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ソードアートオンライン VIRUS

作者:暗黒少年
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デスゲーム化

 
前書き
今回は少し長め。 

 
 いきなりのことで目を瞑っていたが、ざわざわとした感じにすこし疑問に思った俺は目を開けてあたりを確認する。

 俺のいた場所はログインした時に出てきた《はじまりの街》の中央に位置する大きな広場であった。

 何でこんなところに転移したんだと疑問に思ったが、まずは今の状況を確認したほうがいいと考え、辺りを見回した。

 周りには、何百、いや何千人ものプレイヤーがいて、今もなお転移の青いベールがあちらこちらで確認できる。

「何が起こってるんだ。システムの不具合?それともなんかのイベントか?」

 今起きていることが何なのか分からないまま、じっとしていると、重要そうな言葉が聞こえた。

「どうなってんだ。ログアウトできねえぞ」

 ログアウトができない?何を言ってるんだ、そんなのウインドウのメニュー画面にあるだろう。

 説明書に書いてあっただろう?聞こえた声の野郎はログアウトの仕方も知らないのか、と思いながら自分も、指を振ってウインドウを開くと、ログアウトボタンのある場所を開く。

 しかし、ウインドウのログアウトボタンがあるところには、何もなかった。

 何かの間違いだと思い、俺は、ウインドウの画面を片っ端から調べ始める。だが、いくら探してもログアウトボタンはどこにもなかった。

 とりあえずウインドウを消して少し心拍数の早くなっている心臓を落ち着かせるために深呼吸をする。いかなる時でも冷静でいたほうがいい。

 そして、あらかた心拍数もいつもどおりになり、落ち着いたところで周りからの声が大きくなっていたことに気付く。

「おい!どうなってんだ!説明しろ!!」

「俺が知るかよ!それよりもゲームマスター出て来い!!」

「いや!!ここから出して!!」

 罵声などが広場中に飛び交う。そして、そんな中誰かが指を上空に向けながら叫んだ。

「あれはなんだ!?」

 その声を出していたやつは、何か怯えるような感情の瞳で上空を見ていた。その指の指している空を見ると、オレンジ色をした夕焼けだった空が一部だけ血のような真っ赤に染められていて、【warning】、そして【system announcement】という文字があった。

 しばらくすると、空が赤い六角形の形に幾重にも広がっていく。そしてその六角形と六角形の間から、血のような赤い液体がどろりと落ちてきて、数メートル上空で人の着るようなローブだけの形に変化した。

(あれがゲームマスターか?)

 だがあれはいくらなんでもファンタジー系のGMにしては不気味すぎるだろ、そんなことを思っていると、そのゲームマスターらしきローブから声が発せられる。

『プレイヤー諸君、私の世界にようこそ』

(何を言ってるんだ、これは?)

 そう思った瞬間、またゲームマスターと思わしきローブだけの物体がしゃべり始める。

『私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』

 その名前を聞いたことはあるが、何処で聞いたかは覚えてないし、どんな人物かも知らない。和人なら知ってるかもしれないが、今はログインしているのかすらも分からない状態だ。

 しばらくして、また茅場晶彦が話しはじめる。

『プレイヤーの諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅していると思う。しかしゲームの不具合ではない。繰り返す。これは不具合ではなく、《ソードアート・オンライン》本来の仕様である』

 ログアウトができないものが本来の仕様?

(ふざけるなよ……そんなのゲームなんかじゃねえ)

 そう思って、口にだそうとしようとしたが、また茅場晶彦が話し始める。

『諸君は今後、この城の頂を極めるまで、このゲームから自発的にログアウトができない』

 自分にはよく理解できないまま、話は進んでいく。

『……また、外部の人間の手による、ナーヴギアの停止あるいは解除も有り得ない。もしそれが試みられた場合━━━』

 わずかの間の後、衝撃の言葉が発せられる。

『━━━━ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる』

 その言葉に対し、怒りを覚える。

(生命活動を停止させる?ふざけるな!閉じ込めた挙句、人の人生を奪うって言うのか!?ゆるさねえぞ!人の命をなんだと思ったやがる!)

