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美しき異形達

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第十九話 友人と仲間その九

 しかしだ、完璧に読み切れる人物ならというのだ。
「若しいたら」
「お金を好きなだけ、ですか」
「手に入れられるよ」
「そうした人でしょうか」
「うん、そうだよ」
「何か錬金術みたいですね」
「だから現代の錬金術とも言われているんだ」
 上手くいっていれば金が信じられないまでに手に入るからだ、ただしあくまで上手くいけばだ。
「少しでも読み違えたら大変なことになるからね」
「株は難しいんですね」
「だから投資家は難しいんだ」
 それ故にだ、まさに。
「一瞬でも油断出来ないしね」
「錬金術も大変なんですね」
「楽にお金を儲けることは出来ないよ」
 智和は微笑んでこの現実を述べた。
「ブログをするにしてもそうらしいしね」
「人がよく来るブログでないと、ですね」
「アフィリエイトをしてもね」
 そのブログを収入源にする為にそれをしてもというのだ。
「人がいつも来る、そして買いたいと思うものを出さないとね」
「ブログも儲からないんですね」
「そうだよ、努力が必要だよ」
 そうしたものだというのだ。
「それが世の中だよ」
「莫大な予算の時点でまずないですか」
「まあ。若しも本当の錬金術を手にしていたら」
 中世まで密かにだが盛んに行われていたそれが本当のことでありしかも実現を果たしているのなら、というのだ。
「まさに無限にお金が入ってね」
「怪人を作り出せていますか」
「そうだよ、それに錬金術はお金を生み出すだけじゃない」
「他の技術もあるんですか」
「ホムンクルスなりね」
 智和はこちらの存在の名前も出した。
「それもね」
「ホムンクルスですか」
「つまり人造人間だね」
「怪人もそうですよね」
「うん、まあ錬金術は科学のルーツの一つでもあってね、馬鹿には出来ないものだけれど」
 それでもとだ、智和は七人の少女達に話していく。
「実際に他の物質を金に出来るかどうかは」
「無理だろ」
 すぐにだ、薊が智和に突っ込みを入れる様に言った。
「幾ら何でも」
「いや、それがね」
「違うのかよ」
「実際にしていたと言われている人もいるよ」
「おいおい、マジかよ」
「パラケルスス博士やサン=ジェルマン伯ですね」
 菖蒲が言って来た。
「そうした人達ですね」
「うん、どちらも伝説上の様な人達だけれど」
「実在はしていたのですね」
「二人共公の記録に残っているよ」
 このことは間違いないというのだ。
「だから実在人物であることは間違いないよ」
「では」
「錬金術は本当にあったかも知れないよ」
 智和はこの可能性は否定しなかった。
「少なくとも否定はね」
「しにくいですか」
「結局人間は小さいものなんだよ」
 達観した様な言葉もだ、智和は少女達に述べた。
「知っていることも僅かだよ、だからね」
「錬金術もですか」
「そう、実際に石を金に変えてもね」 
 例えを出し手の話だった。
「それも有り得るかもね」
「若しそんなことが出来たら」
 菊は目を輝かせて言った、いささか金というものへの思い入れもそこに見えている。 
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