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『自分:第1章』

作者:零那
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『墓』

そんなことをモヤモヤ考えてた。
家に居たくなくなった。
ばぁちゃんに会いに行った。
ばぁちゃんに会った記憶は無いのに、小さい時から何かあると、墓に...ばぁちゃん処に来る事、何回もあった。

ばぁちゃんや先祖さんの墓を廻ってた。
うち、先祖絡みから色々ややこしい。
墓が10以上もある。


此処に来たら必ず言われてたことがある。

『墓の中の生物は殺したらあかん。アリも踏んだらあかんで!』

『同じ名字の墓は全部、同じ気持ちで手を合わせなさい!』

お地蔵さんばっかりが集まってる処...そこも、数体は教えられた。

一番疑問を抱いたのは、手作りの小さい墓。
自分が昔から動物たちの墓を作ってたみたいな感じの墓。
詳しくは誰も教えてくれん。
未だに謎のまま。
此処に墓参りに来る人達に聞いてみたりもした。
島人。
昔からの繋がりもある。
絶対何かは知ってる筈。
でも、知らんフリをする。
噂好きなおばちゃんですら、これに関しては子供には教えられんって感じで口を閉ざす。
どぉしても知りたいなら、じぃちゃんに直接聞きなって。
何回も聞いた。
ムダ。
何も言ってくれん。

何なんかも知らん墓を参るのは正直気持ち悪い。


ただでさえ、ばぁちゃんと同じ名字の墓が多くて不思議やのに。
他の人達は、見よっても何ヶ所も参る人は居らん。
理解ができんかった。

ただ、兄ちゃんが昔、何か言ってた。
うちの先祖と隣の家の先祖が関係在るのは確からしい。
先祖同士は兄弟だったとか夫婦だったとか。
ばぁちゃんの親と、じいちゃんの親は禁断の関係だったとか略奪だったとか。
近親相姦の子も居たらしい。

うちの先祖は、親族絡みで子孫繁栄してきたらしく...血筋が汚い。

もしかしたら、あの墓は、生まれてこれんかった、もしくは殺された不義の子...だったりするんかな?


母さんの兄姉は7人、そのうち1人の家の息子。
子供ながら親族周りにろくな人間が存在せんのは解ってた。
名前とかも覚える気すら無かった。
その親戚の兄ちゃん。
7歳の頃、わけもわからず胸を触られたり下着に手を入れられたりしてた。
確実に血が腐ってる。

それでも、それを上回る異常変態が母さんの再婚相手になるとは到底想像もつかまい...


そんな昔のことから最近のことまで改めて鮮明に思い出してしまった。
相当滅入った。
兄ちゃんが、じぃちゃんちに向かったのが見えた。
帰るの嫌。

でも、なんかドッと疲れたから横たわりたい。

とりあえず港に向かった。
バス停の小屋。

精神的にもキツかった。
今なら死ねる。
やけくそな気分。
どうにでもなれや!的な...
 
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