美しき異形達
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第十九話 友人と仲間その八
「八条グループはこの学園も経営しているけれど」
「八条学園全体が、ですね」
「そう、若し八条グループが怪人を作っていてね」
そしてとだ、智和は六人と裕香に話していく。
「君達を消そうとするのなら」
「最初から薊ちゃん達をこの学園に入れないですよね」
裕香は薊達を見つつ言った。
「まず」
「うん、ないよ」
「そうですよね」
「入れずにね」
そうして、というのだ。
「こっそりとね」
「怪人を送って、ですね」
「消そうとしているよ。その消し方も」
「それもですね」
「やっぱり怪人を次々に送るよりもね」
それよりも、というのだ。
「毒なりスナイパーなりを使うよ」
「そうなりますよね」
「うん、そちらの方がコストはかからないからね」
怪人を作るよりも遥かに、というのだ。
「東映の特撮とは違うから」
「じゃあ本当にどういった組織なんでしょうか」
「冗談抜きで悪の組織とかじゃねえよな」
薊は胡座をかいて腕を組んだ姿勢で言った。
「何とか博士とかの」
「何とか博士って」
「よくあるだろ、特撮だと」
薊は智和の話を受けて裕香に言うのだった。
「そういうのが何かの理由で仕掛けてくるとか」
「何とか博士って」
「そうそう、あるだろ」
「ううん、予算とかも」
「ああいった組織がどういった収入源あるかは知らないけれどさ」
「とにかくそうした組織がなの」
「あたし達に仕掛けてるのかもな」
こう言うのだった。
「ひょっとしてだけれどな」
「ううん、組織ねえ」
「まあどっちにしてもあたし達だけ狙うってのは鍵だろうな」
「そうね、そのことはね」
共にいる裕香も智和も相手にしない、あくまで薊達だけ狙って来る。裕香もそのことについて言うのだった。
「かなり重要よね」
「だよな、あたし達全員が孤児で」
「ご両親もわからなくて」
「力を持っててな」
「しかも怪人がいる」
「組織、怪人、あたし達だけ狙う、あたし達が全員が孤児でな」
「力もある、重要な鍵は五つね」
裕香は薊と共に話をまとめた。
「今回は組織について考えたことになったわね」
「結果としてね、国家ではないことがわかったよ」
「そうですね」
裕香はまた智和に応えた、言われてみればその通りだった。智和の頭脳はただ学校の成績がいいだけではないのだ。
「そして他の組織にしても」
「相当な組織だよ、そして」
「そして?」
「個人だとしても」
そうであっても、というのだ。
「相当な人だよ」
「技術も設備も予算も持っている」
「世界的な富豪か」
若しくはとだ、ここでも推理を働かせる智和だった。
「好きなだけお金を作り出せる人だろうね」
「好きなだけ、ですか」
「株とかをしているとね、完璧に読み切ると」
「お金が好きなだけ入るんですか」
「そうした人はまずいないけれどね」
先物取引でもだ、こうしたものは不確定要素が多い。特に穀物の先物取引は気候が大きく関係するので読み切ることがかなり難しい。
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