| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ソードアートオンライン VIRUS

作者:暗黒少年
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

攻略会議

 
前書き
プログレッシブはこの話だけ入れることにします。 

 
 茅場晶彦の話が終わるとともに、すぐに街を出て迷宮区を目指した。茅場晶彦をを倒すために、一刻も早くこのゲームをクリアするために相当はーどなレベル上げを行ったりした。

 そのおかげでレベルはもうすでに十を軽く越え、武器も両手剣、銘は《シェイカー+8》、街で買える一番高価で攻撃力の高い武器だ。それを幾度にも強化して8まで上げた。ちなみに正確さ(A)に2、重さ(H)に4、丈夫さ(D)2に振り分けてある。

 そしてあの日から約一ヶ月ぐらいたった迷宮区の帰り道、一人のプレイヤーがいた、というよりも待ち構えていた。

「よう、久しぶりだナ。今回は2日か、速かったナ。死にそうにでもなったカ?」

「うるせーよ。武器の切れ味が悪くなったから研ぎに帰らなきゃならないんだよ、アルゴ」

 話してきたのは、《鼠のアルゴ》と言う情報屋だ。このプレイヤーにはよく情報を仕入れてもらいよく売ってもらっている。

「そうカ。それよりいい情報がある、聞くカ?」

「疲れてるから手短に頼む」

「実は明日の四時、《トールバーナ》の広場で第一層攻略会議がある」

「……第一層攻略会議か。ようやくボス部屋を見つけたってことか」

「ああ、その様子言い方だと、もうやったのカ?」

「ああ、もちろんやったぜ。HP半分くらいまで削つことはできたけど回復道具が切れたから諦めた。もう生き返ることが出来ないし、死んだら終わりだからな」

「それもそうだナ」

「じゃあ、俺は帰るぜ。情報提供ありがとう」

 そう言って帰ろうとするとアルゴに腕をつかまれる。

「おイ、何帰ろうとしてるんダ。結構稼いでんだロ。情報料1k払いナ」

「ただじゃねえのかよ!しかも、その値段は何だ!異常に高いじゃねえか!」

「当たり前ダ。お姉さんは篭りっぱなしで碌に情報無いお前さんにこうやってお前が帰ってくるのをここで待って教えてやってるんダ。この位の値段でも安いほうだゼ?」

「ッく!」

 本当のことなので反論ができない。仕方なく、自分のウインドウから1k(1000コル)をアルゴに渡す。ウインドウに振り込まれたのを確認するとまいどあリ~、と言って疾風の如く立ち去っていった。さすが、鼠の名は伊達じゃなかった。

「ハー。無駄な出費が出たな。まあいいや。帰ったら食材使って飯を作るか」

 そうため息を吐いてから、街へと続く帰り道を歩き始めた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 一日開け、今日は第一層攻略会議があるため、迷宮区には行かないことにしている。そのため朝からなにもすることが無く暇であった。昨日のうちに武器の手入れ、装備品チェックをしたからいまは特にやることはない。

 俺の現在の装備は、黒に近い灰色のフード付きケープ、白のコートに黒のズボン、そして金属の胸当てと肘当てといった、結構な軽装備である。

 フード付きのケープを被ってる理由は、一ヶ月前のあの出来事のときに叫んだのがまずかったらしく、あれ以来自分は、βテスターではないのかと言われているからである。だから、この装備を付けていなくては自分のことを知っているプレイヤーが言い寄ってくるためだ。

 しかし、このまま何もしないのも落ち着かないのでとりあえず、料理スキルの熟練度上げを行うことにした。昼の弁当がてらサンドウィッチを作る。だが、この世界の料理は簡略化されすぎていて、どこか味気無かった。現実では何度も作っていたのだがこの世界ではそういう手順も簡略化されているため本当にした感じがしない。十分ぐらいで作り終わり、特にすることも無いので広場で寝て待つことにした。

