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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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十五章 幕間劇
  鍛錬×浅井家

「はぁぁぁぁぁあっっ!」

暗い森の中で、鋭い声が聞こえる。それは眠っている鳥さえも起こしてしまうほどの気迫。そこに通りかかった俺は、声の主を探していたら発見した。

「なんだ、市か」

「あれ、お兄ちゃん。どうかしたの?」

「鋭い声が聞こえてきたから、声の主を探してた」

「えへへ。ちょっと落ち着かなかったからさ。体、動かしてたんだ」

「相手しようか?」

「いいのっ?」

「もちろん。一人やるより相手したほうがいいしな」

考え事でぐるぐるしてるより、体を動かした方が楽になるかもしれないな。こういうことは、大抵は機体のメンテナスとかでしてるけどな。

「ということで、今回は剣でいかせてもらおうか。遠慮はいらん、かかってこい!」

「それはこっちの台詞!ちょええええいっ!」

言うと市は地面を蹴って、一気に近づいてくる。刀と拳だと間合いが違うけど、俺的にはこっちがやりやすい。

「ひゅっ!はぁっ!」

まあ、この刀は外見は真剣に見えるけど、刃は付いていない。構えたときに、擬態で刃を外したからなんだが。俺は刀を振るが、恐れる様子もなく拳を突き出してくる。市だから、たとえ刃があってもなくても関係ないかもしれないがけど。

「ほう。この前より速いじゃねえか」

「当たり前だよっ!お兄ちゃんに負けてから、市は修練を積んできてるんだからねっ!」

「その方がやりやすいものだよ」

「ひゃ・・・・っ!?」

繰り出された市の闘具の一撃に、刀の柄を叩きつけた。そして拳の軌道を外側にして、剣を打ち付けた。

「まだまだぁっ!」

カウンターで来たのは蹴りか。それを避けてからの蹴りを蹴りで返す。そして、その蹴りを返した直後に天閃と夢幻で俺が多数に見えたときには、俺は市の後ろに立っていた。

「これで終わりだ」

と言って刀ではなく手刀で首に当てていた。これでまた勝ったけど、やはりエクスカリバーは違うなと思ったけどな。

「また負けちゃった。でも、私はお兄ちゃんの恋人になった時点で勝てることはないと思ってたけど」

「恋人になってからではないぞ。いずれは俺の奥さんになることだ。それにこの前の事で気にしてるなら気にすんな。あの流れで恋人になって、覚悟まで決めとけという無茶はないんだからな」

「そうなんだ。市の考えてくることが分かるなんて、さすがお兄ちゃんだね」

「それに久遠だって、いきなり恋人にみたいな流れではないだろうに」

「あはは。お姉ちゃんらしいや」

「だから市も、無理をするな。ジックリとゆっくりと考えろ」

「ありがとう。お兄ちゃん、優しいだね」

と俺は市の顔をジッと見ていた。市は恥ずかしいのか、少し赤くなっていたけど。

「何か悩み事でもあるのか?」

「あのね・・・・」

やはりあったようだ。俺は話を聞いた後に浅井家の陣地の一角。そこにいたのは、俺が探していた人物がいた。

「眞琴」

「あ、兄様。どうかなさいましたか?」

「ふむ。悩み事か。とりあえずこれでも食って落ち着け」

やはり当たったのか、俺の手にある金平糖を食べながら、座り話を聞いた。

「気にしているのは、義景か?」

「・・・お察しの通りです」

「眞琴が気にするようなことではないぞ」

「分かっているんです、分かって入るんですが。兄様や市にも心配させているようで。最近はこの事でイライラして、冷たく当たってしまっているのは分かってはいるのですが・・・・。それでも、この気持ちはどうしても抑えられなくて」

