戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~
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十七章 幕間劇
鳴子の設置×トレミーの大浴場
「だいたいこんなもんかな」
「一真様。何なのですか、それは」
「周りを警戒する道具さ。本当なら俺達の技術で作るけど、この時代に合わせた物さ。縄でこれを繋いで、その辺りを渡しているだろう」
作りかけのそれの端っこを木に結んでっと。ぴんと張ったロープからぶら下がっている細い木の束を、綾那達は珍しそうに眺めている。
「ひよ。その縄、引いてみて」
「こうですか?」
引いたら鳴ったことに驚くひよ。綾那も面白がって鳴らす。
「そんなに鳴らすな。作った意味がない」
「これって何に使うのですか?」
「これを森のあちこちに仕掛けておく。知らない奴が足や頭に引っ掛けたら・・・・」
「あ。それが鳴ったら怪しい奴がいるって事ですね!」
「そういうことだ」
「なるほどー」
でまた鳴らすから、ハリセン一発。そして、ロープを緩めて鳴らさないようにする。それにいくらトレミーで監視していても、一真隊の兵たちは上に船があるとは思ってもいないだろうし。だから、不寝番をしたり、小波たちに警戒をしてもらっている。皆の負担を軽くしておきたい。
「でも、こんな仕掛けに引っかかるですか?」
「仕掛けが分かっていたら引っかからないさ。いきなりあれば気付かないはずだ」
「確かに・・・」
「夜なら効果は抜群だろうよ」
この時代は街灯とかない時代だからな、いくら夜目がいい奴でも暗い森にこんなのがあったら分からないだろう。逆にそれが出来る奴だと、防犯用のセンサーを仕掛けるが。あいにく今は使いたくないしな。いつ敵の間諜がいるのか分からないし。
「おお、一真様。こんな所にいたのか?」
「一葉か。どうかした?」
「・・・・何をしておるのだ?」
「うむ。辺りを警戒するための道具を作っているところ。侵入者が縄に当たると、こうやって鳴るもの」
「ほぅ。面白い物を考える。・・・・であれば、良い。他を当たろう」
「何かあったのか?」
「少々手伝ってほしい事があったのだが、構わぬ。そちらの方が必要そうだ」
「そうかい。悪いな」
タイミングが悪いな。するとひよが作り方はもう分かったから、俺は一葉の所に行ってもいい事だと。
一葉は良いのかと聞いてるが、ひよは警備の流れを考えて仕掛けるらしいので大丈夫だろう。綾那は遊ぶと思うが。で、鳴子の設置をひよ達に任せて俺は一葉と森の中に行く。トレミーでは、夜勤の者たちが風呂に入ってると。女性隊員だけどね。
「こんな森の中で何をしてたんだ?」
「別に大した事ではないのだ。ただ、少々な」
少々ね、いったい何を手伝えというのかな。武術の稽古なら、こんな奥じゃなくてもいいし、俺がやるけど。
「何を考えておる?」
「いやなに。手伝いとは何かなと思ってな」
「もうすぐだ。見れば分かる」
一葉と歩いていたらそこには幽がいた。
「おや、一真様」
「なるほど。そういうことか」
「な。見れば分かるだろう?」
そこで幽が積み上げているのは、ひと抱えほどのある石だ。すぐ傍に大きめの鍋があるということは。
「お湯でも沸きたいの?」
「左様でございます。公方様と、久方ぶりに湯浴みなどしたいという話になり申して」
確かに一真隊では、こういうのは欠けている。黒鮫隊は毎日入っている、そういう習慣だしな。男性と女性で分かれているが、俺の場合はどちらでもOKなんだよな。俺もたまに船に戻っては風呂に入ってるけどひよたちには何かいい匂いがすると言われるが。小谷を出発した後、金ヶ崎からの逃避行、そして海路を通って、今も野営をしている。そんな感じの移動だから、風呂の用意とかは出来るが、出来るだけこの時代に合せて準備はしなかったけど。俺以外のメンツは濡らした手拭いに身体を拭くので精いっぱいだが、俺は現代人だからか、毎日のように船に戻ると言っては風呂に入っている。ただ、越後は現代で言うなら新潟県だ。なので、肌寒い時期が来たわけだ。
「お湯なら食事のときでも用意してもらえればいいのに」
「皆も疲れておるのだ。余の勝手で湯浴みをしたいというのだから、余らで何とかするしかあるまい」
一葉も一葉なりに気を使っているわけか。それに一葉はこの先側室になる=妻になるとすると御簾中だしな。身体を綺麗にしたいという欲も出るだろう。
御簾中・・・・・高貴な身分の妻、奥さんのこと。
俺は通信機で、船に連絡を取った。一葉と幽に少し離れてな。通信すると大丈夫なようで、すぐに二人分の浴衣も用意できるとな。
「せっかく石でかまどを作る最中で悪いが、他の方法でやるとする」
「他の方法とおっしゃいますと?湯を作るのはこれしか方法がないでござるが」
「まあ、見れば分かるよ」
と言いながら、二人の手を繋いでから空間切断でトレミーの大浴場入り口に着いた。いきなりの事で驚いたが、周りを見るとここが船である事を知った二人。
「お待ちしておりました、隊長」
「うむ。俺も入るが、問題はないよな?」
「はっ。問題ありません」
「主様よ、いったい何しにここに来たのじゃ?」
俺は二人を手招きして、女性隊員と一緒に大浴場の入り口を通り、脱衣所に来た。靴を脱いでからだけどね、すぐそこにはお風呂があることに気付いた一葉。
「ここは風呂場なのか?」
