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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二十一章 幕間劇
  祝言後の俺達×光璃との初夜

光璃との会談・・・・評定の中で祝言を挙げて終えた俺達が戻ってきた部屋は使っていた部屋だ。もちろんゼットン強襲のときは詩乃たち以外の者たちは俺の事を敵だと認識していたようだけど、本来の姿と今の姿はとてもじゃないがかけ離れている。今の姿は人間のときの姿で、大天使化はまさに神の姿となる。全てが金色の衣服に髪に翼であるが、瞳の色だけは違うけどな。

「はー。あの姿は少し疲れる。それに背中から思いっきりぶつかったのだから」

「お疲れ様です、一真様。まあですがよかったじゃないですか、背中も無傷ではあったのですから。それにあの姿を見せておいて正解だったと」

「まあそうだが。まさかあの場で祝言が出るとはな。置いてある物で何となく分かっていたが」

あの姿を早めに見せた方が武田家の武士にとっても良い事だとは思ったが、敵と判断されて斬られそうになったけど。まあ蘇らせてあげたからいいとしよう。

「最速記録更新ですか?」

綾那たちも緊張はしていたようだ。適当に横になってごろごろしているが。

「そうですね・・・・。今のところは、梅さんが最速でしたか?一真様」

「ふむ。そうだったかな?」

「なるほど。梅さんですか。確かにあの梅さんならすぐにハニーと呼びそうですね」

「いえ。最初は梅さん、一真様の事を蛇蝎の如く忌み嫌っていたのですよ?」

「・・・・えっ?」

「ちょっと想像がつかないですけど・・・・」

「ん?綾那はあの時の梅、見ていなかったかな?」

「んー。よく覚えてないのです。観音寺城だったから、綾那もいたと思うのですが」

あの時は綾那は葵のところにいたからな。それにスマホでの過去のデータを見ると、巡回中に顔合わせをしたくらいだから覚えてないか。まあこの時代の人は書で記録させるが、そういうのは人の記憶が頼りだ。

「私が一真隊に合流したときは、もうハニーでしたよね?それが・・・・嫌ってらしたんですか?梅さんが?」

現在の梅からは想像も付かないほどだもんな。雫が俺達の仲間になってくれたのは、京に着いてからだったし。

「ええ。久遠様の命で嫌々一真隊に加わった晩に鬼退治に出掛けて、帰ってきたらお姫様抱っこをしてハニーですからね。それも金色のお姿で。正直、何が起きたのかは何となく分かってはいましたから」

「訳が分かんないですよ」

「・・・・まあでも、梅さんですし」

「そうですね・・・・。梅さんですし」

それで納得されていいのだろうか。梅よ。

「でもまあ、この世界に降り立って単純に夫になれってだけなら、久遠が一番早かったかもな~」

「久遠様が?」

「それはそれで意外ですね・・・・」

「最初は織田家に置いてやるから旦那のフリをしろとか言われたが、それは断った。何せ俺には妻がいるからな。そういうの想像はあまり付かないだろうけど」

俺が起きたあとの結菜の反応もよかったからな。俺の翼を見て驚いていたし。それに美濃を征服するまでは何かと敬語だったな。

「一真様にはすでに妻がいるです。だから恋人で妾なわけですね。何度も結婚しているからか余裕です」

「なんかそれいい意味で誤解のある言い方のような気がするが、まあ間違ってはいないな。正室、側室は埋まっているからな」

あとはこいつらを拠点に連れて行けば、愛妾から側室へランクアップして妻として迎えることが出来る。合同結婚式を開いてからの結婚指輪をはめる。俺のはめている指輪は、皆を代表して奏との結婚指輪だけどな。

