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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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十六章 前半
  仲間招集

「詩乃!一真隊の采配は任せるぞ」

「御意」

力強く頷いた詩乃だったが、あくびをしながら起きた鞠。場違いな声と共に、一真隊のお姫様が目を覚ました。

「おはよう、鞠。疲れはとれた?」

言いながら毛布をトレミーに返還した。

「えへへ、うんなの!たくさん寝たから、鞠、元気になったの♪」

満面の笑みを浮かべて鞠は頷く。その笑顔には絶望もない。

「鞠。今から照明弾を放って、俺達はここにいるぞと伝える。周囲にいるはずの仲間たちに知らせる」

「了解なの!じゃあここで頑張らないとだ♪」

俺の言葉で、全ての状況を理解したのか。鞠は屈託のない笑顔で、そう言った。

「まだまだいけるな?鞠」

「いけるの!あのね、鞠は一真の部下なの!一真が戦うなら背中を守るのが鞠のお仕事なの♪」

俺の考えを受け入れ、そして肯定してくれる。力がある限り尽くすと言ってくれ鞠の姿を見た諸君はメラメラと燃えてきている。

「レノックス!照明弾の準備。あと信号弾で色は緑色だ!」

「了解です。すぐに準備させます」

「一真隊、足利衆、八咫烏隊は隊列を組み、すぐに整列してください。・・・・これより一真隊は山側の崖を背負い、背山の陣を布きます」

「山を背負うか。・・・・賭じゃな」

「逃げ道はなくなりますが、全軍崩壊の可能性がある背後からの奇襲は黒鮫隊率いる一真様が防ぎます。これは賭けではなく大きな可能性です」

「なるほど。・・・で、配置はどうします?」

「まずは荷車を倒して柵代わりとして、簡単な陣地を築きます。その中で、長柄が前、鉄砲がその後ろ。襲撃してくる鬼を荷車を盾にしながら押し返します。その間に黒鮫隊の者と一真様が鬼達を殲滅。その間に仲間たちの合流を待ちます」

「なるほど。荷車を倒して柵とする、か。・・・・良い策であるな。柵だけに」

「「「「・・・・・・・」」」」

ここでギャグかよ。俺もそうだけどみんな黙っちまった。

「ぷふーっ!一葉ちゃん面白ーい!」

鞠の笑いに釣られるように、仲間たちにも笑いが起きる。

「諸君、ここが正念場だ。準備はいいか?」

俺の言葉に頷く。

「よし!行くぞ!」

「皆の者!獅子の旗を掲げよ!その横に足利の二つ引き両、源氏の白旒旗を掲げるのだ!」

獅子の旗とは俺達一真隊と黒鮫隊の旗のこと。

「一真隊、ここにあり!意気軒昂を天に示し、苦境の仲間たちを救おうではないか!」

「レノックス!信号弾と照明弾を放て!詩乃!鏑矢を放て!」

夜の闇に一気に昼みたいな明かりと共に緑色の信号弾が放たれる。その後に、鳥の声のような音を発しながら、鏑矢が放たれた。すると、近くに俺たちの部隊がいるそうで、俺達の照明弾によりこちらに来るそうだ。光が消えて音もなくなり周囲は沈黙。その沈黙の中で、仲間たちは皆、少しの音も聞き逃すまいと、集中している。俺たちも集中する。そしたら。

「返ってきた!お頭、三本も、三本も返ってきました!仲間たちが答えてくれましたよ!」

「よっしゃ!詩乃!」

「はい。では各員持ち場について下さい・・・・鬼が先か、それとも仲間が先に駆けつけるか・・・・どちらにせよ、ここからが我らの踏ん張りに掛かっています」

「みんな頑張ろう!仲間たちのために!私たち自身の未来のために!」

「応っ!」

ひよと詩乃、二人の檄に答えた兵たちが、決められた部署につく。

「共ども、油断するな!少しの変化も見逃さず、味方が来たのならすぐに陣に迎え入れよ!鬼が来たのならば固く陣を閉じ、主様と黒鮫隊に任せるのだ!」

「定期的に鏑矢をあげて、我らが居る位置を正確に伝えます。あと一真様、照明弾もお願いします」

「はっ!」

「分かった。エップス、準備をしろ」

「了解だ」

持ち場についた一真隊のは、まんじりとしない時間を過ごす。俺達も真上に、照明弾を放ちながら待つ。長柄の前は俺達だけど。仲間の後ろにいたらすぐに動いて鬼を叩く。定期的に放たれる鏑矢の音は、夜闇の中を向かっているであろう仲間たちの合図だ。トレミーからはどんどん近づいてると。こっちに来いという気持ちで一真隊の者たちは鏑矢を放つ。そのあとに俺達も照明弾を放つ。