「そうだ。隠していたが、俺は毎日風呂に入っていたのでな」
「なるほど。どおりで、いつもいい匂いがすのですな」
「その通り。ここは女風呂だが、俺が入っても問題はないからな。あと一葉と幽が着ている服も洗濯したいし」
と言いつつ、脱衣所にあるカゴに服を脱ぎだした、一葉と幽。美咲は、一葉と幽に洗濯している間はこれをお使い下さいと言って、バスローブを渡した。すぐに、洗濯すると言ったが弱で洗えとも言っといた。おそらく服の生地が違うからな。あと下着もだけど、俺は量子変換機で腰にタオルを巻いていたけどね。一葉と幽も準備OKとのことで。大浴場の入り口に入った。
「これは隊長ではありませんか」
「よう。今日は一葉と幽が風呂に入りたいとのことだったから、浴びせに来た」
「なるほど。一葉様と幽様の相手は私がしますので、隊長はごゆっくりと」
俺は分かったといって、いつも通り頭を洗いはじめたけど。
「お主は確か桜花と結衣であったな」
「お名前を覚えてもらって光栄です。今日は一葉様と幽様にここでの風呂の使い方をお教え致します」
と言って、一葉と幽は戸惑いながらも、説明を受けながら掛かり湯をしてから、まずは風呂に入っていたけど。本当なら先ほどの場所で、湯を作るんだけどその時に一葉が撒割りのときに三千世界で斧を出したんだっけ。確か斧の名前は、金剛爆斧、長山遠江の守の大斫斧と南蛮の物らしき斧を呼び出したんだっけ。なぜ知っているかは、俺が現実世界から来た人間だからな。だから、好きなゲームとかあるとダウンロードしてやるのだ。だから、本当なら桐琴も死んでることになっているがな。俺の場合だとこうなった訳だし。
「あら、隊長ではありませんか。こんな昼にお風呂とは珍しいですね」
「よう。フィオレか。夜勤明けか?」
「はい。ぐっすり寝た後はお風呂にと思いまして。隊長はいつもは夜にと聞いておりますが」
「あいつらを風呂に呼んだのさ」
「あの方達は、確か足利将軍の一葉様と側近の幽様ですね。今の状況から考えると、水で身体を拭くのが寒い時期ですからね」
「今いる越後は現代で言うなら新潟だ。それに俺たちは贅沢にしてるもんな、毎日入れるのだから」
と言いながらも、洗い場に置いてあるトニックシャンプーで頭を洗っていたが、女風呂には置いていない。男風呂から持ってきた。ボディソープは男女共通だけどな。俺は頭を洗ったあとに体を洗い始めると、一葉達も一度風呂から出てから体を洗いはじめた。桜花と結衣の指導のおかげか。
「隊長、お背中をお流ししますよ」
「助かる。やってくれ」
と言い、背中を洗うフィオレ。洗ってくれたあとに、顔を洗ってから終えたので。風呂場は何種類かある。まず軟水つるぬる湯とかサウナもある。あとはジャグジーとかもな。お風呂に入るときはタオルは入れてはいけないというルールだからな。俺は頭に乗せて、ゆっくりと入っていた。ふう、やはり風呂はいいなと思いながら、ジャグジーに入ったり薬湯とかにも入る。そして、最初に入った風呂に入っていると一葉と幽と桜花と結衣が入ってきた。体と頭は洗い終えたようだ。で、今はタオルはないので全裸だったけど。
「おー、主様。ここの風呂は良いのぅ。色々な風呂があって」
「それがしもですが、種類が豊富なのですな」
「まあな。あそこにある薬湯も、もとはある所のを特殊な方法で持ってきている。それと今入っているのも温泉なのさ」
「ほう。どおりで、普通の湯とは違うのだな」
と入っていると、ゆっくり入っていると、そろそろ出た方がいいからな。出ることにした。脱衣所に入る前に、水分をなるべくなくすようにタオルで拭いてから、バスタオルで体を拭いた。一葉たちもだけどね。それで一葉と幽が着てた服は今乾燥中らしいから、バスローブを着て待機することに。その間は、髪を乾かしたりしてたけど。俺は、量子変換機ですぐに着替えたけどね。髪を乾かしている間に、乾燥出来たのか、美咲が一葉と幽の服を持ってきてくれた。それで、バスローブを取ってから服を着替
えたけど。その間に俺はコーヒー牛乳を飲んでいた。準備が出来たらしいので、脱衣所を出てから空間切断で元の場所に戻ってきた。
「ふう、さっぱりしたな。主様、また入りたくなったら良いかの?」
「いいと思うよ。俺は毎日入っているからな」
「生き返りましたな」
まあ、越後には温泉があると聞くからな。ひよたちとはそこで入りたいな。現代で言うと、松之山温泉というらしいがな。で、そんなふうに言っていると鳴子がなった。
「これは・・・・」
「ああ・・・」
「む・・・。何やら侵入者のようですな」
「侵入者?」
「先程、桜花殿から聞いておりました。一真様が作っていたのを真似てみたのです。辺りの木々に命じて、周囲に少々仕掛けておいたのですが」
いつの間に聞いたのだろうか。ひよたちのじゃなくて幽のか。
「そこにいるのは誰だ!」
「でええええええええええええいっ!」
「はい?・・・・ぐえ!」
「ふにゃ?」
「・・・・・あれ?一真様、一葉様?」
「何だ、お主らか。どうした?」
「突然音が鳴ったので、敵がいるのかと思ったのです!」
「阿呆。味方と敵の区別をつかないでいるからだ」
とりあえずハリセンで1発したら、何やらひよと綾那が俺達の身体からいい匂いがすると言っていたが。俺達は適当に言ってから、俺は再び船に戻って、鳴子みたいな物で罠を作っていたら夜になっていた。
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