DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第7章:過去から未来への歴史
第14話:楽しい宴
(サントハイム)
ホイミンSIDE
世界が平和になった事とアリーナさんがお母さんになる事で、サントハイムの王様が盛大な宴を催してくれた。
本当に嬉しいのだろう。王様は目尻下がりっぱなしでアリーナさんを色んな人の下へ連れ歩いてる。生まれてくるお孫さんの事を自慢してるのかな?
特設された舞台の上では、サントハイムが誇る音楽隊の方々が優雅な音色を奏でている……先程までは。
今はリュカさんが占拠してる。
彼の国では流行ってる歌なのか、気持ちよさそうに熱唱してる。
流石なのは、音楽隊の皆さんもリュカさんの歌うリズムに合わせ楽器を奏でてる事だ。
だから何割増しかでリュカさんが格好良く見えるよ。
まぁ、彼が歌っても戦闘が発生しないのが大きな理由かもしれないですね。
ボクとしては、何故だか近付いてくる男の人が沢山居て、凄く居心地が悪いです。
皆さん、ボクの出身地や今後の事など聞いてきます。中にはサントハイムでの働き口を斡旋しようとする人も……一体何が目的ですかねぇ?
「おいライアンさん、彼女を放っておいちゃダメだろ! 飢えたサントハイムの醜男にレイプされそうになってるぞ(笑)」
ぶっちゃけ辟易してた所にウルフさんが近付き、サントハイムの偉い人達と大人の話をしてたライアン様を呼んでくれた。
「だ、大丈夫かホイミン!?」
「ボ、ボクは平気ですライアン様♡」
ライアン様の邪魔をしちゃダメだとは思うんですが、慌てて来てくれた事に何だか嬉しくなっちゃいます。
「レ、レイプとは失礼な事を……」
「そ、そうですぞ。我らは、ただ寂しそうにしてた彼女に話しかけてただけです!」
「世界を平和にした勇者様の知己でも、無礼な物言いは許しませんぞ!」
でもボクの周りに集まってきた男の人達は怒っちゃってます。
あんまり良くない事ですよね? お城の人を怒らせるのって……
ライアン様に迷惑かけたくないし、ボクが謝った方が良いんですよね?
「彼女のデカい乳を凝視しておいて気取ってんじゃねー! 女ナンパするんなら、もっとストレートにナンパしやがれ! パパに教わらなかったのか、ナンパ方法を!?」
「だからナンパじゃないと言ってるだろ!」
「見え見えのスケベ心でナンパしておいて、今更嘘吐くんじゃねーって言ってんだよ! 狙ってたアリーナ姫がヘタレ神官に寝取られたからって、アッサリ鞍替えすんな! だからモテないんだよ、お前等みたいな醜男は!」
「止めて下さいウルフさん! ストリックラー殿達も落ち着いて……」
何とか止めようとしたんですけど、その前にクリフトさんが現れて皆さんを落ち着かせようと翻弄してます。ごめんなさい……何かボクの所為ですよね?
「ふん……お前と寝食を共にした者達だけあって礼儀を弁えぬ愚か者共だな! 姫様がこの者共に汚されなかったというのに、キサマの様なカスが手を出すとは……不忠義者めが、分を弁えよ! 王家を汚しおって……」
クリフトさんに“ストリックラー”と呼ばれてた人が、何だか腹立つ事を言ってきた。
思わず叩いてやろうとしたんですが、急に視界から彼の姿が消えました。
そして静まりかえる場内……何が一体?
「コラ、カス、ボケェ! お前等さっきの王様の言葉を聞いてなかったのか?」
声のする方に視線を向けると、そこにはリュカさんの姿が……
さっきまで舞台で歌ってたリュカさんが、今は目の前に居てストリックラーって人を吹き飛ばしてしまいました。
「リュ、リュカさん……やり過ぎだよぉ……」
5メートルほど離れた壁には、先程までストリックラーと呼ばれてた人が血のスタンプを残して倒れてます。ウルフさんの言う通り確かにやり過ぎなのでしょうけど、何だかスッとしたのも事実ですよね。
近くのテーブルに置いてあったフルーツポンチを入れた大きな器を軽々持ち上げると、リュカさんは冷たい目のまま倒れるストリックラーに近付いていきます。
あの人、死んでそうなんですけど……何するんですか?
