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テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ―そして、僕の伝説―

作者:夕影
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第六十一話





──あのウンディーネのアドリビトム加入や暁の従者との和解から数日…あのジルディアのキバへの対策が遂に進んできた。
カノンノが成功してみせた『ディセンダーの力』の転写。その転写を安全に成功させる手立てを、リタをはじめとする研究組がついに完成させたのだ。
それは…『手を繋ぐ』。国も、身分も、種族も関係無く…他者と文字通り『繋がる』事で、『ディセンダーの力』を転写させるのだ。

リタ達は暁の従者の二人を降ろす際にその説明をし、そして彼らにその事を世界の人々に一人でも多く伝える事、そして同時に手を繋ぎ、『ディセンダーの力』を広げる事を頼んだ。
暁の従者の二人はこの事に『自分たちに出来ることなら』、と喜んで承諾してくれた。


そして…封印次元の最後の材料であるウズマキフスベのドクメント。
暁の従者の協力で手には入った切り株からは確かに、ウズマキフスベのドクメントが解析出来た。
ただこのウズマキフスベは繁殖性を持っておらず、一時はドクメントの採取が不可能、となりかけていたが…カノンノが肉体と精神のズレで皆のドクメントが見えていた際に見えた、『食べた物も食べたモノにそのドクメントが取り込まれている』という話を出し、そこから過去にウズマキフスベを好物としていて今尚生き続けている生態からドクメントを入手出来るかもしれない、と今リタ達研究組がソレを調べ上げている。

ラザリスとサレ…そしてジルディア。最終決戦は…そう遠くはない。



─────────────────



「──それじゃ…準備はいい、ヴォルト?」


「(はい…大丈夫です、主)」


──バンエルティア号の甲板にて、僕は木刀を構えながら僕の中にいるヴォルトに問い、そのヴォルトの返答を聞くと意識を集中し始めた。

暫く意識を集中させ続け…僕とヴォルトの中の何かが、まるで線と線を結ぶように繋がったのを感じた瞬間、僕達は口を揃えて『ソレ』を発動させた。



「「契約開放《リンクバースト》っ!」」


僕とヴォルトが同時にそう叫んだ瞬間、僕の頬にヴォルトと同じような雷を模した模様が浮かび上がり、僕の身体や周りからバチバチと音をたて、小さな雷が流れ出した。


「…ふむ…中々上出来なようだな」


「えぇ…『契約開放』…私達も見るのは初めてだけれど」


僕とヴォルトの様子を見て、僕達同様甲板に出ていたウンディーネとセルシウスがそう言葉を出した。
『契約開放』…使役した精霊と一時的に一体化し、使役した者と精霊の力を開放させる力。
何の原理で、何を元に一体化するかは分からないけど…セルシウス達精霊が言うにはこの『契約開放』は精霊と使役者、二人の想いが通じ合って発動出来るようになるらしい。
『想い』…確かに僕達が『契約開放』を出来るようになったのは…ヴォルトの想いを知った後からだった。


「ふぅ…ヴォルト…今、どれくらい保ちそう?」


「(そうですね…今の主と私では…大体十数分程度でしょうか)」


「ん…そっか」


自分の身体を確認しつつ僕はヴォルトに聞くと、ヴォルトは少し考えてそう答えた。
この『契約開放』…一時的に力を開放できるのはいいのだがその反面、かなりの集中力と体力を使うことになってしまうので、今の僕では長時間の使用は不可能なのだ。
僕はヴォルトの返答を聞いて小さく頷くと、『契約開放』を解除してヴォルトを僕の中から出した。


「…ふぅ…やっぱり少しの間でも結構体力使っちゃうなー…」

「無理もありません…あれはかなりの消耗ですから…地道にこうやって頑張りましょう」


ヴォルトを外に出してゆっくりと呼吸を整えつつ僕は言葉を出すと、ヴォルトはどこか申し訳なさそうな表情でそう言った。
はぁ…別に消耗はヴォルトのせいじゃないんだからそんな表情をしなくていいのに…。
僕はそう思うと自然とヴォルトの頭を撫でた。


「あ、主…」


「ふむ…やはりあまり長続き出来ないのは問題であるな。よし、衛司。試しに余とも契約開放をしてみるか?案外そこの雷精より長続きするかもしれんぞ?」


「っ…アナタは黙ってて下さい、水精。アナタに比べて私の方が主との仲は長いのです。アナタと主の契約など不必要です」


頭を撫でられヴォルトは僕を見て驚いた表情をするが、僕が頭を撫で続けると心地良いのか少しずつだけど表情が緩んでいった。
そんな中、ウンディーネが少し考えるような仕草をした後そう僕に言い、先程まで表情を緩めていたヴォルトがそれに反応してウンディーネに振り返り不満そうにウンディーネに向けてそう言った。
…あれ、どうしてこうなった…?



