ソードアート・オンライン 神速の人狼
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人狼
前書き
うゎい!ケンケンさんとコラボしてもらえたよ♪
初コラボめっちゃ嬉しいです!(゚∀゚ )三 三( ゚∀゚)」
元攻略組プレイヤー:ユーリ。彼は目にも止まらぬ高速の太刀筋から"神速"と呼ばれ、"黒の剣士"キリトと双璧をなすソロプレイヤーの1人として、アインクラッド第48層まで最前線で活躍していた。また、舞うような体捌きと美少女の容姿から"舞姫"とも呼ばれていた。ただ、この二つ名を本人の前で口にすると八つ裂きにされるので注意が必要である。48層が解放され、しばらく経つと消息を絶ち、約一か月以上もの間姿を見せていない。
◆
「まさか、噂のプレイヤーがユーリだったとは思いもよらなかったな」
「それは私も驚いたよ。それに頭のソレどうしたの?」
「…………後でまとめて説明するよ。で?俺をどこに連行する気だよ」
第50層の迷宮区でアスナとキリトの二人に捕まってしまったユーリはドナドナと呟きながら、二人の間に挟まれ第50層主街区《アルゲート》の市内を歩いていた。通りがかる人達が何事かとこちらを向いてくるのを煩わしいと思いながらおそらくホームで待っているであろうシィへとメールを送る。
『キリアスに捕まった。多分、遅くなる』
メールを送って、1分もしないうちに『ハハハ、ついに捕まったか笑笑』と返信してきた。少なからず、幼馴染みに殺意を抱く。
「なぁ、ユーリなんでフード取らないんだよ。」
「取れるか、阿保。それにとったら色々と騒ぎになるだろ。ただでさえ、自分の容姿は目立つのにこれ以上目立ちたくないんだよ。…………あと、害虫避け」
ただでさえ、容姿が美少女なユーリが噂のプレイヤーだと知られれば騒ぎが大きくなるし、それを差し引いても女性が少ないソードアート・オンラインの世界において男どもがアプローチをかけてくるのだ。鬱陶しいことこの上ない。
「着いたぞ。ここがエギルの店だ」
ついた場所は一軒の店で中を覗くとプレイヤーが大柄褐色スキンヘッドの男に恐喝されているような場面が伺える。
「ヘェ〜、エギルさんって見かけによらず商売人なんだね。」
「あれは商売人っていうよりヤクザか、ブツの取り引き人だろ。」
「おい、聞こえてんだよ!って、血盟騎士団副団長のアスナさんじゃねーか。それとそっちのローブ被ってる奴は誰だよ?」
カツアゲを終えたエギルは青筋を額に何本も浮かべながら店内から出てきた。そして、アスナがいることを認識すると怖すぎる表情を二ヘラとだらしなく緩ませる。
「とりあえず、中に入れてくれよ。話はそれからだ」
店内に入るとカウンターテーブルがある一角に通され、コーヒーが振舞われる。自分で淹れた方が美味いな……。
「で?そいつが例の噂のプレイヤーか?」
早速話題を切り出してくるエギル。こっちをガン見しないで欲しいんだが?主に顔が怖いのと、キモいので
「まぁ、そういうことになるな。ユーリもいい加減フード取ったらどうだよ。どうせもう逃げられないしさ。」
「その逃げられなくした張本人に言われたくねぇよ!はぁ、もういいや。」
諦めフードを取り、素顔を見せる。エギルは大きく目を見開きフリーズしてしまう。
「マジか、人狼はユーリだったのか……道理で姿を見せたくないわけだわ。その髪と耳じゃなぁ。クク、けどまさかあの舞姫が人狼だったとは…………」
「エギル?喧嘩売ってんなら高く買うぞ?」
そう言いつつ、ナイフを数本投擲する。それを必死になって避ける。とりあえず、商品は狙わずにターゲットだけを狙っているので問題ない。
「おまえ、容赦なさ過ぎだろ⁉︎っあぶね!商品に当たったらどうするつもりだこの野郎!」
「大丈夫だ、お前だけを上手く狙ってるから。それと死ね!」
それから数分間必死になってナイフを回避し続けるエギル。二人に助けろと目線を送るが二人は自業自得だと返すと、我関せずと言わんばかりにコーヒーを啜る。
ようやくユーリの怒りが収まった頃にはゼーハーと息も絶え絶えな状況になっていた。
◆
「さて、本題に入ろうぜ。ユーリのその容姿はなんなんだ?特殊なスキルなのか?」
「物凄く突然だな……。まぁキリトの問いに対してはイエスだな。そのまんま"人狼"って言う名前のスキルだ。効果はステータスの強化と一部スキルの補正、あとはこの髪色と狼耳の強制って言ったところだな。」
「しかし、男に獣耳って似合わねと思ってたが、案外似合うものだな。意外と可愛いぞ、ユーリ」
「男に可愛いは褒めてねぇよ。」
それだけ説明すると《フェイス・チェンジ》を起動させ、髪色は黒になり、耳が消える。キリトは勿体無いな〜と密かに呟いたが聞き耳スキルにも補正がついてるためバッチリ聞こえている。あいつ、こういうのが趣味なのか?