「おーい。入るでやがりますよー」

「ああ。どうぞ」

そう言って入ってきたのは、夕霧だけかと思いきや、もう一人。

「失礼します」

その子は影武者を務めていた薫だった。一瞬光璃かと思うが、髪の色に声音に気が光璃と違うと一瞬で悟ったからだ。

「よう。薫」

俺は起き上がってからの座り直していた。一真隊の身内ならともかく、客を迎える姿勢ではないくらい分かるからな。

「えへへ、よく分かったね。お兄ちゃん」

光璃とそっくりだけど、先ほど言った通りどこか違うからな。

「で、どうした。こんな夜遅くに・・・・」

「ご飯の用意したんだけど、どうかなと思って」

「そういえば、躑躅ヶ崎館に来てから何も食べていなかったな」

俺は空にいたゼットンを倒してから館の真上での待機任務をしていたし、他の皆も何も食べていないはず。

「綾那、お腹が空いたのです!歌夜は?」

「それは・・・・私も。一真様は?」

「俺もだ。鬼退治をしたあとの空中戦に、躑躅ヶ崎館真上での待機任務、あとはお前らの知っている通り化け物強襲のための排除。考えたら何も食っていなかったな」

「ふふっ。良かった!じゃ、すぐに支度してくるね!」

「ありがとうですよ!」

敷きっぱなしの布団を片付けた。さすがにまずいからな。

「それにしても気が利く子だ。さすが光璃と夕霧の妹だな」

「そうでやがりますよ」

まあ夕霧の口調さえ直せばかわいい子なんだけどな。それがもったいない。けど、気遣いとかは上手い。越後から甲斐まで無事に来られたのもその気遣いなのだろうな。無論躑躅ヶ崎館上空には船を待機させている。今はきっと寝ているか、食事をしているからだろう。俺も戻っているが、今回はここで食おうかね。

「それで、夕霧様もご一緒なのはどういう?」

「いくら兄上とはいえ、夕霧の可愛い妹を一人で来させるなんて、姉としては心配でやがりますよ」

「そういうことですか。まあそれは心配ですが、ご安心を。一真様は無自覚な人ではございませんから」

「それはそうですね。妻がいなければ、納得はしますが」

そりゃそうだろうよ。俺は無自覚でもないし、誑しでもないし。

「それに正妻もいるんだから、誑し込んだ覚えはないぞ」

「まあそうですね。私たちが惚れたものが多いですから」

「そういうことにしやがるですよ。食事と湯を済ませやがったら、姉上が来やがれだそうですよ。兄上」

「ああ。分かったが、食事はいいとして湯はいい。湯は船で入るんで」

「湯は船?でやがりますか。そういえば船とはいったい?」

「一真様曰く俺達の母艦だそうです。空に浮かぶ前線基地だと言っていましたし」

空に浮かぶ前線基地ってのまだ覚えていたのか。まあそういうと納得はするけど、夕霧は何の事なのか分かっていないようだ。それに湯の後の事ぐらいは既に承知済みだ。祝言上げたあとは初夜という意味なんだろうとな。本来の主人公だったら無自覚で誑し込んでいる奴で、湯のあとのことも分かっていない鈍感野郎だったな。

「お待たせ!ご飯持ってきたよ。・・・・なんか楽しい話でもしてたの?」

「まあそういうことだ。とりあえずご飯食おうか、諸君」

と言ってからのご飯を食ったけど。やはりたまにはステーキとか食いたいよな。まあ愚痴を言ってもしょうがないので、船に戻ってから風呂に入った。今回は男風呂の方だけど。まあ気分的にな。そして風呂に入ってから、地上に戻った。歯磨きも完了している。で、今は夕霧に教えられた通りに屋敷の中を進んでいく。一応スマホを見ながら歩いているけど、やがて到着したのは明かりの灯った部屋が見えてきた。

「にしても、会ってその場で恋人か・・・・・」

久遠のときもああいだったし、一葉や美空との出会いも突然ではあった気がする。美空のときは神の姿での初見だったし。今回が初めてのケースかもしれんな。まあ神界でもすぐにシましょうというお誘いも受けたこともあったな。で、部屋の前で声をかけようとしたら。

「・・・・一真?」

先に声がかかったのは、部屋内部からだった。

「ああ俺だ。入っていいか?光璃」

「平気」

「では失礼する」

招き入れたこの部屋にいるのは、光璃一人だけ。俺が来るのを待っていたのか、ちょこんと座った光璃の向かいに座布団が敷いてあった。

「いらっしゃい」

「ああ。座ってもいいかな?」

「大丈夫」

光璃に勧められるがままに座布団に腰を下ろす。

「・・・・・・」

それきり、光璃は何も言おうとしない。ただじっと、俺を見つめてくるだけ。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

