを見回すとそこには
DOGEZAを維持したアスラと知らない女の人がいた。

「何してるの?」

アスラはそのまま動かなくなった。

「アスラさん、大丈夫ですか?アスラさん!」

雨はアスラの肩を揺さぶった。

「気絶してる‥‥‥‥‥‥」

マリーは雨に歩み寄って言った。

「最近、アスラの調子が良くないの。しかも、さっき体力を
 ほとんど使っちゃったから」

雨はアスラを背負った。

「とりあえず、ベットに運びましょう」

立ち上がると、アスラをまるで子供の用に軽々と運んで行った。



    **********



「これでよし‥‥っと」

雨はアスラに毛布を優しくかけてあげた。

「無理しちゃいけませんよ」

と言い、頬に手を添えている。

「世話焼きさんなんだね」

マリーは雨に言った。

「だって、会ったばっかりの人にここまでしないから」

雨は顔をマリーの方に向けて答えた。

「この村には子供が沢山いて、その世話をよく任さるんです。
 でも、こんなに大きな子供の世話は初めてですけどね、ふふふ」

雨は優しく微笑んだ。

「あっ、そういえば名前訊いてなかったね。お名前は?」

マリーの思い出したかのような問いに雨は答えた。

「雨です。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね、雨ちゃん」

マリーはあまり名前について気にしないタイプのようだ。

「そういえば必死に謝ってたのって何だったの?」

マリーは軽い気持ちで訊いたが、雨にとっては言いにくいものだった。

「あの‥‥‥えっと‥‥‥‥わ‥‥‥私の‥‥‥お胸に‥‥‥‥‥‥」
「アスラが当たっちゃったの?」
「は‥‥‥‥はい」

雨は頬を少し赤く染めた。

「アスラってそういうのに弱くて、す~ぐ慌てちゃうんだ」

マリーは笑顔で言った。

「でも、こんなにお胸がおっきな人に
 当たっちゃったら誰でも慌てちゃうよねぇ」

雨の顔が更に赤くなった。

「そ、そんなに嫌だったでしょうか?」

マリーは首を振った。

「むしろ、うれしかったと思うよ? でも、アスラは自分より相手のことを考える人だから
 雨ちゃんが嫌じゃなかったかの方が心配だったんじゃないかな」

雨はそれを聞いて、少し落ち着いた。
そして、アスラの顔を見た。

「お優しい人なんですね。さっきも私に何度も謝ってくれましたから」

雨は深々とDOGEZAをしているアスラの姿を思い出した。

「あれって何なの?」
「ちょっと私にも分かりませんが、アスラさん独特の謝り方なのでしょう」

違います。あれは周りの人に「これくらい謝ってんだから許してあげろよ」と
思わせるための手段です。 まぁ、誠心誠意の謝罪でもありますが。

「蛹さん詳しいね」

そりゃあ、そっちにはない文化(?)ですからね。

『誰と話しているんだろう‥‥‥?』


「‥‥‥‥ん?‥‥‥ここは‥‥‥‥」

迅が目を覚ましたようだ。

「お?見たことのある顔が見えるけど‥‥‥」
「久しぶりですね、迅さん」

迅は少し考えて、どうにか思い出したようだ。

「あ!雨ちゃんか!久しぶりに見たなぁ~~」

迅は雨の身体を少し見回した。

「見ないうちに大きくなってまぁ‥‥‥‥というか なりすぎだな」
「うぅ‥‥‥‥結構 気にしてるんですよ」

マリーは迅に訊いた。

「迅さんは雨ちゃんを知ってるの?」

迅は大きくうなずいた。

「旅してる時にここに泊まったことがあるからな」

そう言いつつ、迅はゆっくりと立ち上がった。

「そういえば、ここでどのくらい寝てたんだ?」

辺りを見回したが、時計は見当たらない。

「えーっと‥‥‥大体4時間ぐらいですね」
「うぉう、4時間!? その割に全然寝た気がしないな‥‥‥‥おとと」

迅は少し倒れそうになった。
雨はとっさに立ち上がり、迅を支えた。

「ありがと‥‥‥‥というかホントにデカいな」

この中で一番背の高い迅よりも雨は大きかった。

「あんまり大きい大きい言わないでください」

少し怒っているようだ。
彼女は丁寧に迅をベットに座らせた。

「疲れているんなら無理に起きなくていいんですよ」

やっぱり彼女は世話焼きのようだ。

「そんじゃ、もう少し休ませてもらいますかなっと」

迅はベットに横になった。 すると、すぐに寝息をたて始めた。

「もう迅さんったら、子供みたい」

雨は優しく毛布をかけてあげた。しかし、あまり表情が浮かない。
彼女は小声でつぶやいた。

「また人間体のままで"超技術"を使ったんですか?あれを使わざるを得ないほど
 追い込まれていたにしても、変身してから使わないと体力をかなり使うって
 自分で言ってたじゃありませんか‥‥‥‥まさか‥‥‥‥私たちのせいで―――――」
「雨ちゃん」
「!!」

雨はとっさに我に返った。そして返事をした。

「何ですか?マリーさん」

マリーは少し困ったような顔をして訊いた。

「何か怖い顔してたから大丈夫かなって」

雨は微笑みながら答えた。

「迅さんも疲れているようだから心配しちゃったんです」
「な~んだそっか。良かった。みんなのお世話して
 疲れてるのかな~~って思って」
「フフフ 大丈夫ですよ。さぁ、マリーさんもまだ休んでいてください」

マリーは自分が寝ていたベットに目をやったが、すぐに顔を戻した。

「私、アスラが心配だから見てることにする」
「そうですか。アスラさんもこんな優しい人が近くにいてくれて幸せですね」

それを聞いたマリーは少し照れた。

「では、私は隣の子供たちの世話に戻りますね」

彼女は笑顔で部屋を後にした。

「‥‥‥‥‥アスラ」

マリーはアスラのベットに座った。
アスラは少し苦しそうな顔で眠っている。

「お熱は‥‥‥‥少しあるのかな」

マリーはアスラの額に手をやり、つぶやいた。

「早く元気になりますように♪」

マリーはアスラの頭をゆっくりと円を描くようになでた。
昔から風邪をひいたときにクレアがしてくれたおまじないである。

「‥‥‥‥‥‥‥」

心なしか苦しそうだったアスラの表情が少し落ち着いた。

「‥‥‥‥ねぇ、アスラ」

マリーは完全に熟睡しているアスラに訊いた。

「迅さんが今まで戦いで変身してるところって見たことないけど
 それってもしかして‥‥‥‥私たちのせいなのかな?」

アスラからは返事がなかった。

「ごめんねアスラ、変なこと訊いちゃって」

マリーはもう一度円を描くように頭をなでた。

「早く元気になりますように‥‥‥‥」 
 

 
後書き
雨さん。いい人ですね。 こんな人が現実にいるでしょうか?
ましてや、中国にいるでしょうか?(それはヒドイ)

迅が変身できない理由とは何なのか?
二人が言う「私たちのせい」とは?
謎が増えゆく中国での物語。 フラグ作りと回収が大変です。

次回 第15話 最近の話の黒幕って中国が多いというのは偏見ではない お楽しみに! 
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