テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ―そして、僕の伝説―
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第六十二話
『GYAOOOOOOーッ!』
「──行くよ…魔神剣っ!」
──高い雄叫びと共に頭を下げ、僕達に向かってくる恐竜ケイブレックス。僕はそれに星晶剣を振り、斬撃を一つ飛ばす。
『GURUUUUUUUッ!』
僕の放った斬撃は接近してくるケイブレックスに直撃するが、ケイブレックスは勢いを止める事なく此方に接近し続ける。
くっ…やっぱりあの堅い皮膚は健在か…。
「…それなら…苦無閃《嵐》…」
『GUUUUUUU!』
いまだに接近し続けるケイブレックスに今度はメリアが最早彼女の必殺戦法ともなってきた無数の苦無の投擲技を放つ。
無数の苦無の攻撃に流石にこれは効いたのか僅かに唸り此方に接近していた足を止める。
よし…この間に早速、試していこうか…!
「メリア、カノンノ、ロッタ!三人とも、悪いけど…」
「時間稼ぎでしょ?任せなさい…あの時とは違うってとこ、思いっきり味合わせてやるから」
「衛司が何するかは分からないけど…私たちがちゃんと守るよっ!」
「…任せて…」
僕の言葉にロッタ、カノンノ、メリアが僕を見てそう応えてくれた。まだ要件言ってないんだけど…けど…こういう皆で分かり合ってるっていいな。
「ありがとう…ヴォルト、やるよッ!」
「(無論…準備は万全ですよ、主)」
僕は一旦後方に下がり星晶剣を構えると、僕の中にいるヴォルトの言葉を聞き、僕は意識を集中させ始める。
『GYAOOOOOOOOOーッ!』
「…衛司には近付かせない…影走斬…!」
僕の行動に気付いたように、高く雄叫びを上げて僕に向かってこようとするケイブレックス。そのケイブレックスにメリアは一瞬で間合いを詰めると言葉と共に短刀で一閃する。
『GYAOOッ!?』
「メリア、下がって…バーンストライクっ!」
「いつぞやのお返し…コイツは痛いわよ?光の槍よ…ホーリーランスっ!」
『GUAAAAAAAAーッ!?』
メリアの一閃で足が止まったケイブレックスに、カノンノとロッタは同時に手を上げて叫ぶとケイブレックスに向けて炎の剛球と巨大な光の槍が落下し、直撃する。
三人の攻撃に怯むケイブレックス。その隙に僕は一気に意識を集中させる。
……よし、今だっ!
「──ヴォルトっ!」
「(行きましょう、主っ!)」
「「契約開放《リンクバースト》っ!」」
集中させていた物を放出するかのように僕とヴォルトは同時に叫ぶと、僕の頬に雷を模した模様が浮かび上がり、周りからは僅かに雷が流れ出す。
うん…うまくいったみたいだ。
僕は確かめるように二、三度右手を開いたり閉じたりした後、星晶剣をゆっくりと納刀するように構える。
「いくよ…超・雷魔神剣っ!」
『GU!?AAAAAAAAーっ!?』
納刀した星晶剣を気合いと声と共に引き抜くと、三人の攻撃に怯んでいたケイブレックスに向けて雷を纏った斬撃を五つ同時に放つ。
同時に放たれた五つの雷の斬撃にケイブレックスも避けること、防ぐことが出来ず悲鳴をあげてその場に倒れ込んだ。
うん…初めてやってみたけど、なかなかの威力みたいだ。
「衛司…その姿って…」
「……ヴォルトと同じ模様…」
「あ…皆に見せるのは初めてだっけ…。契約開放…簡単に言えば僕とヴォルトの力が合体したって感じ…かな」
「合体って…また無茶苦茶な…」
倒れたケイブレックスから僕に顔を向け、僕が契約開放した姿を始めてみる三人が驚いた様子で此方に駆け寄ってきたのを見て僕はそう言うと、ロッタが苦笑してそう言葉を出した。
うーん…でも間違ってはないしなぁ…。後、カノンノとメリアはどうして『合体』という単語を繰り返しつつ不機嫌そうな顔をしてるの…?