その瞳は、あの上段の間にいるときと同じように、澄み切った大きな湖のように静か。まあ俺は画面越しで見ていたけど、間近で見ると改めてそう思えた。全てを見通し、その内に全てを取り込んでしまうかのような感覚だが、残念ながら俺らの事を見通してはいなさそうに思えた。

「・・・・・一真?」

「ん?今夜はあれ、なんだろ」

「初夜」

「そうだな。その前に光璃には感謝を言う事がある」

「感謝?」

「ああ。感謝だ。俺が空から降ってきたあとに、俺は全身装甲の鎧に纏ったあとにここでいうなら化け物か。俺たちはあれの事をゼットンと呼ぶが屠ったあとに、俺は神の姿になった。そのあと四天王たちが光璃の隣の席に座らせないようにしただろ。夕霧の一言でもあったが、なぜ俺だと分かった?」

「・・・・声と顔で分かった。こちらで掴んで姿は違えど声は同じだったから。それに鎧を纏う前の声と一緒だったから」

「なるほどな。だから俺だと分かった訳か」

「・・・・うん。あと今夜は初夜だけど、一真は望む?」

「そりゃ望むだろうな。俺の恋人となった今夜はそうなるな。それに俺の妻たちも了承済みだからな」

まあそうなんだけど。拠点に戻ったら搾られるけど。まあだからこそ、そういうのは承知済みなんだよな。あとは心の準備もそうだけど、こちらが掴んでいる情報もあるし武田でも知らない情報は俺という存在と部隊と船。俺は人間でもあり神でもある存在。部隊は現代兵器を使用したり、対ドウター戦での部隊。船はこちらの外史に行くための乗り物であり、MSやISの整備をするもんだ。

「一真の妻の事は知らないけど、信長とは・・・・田楽狭間の後にすぐに恋人になった」

「・・・・よく知っているな。情報は命だもんな。だがその情報は少し違う」

「・・・・違う?」

「最初は久遠の言い寄ってくる連中を断る口実だったもんだし。それに妻ではなく恋人、愛妾ということは久遠からの提案だった」

「なら・・・・初夜は?」

「久遠の屋敷に世話にはなったが、初夜はだいぶ後になった。そのときは久遠の妻と一緒にシたけど」

「美濃の帰蝶姫?」

「うむ。最初から俺の事を神様だと信じていたし、本当ならどこの馬の骨で知らん奴が現れてからの恋人宣言。そういうふうに言われたら誰も納得はしないはずだった。だけど俺の真の姿であるあの姿で信じたようだったし」

最初は翼だけを出していたし、襖の前で盗み聞きをしていたのは気付いていた。

「そういえば光璃は結菜の事も知っているんだな」

「知らない事なんてない」

「それも武田の情報網か」

「そう。でも光璃は何も知らない」

「何をしたかまでは知っているけど、俺が考えている事は知らないと?」

「・・・・・(コクッ)」

で、そういって俺の事を知りたいのか、初夜のはずが今は今まで行ってきたことについてを語っていた。俺に何か聞きたい事はあると言ったら、たくさんあると言ってた。そして一つずつ答えていったけど、行為自体をするのはこの後だなと思った。光璃は何となくだけどやはり恋と似ているところがあると思ったけど。