「…流石ね衛司。一人の頭を撫でただけでこの修羅場とは…そこに痺れるけど、憧れないわ」


「…一応聞いとくけどセルシウス、その台詞だれから教わったの?」


「アルヴィンよ」


セルシウスの出した台詞に僕が少し溜め息混じりにそう聞くとセルシウスは即答してくれた。
アルヴィン…不思議だけどなんでこういうネタ知ってんだろ?

この後、徐々にヒートアップをし始めたヴォルトとウンディーネを落ち着かせ、もうしばらく『契約開放』の練習をしたのだが…まだ使用時間を伸ばすことは出来ないことがわかった。
なんとか時間を伸ばせるようにしないとなー…。




────────────────────




「──…衛司…おいしい…?」


「ん…うん。凄くおいしいよ、メリア」


「…ん…♪」


──ヴォルト達との練習を終え、僕は昼食の為に食堂に来たのだが…今現在、僕はメリアの作ってくれた料理を食べていた。
何故メリアが料理をしているかというと…まぁ、色々あったのだけど…彼女はある人に料理を教わり、それから少しずつだが料理に手を着けだしたのだがすっかり彼女の興味に入ったらしくこうして僕に料理を振る舞うようになってくれた。
因みに今日のメニューは玉子焼きと味噌汁、それとちょっとした野菜炒めだが、どれも本当に美味しく自然とご飯が進んでしまう。
僕の素直な返答を聞くと、メリアは嬉しそうな表情を浮かべた。


「うん…やっぱり美味しいや。ありがとう、メリア」


「…ん…衛司に喜んでもらえるなら…毎日だって作れる…♪」


僕の言葉に嬉しそうな表情のままそう答えるメリアに、僕も自然に頬が緩んでしまうのを感じた。
こんな表情が見られるのなら僕なら喜んで毎日作ってもらいたいくらいだ。
それにしても…こうしてみると…くの一姿にエプロンって…なんだか不思議と似合うものなんだなぁ…。


「…衛司…?」


「ん、あぁ…メリアはなんでもよく似合うなー、って思って」


「…そう…かな…。…だと…嬉しいけど…」


くの一にエプロンという未知との遭遇のような組み合わせの服装のメリアを見ていると僕の視線に気になったメリアが小さく首を傾げ、僕がそれに少し考えて言うと、メリアは自分の服装を確認しながらその場でクルリと回って見せた。
うん…やっぱりメリアはなんでも似合いそうだ。


「──ぁ、此処にいたんだ、衛司」


「ん…カノンノ…?」


暫くメリアの姿を見ていると不意に扉が開く音と声が聞こえ見ると、カノンノが立っていた。


「…カノンノ…どうしたの…?」


「メリアも居たんだ…えっとね…ウズマキフスベのドクメントを新しく採取する対象が見つかったから、それの採取をする為に人を集めてるみたいだから衛司達はどうするのかな、って思って」


カノンノを見てメリアが首を傾げて聞くと、カノンノは頷いてそう説明した。
そうか…ついに見つかったんだ。それなら人手はできる限り多い方がいいよね。


「うん、それじゃあ僕も手伝うよ。…ただもうちょっと待ってね、これ食べたらアンジュに参加申請に行くから」


「ん、分かったよ。…美味しそうなご飯だね」


「『美味しそう』じゃなくて事実『美味しいんだ』けどね。メリアが作ってくれたんだ」


僕の返答にカノンノは小さく頷いた後、僕が食べている料理を見てそう聞いてきたので僕は少し笑ってそう答えた。
僕の言葉を聞いてカノンノは『へー…』と呟きながら料理とメリアを交互に見て、メリアはそんなカノンノに自慢するように『フンス』と鼻を鳴らして胸を張っていた。
僕は少し玉子焼きを切ると、それをお箸で持ってカノンノへと向けた。


「ほら、美味しいからカノンノも食べてみなよ」


「へ…で、でも…」


「遠慮しなくていいから、ほら、あーん」


「そ、それじゃぁ…あ、あーん…」


僕の言葉に僕と玉子焼きを交互に見ながら何故か頬を赤くしてそう言うカノンノ。僕はそのままカノンノにお箸で持ち上げた玉子焼きを近付けると、カノンノは戸惑いつつも口を開けて玉子焼きを食べた。


「ほら、美味しいでしょ?」


「う、うん…美味しい…けど……ちょっと恥ずかしいよ…」


「ん…今、なんて…」


「……衛司…私も…」


カノンノが玉子焼きを食べたのを確認して問うと、カノンノは小さく頷きつつもどこかもじもじとしていて何か呟いたのを聞き、僕がそれを聞こうとした時、メリアが僕の服を少し掴んでそう言ってきた。


「え…私もって…?」


「…私とカノンノ…皆平等にするって約束…だから…私も…」


「っ…そ、それなら私はもう一回っ!」


「わ、分かったよ。…だけど、僕の分もちゃんと残してよ」


僕の服を少し引っ張ったままのメリアに首を傾げると、メリアは僕はじーっと見ながらそう言葉を出し、それを聞いたカノンノは少し首を横に振って慌てた様子でそう言ってきた。
二人の様子に僕は少し苦笑しつつも頷いてそう答えた。