「おい、起きろボケ」
そう言うとリュカさんは、持ってたフルーツポンチを倒れるストリックラーにぶっかけ話しかける。生きてるんですか、それ?
「ぐふっ……ゲホッ、ゲホッ……」
あ、生きてた。
「起きろボケ……起きてサッサとこっち来い!」
冷たい目のリュカさんは、自力で起きられない彼の髪の毛を掴み、引きずる様にボクに話しかけてきた男の人達の輪に連れ戻します。
「そこに座れ……今すぐそこに正座しろ!」
「わ、我々が何をしたと言うのだ!?」
怖い目で睨むリュカさんに命令され、泣きそうになりながら無関係を訴えるストリックラーのお友達。
「座れと言ったんだ! 座るのが嫌なら、空飛ぶか? あのシミの隣に、お前の血でもう一個シミを作るかコラ!?」
涙を流しながら慌てて座る男の人達。
「リュ、リュカ……どうしたの?」
アリーナさんが駆け付け不安そうに尋ねます。
怖いですよぉ……ボク、もうここから居なくなって良いですか?
ホイミンSIDE END
(サントハイム)
シンSIDE
なにも目出度い席で騒動を起こさなくても……
一部始終を見てた俺からしても、コイツ等(ストリックラーと仲間達)の言動は不愉快だったけど、死んだ方がマシ級の威力で壁に激突させ、更には正座で説教を受けるなんて可哀想すぎる。
「お前等解ってんのか? 王様がさっき言ったのは『クリフトも王族と同じ扱いをしろ、文句がある奴は不敬罪』って事なんだぞ!」
「わ、我々は何も無礼な事を言ってないですぅ」
嘘吐いてんじゃねー! 俺やホイミンさん……更にはウルフさんには聞こえてたんだよ。
「おい三下共。その人の耳は所謂地獄耳ってヤツだ。100%先程の発言は聞かれてたから、嘘を吐くな。嘘吐いてっと殺してもらえないぞ(笑)」
みんな目が点だ……殺されないのなら嘘付いた方が良いのではないのだろうか?
「あぁすまん。リュカさんシロウトには理解できなかったね……つまり、嘘吐いてると怒ったリュカさんが拷問するんだ。それは想像を絶する拷問をね。でもリュカさんはベホマの使い手だから、苦痛だけ味合わせて死にそうになると治療する! たとえ腕を切り落とされても、ベホマでくっつけてから再度切り落とすんだ。何度でも切れるぞ~……何度でも切られる痛みを味わうぞ~」
「ウルピーそれ採用! お前天才じゃん?」
ウルフさんの説明が終わると心底楽しそうなリュカさんが彼(ウルフさん)を褒め、近くに居たライアンさんの腰から剣を抜き放ち、正座させられてる男の腕を掴む。
腕を掴まれた男は「ごめんなさい、ごめんなさい!」と泣き喚き、身を縮めて防御する。
「おいウルフ、コイツの腕持って引っ張れ。ライアンは身体の方を持って、切りやすい体勢に固定しろ!」
リュカさんはまだ彼等を苛めるらしく、ライアンさんとウルフさんを使い腕切断ドッキリを続けてる。
「はいはい……こうで良いですか?」
ハッタリだと解ってるウルフさんは溜息交じりで腕を引っ張り、対面するライアンさんに肩を竦めて合図する。すると……
(ザシュ!)
鈍い音と共に辺り一帯に真っ赤な血飛沫が舞った!
