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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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十六章 前半
  撤退戦

「来るぞ!」

俺の鋭い声と共に地面が揺れる。やはり来たか。

「全員、気を付けろ!敵は地下から来るぞ!」

そして咆哮と共に地下から飛び出してきた鬼達の姿に、向かって風術で風の刃を作った。

「はあっ!」

風の刃は、こちらに向かってきた鬼を一閃した。

「左翼!地下から鬼の大群が出てきた。対応は任せる!」

『こちら左翼。地面から出てきた鬼達を殲滅中。ですが、数が多いのでそちらと合流は難しいです』

「そのまま攻撃をしていろ。合流するかは、俺の判断で決める!」

『了解です』

さてと、通信は完了と。トレミーからも地下から反応有だそうだ。

「とりあえず、俺を中心に動け。左翼は黒鮫隊の者が対応している。黒鮫隊は俺を中心に前へ出ろ。こいつらの未来を守るために死守するぞ」

『了解!』

「さてと、とりあえず伊賀者は全員途絶えたと俺は思う。だが、情報はあるし、安心しろ。これより俺の命により動け!」

『はっ!』

俺は空間から剣を出して、銃を取り出してから俺は大声で叫んだ。

「これより一真隊と黒鮫隊は独自に撤退戦を開始する。皆の者、旗の下に集え!」

「応っ!」

「俺のことは気にするな。俺はこの時代の未来のために来たんだからな。野郎どもにIS部隊、ひよや詩乃、一葉たちを守るぞ!」

『了解!』

「一真様・・・ですが、貴方が生き残らないと意味がありません」

「いいや、お前らが生き残らないとこの先の未来が見えない。俺より久遠だ。いいな、詩乃。鞠、詩乃たちを守ってくれ」

「うんなの!でも一真も生き残らないとダメなの!」

「分かっているさ。あと烏に雀!」

「・・・・・・」

「はーいっ!」

「これから始まる撤退戦は、鉄砲の火力が重要になる。こちらも頑張るが、八咫烏隊の働きをあてにするぞ」

「任せといてーっ!ってお姉ちゃんが言っています。公方様もひよや詩乃たちも、みんなみんな守ってやるんだって息巻いてますよー!」

「・・・・(コクッ!)」

「八咫烏隊のみんな、ジャンジャンバリバリ撃ちまくっちゃうんで、大船に乗ったつもりで居て下さいね!」

「お前らの働きを期待している。詩乃、この撤退戦は犠牲無くしては無理な戦いになるぞ。だが、あの三人を助けるときは一緒だぞ」

「はい。そのときには、三人を助けに参りましょう」

「よし。左翼は通信は出来るからまだ大丈夫だ。船からの情報のもとで、動く。生き残るためにな。黒鮫隊以外の者は詩乃の采配のもとで動け!詩乃」

「はっ!一真隊、足利衆、そして八咫烏隊!これより撤退戦に入る!差配は世に名高き今孔明、この竹中半兵衛が承ろう!各々方、安心せい!」

「・・・・あの詩乃が虚名を使って兵を鼓舞するか。・・・・その意気やよし。主様、幽、鞠。余らも死力を尽くそうぞ」

「もちろんなの!鞠たちが頑張っている間に一真の合図で、梅ちゃんたちを助けに行くの!」

「ですな。・・・・では意気揚々、歌でも吟じながら、死地へと赴きましょうぞ」

俺は黒鮫隊を集めていた。俺達には俺たちのやり方があるからな。

「野郎どもはアサルトライフルで、IS部隊はジャスティスで格闘戦をしながらのサバーニャで乱れ撃ちだ」

『了解!』

「まずは俺からだ。行くぞ、炎術と風術!風炎刃の舞!」

風の刃が舞うように動いて、聖なる炎で鬼達をバッタバッタ倒す。そしてサバーニャで乱れ撃ちのあとに、手榴弾で爆破させる。

「うわー、凄いなの!」

「これが主様たちの戦い方か。だが、こちらに漏れてきた場合は斬るしかないな」

俺達が撃ち漏れた鬼は、一葉や幽、それに鞠が次々と斬って行く。倒れゆく鬼達ではあるけど、俺たちが次々と撃っていくので、地面に出てきたと思ったら撃たれた鬼もいたけど。血を流し、銃の威力で断末魔をあげながら倒れていくが、俺たちが撃ちまくる。鬼達の表情は安堵したかに見えていたけど。そして、道筋が開いたので、後ろにいる一葉たちに言った。

