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ロックマンX~朱の戦士~

作者:setuna
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最終話 Finale

 
前書き
X6エンディング。
 

 
日は既に地平線に吸い込まれるようで、酷く大きく見えた。
夕焼けが目を焼くほどに熱く、紅い。
エイリアは彼方を見遣り、かつて研究所だった、今は瓦礫の山でしかない場所を確認する。
彼女達はエックス達から通信を受け、ゲイトの秘密研究所にやって来た。
ゲイトに会いたい。
会ってゲイトに一言言いたいと思って来たのだ。
彼女の他にもシグナスやダグラス、アイリスの姿もあった。



































瓦礫の山には複数の影があった。
エックス、ルイン、ゼロ、ルナ…そしてゲイト。

ゼロ「取り敢えず終わったな」

夕焼けを見上げ、ゼロは呟く。

エックス「ああ、そうだな」

ゼロの言葉にエックスが答える。
ルインはルナに支えられたゲイトを見遣る。
ゲイトは意識を失っているが、もう取り返しがつかないような傷は負っていない。

ゼロ「…ゲイトを連れて帰るんだな?こいつはこの事件の元凶なのに……」

エックス「分かっているよ。彼が犯した罪は重い。でも、エイリアの同僚でルインの友人だと思うと…放っておけないんだ。彼にはこれから罪を償って欲しい。少しずつでもいいから…前に進んで欲しい」

ルイン「エックス…」

ルナ「……」

ゼロ「そうか…」

エックスは罪を犯した者にさえも優しい。
ゼロが微笑んだ時、エックスは不意に親友の顔を覗き込む。

ゼロ「どうしたエックス?」

エックス「あ、いや…ゼロに会った時にさ、俺は何て言おうかって考えてたんだ。“何で連絡してくれなかったんだ”って怒るか、“心配した”って悲しもうかって…でもゼロに会ったらそんな悩みは吹き飛んだよ」

ルイン「そうだね…私も言いたいこと一杯あるはずだったんだけどね。ゼロに会ったら言いたいこと全部吹き飛んじゃった」

ルナ「だな、俺も似たようなもんだし」

3人の笑顔にゼロも笑みを浮かべる。

ゼロ「心配をかけたな」

ルナ「お?丁度お迎えが来たようだぜ?」

彼女が指差した先にはエイリア達の姿があった。

エイリア「みんな、大丈夫?…あ、ゲイトなの…?」

彼女はエックス達に笑いかけて、それからゲイトに視線を落とした。

エックス「大丈夫。命に別状はない…君の同僚なんだろ?余計なことだったらすまない」

エイリア「ううん…ゲイト…よかった彼が生きていてくれて…ありがとうエックス」

彼女がエックスに向けて浮かべた笑顔は息を呑むほど美しかった。
彼女はいかにも仕事が出来る女性で、普段異性を寄せつける雰囲気が無いが、この笑顔はエックスどころかゼロ以外の男性が見惚れる程であった。

エックス「え?あ、ああ…」

ルイン「……え?…え…?」

ゼロ「?」

アイリス「ふふっ…」

シグナス「やれやれ…」

ルナ「なあ、あれってもしかして…」

ダグラス「だろうな…」

思わず赤面してしまうエックス。
初めて見るエイリアの表情に疑問符を浮かべるルイン。
理解出来ていないゼロ。
エイリアのエックスへの想いを知るアイリスの微笑。
苦笑するシグナス。
ニヤニヤと笑いながらエックスとエイリアを見遣るルナとダグラス。

シグナス「さて、任務完了だな。これで…いや、これから長い任務が待っているぞ。みんなで地球を再建しなければ」

地球を再建するという任務が自分達には残っている。
シグナスは総監らしく厳しく、しかし優しさの篭った声で言った。

ダグラス「何でも直してやるぜ!!メカニックとしての腕の見せ所だ!!」

ルナ「俺も出来る限り力を貸してやるよ。ただし料金は高いぜえ!!」

ダグラスとルナの明るい声が場を和ませる。
みんなで力を合わせて頑張っていこう。
長い旅は始まったばかり。
今度こそ、人間とレプリロイドが平和に暮らせる世界…“ヘブン”を創ろう。
ここにいる仲間達と共に。