「で、俺が創造している間に、川並衆がいてくれたおかげでどうにかなった。まあ俺の部隊を使えばよかったけど」

「川並・・・・蜂須賀小六の取り巻き衆?」

スマホで過去のデータを見ながら俺の話を聞く光璃。短い相槌や質問もあったけど、一つずつ答えて言った。

「ころとの関係を知っているということは、川並衆の正式名称も知っているの?」

「知っている。・・・・蜂須賀小六は?」

「現在越後にいる。一真隊の重鎮として、隊を預かっている」

今の一真隊を一葉や梅に任せていられるのは、ひよところである古参が一番大事なところを押さえているからな。

「・・・・そう」

光璃の呟きに混じるのは、どこか残念そうでしょんぼりとした様子だった。噂に聞く蜂須賀小六に会いたかったのだろう。

「夕霧のことはあまり責めないでくれ」

「任せたのは光璃。夕霧の判断は、光璃の判断」

「まあそうか」

光璃の真意を知っていたら連れてきてたかもしれないが、あの場で知らなかったのは夕霧もだけど。一真隊の同行者を絞ったのは、夕霧の最善の判断なのだろうと俺は思う。俺が同じ立場だったとしても、きっと夕霧と同じ判断をしていた。

「それより・・・・小六の事、聞かせて」

「ころの事?」

「そんなにかわいい?」

「かわいいよ。これを見れば分かると思うけど」

スマホに保存してある写真データの中からころの写真を出した。まあこれもある意味光璃にとっては驚きかもしれない。写し絵みたいな感じだし。ころは一真隊が大きくなってからは影が薄いとか気にはしていたが、解決済みだしそれがころにとっての一番の魅力はころ自身が気付いていないことだ。