 広場は中央に噴水、そしてそれを半円状に階段状の台で囲まれている。広場に着くがやはり六時間前なので、誰もいない。街のほうをちらほらと歩くプレイヤーが見える。それだけだ。

 特に場所の指定などされて無いだろうし適当なところに座ろうと思い、一番前の段のところに腰を降ろし、眠りに着いた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 熟睡までとはいかなかったがなかなかよく眠れた。目を開けて、辺りを見渡すがまだ誰もここに着てないようだ。時間を確認してが二時とあと二時間も集合時間まで余裕がある。とりあえず昼を過ぎてちょうど腹も空いたので昼飯を食べることにした。

「おっ、早いナ。それとも暇なだけカ?」

 サンドイッチを出すと同時に、後ろから声をかけられた。しかし、その声は見知った人物のものだったため、後ろを振り向かずに答えた。

「最後のほうだ。アルゴ」

 そっけなく答えた後、朝に弁当として作ったサンドウィッチを取り出す。

「何だかうまそうなものだナ。何処のものダ?よかったらその情報を売ってくれるカ?」

 アルゴが聞いてくるので答えた。

「売ってねえよ。自作だ」

 そう言ってアルゴを見るとが意外そうな顔で自分を見ていた。

「何だよ」

「いや、お前って結構ダンジョンこもってるからちゃんとしたもの食ってないってイメージがあったからナ。普通の物を自分で作って食ってて逆に驚いタ」

「どんなイメージだよ。それと俺が料理作れて悪いか」

 昼食時はそんな他愛の無い会話をしながら時間を潰していく。そして昼食を食べ終わり、アルゴと少しの情報交換をしていると、どんどん人が増えていく。ようやく集まったのか、話が始まった。攻略会議で演説をしているのは、《ディアベル》と言う、青髪のイケメンプレイヤーだ。最上階の階段を見つけたと言う話でそれが終わったあと、突然誰かが声を出した。

「ちょお待ってんか、ナイトはん」

 サボテン頭の特徴のありすぎるプレイヤーそういった後、飛び降りてきた。

 降りてくるといきなり全員に聞こえるように見渡しながら言った。

「その前に、こいつだけは言わせてもらわんと、仲間ごっこはでけへんな」

「発言は大歓迎だがでも発言するなら名乗ってもらいたいな」

「……フン」

 サボテン頭は盛大に鼻を鳴らすと自分の名前を叫ぶ。

「わいは《キバオウ》ってもんや」

 なんか、自意識過剰な名前だなと思っているとそのキバオウというプレイヤーは話し始めた。

「こん中に、五人か十人、詫び入れんとあかん奴らがおるはずや」

「侘び?誰にだい?」

 ディアベルが質問をする。すると憎々しげに吐き捨てるように言った。

「はっ、決まっとるやろ。今までに死んでった二千人に、や。奴らが何もかんも独り占めしたから、一ヶ月で二千人も死んでしもたんや!せやろが!!」

 この言葉を聞いた瞬間、奥歯を強く噛み締める。この一ヶ月、自分の知らないうちに二千人もの人間が死んでしまったのか、そう思い悔やむ。そしてディアベルは厳しい表情で確認をとるようにして聞いた。

「……キバオウさん。君の言う《奴ら》とはつまり……元βテスターの人たちのこと、かな?」

 キバオウはその言葉を聞くとまた憎々しげに言う。

「決まっとるやろ」

 スケイルメイルをじゃらりと鳴らし、ながら全員を見回しながら言う。

「β上がりどもは、こんなクソゲームが始まったその日にダッシュはじまりの街から消えよった。いい例に、チュートリアルの終わり直前に茅場晶彦に叫んだ奴や」

 その言葉を聞いて、

(あ、それ俺)

 と心の中で思った。

「そいつらはビギナーを見捨てて、うまい狩り場やクエストを独占して自分だけぽんぽん強うなって、その後もしらんぷりや。こんなかにもちょっとはおるはずやで、β上がりを隠してボス攻略の仲間に入れてもらお考えてる小ずるい奴らが」

