美しき異形達
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第二十話 錬金術その十二
「このラーメン屋よさそうだな」
「あっ、そのお店ね」
向日葵が中華料理店の前で声をあげた薊に笑顔で言った。
「そのお店評判いいのよ」
「あたし直感で思ったんだけれどな」
「味も値段もサービスもよくてね」
その店のことを知っている言葉だった。
「特に炒飯がいいのよ」
「へえ、炒飯か」
「山盛りで」
「それをがっつり食うって訳だな」
「そう、しかもね」
向日葵はにこにことして薊に話していく。
「このお店の娘さん二人いるけれど」
「二人姉妹か」
「お姉さんが凄い美人で妹さんもね」
「美人さんなんだな」
「そうなの、凄いから」
こう薊に話すのだった。
「美人姉妹も看板なのよ」
「そうか、美人さんかあ」
「美人さんを観ながら食べるのよ」
その炒飯をだというのだ。
「中々いいものよ」
「じゃあこの中に入ろうか」
「そうね、炒飯とね」
ここで裕香も話に入って来た。
「他にも頼んで」
「炒飯は中華料理の基本だからな」
それで、とだ。薊は店の窓の食品サンプルの陳列を見ながら言った。炒飯だけでなく中華料理の定番が一通りある。
「それが美味いとな」
「いいっていうのね」
「そうなんだよ」
「私の村は食堂とかもね」
そうした食べものの店もだったというのだ。
「全然なかったけれど」
「おいおい、そんな場所あるんだな」
「だから田舎だから」
それも山奥のだ。
「そうしたお店すらね」
「何か凄い場所だったんだな」
「本当に何もなかったから」
「中華料理店もなかったのね」
向日葵も裕香のその話を聞いて驚いていた。
「食堂とかおうどん屋さんも」
「そうしたお店もね」
全くなかったというのだ。
「喫茶店もなかったから」
「ううんそんな場所なの」
「まだ日本にはそうした場所があるのよ」
所謂隠れ里の様な集落が、というのだ。
「あるから」
「そうなのね」
「だから中華料理店のこともね」
炒飯のそれも、というのだ。
「今聞いたのよ」
「そうだったの」
「けれど炒飯は」
「ああ、中華料理の基本でさ」
薊はあらためて裕香に話した。
「だからこのお店もな」
「今から入って」
「食おうな」
「炒飯は外せないし」
向日葵もにこにことして二人に話す。
「あとラーメンにね」
「餃子もだよな」
「この三つが美味しいとね」
「中華料理店はいけるな」
炒飯と並んでだ、ラーメンと餃子も中華料理の基本だからだ。特に日本の商店街にある様な中華料理店ではだ。
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