「それでどうやってそのスキルを入手したの?」
「ん〜、クエストの初回クリア特典的な?とりあえず、クエストをクリアした時にこのスキルを入手するかどうかが出てきてイエスを押したらこのざまだよ。」
「え?じゃあ、うちの団長の"神聖剣"みたいなユニークスキルって事?」
「いや、あんなチート染みたものじゃないだろ。それにただの早い者勝ちってだけだからな。体術とかのエクストラスキルの分類じゃないか?」
その説明を聞いてふーんと納得する。
そして、メールが一通届いたようで内容を確認すると「あ、ゴメン。ちょっと急用できたから、じゃあね」とだけ言い残して店内を出て行ってしまったアスナ。
紅一点であるアスナが消えたことと話題もあらかた出尽くした事で話が続かなくなり、沈黙した雰囲気の中、キリトがローブの下から見え隠れしている白いふさふさした尻尾を指差しながら口を開く。
「なぁ、ユーリ……それ触っていい?」
「明日の情報誌の一面に『黒の剣士、謎の変死体で見つかる』って記事が載っても構わないならいいぞ?」
キリトの問いに関してニッコリと笑顔で答えるが要するにBU☆THI☆KO☆RO☆SUと言ってのと同義である。冷や汗を額に大量に浮かべなから、手を引っ込める。さすがに己の好奇心より命のが大事らしい。
「さて、もうそろそろ帰るわ。それと俺こと人狼の正体はくれぐれも内密に。バレたら、とりあえずお前ら二人を半殺しにしに行くからよろしく。じゃあな、エギル今度会う時はアイテムの買い取りでも頼むわ。」
「……さらっと怖いこと言うな」
「お、おう、じゃあなユーリ。客としてなら、いつでも歓迎するぜ」
バレた時の報復の事に関して戦々恐々としながらも営業スマイルで見送る。
◆◇◆
「迷った……どこ、ここ?」
エギルの店を出たはいいものの現在、右も左もわからない状況で絶賛迷子中のユーリだったりする。
第50層主街区《アルゲート》は薄暗くさらに入り組んだ作りをしているため、初見で奥の方まで行ったプレイヤーが出てこれなくなったという説話はよくある。そして、ユーリもその哀れなプレイヤーの内の一人となってしまったのだ。
「もう…ヤダここ。転移、コラル!!」
諦めたように呟くと転移結晶を用意し自身のホームがある場所を唱える。青白い光がユーリを包み込み、薄暗い町から脱出することに成功するのだった。その際、ユーリはもう二度とこんなところに来るか!と強く心に決めたのだった。
◆
第22層【コラル】
小さな湖畔がいくつもあり、このフロア全体が森林に囲まれた層。そして、転移門から離れた所にある大きな湖の前にユーリとシィが住むホームがある。
家の玄関の前までつくとなにやら人の話し声が聞こえてきた。誰だろうと思いつつ、扉を開け中に入る。そして、同居人のシィの他にもう一人の人物を目にして、ズッコける。
「な、なんでアスナが居るの!? お前、急用ができたんじゃなかったのかよ……いや、まさかシィか。」
上半身を起こし、二人を見るとアスナはニコニコとし、シィはニシシと笑みを浮かべている。どうやら、アスナを呼び出したのはシィで正解らしい。
「まさか、ユーリ君がこんなところに潜伏してるとはね〜。思いもよらなかったわ」
「けど、いいところでしょ?景色もいいし、空気も澄んでるしさ。」
シィがお家自慢を始め、ガールズトークが再開されたので一旦自室へと行き、この頃よく部屋着として着ている紺色の布地に白色で雪結晶があしらわれた浴衣に着替える。その姿をアスナが目にすると頬を微妙に紅く染める。どうした?
