DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第7章:過去から未来への歴史
第15話:国造り
前書き
何とか書き上げました。
194話目ですよ。
あちゃ作品の最長記録更新ですよ。
(サントハイム)
アリーナSIDE
「折角の宴だったのに、部下の躾がなってないから台無しだよ……気持ちよく歌ってたのになぁ」
宴が頓挫し、そのまま不敬罪を働いた者達が処刑され、嫌な気分のまま迎えた朝。
サントハイム王家の食堂には、誰よりも大きな態度で下品に食事するリュカが愚痴ってる。
昨晩の宴の残り物が並んでるのだが、朝から脂っこい唐揚げや骨付き肉などを手掴みで頬張るリュカ。
朝食をちゃんと用意すると言ったのだが、昨晩のうちにメイドへ『残った食べ物は明日朝に食べるから、保管しておいてね』と伝えてたらしく、「食べ物を粗末にするな」と私達にまで残り物処理を強要する。
「すまんリュカ……今夜仕切り直しで宴を再開するから、その時こそ楽し「ふざけるな馬鹿! こんな居心地の悪い国に2泊も出来るか馬鹿! エンドールにはトルネコの帰りを待つ息子さんが居るんだぞ、今日はもう出て行く!」
不敬罪の事であれほど激怒してた男なのに、どうしてコイツ自身は不敬罪を気にしないのだろうか?
お父様に“馬鹿”と連呼するのは不敬罪ではないのだろうか?
文句の一つも言いたいが、壁に残ったストリックラーのシミが怖くて言えない。
メイド達が壁のシミを消そうとしたのだが、お父様にも聞こえる大声で『そのシミは教訓として残しておけ』と指示を出した為、以後も消す事なく残るらしい。
何で自分の国でもないのに、メイドへ指示を出してるんだ? そして皆それに従うのよ?
「リュカさん……もうその辺で勘弁して下さい。私も分不相応な身分になる事は自覚してます。私やアリーナ様の為に怒ってくれるのはありがたいのですが、些かやり過ぎですよ」
クリフトの言う通りだ。確かに王家への認識を改めさせる事が出来たが、流石にやり過ぎよ。
「ふざけんな馬鹿。お前の為に暴れたんじゃない……全部自分の為にやったんだ。友達を侮辱され、頭にきたから殺させたんだ」
「と、友達……ですか? 私が……?」
「あれ? 違ったっけ……まぁいいや。一方通行なのは慣れてる。僕は勝手に友達だと思わせてもらう」
「あ、いえ……違くなくて良いです。凄く……嬉しいです……」
ズルイ……友達とか言われちゃったら怒れないじゃないの!
「兎も角……貴族や官僚は優しくしても付け上がるだけだ。どうせ優しくするのなら、税金を払ってくれる国民に優しくしないとね。王族ってのは国民に食わせてもらってるんだよ」
そう言い手にした肉を平らげると皆の事を見渡し立ち上がるリュカ。
「え、もう行っちゃうの!?」
「言っただろ、エンドールではパパの帰りを待つ子が居るんだよ」
「それはそうですけど……皆さんとのお別れがこんな形なんて、何か……」
「安心しろクリフト。シンやライアン・デスピーだって、会おうと思えば会う事が出来る。もうお前等は仲間だろ。何時だって会えるさ」
既に歩き出してたリュカは、私達に顔を見せる事なくシン達と再会できる事を約束する……だけど、
「そうだけど、リュカ達とは二度と会えないのよ! もっとちゃんと……」
「長生きすりゃ会えるよ……じゃぁね」
そしてリュカを先頭にリュカ家はサントハイムから出て行った。
何時でも会えるシン達は『じゃぁまたね』と挨拶してくれたのに、リュカ家は何も言ってくれなかった。
本当はもっと色々話したかったのに……
最後の別れを惜しみたかったのに……
アリーナSIDE END
(エンドール)
アローSIDE
「お帰りなさいお父さん!!」
ポポロがトルネコに抱き付き、無事帰宅した事を喜んでいる。
トルネコが相手では嫌だが、親のないオイラには羨ましい。
人間の事を大分勉強したオイラの結論としては、リューラと結婚すればリュカさんがオイラのお義父さんになるらしいのだが、あの人に抱き付くのはちょっと……向こうも嫌がりそうだしね。でもビアンカさんには抱き付きたいと思うのは何故だろう?
