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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二十一章 幕間劇
  俺達の情報×果たし状

「一真様・・・・」

「ん?」

「どうかなさいましたか?詩乃達は先に戻りましたが・・・・」

「うーんとだな・・・・」

夜の評定も終わったが、ゼットン強襲という形でここに入ってきたから、予定外の出来事もあった。一時だが、俺が大天使化をしているのに向かってきた愚かな人間共や俺に剣を向けようとした四天王もいたが。というか光璃と薫は知っているはずだったのだが。知らされていなかったんだと思う。で、今の広間にはほとんど人がいない状態。護衛役をしてくれた沙紀もトレミーの方に戻って行ったし、俺もそろそろ戻ろうかな。

「今回の俺の勘も当たるとは思わなくてな。ゼットンが現れるのは何となく知っていたし、ここだけの話だが春日たちを襲った鬼達は俺達の部隊と夜叉たちだからな。それにこんな事になるとはな」

「そうですね。というか、鬼達は沙紀さんたちと夜叉、ですか。いつの間に」

「鬼達は春日たちが掴んだ情報はすでに劣化した情報だ。それに鬼が現れたのは夕方辺りだし、それに武田の力を見たかったのはホントだけど。雫はこういう風になるって事、予想していたのか?」

その問いに少し考えていたけど、すぐに答えた。

「・・・・難しいところですが、一真様は全てを見通している様子。なら我々は一真様の見る目を信じるのみです。武田が一真様を欲しがっていた理由は、我々だけでもいくつか予想をしていました。一真様の勘はこういうことだったのですね」

俺はまあなと答えた。美空みたいに実力を見てから判断するものだと思っていたが、それをすっとばしての祝言。俺は正室での祝言だと悟ったので、ああいう展開になったわけだけど。ちなみに沙紀が出現したときに、武田家臣団が抜いた刀が折れたらしいが、装甲はVPSだから当たり前だ。実弾兵器は一切効かないのだから。光璃に先見の明があるとはいえ、俺はその先の先まで先読みしているからああいう対処をしたし、刃向った人間共は蘇生させた。

「まあ俺の勘はよく当たることだ。今回も俺は外にいなかったらゼットンは無差別に襲っていたと思う。それに空にいたドウターたちも」

「一真様の言う通り、あの化け物が無差別に襲っていたら我々は素早く対処できませんし。武田はあの化け物、ドウターでしたね、その存在の事を知らない状態でした。それと一真様のあの姿についても。いくら足長と呼ばれた光璃様でも、一真様の実力は未知数と見ていたのでしょう。だから夕霧様が出てくるまで静かに様子見してたのでしょうね」

「そりゃそうだ。これの存在は秘匿扱い。もし間諜が見たとしても、記憶は消去されている。二条館にてドウターの襲撃でも他の間諜も同じく、記憶消去していたから」

俺が出したのはドライバーとメモリだ。これも俺以外の者には触れない。それに雫の情報集めもそうだが、武田は全国の情報収集をしている。雫のは近場だし、尾張と全国では規模が違う。まあこちらも全国の情報集めをしようとも思ったが必要ないと思ったからである。今回俺が行くところは分かっていたからである。足長と言われている光璃ではあるが、情報の質と量はこちらが勝っている。

