戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
十六章 前半
戦の始まり×態勢
一方一真隊では、俺が嫌な予感から帰ってきたところで、戦が始まっていた。
「お帰りなさい、一真様。で、予感は当たりましたか?」
「大当たりな。松平衆、綾那の煽動で、切腹したから回復させていつでも動けるようにした。あと綾那にハリセン一発と三河武士たちに命を無駄にするなと言っておいた」
「あははっ。さすが、三河武士ですね」
「で、今どうなっている?」
「はい。ここから見るに、森鶴の丸と厭離穢土の旗印の動きが活発ですね。三つ守亀甲は少し遅れ気味・・・・といったところでしょうか」
「さすが森一家に松平衆だ。あれだけ言っといても、三河武士は三河武士か。遅れているとはいえ、眞琴たちも鬨の声をあげたようだし。たぶん、市がやったのかと。出だしは順調だな。黒鮫隊のIS部隊は、ISを装着したまま警戒を厳重にしていろ。レノックス達もだ。通信機で最新の情報を聞くようにしろよ」
『了解です』
さて、俺も耳には通信機をはめている。風と地の精霊も俺の力となって警戒をしている。
「開戦したばかりですので、押すも押されるもありませんな。しかしながら気勢を見るに、怖じ気づいた気配はないでしょう」
「よし。ならばここは更に一押し、余が前線に」
「このアホ将軍がぁぁぁぁっ!」
パシィィィィィィィィィイン!
「何度言えば分かるんだ、一葉よ」
「うぅぅ・・・・主様、加減をしてくれないと困るのだが」
「自業自得だ、馬鹿者!幽、しっかりと一葉が前に出ないように見ておけ。鞠も頼む」
「承知」
「わかったの!」
と言っておとなしくさせといた。まったくこの戦好き将軍は。横からの鉄砲の音は和奏かな。良い働きをしているな。雀は鉄砲の使い方が上手いことから商売敵になりそうだと言っていたけど。
「大丈夫だろう。八咫烏隊より上手いのは我々だ。なあ、野郎ども!」
『うぉぉおおおおおっ!』
レノックスたちが、アサルトライフルを持ちながら鬨の声を上げた。沙紀たちも声はあげなかったが、手を上に向けて上げていた。
「まあ、詩乃や本職である俺達や雀に褒められたと知ったら、あいつ喜ぶだろうな」
「しかし森一家、松平衆、江北衆に比べ、些か押しが弱いのが気になりますね・・・・」
「まぁそこは仕方がないでしょう。母衣衆は殆どが尾張の弱兵ですから」
「なるほど。納得です」
「納得されてしまうほど、清州の兵は弱いんですねぇ、とほほほほほほー・・・・」
「大丈夫だろう。何度か黒鮫隊と俺で鍛錬したんだから」
でも弱卒は変わらないけどな。ここで小波の気配が感じたので向いてみると。
「ご主人様」
「お帰り小波。前線の様子はどうだ?」
「はっ。一乗谷に籠りし鬼の数はおおよそ五千程度。先鋒衆は善戦しており、当方が押しております」
「ああ、なるほどね。鬼達怯えていただろう?」
「はい。・・・・少し驚きましたが、あの・・・・・正直、森一家の戦い方が尋常ではなく、ご主人様の言う通り、怯え気味でした」
そう呟いた小波の顔は、少し血の気が引いてるようで青白くなっていた。
「まあ慣れないとそう見えるさ。森一家の戦いぶりは。慣れてない者が見ると血の気が引くと思う」
切れ味のある槍や刀で次々と薙ぎ払うって感じだろうな。あの二人の戦い方は、薙ぎ払うどころか、差して、ねじり、跳ね上げて、こねくり回すからな。たぶん腕と足を両断してから首でも刎ねてるんじゃねえのかな。
「他人事のように仰っていますが、お頭も森のお二方と鬼退治とかよくしていましたよね?」
「うむ。というか、最初から慣れたよ。戦い方を見てな」
「慣れたっ!?」
「慣れたというより、考えるのをやめたという感じだな」
「それ、人として大問題じゃ・・・・?」
「大丈夫だよ。俺は森のより考えて行動するからな。先鋒が押しているなら、前は心配はなさそうだな」
「・・・・ということは」
「思った通り後ろかな。風と地の精霊や船に言って何かあったら知らせろと、言ってあるが。小波、戻ってきて悪いが。人の目で見るのも大事だから頼む」
「承知!」
「小波が周囲を探っている間に、俺たちは念には念を入れるために態勢を整えておこう。・・・幽」
「手配は終わっております。足利衆は一真隊に組み込んでくださって結構」
「さすがだ。梅ところの二人は雫と組んで、左翼の兵を纏めろ。黒鮫隊の野郎どもは2名とIS部隊の3名も左翼に行ってくれ」
「了解致しました!」
「まあ雫さんでしたら、私の手綱を任せても問題ございませんわね。よろしくお願いしますわ、雫さん」
「は、はい!ころさん梅さん、若輩者ではありますが、よろしくお願いします!」
『了解です』
「詩乃と俺は右側に行こう。黒鮫隊も俺たちと来い。真ん中は一葉と幽。それと八咫烏隊だ」
「余が中央なのか?筋を通すなら、頭である主様が中央であろうに」
「これでいい。鉄砲の火力を正面に向ける。そしてその側面から俺達の鉄砲隊と黒鮫隊の銃で攻撃をする。一方向からではなく三方向から射撃すれば死角が少なくなり防せぎにくくなる。火線を交叉させることで、命中率、攻撃力は上がる。ということだ」
「ほぉ・・・・」
「なるほど。確かに一方向からの火線より、二つ以上の方向から一点に火力を集中した方が効果的ですね」
「そんな鉄砲の使い方があったんですね」
「俺達ならではの作戦だ。散開し、三方向からの射撃なら死角はないしな」
「さすがですね。お兄ちゃん」
「・・・・・・」
「お姉ちゃんも、さすが専門家ですねと言ってるよ」
「そういうことなんで、今回の配置はそれでいいか。諸君?」
一葉も分かってくれたので八咫烏隊も動くようにと言ったそうだ。俺達は俺達でやることだ、そして万が一のことを備えることだ。幽は、雀たちと流れの確認をした。
ページ上へ戻る