アイリス「そうだわ、ゼロ」

ゼロ「ん?」

アイリス「あなたに渡したい物があるの」

そう言って、アイリスはゼロに渡す。

ゼロ「これは…」

アイリス「あなたの大切な物でしょう?」

それはゼロが愛用していたセイバーであった。

ゼロ「アイリス…お前…ずっと持っていたのか?」

アイリス「ええ、エックスとルインが私からゼロに渡して欲しいって…あなたが生きてるって信じていたから…」

ゼロ「そうか…ありがとう。アイリス…」

ゼロはアイリスからセイバーを受け取り、優しい笑みを浮かべた。

エックス「ところでエイリア」

エイリア「何?」

エックス「事件は解決したけど…君は……」

心配そうに言うエックスにエイリアは微笑んだ。

エイリア「大丈夫よ私は…ゲイトが目を覚ましたら1回ひっぱたいてあげないと気がすまないもの…」

エックス「あ、あはは…お手柔らかにな…。」

苦笑するエックスだが、次の瞬間、優しい表情でエイリアに尋ねる。

エックス「もう…大丈夫だな?」

エイリア「ええ、ありがとうエックス。あなたのおかげで私は前を向くことが出来そうだわ」

ルナ「おいおいルイン、やばいんじゃね?」

ルイン「何が?」

耳打ちするルナにルインが首を傾げた。

ルナ「いや、何が?じゃねえよ。見たところエイリアはエックスが好きみてえだし、強力なライバルになるんじゃね?」

ルインは見つめ合うエックスとエイリアを見つめると2人の元に向かう。

ルナ「(修羅場か!?)」

アイリス「(宣戦布告!?)」

緊張する2人。
しかし…。

ルイン「ねえ、エイリア?」

エイリア「何?」

ルイン「エイリアはエックスのこと好きなの?」

爆弾発言。
ゼロ以外の時間が停止する。

エイリア「え?ええ!?」

エックス「ル、ルイン!?何を言ってるんだ!!?」

ルナ「いくらなんでもストレートすぎんだろ!!」

アイリス「ル、ルイン。いくらなんでも本人に聞くのは…」

ゼロ「聞くのに何か問題があるのか?」

ダグラス「………」

シグナス「コホン…」

ルインの問いに赤面するエックスとエイリア。
頭を抱えるルナ。
顔を引き攣らせるアイリス。
疑問符を浮かべるゼロ。
エックス達をジッと見るダグラス。
わざとらしく咳ばらいをするシグナス。
全員の視線はエイリアに向けられる。

エイリア「あ、あの…その…」

ルイン「好き?嫌い?ねえ、どっち?」

エイリア「好きか嫌いかと言われれば……前者…だけど」

彼女の答えにルナはニヤニヤと笑う。

ルイン「そっか、エイリアはエックスのこと愛してるんだね!!」

エックス「ぶっ!?」

エイリア「あ、愛…!?」

再び放たれた爆弾発言にエックスは吹き出し、エイリアは更に赤面する。

ルイン「エイリアも一緒にいよう?」

エックス「え?」

エイリア「ル、ルイン?」

ルイン「嫌?」

エイリア「嫌じゃないけど…あなたはいいの?エックスとの時間が…」

ルイン「うん、私。エックスのこと大好き。そしてエイリアも大好き。3人でずっと一緒にいよう」

ルインが2人の腕を掴み、寄せる。
エックスはルインとエイリアを見遣る。
ルインは満面の笑みを浮かべ、エイリアは更に赤面している。

ルナ「両手に花って奴か…」

ダグラス「羨ましいねえ、エックス」

エックス「い、いや!!俺は…」

ゼロ「別に構わんだろう?」

エックス「ゼロ!?」

ゼロ「ルインもエイリアも1人のレプリロイドだ。お前が必要ならそれに応えてやったらどうだ?」

エックス「ぐっ…」

逃げ道を塞ぐゼロの言葉に口を閉ざすエックス。
確かにルインもエイリアも女性型レプリロイドでも美人の部類に入る。
自分も男なので、2人に好意を持たれるのは嬉しい。
しかし…。

ルナ「だあああ!!ウジウジしてんな!!好きって言われてんだから応えやがれ!!男ならシャキッとしろシャキッと!!」

エックス「だ、だが…」

シグナス「…これにて任務完了だな……」

アイリス「そ、総監。止めなくていいんですか!?」

ゼロ「強引に終わらせたなシグナス……」

こうしてナイトメアウィルス事件は終わりを告げた。 
 

 
後書き
取り敢えず、X6で区切りをつけて、X7は次の作品に書きたいと思います。 
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