「まあこれはこれでいいとして、今後の展開については構えるしかない。いずれ分かる事だ」

「はい。こちらも考えられる限りの対応は、詩乃と用意しておきます」

「手間は掛かるが頼む。いつもの流れからすると・・・・」

「織斑一真!」

「何となくだが、来たな」

「織斑一真!」

こちらに向かって仁王立ちをして叫んでいるのは、武田四天王の中で飛びぬけて小さな女の子。その前に様を付けろと言っても無駄だろうけど。

「二度も言わなくても分かるが、何か用か?」

「せーせーろーろーと、しょーぶするのら!」

せーせーろーろー?ああ、正々堂々ということか。

「別にいいけど・・・・」

次の瞬間・・・・。軽くかわしたら俺の傍にを抜けたのは、握られた兎々の拳。こんなの止まって見えるな。得物も持っていないけど、こいつにはいらないだろう。

「おいおい。俺はまだやるだなんて言っていないぞ」

「もんろーむよー!」

「まあいいか」

正々堂々ではなさそうだけどまあいい。

「ふにゃあああああああああっ!」

「兎みたいな名前で、猫みたいに叫ぶな。あとそんなので叫んでも無駄だが」

「兎々はネコれもウサギれもないのらーっ!」

「おっと」

俺は軽くかわしてからのカウンターを入れる。まあかわされるのは分かっているけど。

「あえて言うなら、虎なのら!」

そんなドヤ顔で言われてもな。こっちには龍がいるぞ。本物の。

『それは俺達のことか、相棒』

『まあそういうことだ。龍はこちらでは伝説か幻扱いだからな』

『僕らはそういう扱いなのかー』

『いずれ武田家の者たちにも見せるさ。まあ長尾家の者たちにも見せてはいないが』

とドライグ達と会話しながらも、兎々の拳をかわす。虎とか言われても俺から見たらただの虎猫しか見えない。

「ふふん!なかなかやるのら!」

「お前の拳なんて見え見えだ。殺気を隠してから拳を放ってくるんだな!」

こんな殺気は俺にとっては何の役にもたたない。

「今度はこれはろうなのら!」

でも引いてはくれないのが、現実だ。さてどうしようかね。雫がいたところには心と粉雪がいたけど。

「おー。もうやってるんだぜ」

「もう・・・・広間では暴れないでって言ったのに。兎々ちゃん!暴れるなら外でやってー!」

「あ、あの・・・・」

「すみません。兎々ちゃん、どうしても一真様の事が納得いかないみたいで・・・・」

「そのお気持ちは分かります。ちょっと乱暴ですけど」

「あはは・・・・。頭は良い子なんですけど・・・・」

「にしてもあの旦那、予想よりはるかにやるんだぜ?ただ身が軽いだけの兄ちゃんとしか報告だったけど、そうでもないみたいだぜ・・・・?」

「そうですね・・・・。徒手空拳とはいえ、兎々ちゃんをすんなりとかわしているようですし」

「徒手空拳・・・・ああ、だから一真様は素手で戦っているのですか。武具は夕霧さんにお預けしたと聞きましたが、一真様のだけは持っていると聞きました」

「ああ、だからあのような戦い方に・・・・。あと一真様が持っているというのはどういう?」

「おーい。旦那ー。武器があるなら使ってもいいんじゃないのかー?」

「こんなの、武器を使わなくても対処できるから」

「なんらとー!」

「へぇ・・・・。大した自信なんだぜ」

「言うほど優勢なようには見えませんが・・・・」

「それはおそらくわざとだと思いますよ。相手の力量を見ているから、ああやっているのです。織田家中にいるあの森一家でさえ、最強というふうに言われていますから」

「それについては先程の殺気と覇気で十分分かりました。それと一真様自身も強いとなると、率いる隊の方も強いのかしらね?」

「一真隊は正面からの戦闘に向いた部隊ではありませんよ。別部隊とでも言っておきましょう」

「そうなんだぜ?」

「はい。一真隊は一真様を筆頭に搦め手を得意とする部隊ですから、武田の兵と正面からぶつかるような場面には向きません。一真様直属部隊なら向いてるかと」

「そうなのですね。それと一真様直属部隊とは?」

それについても話をしていた雫だったが、黒鮫隊についてはまだ武田にも知らない情報であり、謎の部隊とされている。粉雪も一度俺と戦ってみたいといっているが、俺が少し本気を出せば瞬殺されるのがオチというふうに見える。俺と兎々の戦いを庭に移してからは決着はついていない。

「兎々に得物は必要ないとか、バカにするのもいい加減するのらー!」

「バカにはしていないつもりだが」

兎々の攻撃を紙一重でかわし続ける俺。まあ避けると言っても相手が予測してきたところを避けるだけなのだが。向こうから得物OKでも、今の技量なら問題なく戦える。

「らぁらああああああああああああっ!」

兎々は、見かけ以上に素早いが俺の敵ではない。風術により脚を早くしている。小さな身体を最小限にしつつ、コンパクトに動いているが。こちらの死角を正確に狙っているけどね。