「・・・・北西の方向より足音!何かが来ます!」

「各員、もう一度、動きの確認をしてください。仲間が来たのならば、すぐに陣に迎え入れます。鬼の対処は一真様率いる黒鮫隊がやってくれるでしょうから」

「応っ!」

俺達率いる黒鮫隊も陣の前で待った。俺は剣と銃を持ち、野郎どもはアサルトライフルをいつでも撃てる状態にして、IS部隊も待機中。

「どなたが来るかは分かりませんが・・・・願わくば、仲間が来て欲しいものですな」

「来るであろうさ」

「偉く自信ありげな。・・・・根拠はあるのですか?」

「主様がそう信じるように、余も信じる。それが根拠だ」

「なんとまぁ・・・・乙女のようなことを仰るようになりましたなぁ」

「なんだ。知らんかったのか?余は生まれたときから乙女であるぞ?」

「知っているからこそお仕えしてきたのでございますよ。我が主」

「うむ。知っておる」

「でしょうな」

「足音、更に近づく!音の量からして、人数はおよそ百程度と推測されます!」

「百か。まだ分からんな」

「準備を!」

詩乃の号令の下、皆が戦闘態勢に入った。俺は黒鮫隊の連中と一緒に、陣の外にいる。黒鮫隊の諸君もだ。野郎どもは、腰を下ろして構えをしている。ジャスティス隊とサバーニャ隊もいつでも攻撃準備完了だ。長柄を持つ者は槍を握り直して、弓を持つ者は、弦の張りを確認する。鉄砲は火縄を確認し、早合の数を確認。一葉たちは月を見上げて談笑している。この感じはいいな、戦いの中でもこういうことはあまりないこと。きっと気持ちもハイテンションなんだろうな。足音が聞こえてきたと思ったときだった。

「あれはっ!」

「蒲生の鶴紋。そして万字のと藤巴の旗・・・・!」

「ああ・・・良かった、良かったよぉ、ころちゃぁん!」

「ハニーーーーーーーーーーーーーッ!」

「一真様!」

「一真様ぁ!ひよぉぉ!」

「ころ!梅!雫!」

「皆・・・・よくぞ、無事で・・・・っ!」

聞き慣れた声。そして夜闇から現れた顔は、たった数時間しか経っていないが、懐かしさを感じる。見慣れた顔ぶれは、笑顔でこちらに来る。

「ただいま合流致しますわ、ハニーっ!」

「お頭ぁ!ひよぉ!ただいまぁ~~~~~!」

次々に声を上げながらこちらに来る仲間たち。その後ろでは黒鮫隊の者たちがいたことを確認。

「よし!お前らは下がっていろ。こちらに来る鬼は俺達で叩く。行くぞ!」

『了解』

俺達は梅たちが来た方向にいた鬼達を駆逐し始めた。そこには俺の仲間もいたけどな。ハイタッチしたあとに、火力を集中してひよたちがいるところに下がりながら攻撃を加える。

「うぇぇぇぇぇぇん!ころちゃーん!良かったよぉ!本当に無事で良かったよぉ!」

「あはは、ほら、泣いちゃダメだよ。じゃないと私の方まで泣きそうになっちゃうんだから・・・・」

俺達が百人の仲間たちを下がらせながら、俺たちは目の前の敵を排除する。

「雫・・・・よくぞ無事で・・・・」

「えへへ、何とか乗り切って見せましたよ。・・・・竹中半兵衛の友として、無様な戦はできませんから。それに黒鮫隊の皆さんのおかげで助かったのですから」

「しかし、私は・・・・」

「いいえ。あの時のあの状況では、詩乃の判断は至極正しいと思います。だから・・・・気にしないでください」

「あり、がとう・・・・!」

「えへへ・・・・でも、もう一度会えてよかったです」

二人はどちらからともなく、相手の身体を抱きしめていた。俺達は鬼達を殲滅した後に陣に戻ってきた。黒鮫隊の5人とも生存を確認し終えて、梅と話した。 
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