美しき異形達
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第二十話 錬金術その十一
「私もあまり大きいと」
「困るよな」
「邪魔になるっていうかね」
「そんなに大きな胸っていいのかね」
「欲しいって娘も多いわよね」
向日葵は歩きながら左隣にいる薊に言った、右隣には裕香がいる。
「私達の周りにも」
「ああ、結構な」
「小さいっていう娘もいて」
「そんなに胸が大きい方がいいのかね」
「どうなのかしらね」
「あたし的にはさ」
薊はこう言うのだった。
「背かな」
「背が欲しいのね、薊ちゃんは」
「そう聞かれるとな」
身体的にだ、何が欲しいかというと、というのだ。
「もっとな」
「そうなのね」
「そうなんだよ、大林素子さん程じゃなくても」
「あの人はまた特別でしょ」
「あそこまではないか」
「だってあの人一八〇はあるでしょ」
男でも相当な高さだ、日本人だけでなく。
「そこまで大きいとね」
「大き過ぎるか」
「桁違いよ」
「あの人までは無理か」
「幾ら何でもね」
そうだと言う向日葵だった。
「流石にね」
「そうか、まあそこまでは考えてないけれどな」
「それじゃあどれ位なの?」
「あたし今一五五だから」
小柄と言えばそうなる。
「あと十センチはな」
「一六五ね」
「それ位かね」
望む背丈は、というのだ。
「やっぱり」
「一六五あればいいのね」
「それ位でいいよな、現実的に」
「そうかも知れないわね」
「中学に入ってから成長止まったんだよ」
つまり背が伸びなくなったというのだ。
「胸とかはともかくな」
「そういうものよ、女の子って」
裕香がぼやく薊に向日葵を挟んで言う。
「どうしてもね」
「中学辺りで成長止まるよな」
「背はね」
「だよな、それで男がな」
「大きくなるのよね」
「どんどんな」
第二次成長期は女の子の方が早い、しかし結果として大きくなっていくのは男の子の方なのだ。
「小学六年であたしの方が大きくても」
「今は、よね」
「成長止まったよ」
中学で、というのだ。
「まあチビとか言われたことはあまりないけれどな」
「小さいって言われたら嫌?」
「それ位で怒らないけれどな」
それでも、というのだ。
「やっぱりいい気はしないよ」
「だからなのね」
「ああ、もうちょっとな」
背は、というのだ。
「欲しいな」
「そうなのね」
「一六五な。まあとにかく今は」
「お買いもの楽しもう」
「三人でな」
薊は裕香に応えてだ、そうしてだった。
向日葵を入れて三人で買いものを楽しんだ、商店街の中でそれを楽しんだ。
そしてその商店街の中でだ、薊は一軒面白そうな店を見付けた。その店はというと。
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