「詩乃たち、行け!俺達の事は構うな。未来を切り開け!」

その道を指さしながら、俺は叫ぶ。

「は、はい!小波さんは私たちの護衛を頼みます」

「承知!」

「詩乃!俺の旗を上げながら進め!」

「はっ!」

俺の旗であるライガーゼロファルコンの旗を目印にして、集まる。

「八咫烏隊!鉄砲を撃ちかけよ!」

「おーっ!」

「・・・・・」

烏の指揮の下、八咫烏隊が素早く隊列を組んで一斉に発砲する。

「今です!八咫烏隊が広げた道を駆け抜けます!全軍突撃ーーーーーーーーっ!」

詩乃の指揮の下、俺達黒鮫隊が、開けた血路に全戦力を投入し、鬼を押し戻して行く。槍上手の者は槍を繰り出し、弓が上手い者は、後方から進路上の鬼を狙撃していく。押し包まれる度に、俺たちが発砲してからの八咫烏隊と一真隊の鉄砲隊が発砲する。鬼が怯んだすきに、俺達が狙撃する。その間に、前進する。前も後ろも、右も左も四方に囲まれているが俺達には関係ない。

「くそ、こんなところで・・・。母ちゃん、おれ、もう」

「諦めるな、俺の隊の者たちよ!」

言いながらも剣で斬りまくり出来るだけ、仲間達を助けながら行く。そして、IS部隊によるビットやビームブーメランで攻撃しながら、進んでいく。それなのに、仲間の屍を乗り越えて進もうとする隊の者たち。

「サバーニャ隊は乱れ撃ちまくれ、包囲を突破する!ジャスティス隊は、格闘戦術で斬りまくれ!皆の者、未来を切り開くためにもここで負けてはいかんぞ!」

「そうだ!こんなところで負けてなるものか!」

「生きて、生きて、生き抜いて。まだまだ人生とやらを味わい尽くしてはおりませんからなぁ!」

「大丈夫なの!詩乃たちは鞠が守るの!」

「まだまだーっ!もういっちょいくよー!」

前に行くために前進する俺達。前は詩乃たちで左右はサバーニャでやっている。後ろは俺と野郎どもたちとジャスティス隊だ。サバーニャ隊が撃ち漏れしたのを八咫烏隊や一葉たちが、斬って斬って斬りまくっている。左翼も鬼たちでいっぱいらしいが、俺たちについて行くように動いていると。前進あるのみ、その気持ちだけで仲間たちや兵たちはがむしゃらになって前進する。

「ほう。鬼がねぇ」

鬼達に変化があった。なぶり殺しが飽きたのかは分からないが、一斉に俺を見始めた。

「ほう、俺を見るといい度胸してるじゃねえか」

「主様を・・・・見ているだと?」

「・・・一真様、左手の物が」

そう、聖なる光で鬼達の目線をこちらにやっている。聖なる光で弱らせるが、敵である魔の者も呼んでしまうらしいが関係ないね。いつもより、強く輝いているけどね。その光を見て、鬼達は動き出すが、遅い!

「今だ!鬼達が俺に向いているから前進せよ!」

「はい!鬼が動いたことで、包囲に綻びが出ました。そこを突きます!」

「了解!八咫烏隊、斉射ぁぁーーーーーーっ!」

「敵が崩れたの!みんな今なの!」

と言って、前進する。一葉も幽も俺には構うなと言って前進させる。

「聖剣エクスカリバーよ。参るぞ!」

聖なる光とともに剣の分身体が現れて、一真隊の周りにいる鬼達をぶち殺したあとに俺も進む。こうして、鬼の包囲網を崩した後に皆を先に行かせたあとに、俺達で銃殺させながら後を追う俺達。で、今は夜になったが、まだ追ってくる鬼達。