 なんか、キバオウというサボテン頭の野郎のせいで隣にいる奴とかがβテスターなんじゃないかとみんなが疑心暗鬼になってきている。するとこちらのいるほうをキバオウが見るとしばらく怪しげな目を向ける。そして、こいつやな、と完全に決め付けた顔をして指を指しながら叫ぶ。

「そこのフード被ってるお前!ずっと見取ったが怪しい!素顔見せぇ!」

 どうやら自分のことらしい。そう言う事なので、フードを取った。するとキバオウや他のプレイヤーたちが見て驚く。なぜならその顔はこの中のほとんどのプレイヤーが見覚えがあるからだ。

「お前、あのときの茅場晶彦に叫んだ野郎やないかい!!お前のような奴がいたからみんな死んでいったんや!!はよ詫びいれい!!」

「そうだそうだ!!」

 野次馬どもも、乗って騒ぎ始める。ため息を吐きながら、俺はディアベルに発言許可を得て言った。

「サボテン頭。俺はゲツガって言う。みんなの言う通り、あの日に叫んだ奴だよ」

「誰がサボテン頭や!!」

 キバオウはそう叫ぶが他のプレイヤーは自分の正体を曝け出したことに驚き、ざわめきだす。

「さっきの暴言よりも、βテストでの情報、アイテム、お金を渡して、死んでいった奴らに詫び入れんかい!!」

 また周りから野次が飛ぶ。しかし自分はベータテスターではないから言った。

「俺は、βテスターなんかじゃねえよ。信じてもらえないだろうが言っとく」

「そんなの嘘にきまっとるやろ!はよせんかい!」

 キバオウがそう言うと、アルゴが入ってきた。

「サボテン頭、こいつはテスターじゃないゾ。なんせ、こいつ最初にバトルしてるのを見たラ、武器も使わずにモンスターと素手で戦ってたんだからナ。しかも、聞いたとき武器の存在すら知らなかったとか言うニュービーダ」

 素手で戦ってたのはほんとのことだ。最後の方はアルゴなりのフォローだろう。つうか、最初のあの戦い見てたのか?そう思うが今は関係ないかと思い忘れることにする。それを聞いたキバオウは、唸った後に言った。

「……あんたがそういうなら信じたる」

 キバオウはあっけなく引いた。そしてキバオウは次の標的を探すべく、辺りを見回していた。するとチョコレート色の肌にスキンヘッドの大男が挙手をして言った。

「発言、いいか」

 その威厳のある声によってあたりがシーン、と静かになる。

「俺の名前はエギルだ。キバオウさん、あんたはさっき言った通り、ビギナーを見捨てたテスターたちに責任を持って謝罪しろということだな」

「そ……そうや」

 キバオウは一瞬気圧とされたように片足を引きかけるが、何とか留まったようでそのままエギルという男を睨め付けて叫ぶ。あいつらが見捨てたせいで死んだんだと、そう言うとエギルは自分のポケットから一冊の本を取り出した。

「あんたはそう言うが、キバオウさん。金やアイテムはともかく情報はあったと思うぞ」

 そう言って鼠マークが描かれた表紙を叩いた。それはアルゴの書いたものだろう。

「このガイドブック、あんただって貰っただろ。ホルンカやメダイの道具屋で無料配布してるんだからな」

 道具屋で無料配布してるのか、しかしアルゴが無料配布。俺に対しては無駄に高額な値段で売ってくるのに何でただなんだ、アルゴのほうを見ると、理由が知りたければ10k払いな、と目で言ってるように見えた。

 そして、エギルが死んだ理由は、全部がβテスターのせいじゃないと言うことを言うと、キバオウはしぶしぶ戻っていった。その後でディアベルが前向きの声かけと盛大な掛け声でで終了した。 
 

 
後書き
加筆修正しました。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