「おいウルフ……何であの饅頭デブに、あんな美人が嫁として存在するんだ? 何かの間違いか、あの女は盲目なのか……どちらかじゃないと説明できないだろ!」
「デスピーさん……気持ちは解るが、これが現実です。アナタの子孫がアレなのも、饅頭デブの妻が絶品なのも、全て現実です。受け入れて下さい」
「お前の彼女が美女なのだって十分驚愕だぞ。それ解ってんの?」
「同じ顔のお前が言うのか、それを?」
「そッスよリュカさん。美男美女の組み合わせじゃないッスか!」
「外見はね……」
「何だとコラ!? 中身だって凄いんだよ俺は! 魔族の軍団を率いてたんだぞ……王だったんだぞ!」
「でも彼女が嫌がる世界征服を敢行してたじゃん。彼女の嫌がる事を生き甲斐にしてたじゃん! 何、彼女の嫌がる事が生き甲斐の男って?」
「そ、それはそうだが……それでも俺の心に惚れてくれてるんだよ!」
「つまり彼女もソレでしょ」
「つまり男は見た目じゃないって事リュカさん?」
トルネコの中身に惚れるのも如何な物かと思いますが……
「外見がいくら良くても、中身が悪きゃ夫としては失格だよ。トルネコの家族を思う心は合格点だ……商人としての貪欲さも、僕は嫌いだが合格だし……欠点はあの腹だけだろ」
何時も自分の事を『イケメン』と評してたから、男の最優先条件は外見だと言うのかと思ってた。
「ちなみに……外見も中身も歌声も最高な僕は、絶世の美女で在るビアンカの夫として完璧だけどね! まぁ僕にある欠点と言えば、トラブルに見舞われる運の悪さだけかな? こればかりは如何に完璧イケメンな僕でもどうしようもない」
「よく言うよ……」「アンタの欠点は女癖の悪さだろ!」
リュカさんの台詞に男性陣(オイラとトルネコを除く)から不平が上がる。
「ほざいてろ、二流・三流のイケメン共。現実が僕を一流のイケメンと認めてるんだ」
二流は兎も角、三流のイケメンて既にイケメンではないだろう。
「さぁ皆さん。今日は泊まっていっていただけるのでしょう? 腕に縒りを掛けてご馳走を作りますので、食べていって下さいね」
「あ、いや……ネネさん。僕等はライアンを送り届けなきゃならないから……」
「そんなことは明日でも大丈夫でしょ?」
「そうですよリュカさん。シンさん達とは兎も角、リュカさん達とは永遠の別れなんですから、今晩は我が家へ泊まっていって下さい。まぁ一晩以上はポポロに悪影響でしょうから、丁重にお断りしますけど(笑)」
「……じゃぁ、お言葉に甘えて」
ポリポリと頭をかきながら申し訳なさそうにリュカさんがトルネコ家への宿泊を決定する。
普段だったら嫌がられても泊まり込む様な人なのに、今回は何で遠慮したんだろ?
「じゃぁネネさん、私もお料理を手伝います。コイツ等よく食べますから、一人で作るのは大変ですよ」
「お客様に手伝わすのは心苦しいですが、ビアンカさんの仰る通りみたいですねでお願いしますね」
ゾロゾロとトルネコ宅へ入ると、ビアンカさんが常識的提案で良い奥さんを表した。
それを見たロザリーとシンシアも「では私もお手伝いします」「人手は多い方が良いですよね」と言って協力を志願。
リューラも常識人だから志願するのかと思い視線を向けた……が、
「わ、私は……あまり料理が得意じゃないから……」
と恥ずかしそうに俯いてしまった。
何とかフォローせねばと思い、
「じゃぁオイラと一緒に、出来上がった料理を運ぶ手伝いをしようよ」
と誘い、リューラの笑顔を取り戻した。
リュカさんやアニキだったら多分こんな感じでフォローすると思うんだよね。
どうやら正解だったみたいで、リュカさんがオイラの横を通り過ぎる時に「お前やるなぁ」と褒めてくれた。
アニキも「女一人の心を掴んだくらいで良い気になるなよ(笑) リュカ家の男になるには一人だけじゃダメなんだゼ」と笑いながら褒めてくれた。
ヤベェ……凄ー嬉しい!
アローSIDE END
後書き
ぶっちゃけリューラとアローの仲を進展させるのを忘れてました。
これから二人の伝説が始まります。
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