「会ってみたかった」

「機会があれば紹介はする。ころは畏まった席は苦手だから、そういう場じゃないとこでな」

「楽しみにしてる」

あの武田晴信が会ってみたいという事が知れたらきっとパニックを起こすだろうな。

「で、鉄砲足軽が来たからその鉄砲の銃口に向けて撃ったのさ」

墨俣の件から流れて今は詩乃を救出したときの事を話している。稲葉山城の頃だな。

「どうやって・・・・撃ったの?」

「どうやってって言われてもな。そういう事を知っていたからさ。もう一度やれといわれたら出来ると思うよ」

光璃は事件そのものは知っていても、俺が何を考え、どう動いてからのどう感じたのか。それを中心にして話している。

「光璃は無理だと思う。そんな技術は武田の鉄砲足軽でもない技術だから」

「光璃も恐いもんとかあるのか?」

「みんなは大丈夫でも、恐い物は恐い。大丈夫だって言われても何かしたら、みんな危ないって怒る」

「なるほどな~」

「理不尽。・・・・一真は怒られなかった?」

「俺?そういうのはないな。そもそも俺前線で戦う方だから。それに戦闘についても鉄砲や爆弾とかの専門家だから。あと俺は神仏の類だから恐いもんはないよ」

気持ちは分からなくもない。俺は部隊の司令官でもあるし、大隊長。光璃は一国の主。

「怒られるが当たり前だと思うけど、俺にはそういうのなかった。ただ部下が無茶振りをしたら怒る側だけど」

「一真がそういうならよかったけど。無事でよかった」

で、稲葉山城から堺、そして京での話をしていたら意外に食いついて来たのはそんときだった。そんときは久遠の伴での少数での上洛のときだった。

「まあ、あの時までは一葉と双葉が妾になるとは思わなかったよ」

「一葉様なら、ありえる」

「おや、一葉の事知っているんだ」

「最初の川中島を収めたのは、一葉様」

そういえば一葉と美空も面識ありだったな。何もしていない無力な幕府だなんて言っていたが、色々と動いていたようだな。足利将軍は。そういう所を自慢すればいいものを。

「一度目は一葉が収めたのなら、なぜ二度目の川中島があったんだ?」

「・・・・約束を破ったのは、美空」

ああ、そういうことか。

「だから、美空は信じられない」

きっと美空に問いただしても、「破ったのは光璃」と言いそうだな。

「一葉もいろいろとしたようだな」

美空の話題より一葉の話題の方がいいだろうな。たぶん。

「一葉様は、凄い。それに、義晴様も凄い」

「義晴様・・・・?」

「一葉様の母上」

ということは先代の足利将軍か。

「晴信の晴は、義晴様の偏諱」

偏諱・・・・諱から取った一字。という意味。

「偏諱・・・・」

「名前の一部。本当は、家族にしか伝えない」

ああそういうことね。一葉と双葉の名前は義輝と義秋だから、母親の義晴の義が代々伝わっているという事か。桐琴と小夜叉も森可成と長可だったか。

「それをもらったという事か」

「とても名誉な事」

光璃はその事を本当に大切に思っているんだろ。先ほどとの雰囲気とは少し違う、まるで誇らしそうな表情をしているかのように。

「一真は偏諱、誰かにあげた?」

「それはないな。俺には息子がいるが、俺の名前の一部とかにはしない。自分が思った名前にするさ」

「・・・・・・」

「・・・・欲しいのか?」

「欲しいけど、もらえない。晴信の晴は義晴様、信は武田家の通字」

「どちらも光璃や武田家にとっては大切な文字だな」

俺の名前のに入る隙間はないし、上げるつもりはないけど。それに語呂合わせをしても悪そうに思えるな。

「そう。・・・・誰かにあげる?」

「うーん。たぶんだが、名前より他のをくれと言われそうだな」

例えば子種とかな。もちろんあげないけど、例えあげても浄化で消すからな。それに奏との思い出が記憶から消えるのは、ちょっとな。それに名前よりもっと他のをあげると思うし。

「・・・・ならいい。光璃も我慢する」

とそんな調子で話をしていると二条館襲撃について話していた。俺らが鬼を倒していたら空からの敵について話してたらである。

「二条館襲撃については知っていたけど、そのような事があったなんてことは知らされてない」

「そりゃそうだろうな。あの時は他国の間者が見ていたら自動的に記憶を消去するからな」

「その敵は祝言の前のあいつ?」

「あいつもそうだけど、俺達はドウターと呼んでいる。こいつらだ」

タブレットを出してから二条館襲撃時に出てきたドウターの映像を出した。音付きで。俺たちは地上で鬼と戦っていたが空では第二幕が始まろうとしていた事や俺の第二の姿とかも。あとは俺とヴァーリの融合体である赤白龍神皇帝についてや龍についても細かく質問してきたので、俺は一つずつ答えた。そしてこの戦いが終わってから、偵察型の小型ゼットンとの戦いについても見せた。その時はドライバーとメモリで変身していたけど。

「この姿、さっき言ってた赤白龍神皇帝?でも相方がいないのに変身した」

「ああ。それについてはこれで変身したのさ」

俺は空間からロストドライバーとガイアメモリを出した。これを腰に当てると腰に巻いてからメモリを鳴らして変身するという事を。

「じゃあ、これでなれるということ?光璃にも出来る?」

「それは不可能だ。こいつは元々俺の力と2つの力を融合した物だ。普通の人間には出来ないさ。まあ他のメモリだったら出来るかもしれないけど、今は対ドウター戦にしか使わないから。悪しき心を持つ者が変身して、戦なんか起きたらたまったもんじゃない。だから今の所は俺だけが変身できるモノだな」

という感じで話していて九頭竜川で一真隊が渡河をしている最中、俺は一人で戦っていた事。まああのときは神の姿になっていろいろとやってたし、神召喚で召喚させたしな。あと九頭竜川での護法五神を召喚時に俺の力になったのも。護法五神は美空のお家流だと思っていたようだ。そして呼べるのも美空だけだと思っていたそうだ。その時も武田家の情報網には引っかかっていなかったようだけど。俺がそうしたから。そして春日山城での諜報活動に人質奪還に春日山城奪還と。そこら辺は知っていたけど。けど、春日山城奪還したあとに美空と恋人になる事や俺が神ということは知らなかったと。光璃自身も俺の事は阿弥陀如来の化身だと思っていたと。あと書状について、謝ってたけどな。化身かと思いきや本物の神様だったから、誇りを傷をつけて甲斐を滅ぼす要因になったと。でも俺はもう許しているから平気だと言った。

「とまあそんな感じで、甲斐に来て鬼退治をしてゼットンを倒して、今に至るという感じかな」

そう言ったら、光璃は満足したかのように、ため息を一つ。

「・・・・・おわり?」

「とりあえず長くなりそうだったから、短く終わらせてみた。本当なら長くなるところなんだけどな」

「そう・・・・。もうちょっと、聞きたかった」

「俺らの初夜もあるからな。短く終わらせてみたのさ」

今夜は俺と光璃の初夜で、大切な夜でもあるからな。それと光璃の初めてをもらうわけだ。本当はもっとデータの量は半端なくあるけど、詳細なことや知ってほしい情報とかもある。