「まらまら!」

「もう終わりかな?もう少し早く来いよ」

と俺は手を向けてこちらに来いという挑発をしてから向かってきた。こいつは自分の小ささが強みだと理解はしている子の戦い方だ。鈴々と同じくらい。あとはダダ漏れの殺気を何とかすればもう少し伸びると思うのだが。受け流してから結構経つけど、汗とかはかいていない。あまり体を動かしていないのと最小限の動きしかしていないからだ。借り物の武器では合わないだろうけど、まあ自分の武器も使えるが使わないけど。まあ正直女の子に拳を向けるのは俺の趣味ではないが、相手がそう向かってきているのだからしょうがない。徒手空拳も得意中の得意だし。

「ろりゃあああああっ!」

兎々の攻撃はひと目見ただけで、一撃必殺な感じだけど当たらなければどうとなる。見切れているから問題ない。

「ふふーん。そろそろ追いつけるようになってきたれすよー?」

と言っているが、こちらとしてはワザとだ。ベースの体力やスタミナの差だけではないのだろ。こちらの動きを理解しているつもりなのだろ。問答無用で仕掛けてくるが、目的はそれなのだろうな。相手を見る目の確かや、対応の早さこそが、前に雫が言っていた『逃げ弾正』の真価という奴なのだろう。

「果たしてそうかな?」

こちらは負けるなんてありえないくらいに体力は温存しているし、こちらは勝つつもりでいる。

「・・・・なんらと?」

「俺が見せているのはほんの序の口程度。俺の本気はお前を瞬殺するのがオチだと思え」

「なんれすとー!」

もちろんホントの事だ。俺が本気を出したら怪我程度では済まないからだ。

「旦那、そんな事が・・・・」

「あはは・・・・(これはホントなのですけどね。一真様が本気を出したら怪我だけでは済まないかと)」

「あの一言で兎々ちゃんは警戒しているけど、ホントなのかしら?」

「え?嘘なんだぜ?」

「ホントならあれは嘘だと思うけど、嘘には聞こえないから」

「へえ・・・・。けど、あんたは止めなくていいのかだぜ?」

「え?」

「そうですね。すぐに私たちに止めるよう言ってくるかと思ったのですが・・・・そういった様子でもありませんし」

「本来なら私ではなく別の人が止めますが、必要な事だということも理解しております」

「必要・・・・」

「皆様も、本音を言えば光璃様の判断に納得しているわけではありませんよね?」

「・・・・お屋形様は間違ったことはしないんだぜ」

「そうですね・・・・。今回の祝言に関しても、何らかの深いお考えがあることは承知しています」

「・・・・・・」

「けどお屋形様、そういうのあたい達に教えてくれないんだぜー。面白そうなことは一人で進めて、ちょっとズルいんだぜ」

「それはこなちゃんがお喋りだから・・・・」

「あぅぅ・・・・。でもズルいんだぜー」

「私たちももう少し、典厩様や薫様のようにお屋形様の言葉を深く察する事が出来れば良いのですが・・・・」

「にゃあああああっ!」

「甘いわぁ!小娘!」

「ま、確かにあれだけ兎々とやりあえてしかもまだ手加減となるヤツなら、お屋形様が頼りにする気持ちも分かんないでもないんだぜ」

「ですね。それに・・・・」

「・・・・そうですね」

「いい加減、兎々ちゃんも一真様の動きを捕えたみたいですが、あれも手を抜いているとしか思えません」

俺は雫たちの会話を聞きながらそう動いていた。それもそのはず、手を抜いているのはホントの話。避け切れるのは何回も出来るがそろそろ決着をつけたいな。投げ飛ばすか受け流してからの手刀か。時間稼ぎをしている間に勝機を考えるがしょうがないなと俺は思い決着をつける事にした。

「はあああっ!」

と兎々の拳を受け止めてからの柔道でよくやる奴での投げ飛ばしをした。もちろん兎々の腕や手を握っているから逃げられない。

「ぐはぁぁぁぁ・・・・・」

「ふう。何とかなったか」

「あの兎々が簡単に負けただぜ?」

「兎々ちゃんの拳を見切ってからの投げ技ですか・・・・雫さん、一真様が本気をやったら・・・・」

「その通りになるかと。本気になったら力加減が出来ないお方ですので、本気でしたら瀕死状態か骨折程度で済んだかと」

原作では広間にある桃を使うが、俺はそんなしょうもないのは使わない。しばらくしても立たない様子だった兎々だったから様子を見に行くと、気絶していた兎々だった。おいおい、この程度で気絶とか武田四天王としてはどうなんだ?俺は兎々を静かに抱いてから広間に戻った。