 怒りの言葉がどんどん出てくる。しかし茅場晶彦は自分一人のこの気持ちに気づくはずもなく、話を進めていく。

『より具体的には、十分間の外部電源切断、二時間のネットワーク回線切断、ナーヴギア本体のロック解除または分解または破壊の試み━━以上のいずれかの条件によって脳破壊シークエンスが実行される。この条件は、すでに外部世界では当局およびマスコミを通して告知されている。ちなみに現時点で、プレイヤーの家族友人等が警告を無視してナーヴギアの強制除装を試みた例が少なからずあり、その結果』

 茅場晶彦が一息ついていった言葉に堪忍袋の緒が切れそうになる。

『━━残念ながら、すでに二百十三名のプレイヤーが、アインクラッド及び現実世界から永久退場している』

 永久退場、つまり茅場晶彦はこのゲームを買った何の罪もない人の命を奪ったのだ。さすがに大声を張り上げて、怒鳴ろうとしたが今はチュウトリアル中だ。せめて最後まで聞いて言おう。そのため、怒りを治めるためただ目を閉じた。

 しばらくして怒りが収まることは無かったが幾分冷静になって目を開ける。目をあけると周りのプレイヤー、否、全プレイヤーがメニューウインドウを開いていた。

 何かあったのかと思い、自分もウインドウを開く。アイテムストレージの中にモンスターアイテムではなく、《手鏡》と言う、見に覚えのないアイテムがあった。それを全プレイヤーが出していたので自分も手鏡を出現させる。

「なんだこれ?ただの鏡か?」

 鏡のガラスを見た瞬間、いきなり青いベールに包まれた。瞬間的に目を瞑った。そしてようやく光が収まったのを確認すると、目を開ける。とりあえず転移などのものではなかったようだ。

「なんだったんだよ……って嘘だろおい……」

 何もないと思っていたが鏡をもう一度見た瞬間、唖然とすることしかできなかった。なぜなら、映っていたのは、昼間に作ったアバターの顔ではなく、現実世界の自分の顔だったからだ。

 驚いていると茅場晶彦の声が聞こえてきた。

『諸君は今、なぜ、と思っているだろう。なぜ私は━━SAO及びナーヴギア開発者の茅場晶彦はこんなことをしたのか?これは大規模のテロなのか?あるいは身代金目的の誘拐事件なのか?と」

(そんなのどうでもいい。関係ない奴らを殺す、そんな腐った野郎の言葉なんか聞かなくていい)

 しかし、茅場晶彦は続けて話す。

『私の目的は、そのどちらでもない。それどころか、今の私は、すでに一切の目的も、理由も持たない。なぜなら……この状況こそが、私にとって最終的な目的だからだ。この世界を創り出し、観賞するためにのみ私はナーヴギアを、SAOを造った。そして今、全ては達成せしめられた』

 茅場晶彦の話が区切りがついたのか喋らなくなった。だから今、茅場晶彦に自分の怒りを乗せた言葉をぶつける。

「茅場晶彦ぉー!」

 俺の叫び声、もとい怒鳴り声により一気に自分に視線が集まるがそれに構わず叫ぶ。

「お前がやろうとしてることは俺のような凡人には分からない!だがな、お前のやってることは虐殺と同じだ!お前のつまらない思想のせいで人生無茶苦茶にされたら困るんだよ!だから!」

 一呼吸置いてまた大声で叫ぶ。

「お前を必ず倒す!!」

 そう叫んだ。すると、ローブの中には顔がないはずなのに笑うような表情が見えた気がした。

『ふはは!面白い……なら、君が私のくだらない思想とやらをぶっ壊されるまで見物させてもらおう……以上で《ソードアート・オンライン》正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤーの諸君の━━健闘を祈る』

 そしてローブが液体に戻り、逆再生されたように空に戻っていった。その瞬間、俺は《はじまりの街》からでも見えて、上の層に向かって伸びている塔に向かって走り出した。

 速く茅場晶彦、この事件の主犯を倒すために。 
 

 
後書き
あの人って言うのは後々紹介します。SAO編終了あたりだと思う。 
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