「とりあえず俺の話はお終いだ、次は光璃の番だよ」

「・・・・光璃は、面白い話・・・・ないよ?」

「何でもいい。俺も光璃の事は情報として知っていたけど、本人と話せるときはあまりないからな。だから光璃の事を教えてほしい」

情報はあるが、実際に会ってみて違うところとかもあったし。

「光璃は、ずっと甲斐にいたから。駿河も、四国も、東北も西海道も、知ってはいるけど・・・・何も知らない。それに・・・・光璃、何かを話すの・・・・上手じゃない。夕霧も美濃たちも、分かってくれる。でも・・・・光璃は、考えてる事の、ちょっとしか・・・・言えてない。それでも、いい?」

「もちろん。先ほど光璃も言ってたろ?俺のした事ではなく、思った事や感じた事を知りたいと」

どこか不安げな様子の光璃も、その言葉にこくりと小さく頷いて・・・・上げた顔は、少しだけ安心したようだった。

「俺も知りたいのさ。光璃が今まで何をしてきたのか・・・・何を考え、感じてきたことを。話の上手い下手は関係ない。光璃の事を少しでも理解して、好きになりたいのさ」

「好きに、なってくれる?」

「なるよ。光璃も俺の未来の奥さんになるわけだから、そのための努力は惜しまないつもりだ。それに光璃の周りもそう言っているのさ」

言いながら翼と目の色を変えたと思ったら、周りにいた神々に精霊たち。光璃の周りに飛んでいたり、頭の上に乗っていたりと各神仏や精霊たちは自由にしていたけど。そいつらを見えるようにしてから、翼と目を元通りにしたら消えた。元の場所に戻ったようだったけどな。

「一真は・・・・何が知りたい?周りにいた神々はなんて言ってた?」

「俺、ねえ。ああそのことなら、光璃のお家流の出力を上げたと言ってたな。あれは神々ではなく、武田家の守護霊みたいなもんだったし。俺が聞きたいのは光璃の妹たちだな。光璃に夕霧と薫、三人ともとても仲がいいよな?」

「うん」

「夕霧たちとは話さない?」

「そんなこと・・・・ない。二人とも、大切な妹」

「だったらそれが聞きたいな。こちらとしても情報と合っていない事が多い」

夕霧も薫も情報としては知っていたが、あくまで偵察機を飛ばしただけで。実際会ってみると、何かが違うと思ったからだ。そして光璃が話の中で口にしたのは、俺にとっては意外というか作られていたのかとね。

「・・・・醤油?醤油ってこれ?これがあるということか?」

「紀州で作らせてる物を、学ばせた。でも一真が持っているのとは少し違うような」

俺が持っているのは現代である醤油の瓶だ。まあこの時代にガラスとかは見ないからな。

「まあ久遠が聞かれたときはまだないと言っていたが、作られてたとはな」

長屋ではよく使っていたが、たまに行く一発屋や堺にはなかった。まだ作られてないと思っていたけど。まあ一真隊の長屋ではよく使っていたが、あのときも不思議がっていたような気がする。

「まだあまり有名じゃない。でも、美味しいし、塩も節約できる。一真はどこで知ったの?」

「知ったというより持ってきたが正解かな。俺は拠点と言う世界には醤油はあるし、結構使っているよ。俺らの船にもあるし。まあ魚や餅とかでもうまいけどな」

「各地の良い物の情報集めも、歩き巫女の役目」

「なるほど。それでいい所は取り入れるというわけか」

特に甲斐は山国で海がないから、塩を効率よく使う方法についてはマジで何とかしたいのだろう。

「塩は貴重。ないと困る」

「それも光璃の指示か?」

「違う。醤油の案を出したのは、薫」

「料理が得意な奴は皆そう思うが、そうか。薫も確か料理上手だからか」

俺らの船にある調味料は種類が多いからか、料理のバリエーションがとても多い。特にたまに俺や女性隊員との料理をするときは、新たな発見とかもする。まあこの時代のメンツにとっては塩が貴重というのは分かるけど。それに節約というのなら、薫も賛成しない理由が思いつかない。