『…GUUUUU…RUAAAAAーッ!』
「っ!…アイツ…まだ…っ!」
「……しぶとい…」
そんなやり取りをしていると不意に何かが動く音が聞こえ視線を向けると、倒れていたケイブレックスがゆっくりと立ち上がり雄叫びを上げ、先程攻撃をした僕を真っ直ぐと睨んできた。
ケイブレックスのその様子に皆が再び武器を構えていくと、僕はそんな皆から更に一歩前に出た。
「衛司…?」
「悪いけど皆…色々試してみたいから…此処は僕達に任せてくれないかな?」
「えっ…!?」
僕の行動にカノンノが首を傾げると、僕は皆の方に一度振り返ってそう言葉を出した。
僕の一言に皆が驚いた様子を見せるが、その中でロッタは僕をしばらく見ると小さく溜め息を吐いて口を開いた。
「…一応聞いとくけど…倒せるんでしょうね?」
「多分…ううんやってみせるよ」
「そう…ならやってきなさい。ただし、こっちが見てて危ないと思ったら問答無用で助けるから」
「ん…ありがとう、ロッタ」
僕の返答を聞き、再び溜め息を一つ吐いてそう言ったロッタに僕は小さく頷いた。メリアとカノンノもしばらく僕を見てロッタの案に賛成したのか、二人が共に『頑張って』と言ってくれた。
うん、よし、やる気でた。
『GURURURURUッ!』
「待たせたね。それじゃ…行こうかっ!」
『GYAOOOOOOOOOッ!』
僕が星晶剣を構えなおしたと同時に雄叫びを上げて僕を睨み、走り出すケイブレックス。僕もそれに対するようにケイブレックスに向けて走る。
『GURUOOOOOOOOッ!』
「っと…飛天翔駆・雷!」
接近する僕にケイブレックスが雄叫びを上げながら尻尾を奮ってくる。僕はそれに地面を蹴って上空に跳び避けると、自分の身体に雷を纏わせその勢いのままケイブレックスに向けて特攻する。
『GUUUUUUUUUッ!?』
「このまま…雷破竜撃っ!」
『GUGAAAAAAAッ!?GAAAA…ッ!』
雷の特攻を受け怯むケイブレックスに、僕は着地と同時に星晶剣を納刀するように納め、それを気合いと共に引き抜いて雷で形成された竜を飛ばす。
ウンディーネの使っていた水竜攻撃を参考にやってみたんだけど、威力は上々…ケイブレックスは雷の竜の一撃を受けその場に沈み込む。
ケイブレックスは沈み込みつつも、僕を睨み続け咆哮を上げて最後の抵抗というかのように僕に向けて炎の息吹を吐いてくる。
「…ライトニング・シェルっ!」
『ッ!?』
吐かれた炎の息吹に、僕は真っ直ぐと星晶剣を持っていない左手を向けてライトニング・シェルを展開する。展開された紫の膜は契約開放している為か今まで出してきたものよりも遥かに大きく、厚くなっていてケイブレックスの炎の息吹を完全に防ぎきり、ケイブレックスもそれが防ぎきられたことに驚いた様子を見せた。
『GU…GURURURURU…ッ!』
「…ふぅ…これで終わり、だね」
『GURU…ッ?』
為すすべがなくなったのか、ただ睨むだけのケイブレックスの姿を見て僕は一つ息を吐くとゆっくりと星晶剣を納めて契約開放を解いた。
僕のその行動に後ろの皆からは驚いたような声が聞こえ、目前のケイブレックスも何をするのかというような様子を見せる。
「さて、と…ケイブレックス…少しじっとしててね?」
「衛司っ!?」
僕はケイブレックスからドクメントを採取する『ギベオンチップ』を出すと、沈み込んでいるケイブレックスに歩み寄ってそう言い、ケイブレックスにギベオンチップを当ててドクメントの採取を始める。
僕のその行動にカノンノが心配するような声で名前を呼んでき、僕はそれに小さく笑って口を開いた。
「大丈夫だよ、多分。もうあんまり動けないみたいだし…。それに忘れかけてたけど…今回は討伐じゃなくてあくまでドクメントの採取だからね。あ、もうちょっと待っててね」
『GU…GURURU…』
「衛司…」
「…全く…」
「…衛司らしい…ね…」
警戒し続けながらもドクメント採取を受けるケイブレックスを撫でつつそう言うと、後ろの皆からそんな声が聞こえた。
それから少しすると、ギベオンチップがドクメント採取の終了を告げるように光り出した。