───この後、僕は結局殆どの料理をカノンノとメリアに差し出す事になった。





─────────────────────




──あの後、僕はアンジュにウズマキフスベのドクメント採取の参加申請とその内容を聞いた。
向かう場所はコンフェイト大森林、そして採取対象は昔、ウズマキフスベを常食していたと記録されている……凶竜『ケイブレックス』。
ウズマキフスベの大体のドクメントは暁の従者が持ってきた切り株で取れており、後は欠けている部分の採取の為数匹から採取しなければいけないらしく、今回は参加した人数分メンバーを分けてそれぞれケイブレックスを捜してドクメントを採取する、という提案らしい。
そして今の僕のメンバーは…僕、カノンノ、メリア、ロッタというパーティーになっている。



「──それにしても…コンフェイト大森林のケイブレックスねぇ…あんまりいい思い出が無いわね」


「はは…そうだね…」


コンフェイト大森林を皆で歩く中、ロッタが溜め息混じりに出したその言葉に僕は苦笑して頷いた。
僕とロッタは以前、このコンフェイト大森林でケイブレックスと遭遇し、文字通り命からがら逃げたので、ロッタの言うとおりいい思い出はないのだ。


「ぁ…確か衛司とロッタは一度ケイブレックスと会った事があるんだっけ。…えっと…どんな感じだった…?」


「…あんまり思い出したくないんだけどね…。特徴は青い大きな身体で見た目はそのまんま恐竜って感じかな。後…見ただけで『圧倒的』って感じる威圧感で…あの時は僕達は絶対に勝てないって感じたから逃げる事を選んだんだ。…だけど…」


「だけど…?」


「…あれから僕達も強くなったんだ。今回は絶対、僕達が勝ってやる」


不意にカノンノの出した問いに答えつつ、あの時のケイブレックスからの逃亡戦を思い、僕は途中で言葉を止めると、改めてそう自分の今回の意志を出した。




───────────────────




──それから暫く歩き、コンフェイト大森林の奥まで来たところで僕達は目的であるケイブレックスに遭遇する事に出来た…の、だが…。



『GURURURURU…っ!』


「…ねぇ、衛司…気のせいかしら…。私…アイツ見るの初めてじゃない気がするんだけど…」


「奇遇だね、ロッタ。…僕もアイツ、初めてじゃない気がプンプンするんだ… 」


「えっと…衛司?ロッタ?」


「…どう…したの…?」


僕達…主に僕とロッタの姿を見た瞬間から明らかに此方に敵意剥き出しの『右脚に傷痕がある』ケイブレックスに、僕とロッタが思わずそう言葉を出し、カノンノとメリアが一体何なのかと首を傾げた。
いや、うん…確かに少し前にリベンジに意気込んでた所だったけど…こうも都合よく出てくるもんなんだね。


「うん…ちょっとまさかこうも簡単に出会えるもんなんだなー、って改めて思って…とりあえず…あのケイブレックスさんはやる気満々みたいだし…皆、行こうか」


「う、うん…よく分からないけど…とりあえず頑張ろうっ!」


「はぁ…やっぱこうなるのね…」


「ん…行く…っ!」 


首を傾げているカノンノとメリアにそう答えつつ僕は星晶剣を構えると、皆がそれを合図するようにそれぞれが武器を構え、ケイブレックスもそれに反応するようには低く唸り出す。
…さて…。



「…それじゃ…前の件、きっちりリベンジさせてもらうよっ!」


『GYAOOOOOOOOOOOーッ!』



──僕の声とケイブレックスの雄叫び、それを合図にするかのように…僕達の最後のドクメント採取が始まった。



 
 

 
後書き




──以上、第六十一話、如何だったでしょうか+

ぐだぐだだよね、本当ごめん←



【契約開放】
来たるべき外道狂風様戦に向けての衛司君強化計画です←
契約開放《リンクバースト》…決して荒ぶる神々を喰らうわけではありません←

そして安定のようにあまり仲の宜しくないヴォルトとウンディーネである←


ついでにこの作品でアルヴィンがネタに詳しいのは大体中の人のせい←←←


【お料理メリア】
なんとなく書いてみたメリアの料理編。

玉子焼きと味噌汁は私のジャスティス←←

衛司君は自分のする行動に関しては鈍感だったりします。
おい、爆発しろよ←←


【ケイブレックス戦】
いつぞやのケイブレックス登場←
原作だと三体くらいを別々で倒さなければならないのですが、よくよく考えて『四人のパーティーで恐竜三体とかちょw』、という訳でチーム分けして個々に捜索、という方針にしました+

セネルとティアなんて居なかった←←



皆様良ければ感想、御意見等宜しくお願いします+

次回はケイブレックス戦、そして衛司君の新技安売り回となります←

 
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