「まだ追ってくるか、野郎ども。乱れ撃ちだ!」

「了解。さいわいこちらは弾が無限大ですので問題はありませんが、他の隊の鉄砲隊のが」

「わかっている。だが、こちらとあちらでは違うしな。サバーニャ隊はミサイルで爆撃をしろ!」

『了解!』

と俺たちは追ってくる鬼達を迎撃している。その間に、少しでもと休んでいるけどな。

「主様が相当頑張ってはいるが、限界というのはないのか?主様は」

「後ろは黒鮫隊の者と一真様でやっていますし、大丈夫でしょう。それに一真様は神仏ですから、体力も無限にあるかと。それにしても・・・」

「随分減りましたね・・・・」

詩乃の言うとおり、一真隊や他の兵も戦の前に比べて、今は半数以下になっていた。

「今はひよが兵の把握に努めています。その報告を待つしかありません」

「主様は神仏だからか、それとも英傑なのかは分からんが、余たちの先の未来のために一人で背負いこんでいる。何とかならんか?」

「今は黒鮫隊の部下たちが一緒なので、おそらく大丈夫かと。精神も体力もですが」

「一真はよくやったと思うの。一真の予感がなければ、鞠たちも討ち死だったかもしれないの」

と言っていた頃、俺たちはまだ戦っていた。IS部隊は問題ないが野郎どもの体力は消費している。

「お前ら、これを飲め!」

と言って渡したのは体力や気力の回復と疲れを吹っ飛ぶドリンクだった。渡したあとに飲み干した野郎どもは、回復した。なので、またさらに撃ちまくる。

「おらっ!これでも喰らえ!」

俺は剣を鞘に戻した後にガトリングガンを持って、野郎どもと一緒に一斉斉射した。あと、トレミーから爆撃をしてくれと頼み、GNミサイルを発射した。かなりの爆音で詩乃たちが居るところまで響いたが。かなり数を減らしたけど、まだまだだなーと思った。

「凄い音ですね。これが黒鮫隊の実力でしょうか」

「おそらくそうかと。本来ならご主人様のお側にいる事ですが、今ご主人様の近くにいるとお邪魔だと思いましたので」

「確かにな。あの音と爆音は主様たちの邪魔になるだけだ」

「私もですが、今は前進あるのみですね」

「・・・!皆さん!本陣付きの手の者から、たった今報せが入りました。久遠様、無事に敦賀方面に落ち延び、朽木谷に向けて移動していると」

「久遠様が無事ならば、一真様にも知らせねばなりませんね」

『知っているよ。そのことは』

突然一真の声が聞こえたと思ったら、半透明の一真が現れた。それは分身体であり、本体である一真は未だに戦っているとね。だけど、風の精霊が教えてくれたらしい。半透明の一真が消えてから、小波がさらに詳細を告げた。

「松永弾正少弼が先導し、付き添いは結菜殿。また浅井のご夫婦、柴田、丹羽、母衣衆も久遠様に付き添い、撤退をしたと。ただ、森一家、松平衆、そして一真隊を含む姫路衆の行方は未だに不明とのこと」

小波は殿である葵が行方不明とのことで悲しんでいたが、風が小波を包んだと思ったら一真の声が聞こえてきた。今は信じろと、あと左翼にいた者たちも無事とのこと。やはり黒鮫隊の者達も連れていて正解だったと。

「おい、お前ら。今は前だけを考えろ」

「主様!後ろはどうなっている?」

「爆撃によりビビって来なくなったから、ちょっと休憩しに来た」

俺は腰を下ろすと、さっき隊員に飲ませたドリンクを飲みだす。しばらく休憩した後に、俺たちが殿をやるからとにかく後退しろとな。あと八咫烏隊と鉄砲隊の者たちに鉄砲で撃つ者を創造により創った。これで何とかなるよーって喜んでいた雀。

「俺達が殿をするから、ひよと詩乃は先導を。中軍は一葉たちだ。鉄砲隊は八咫烏隊に任せる」

「・・・(コクッ)」

「分かった。主様も気を付けろ」

「それじゃ、行ってくるわ」

と言って、追ってくる鬼達を銃殺しながら、後を追う。

「皆さん、一真様がやっている間に前進します」

「「「はい!」」」

それからの逃避行は、地獄ではなかった。むしろ殿以外の者たちは、楽に走っている。たまに殿である黒鮫隊の者たちや、一真を見るが今は前に行くだけだ。走っても走っても鬼との間は、離すことはできない。俺の剣や野郎どものアサルトライフルで稼いだ後に、IS部隊による爆撃と一閃で終わらす。なのに、撃っても撃っても、数は減らない。おそらく、何かしらのワープゲートがあるのかなと思いながら進んでいく。弾は無限大で剣もまだまだ斬れ味抜群なので、こちらは支障はない。詩乃たちは、弾や弓矢を消費せずに逃げてるからなのか、少し余裕で進んでいく。