「なんか、ユーリ君の女子力がアップした気がする……どうしてそんな似合うのよ」
「褒められているのか、貶されているのかわからないんだけど…」
「ユーリの可愛さを褒めてるんだよ!」
またこの展開かよ…とため息を吐きつつ適当に受け流す。男相手なら、容赦無く制裁できるが女性相手にはそうはいかないので対応に困るな〜と内心悩むユーリ。
「ねぇ、その浴衣ってどうしたの?そんなの何処のお店でも見かけた事ないけど」
アスナが自分が着ている浴衣に興味を示したのか凝視している。
「ふふん、それは私作だよ、アスナ。ちなみに裁縫スキルは完全習得してます!」
誇らしげにない胸を張るシィ。阿保プラス余計に貧相な胸が強調するからやめろよと内心でツッコム。
「えぇ⁉︎すごい!今度私にも服作って!」
「いいよ〜、幾つか作って余ってるのがあったからあげるね♪」
それを聞いたアスナはヤッター♪と舞い上がる。バーサーカーのアスナさんは何処へ?
「あと、ユーリは料理スキル完全習得だから。ユーリの料理は絶品だよ〜」
「嘘!?ま、負けた……男の人に……。なんでユーリ君ってこんなにも女子力高いのよ……。」
急に落ち込み、床に"の"の字を書き始めるアスナ。さっきから俺への流れ弾が酷い気がするんだが⁉︎
「そう落ち込むなって、ついでに晩御飯も食べてく?」
うんと小さく傾く。まだショックから立ち直れていない様子。なんかものすごく罪悪感があるんだが……
それはさておき今日は何作ろうか……。そう考えながらキッチンに立つ。
まずはパスタ麺を茹でて、茹で上がる時間までに具材となる野菜などを刻んでおく。と言っても、包丁を一振りすればすぐに任意の切り方で切れるようになっているのだ。現実とは違い、簡略化され過ぎて作る楽しみというものが半減しているSAOの料理。と、そんな事を考えてたらパスタが茹で上がったようである。これも通常5分は茹でるところを1分で済ませれる。そして、茹でた麺と切った具材をフライパンに入れて一緒に炒め、味付けにケチャップを混ぜ合わせれば完成。たった3分で完成!超お手軽&時短ナポリタンの出来上がりである。
「なんかいい香り。何を作ったの?」
「ナポリタン?」
「何故、疑問形⁉︎」
「いや、ピーマンの代わりに人には言えない緑色の謎物質を使ってるから」
「え、なにそれ超怖い⁉︎食べて大丈夫、ソレ⁉︎」
「安心しろ、毒じゃない……」
「なぜ目を逸らす!」
シィとボケとツッコミの応酬をしながらもテーブルの上をセッティングし料理を並べていく。終始、アスナの視線が料理に釘付けになっているのだが……。
「じゃあ、食べますか。いただきます」
「いただきます。」
フォークでパスタ麺を巻き取り、パクリと一口食べる。アスナはその味に目を見開いて驚く。
「あっ、美味しい!しかも、この味、…………。もしかして、ケチャップ!?どうやったの⁉︎」
驚きの余りにユーリの肩を掴んで前後に激しく揺さぶる。それもそのはず、このSAOの世界において現実世界の味を再現できる物は少なく、見た目は林檎、味は桃みたいな外見と味がそぐわないものがほとんどである。さらに調味料などほとんど無く、あったとしても塩くらいである。
「ちょ、吐くから揺らすのやめて!」
「あっ……ごめん、ユーリ君」
ようやくアスナの暴走が止まり、解放されるユーリ。危うく調味料の作り方とは別の物を吐きそうになっていたところである。
「作ったんだよ。ところでアスナ、料理スキル今どの辺?」
「え?今は……600くらいかな?けど、作ったってどうやって?」
「まぁ、完全習得すればわかるけど、スキルの熟練度あげると食べ物の味覚エンジンを解析できるようになって、色々組み合わせて調味料とか作れるようになるんだよ。それで、かたっぱしから味覚エンジンを調べまくって、ついに『ケチャップ』を完成させました。めでたしめでたし。」
そこまで話、再度アスナの方を向くとドナドナと呟きながら、お皿フォークで突っついていた。アスナさ〜ん、もうお皿の上は空ですよ〜って聞いてねぇ⁉︎
なにやら呟いているので耳を澄ますと、「男の子に負けた……いや、男の娘に負けた……」と聞こえてきた。ものすごく貶されている気がする
「まぁ、料理は毎日するからアスナもすぐに完全習得できるって。」
「そ、そうだよね!けど、まさかユーリ君一か月、誰も見かけなかったのって……。」
「そうだよ。ほぼ毎日厨房に篭っては料理の研究してたよね〜。あれは狂気染みて怖かったな」
「まぁ、そのおかげでこうして美味いもの食べれるからいいだろ。それにケチャップ以外にもできたし」