「ただいま、雫。あとどっちでもいいけど、兎々の介抱を頼む。たぶん気絶してると思うから」

「お帰りなさいませ、一真様。にしてもやはり少し力を入れましたか?」

「ちょびっとだけ入れたらこうなった。地面は凹んでないし、ちょびっとだけ殺気を込めたらこうなった」

「まさか兎々をこうも簡単に勝ってしまうとはなかなかだぜ」

雫は予想通りの展開なのだろう。あまり驚いた様子はなかったが、粉雪と心はそうでもなかった。とりあえず心が兎々を見ているが、すぐに目を覚ました。

「兎々を簡単に勝つとは、なかなかやるじゃんか。次はあたいとやろうぜー!」

「粉雪と・・・・?」

粉雪の空気的には織田家中なら壬月や麦穂的なレベルではあるが。それに戦闘特化型だと思うし。兎々には悪いが手抜きをしていたが、粉雪相手だと手抜きはできないよな。戦闘特化型との相手なら正面からのぶつかり合いだし。

「ほら、得物も使っていいからさ!手加減抜きでいいぜ!」

「な、まさか兎々相手に手加減していたのら!?らったらさっきの勝ちは無効なのら!」

とか言われてやる気全開だったけど、第三者の声が聞こえたら収まったけど。あと兎々の場合は完全に俺が勝っていたから。

「何をしておるか!」

「ひぅっ!」

「か、春日!」

「騒がしいと思うたら、騒いでおったのはおぬしらか」

春日の一喝で、今まで賑やかだった粉雪と兎々がしんと静かになる。

「こ、これは・・・・・・・」

「・・・・良人様、ウチの若い連中が無礼を働いたようだな。申し訳ない」

「まあこれは兎々たちの気持ちの問題だ。それについては理解しているつもりだから気にはしないでもらいたい」

「ふむ・・・・そう言っていただけるならかたじけない」

おそらく春日も兎々たちと同じ気持ちなのだろう。した事そのものについてはそれ以上追求はしていないけど。ただ・・・。

「・・・・で、兎々」

「・・・・あい」

「武田の武人として勝負を挑んだ以上、良人様にはちゃんと勝ったのであろうな?」

「う・・・・・っ!」

「・・・・よもや」

「ひ、引き分け!引き分けなのら!」

「引き分けか・・・・」

「こいつの策に引っかからなければ、間違いなく兎々が勝っていたのら!」

「馬鹿もんっ!!」

「ひっ!?」

おおー。いい一喝だな。まるであの人の一喝のようだ。誰かとは言えないが。それに策ではなくただ投げ飛ばしただけなんだけど。俺は平然としていたが、雫たちは身を縮めていたけど。まああれは強烈な一声だよ。