「ふう、山の中は方向感覚が狂うな」

夜闇ではあるが、こちらにはライトがあるためそれで、走っていたけど。

「山の中には、人を惑わす魑魅魍魎が多いと聞きますからなぁ。・・・・どうです一真様。あなたの魅力で魑魅魍魎をお仲間に加えませぬかな」

「それはいくらなんでも無理だ。神仏である以上、魑魅魍魎のは倒さなければならない」

「さすがにそうですよね。神様が神様を口説くことはできるんですよね?」

「それはたぶんできるな。普通の男だったら神を口説くなんて夢だろうな」

「余は神である!神であるぞ!・・・・だから、主様が余を口説いたら、夢が叶うぞ?ほれほれ」

「なんとも物騒で子供っぽい神様でありますなぁ」

「なんだ。良いではないか子供っぽい神が居たとしても。なぁ主様。可愛かろう?」

「何阿呆なこといってないで、前へ進め。それに神はここにいるからな」

まあ、子供っぽい神ならいるんだけどね。俺をお兄ちゃんって呼んでくる神が。まあ俺がそう設定したから後悔はしていない。

「ここ、どこですかねぇ・・・・」

「さすがに分かりかねますなぁ・・・・しかし月の位置からして、金ヶ崎よりも東北方向に進んでいるは、間違いないかと」

「ならば作戦通り、と言った所ですかね」

「主様、後ろはどうだ?」

「何か知らんが、動きが鈍くなっている。このまま距離を稼ぐぞ」

「隊長、鬼の位置ですが。じりじりと来ていますが、鈍くなっているそうです」

「報告ご苦労。引き続き、後ろを頼む」

と言ってレノックスは俺がいる少し後ろに行った。鈍くなっている間にジャスティス隊による攻撃で数は減っているけど。

「どういう理由かは分かりませんが、これで少しは息がつけますなぁ・・・・」

「うー、さすがに疲れたのぉ~・・・・」

と言いながら、竹筒に口を付ける。

「むー。お水、あとちょっとで無くなっちゃいそうなの・・・・」

「水は一大事ですなぁ。・・・・食料はひとまず、各自所持しているもので、二日三日は保つでしょうが」

「折角、ちゃんと用意してたのに・・・混乱の中でぜーんぶ捨てて来ちゃって・・・。勿体ないぃぃぃ~・・・」

「鞠、水筒を貸して」

と言って、水筒を貸してもらったあとに空間に突っ込ませてから、しばらくすると水一杯の水筒が現れた。

「何で水が一杯なのー!」

「みんな忘れていない?上空に俺たちの船があることを」

「あ、忘れていましたな。確か船には水があるのでしたな」

「あと食料もな。玉薬はまだ余裕があるだろう、雀」

「はいはい。まだまだ余裕でーす!お兄ちゃんたちのおかげで、まだまだ撃てまーす」

食料と水があるから、まだまだ余裕だけどな。あとは越前脱出までどれぐらいかかるかが問題だな。俺達が殿をしたおかげで兵もまだいるけど。

「小波、この周囲の状況を探ってきてくれるか?」

「承知!」

「気を付けて。絶対に戻ってきてください。・・・・私たちの生命線になるためですから」

「・・・そうやって、自分のことを心配してくれる。そんな方々が居てくれるこそ、必ず戻って来れます。あなた方とまた笑い合いたいから」

と言って行ってしまった。俺は通信機で左翼に行った者たちに通信してみたら無事とのことだった。ただ兵はやはり減っているとのこと。だけどサバーニャ隊とジャスティス隊で攻撃した後に逃げていると。俺は通信したあとに、ドリンクを空間切断で左翼にいたはずの隊員に渡した。これで野郎どものは大丈夫と。 
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