「……え、うそ!?」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!」
「ほ、ほ、本当に切る奴があるかー!!」
腕を切断された男の悲鳴と共に、大量の血を浴びたウルフさんが激怒する。
「え……だって不敬罪でしょ? どうせ死刑でしょ? 腕の1本くらい問題なくねぇ?」
「死刑じゃねーよ! ちょっと嫉妬しちゃって嫌味を言っただけだろが! ケツの穴の小さい野郎の嫌味くらい、大目に見てやれよ馬鹿!」
「馬鹿はお前だウルフ。そのケツの穴の小さい野郎の嫌味だって、纏まれば大きな反意に変化する……アリーナの心を射止めるのは、危険を顧みず共に世界を救う旅に出て、献身的に尽くす事の出来る真心を持った者にしか出来ない。そんな事の出来ない小心者は、平和になった後で姑息な苛めを行うしか出来ない。世界には不必要な存在だ……うん。死刑にするのが一番妥当だよね」
「だ、だからって……それを決めるのはこの国の王様だろ! リュカさんが勝手に判断しちゃ拙いんじゃないのか?」
「僕は王様の判断に従った」
「何処がだよ!?」
「さっき言ってたじゃん。『クリフトは今より私の義息である! その事に異を唱える者、または心身共に妨害する者、これは王家への反逆であると心得よ!』って……忘れちゃった? この国の王様が高らかと宣言した事なのに、もう忘れちゃったのかなぁ? この国の王様って存在感薄いなぁ……」
誰もが沈黙し俯いている。聞こえるのは腕を切断された男の呻き声だけ……
だが苛ついたリュカさんが、側らに落ちてた彼の腕を拾い上げベホマで接着する。
だがよく見ると、切断された腕を表裏逆に接着した。腕は確かに戻ったが、あれでは二度と使用できないだろう……
「リュカよ……確認するが、私はこの者達を不敬罪で処断せねばならないのだな?」
「まぁそういう事になるね……そう自分で言ったんだし。そうしないとサントハイムの権威が揺らぐ。家臣一同から影が薄いと思われてる国王……唯一の王位継承者なのに、御転婆で頭の緩い王女……その王女が見初めた、平民でヘタレな神官。これじゃぁ孫に王位は回ってこないだろうな。サントハイムを終わらせるのなら、それでも構わないだろうけどね」
酷い話だとは思うが、リュカさんの言ってる事は正しい。
1日どころか1晩も経過してないのに、クリフトさんの事を侮辱し王家にケチを付ける家臣……それを見ても笑ってる側近。
リュカさんが吹っ飛ばさなきゃ、どんだけ言いたい放題になってただろうか?
正座されられてる男達(まだ無事な連中)が王様に向き直り「我らに反意の意思は在りません!」等と言い訳をするが、リュカさんが彼等の頭を掴み勢いよく床に叩き付け「黙れ逆賊」とドスの効いた声で黙らせる。
顔の骨が砕ける勢いで叩き付けてる為、引き上げた顔は別人の様に真っ平らだ……血が殆ど出てないと言う事は、叩き付けた瞬間にベホマを唱えたのだろう。
リーダー格のストリックラーは壁に叩き付けられ意識朦朧……
腕を切られた男は、そのショックで放心状態……
その他の男は説教中に騒ぎ、顔真っ平らの刑になったため喋る事が出来ない。(顔の骨が歪んだまま接着した為)
誰も何も言えないまま彼等の処刑が決定された。
連行される彼等を見送るリュカさんが「あ、そうだ。ある種の大逆罪だし、一族全て極刑じゃね?」と極悪な提案をしたが、流石にアリーナ姫が大反対。
彼等だけで罪は……今回の件に関しての罪は終息した。
どんだけサディストなんだ……と、リュカさんの事を心の中で憤慨してたのだが、ウルフさんがコッソリ教えてくれた。
「今後、同じ様な事をする馬鹿者が現れない様に、家臣や側近等が見てるこの場で知らしめたんだ。次からは一族全て処刑するぞってね」
なるほど……とは思うけど、俺の趣味じゃない。
リュカさんも流石は王様って事だろうか?
元の時代に戻れば、常日頃からこんな遣り取りをしてるのだろうか?
嫌な世界だ……
シンSIDE END
後書き
嫌な事があった日に書くとこうなるのか?
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