それだけ眞琴にとって、義景という人は大きな人だったのだろう。大きな人が戦場で死んだのならともかく、鬼になっていることで平穏に居られないことは分かる。

「市も気を使って、距離を置いてくれているみたいなんですが・・・。そのせいで、寂しい思いをさせてしまっているんじゃないかって」

「言えばいいと思うが」

「市は、僕に格好良くあれと願ってくれていますから。そう思わせている時点で、僕は市の夫失格だなと」

「そんな無理をしなくても良い。市は全部分かっているのさ、妻が夫のことを分かっているならなおさらだ」

「だとしたら、なおの事僕もしっかりしないと・・・。市にもこれ以上、心配をかけたくありません」

「その気持ちは大事だ。だが、そこで無理をすると体を無理してしまうから余計心配させる。そうならないようにしないと、この先どうなるかは分からん」

「はい・・・・」

眞琴は納得の言ってない変事だった。返事もどこか迷いのあるような感じでもあったけど。

「俺はこの同盟のてっぺんでもあるからな。人の命を預かっている者だ。預かる者としては、迷いがあったら捨てろとは言わないが、相談に乗ってくれる人はお前にはいるだろう?」

「はい・・・」

「それにな、お互いが出来ることをすればいいのでは。お前と市のようにな」

「・・・あ」

人は得意なことや不得意がある。不得意な者には得意な者が補えばいいと思っている。もちろん、俺にもあるけど。それにそれを補う者は俺の妻や部下たちだ。

「一人で背負うより、眞琴と市やお前の仲間たちで背負えばいいんじゃないか。むろん俺も背負うが。だけど、そういうことも眞琴には負担がかかる」

「・・・・ありがとうございます」

これは言わなければ気付かないことだ。まだ負担だと思っているなら、その気持ちも一緒に背負えば良い事。

「何だか、少し気持ちが楽になりました」

「そっか」

「あともう一つ謝らなくちゃいけないことがありまして」

「んー。それは俺の恋人になったことか?」

「な、何でわかったのですか『人の心は読める物だ』な、なるほど」

「それに俺が一番ではなくて市が一番なんだろう?」

俺のことも尊敬してるが、一番は市だろうと思ったからだ。そんな半端な気持ちで俺の恋人になることは、久遠の失礼にあたるのではと。

「そういうのは最初から分かっていたことだ。俺はみんな好きだけど、本妻は一人だけというのは決めている」

「そうですか。でもそれで笑うのはいくら兄様でも失礼ですよ」

「悪い。だがな、眞琴も俺も市もそれでいいって言うならそれでいいだろう。両想いならなおさらだ。市に言ったら喜ぶぞ」

「流石に恥ずかしいですから・・・。兄様と僕だけの秘密ということで」

「そうか。ならば、俺も眞琴に謝らなければならない」

「・・・・・はい?」

「だってよ」

そう言って、目の前の眞琴に向けてではない。俺達の頭上に。そこに枝葉を伸ばす、木の上だ。

「・・・・え?」

「まこっちゃーーーーーーーーーーーーーーーん!」

「ええええええっ!?」

そこから落ちてきたのは。

「まこっちゃーん!」

「い、市っ!?」

「まこっちゃんまこっちゃんまこっちゃんまこっちゃんまこっちゃんまこっちゃんまこっちゃんまこっちゃんまこっちゃーん!」

頭上から飛び降りてきた市は、眞琴に首にしがみついたまま、力いっぱいその首を抱き寄せる・

「え、えええっ!?に、兄様っ!?」

「まあ、そういうわけだ」

「まさか市、上で・・・」

「聞いてたよっ!全部!」

「どこから!?」

「『・・・・お察しの通りです』から!」

「ホントに最初からじゃないか!」

話す途中からでは準備できないから、市が待機してたところに俺が眞琴を誘導させたんだからな。

「市が、眞琴が最近イライラして心配だったから。距離を置くか聞いた方がいいのか、悩んでいたからな」

いつもの眞琴なら頭上にいるくらい気付くはず。色々と悩んでるなら、市の気配さえ気づかないだろうと思ったからさ。