「策にハマるハマらないもないわ!策にハマった時点で負けだと言うたであろう!」

「あ、あぅぅ・・・・」

「どうせ良人様の手抜きの技で気を取られていたのであろうが。明日はその根性を叩き直してくれる!」

「ふぇぇー。勘弁、勘弁なのらー」

「まあまあ。春日もその辺りで」

「・・・・これは武田の家の事。いかな良人様でも・・・・・」

「一応言うけど、俺はまだ武田の一員じゃない?まあ属していないのは間違いないけど、形式的にはね」

「・・・・ふむ。確かに一理無いでもありませぬな。これ以上は拙も墓穴を掘りかねん」

「うぅぅ・・・・・・」

「一応聞くが大丈夫か?」

「も、もうそんな策にはハマらないのら・・・・・!」

「こんなの策でもないんだけど?ただ投げ飛ばしただけなんだが」

「ほほう。それなのにハマったとは、それはどういうことなのう?兎々」

「ひう・・・・・」

「じゃあ、お屋形様はどうなんだぜ?正直旦那の事はいまいち情報掴んでないんだぜ。一部では誑しとか呼ばれているようだぜ」

「お屋形様の場合は、自ら虎穴に虎児を拾いに行ったように思うがな。・・・・いずれにしても、何らかの策がおありなのであろう」

「春日さんもそれは聞いていないのですか?」

「拙はお屋形様の槍にござる。お屋形様の御心のままに、ひたすらにそれを振るうまで」

「だったら、あたい達も注意しなきゃだぜ、ここ」

「・・・・そんなに見境ないのですか?」

「いえいえ。それに私たち自身が惚れた事なので、一真様からは何もしておりませんよ?それに・・・・」

と言おうとしたが雫が俺を見たら言葉を止めた。まあそうなるんだけど。

「とにかくだ。俺には増やすかどうかは俺の問題ではない。そちら側の問題だ。俺には妻がいるのでな」

妻たちと言ったら誰?と言われたがそれは追々伝えると言ってから、武田四天王はその場を後にした。残ったのは俺と雫。

「・・・・あれが武田四天王、かー」

「そうですね。粉雪さんと心さんとは少しお話させていただきましたが・・・・少なくとも、こちらに必要以上の警戒は持っていらっしゃらないようでした。ですが・・・・」

「まあその続きからは言わなくても分かっている。俺と会うまではずっと謎の人物だったのだから。それに情報集めようにも、姿しか分からなかったらしいし」

ザビエルの情報を持っているから、武田の情報網は凄いと言いたいところだが。本当の足長とはきっと俺達なんだろうな。謎の人物と部隊、それに戦い方もだ。さっき一真隊の戦い方を知ったとき驚いていたけど、あれは半分本当で半分嘘だ。

「あとは、その謎の人物の者である一真様を信用に足るか次第でしょう」

「それは当たり前のことだな」

いきなり甲斐に連れられて鬼退治したあとに戻ったら、今日から主君の恋人になります、という風に言われたら素直に納得するもんじゃない。そういうのは天下御免の女たらしなら分からなくもないが、俺は違う。そう思いたい。

「はい。ですから、兎々さんが先陣切って一真様に勝負を挑んで下さったのは、結果的には良かったかと」

「俺もそう思う。それに織田家でも最初はこんな感じだったし」

主要家中とは手合せしたし、あの森一家でさえ唯一勝てない存在は俺となっている。

「どこまで勝ったのですか?」

「三若まではこのハリセンで勝った。麦穂、壬月とは刀にしてしたけど、結局勝ってしまったけど」

「あと森の二人にも勝ったのですよね?だから織田家中での最強と言われているが、一真様なのですね。ですが、流石と言っていいですね。武田家の皆さんは」

「雫から見てどう見た?」

「光璃様を中心に、良くまとまっていると思いました。秘密主義の主というのはえてして不信を生みがちですが、あの四人に関してはそれもないようでしたし」

「まあ、ウチも似たようなもんだしな。でもあの四人については同感だ」

それは、祝言のときの将の態度からだ。将一人一人が、光璃の考えを自分から理解しようと考えながら、彼女を支えようとしている。ウチは似たような感じだが、違う。俺を中心として動くし、考えをちゃんと部下にも教えている。

「けど・・・・。そういう判断の仕方が、詩乃に似てきたような」

「・・・・そうですか?まあ詩乃の事は尊敬していますし、今も目標ですが・・・・」

「詩乃と雫の考え方が似た感じだと、軍師が二人いても意味はない。だろ?」

「さすがです。私は詩乃と肩を並べたいとは思っていても、竹中半兵衛そのものになりたいわけではありませんから。詩乃には内緒でお願いしますね」

まあ黒神眷属にも軍師はいるが、考え方はそれぞれ違う。朱里や雛里が蜀の軍師だった頃もそうだった気がする。まあそんときの俺達は別の軍隊だったし。まあ雫が加わった頃は、詩乃を尊敬している感じではあったけど、今は自分なりに何かを見つけようとしているのだな。

「さてと、俺達も部屋に戻るか。また兎々が来るかもしれないし、あの時打った背中がまだ痛いし」

「そうですね。では、部屋に戻りましょう。あとで背中を見せて下さいね」

武田家での日々はどうなるかはまだ分からん。で、部屋に戻ったあとに医療バックを持っていた沙紀がいたので、背中を見てもらった。ほとんど翼がクッションにはなっていたが、一応回復魔法を施した。そのあと沙紀は本当に船に戻った。 
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