「…よし、終わったよ」
「なら、早く帰りましょう。多分、他のチームも終わってるでしょうからね」
『GURU…GURURURURU…』
採取が終わった事を皆に言うと、ロッタがそう答え、二人もそれに賛成するように頷いた。
僕はギベオンチップをケイブレックスから離すと、ケイブレックスは少しずつゆっくりと立ち上がった。
立ち上がったケイブレックスにメリアが警戒するのが見えたが、僕はそのケイブレックスの前に立った。
「…今回といい前といい…手荒な真似をしてごめん。許してほしい、とはいわないけど…今回はどうしても君の協力が必要だったんだ。…ごめん」
ケイブレックスに向けて僕は頭を下げてそう言った。言葉が通じるか分からないし、僕のしている事に周りがなんて言うか分からないけど…これは僕なりに必要な事だ。
そんな僕に、ケイブレックスはゆっくりと顔を近付けてきて、メリアが此方に走り出そうとした瞬間…
『GURURURUー…♪』
「うおばぁっ!?」
「「「…ゑ?」」」
…思いっきりケイブレックスに顔面を舐められた。
…いや、なんでさ…?
───────────────────
「──…で、一度は九死に追い込まれていた相手であるケイブレックスに懐かれた、と」
「…はい、なんか分からないですけど」
──コンフェイト大森林から戻り、バンエルティア号のホール。僕はロックスさんから受け取ったタオルでケイブレックスの涎まみれになった顔を拭きながら呆れたような表情で言ってきたアンジュに応えた。
あの後、なぜか知らないけどケイブレックスに懐かれ、僕は顔面を…いや最終的には顔面にとどまらず身体の至る所を舐められ、後少しで大切なナニカを失いかけてた。あの時、カノンノ達が必死に止めてくれなかったらどうなってたか…。
その後、下手したらバンエルティア号までついてきそうな勢いだったケイブレックスに時々会いに来る約束をしてなんとかバンエルティア号に戻ってきた。一応人を襲わないようにする約束もしたから討伐の依頼も多分来ないだろう。
「…全く…女の子の次に精霊で、今度は魔物って…。…アナタは撫でたら好感度が上がるような力でも持ってるの?」
「へ…?」
「…なんでもないわ。とりあえずこれで、塩水晶、ツリガネトンボ草、ウズマキフスベのドクメントが揃ったから、封印次元を作る事が出来るわね。このギベオンチップは私からハロルド達に渡しておくから、お風呂でも入ってきなさい」
「ん…そうするよ、ありがとう」
ドクメントを採取したギベオンチップをアンジュに渡し、アンジュの言葉に僕は小さく頷くとお風呂に入る準備をする為、自室へと向かった。いや、うん…身体中涎まみれだったから本当にありがたい。
それにしても…ようやく封印次元を作るドクメントも揃い、いよいよ残すはジルディアの封印のみとなった。…後少し、気を引き締めていこう、と僕は心から誓った。
──この後、僕はお風呂に行くのだが…その際、脱衣場を間違えるというミスを犯してその場にいたカノンノとメリアに顔を真っ赤にしながらフルボッコされる事になる。
後書き
以上、第六十二話、如何だったでしょうか?
…うん、グダグダでごめん←
【ケイブレックス戦】
とりあえず今話では契約開放した衛司の力はどれぐらいなのか、という説明的なバトルでした。
新技は『雷破竜撃』以外は通常の状態に雷が混ざったバージョンと思って頂ければよいかと…+
【懐いたケイブレックス】
なんか気付いたらこうなった←
当初はケイブレックス殺る気満々で書いていたんですが、倒れた辺りから『一方的に圧殺するのが衛司君だっけ?』と思い、こんな感じに仕上げました。
ケイブレックスがデレたのは気付いたらこうなってた←
決してウチの衛司君はナデポ持ちではないのであしからず←←
そして申し訳程度のラッキースケベはなんかこう…指が勝手に←←
次回は遂に封印次元展開作業…そして『ヤツ』との決着戦前になります。
皆様良ければ感想、ご意見等宜しくお願いします+
ではまた、次回+
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