「市・・・・」

「まこっちゃん!市、ちゃんと分かっているからね!まこっちゃんが恐い時でも、ちゃんと分かっていたから!でも、よかった」

「何が?」

「まこっちゃんにお兄ちゃんの恋人になれなんて言って・・・・もしかしたら、余計な事しちゃったかなって思ってたから」

「それも聞いたんだろ・・・?大丈夫だよ。でも、市はそれでいいの?」

「良くなかったら、お兄ちゃんの恋人になれだなんて言わないよー!」

「うん・・・。色々心配かけて、ごめん」

「いいんだよ。でも、これからはたくさん市に話してね?カッコ悪いまこっちゃんも、恐いまこっちゃんも、市、ちゃんと受け止めるから。市はまこっちゃんの奥さんだからねっ!」

「市・・・・市ぃ・・・っ!」

「んもー。泣かないの。カッコ悪いよー?」

「でも・・・・カッコ悪い僕でも、いいんだろ?」

「市の前でカッコ悪いのは、可愛いから許してあげる。けど、国人衆の前では、カッコイイまこっちゃんでいてね」

「うん・・・・。分かった・・・・分かったよ・・・・っ!」

市の小さな身体を抱き返して、眞琴は声を上げて泣き出している。

「お兄ちゃんも・・・」

「おう」

市の声に併せるように、俺も泣きじゃくる眞琴の背中をそっと抱き寄せた。あと翼を展開した。

「あ・・・兄様・・・。格好悪い所、お見せしてしまいました」

「気にするな。泣きたいときに泣けばいい、ここには誰もいないしな。俺は二人の恋人であるがいずれは妻に向かえる者だ。相談に乗るのも俺の仕事だ」

「お兄ちゃん、ありがとう。お兄ちゃんがいてくれたから、市たち、もっと仲良くなれたんだよ。あと暖かい」

「俺も二人がそうなってよかったよ。あと心を落ち着かせる効果のあるのを注いでいる」

翼は光出して癒しのあるのを二人に注ぐ。これで大丈夫だろう。眞琴から礼をされていつもの笑顔に戻った眞琴と市。

「そうだ、市。金平糖食べるだろうから、あーんしろ」

「食べる食べる。あーん。うーん、やっぱり用意してよかった。すっごく甘くておいしいよ」

「眞琴も食べるだろう?」

「あ・・・・はい。・・・・・あーん」

そして今日は、いつもより素直な眞琴の口の中に金平糖を入れる。

「美味しい?」

「はい・・・。・・・えへへ」

「ふふふっ、まこっちゃんってば顔赤いよー」

「そういう市こそ」

「だってー。仕方がないでしょー」

「・・・うん。好きな人から、こうして食べさせ合うのって、こんなに胸がドキドキするものなんだね」

と言って、今度は真剣な顔を向けられた。翼は収納済み。市も真剣な表情になって、眞琴は俺に向き直る。そして言おうとするが勇気が足りないのかな。それをカバーしようと市が手を握る。そして。

「・・・・お慕いしてます、兄様」

「まこっちゃん・・・」

「ごめんね、市。市と一緒にいるのも、胸の中が暖かくなって好きなんだけど・・・」

「それ以上は言わなくていいよ。・・・市も、一緒だから」

「市・・・」

「だから言ったろ。ちゃんと話せば大丈夫と」

「はい。それで・・・こんな僕でも・・・構いませんか?市、兄様・・・」

「眞琴だからいいんだよ。な、市」

「うん。市も、まこっちゃんも、お兄ちゃんも・・・大好きだよ」

そんな二人は、座っているところに来て、俺にキスをしてきた。キスした後はもうお分かりだろうけど行為をした。そのあとのことだったが。

「眞琴に市、次の戦、力を貸してくれ」

「もちろんです。・・・兄様も、僕たちに力を貸して下さい」

「当たり前だ」

知っている歴史ならこうはならないだろう。そして史実通りなら、浅井は次の決戦で重要な役割のはずなのだから。でも俺の目の前にいる者は、そうすべき理由がない。で、この戦が終わったら久遠と結菜と眞琴と市で行為しようと言ってきたが上等だ。 
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