「だね〜。この前はテリヤキソースとか作ってマクド○ルドのバーガーとか再現してたもんね。アレは美味しかった」
この前作った照り焼きバーガーの味を思い出したのか表情がだらしなく緩む。あの時は驚きの余りトリップしてたもんな。
一方、二人の会話を聞いていたアスナは目を丸くしていた。
「なんなのこの人…………男の子のくせして、可愛くて、強くて、女子力高いって……ハイスペック過ぎるって」
終いには、チートや!ビーターや!と叫び出すアスナ。ドードーとシィが宥め、事無きを得る。
◆
「そういえば、なんでアスナが居るんだっけ?」
晩餐が終わり、食後のティータイムを楽しんでいる時にふと疑問に思った事について尋ねると
「「え、今更⁉︎」」
二人の声が綺麗にハモる。
「いや、だってさ、帰って来た頃にはアスナは既に居たし」
「あー、そうだったね。まぁ、ぶっちゃけ私がアスナを呼んだんだけどね〜」
あっけらかんとして言うシィはユーリはまたかと思う。
「実は二人にお願いがあります」
二人の会話を聞いてる中でアスナは紅茶を一口、口に含むと真剣な面持ちになり、二人に向き合う。その表情はかつてボス戦攻略会議で見せた時の表情そのものだった。
「二人に次のボス戦に参加してもらいたいんです。第50層のボスは前回のクウォーターポイント、25層の時と同様、今までよりも苦戦すると思われます。だから、『神速』と『死神』と呼ばれた二人にぜひ協力してもらいたいんです。お願いします」
椅子から立ち上がり、腰を90度曲げ、頭を下げる。
「ん〜……いいよ」
「ああ、俺もバレちゃったしな」
「そうですよね……やっぱダメですよね……ん?っていいの!?」
あっさりOKされた事に驚く
「けどさ、一旦攻略組から抜けた俺らがまた堂々と参戦していいのか?少なからず、批判は出るんじゃないのか?特に青竜連合とかさ……あいつらそういうの煩いじゃん」
「別に二人は攻略組の中でもトップランカーだから大丈夫だと思います。もし出たとしても私が黙らせます」
「あ、アスナ……意外と怖いこと言うね〜」
アスナの気迫にシィが若干引いている。流石、攻略の鬼と呼ばれただけあるな〜
「あと、こっちからも条件出していいか?」
「え?あ、はい」
「俺のスキルの事に関してボス戦が終わるまで黙っていてくれ。単に俺が悪目立ちたしくないからなんだけどな…」
正直、自分の我が儘なのだがアスナはわかりましたと一つ返事で了承してくれる
「あと、優秀な武器職人を紹介してくれないか?アスナのそのレイピアってプレイヤーメイドだろ?見た感じかなり優秀だと思んだけど」
一瞬、驚いたものの快く教えてもらえた。どうやら、48層のリンダースという主街区にあるらしい。
「じゃあ、攻略の日時が決まったらメールしますね。じゃあ、もう帰るね」
シィがじゃあね。とアスナを見送る。
「はぁ……またボス戦か。」
約一か月ぶりのボス戦の事を思い、一人呟く
「ところでさ、ユーリはあのスキル使うの?」
アスナを見送り、戻って来るなり俺の隣に腰掛け、肩を寄せてくる。シィがこういう風に甘えてくるのは少なからず心配な事がある時なのだが……
「危なくなったらな……それに今の武器じゃ使えないしな〜。その辺はアスナが紹介してくれた子に期待かな?って寝てる?」
隣を見るといつの間にかシィが規則正しい寝息を立てて眠っていた。恐らく久しぶりにはしゃぎ過ぎたのだろう。そのままにしておくのは可哀想なのでソファに横にし、毛布をかけておく。
「んん……ゆぅりぃ」
「はぁ……俺は大丈夫だから。それに……前みたいにお前を危険な目に合わせない」
寝言で自分の名前を呼ぶシィを見ながら決意を新たにするのだった。
後書き
そう言えば、なんでユーリって尻尾触らせないの?正直、モフリたい……
ユーリ「うっ……それは……」
シィ「説明しよう!ユーリの尻尾と耳は本来プレイヤーにない部分にも関わらず、強く握られたりするとヘンな感じがして、力が入らなくなるのだ!某デビルーク星人みたいに弱点なのだ!まぁ、私は常日頃からユーリが油断して、隙を見せるのを虎視眈眈と狙ってモフッてやろうと企んでいるけどね〜」
つまり、びんかn「ズシャ!」……チーン
シィ「えー、もし触ろうとするとこの駄作者のように容赦無く殺ってくるのでくれぐれも細心の注意をはらってモフリにいきましょう。では、次回もよろしくぅ♪」
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