「料理、食べた?」

「ああ。夕食は薫が作ってくれた」

「心の料理もおいしいけど、薫の料理もおいしい。ほわってなる」

「だな。でも料理の腕なら俺だって負けんよ。なんたって一真隊では一番料理がうまいのは俺だったからな」

「薫が妹で幸せ。一真の料理も食べてみたい」

また今度なと言いながら次の話題となった。夕霧の事だけど。

「なるほどな。だからあんな口調になったのか」

「本当なら、武田の棟梁になる器。なのに・・・・光璃をもり立ててくれる。武田家の法度を作ったのも、夕霧」

「へえ。そんなことまでやっているとはな」

「その一番最初は、光璃に対して、未来永劫逆意を抱かないこと」

「ほう。それを夕霧が決めたんだ?」

「そう。それに・・・・。夕霧には、直属の将がいない」

「いない?とはどういうことだ」

直属の将ということは、俺達で言うなら一真隊で言うひよやころ、森衆で言う各務。黒鮫隊でいうなら部下全員に副長劉零。

「一門衆はいる。でも、夕霧に臣はいない。将がいると、閥が出来る。閥は、やがて大きなヒビになる・・・・夕霧は有能だから、あえてそれを持とうとしない」

「まあそうだろうな」

一真隊も小さな戦力ではあるが、数は三百の兵と相応以上の鉄砲、不釣合いないレベルと数の将が揃っている。黒鮫隊は別。数は同じでも戦闘に関しては専門家、あらゆる状況になっても冷静に対処できる。それに俺達のはここの鉄砲ではない。銃火器の種類が豊富と爆弾の種類にそれを扱えることが出来る部下。俺の代わりに指示を出したりトレミーの副艦長をするときもある。万が一久遠を裏切ったとしたら、俺達の存在自体が無視できない存在なのだろう。例えばだから絶対に裏切る気はないが。

「でも・・・・夕霧は率先して、臣であろうとしてくれる」

それを姿勢で示すのなら・・・・夕霧のやり方は、周囲に対しての答えの一つのはず。

「何だかそれは嬉しい事だな」

「嬉しい?」

「今の戦国の世に姉妹仲のいい国持ちは、あまり見た事がないかな」

足利家の一葉と双葉、久遠に市、あとは国持ちではないが雑賀衆の二人くらい。美濃では結菜の姉を久遠が攻めたり、越後では姉妹で春日山を巡って争っていた。俺らが見ていないところで親兄弟や姉妹の争いはいくらでもあると思うけど。そんな中でここにいる三姉妹は力を合わせていい国にしようとしている。

「夕霧は大事。薫も大事。二人には、そう思う事でしか返せない」

「なるほど」

「一真・・・・」

「ん?」

「退屈じゃ、ない?光璃・・・・話すの、上手じゃない」

「そんな事はない。光璃が皆をどれだけ大切に思っているか理解したし」

一生懸命に色んな事を伝えようとしてくれる光璃の話が、退屈なわけがない。

「ほんと・・・・?・・・・ふわ」

「眠いか。今回はもうやめて一緒に寝るか、今夜は初夜なんだから。それに話はいくらでもできる。今度は久遠たちの話をするか」

「そうする。私の初めてをもらって・・・・一真」

とそう言いながら赤くなっていたので、俺ははいはいと言いながら布団を敷いてから始めた。前戯から十分にしてからの挿入。最初は痛いが徐々に気持ちが良くなってきた光璃と俺。で、何度も中出しをしてしまった。こういうのは久しぶりだったからな。それに行為自体が、美空の初夜以来だったからな。行為が終わるまで防音結界をしてたが、行為が終わると浄化をして匂いと液体を消失させた。もちろん孕まないように膣のところも。浄化完了後に服を着始めてから俺と光璃は一緒に布団で寝たのであった。 
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