転生とらぶる
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マクロスF
0709話
「あー……暇だな」
ベッドの上で思わず呟くが、俺の隣でどこから手に入れたのか雑誌を読んでいるアルトはやる気のない表情で返事をしてくる。
「そうだな。けど現在唯一確認されているバジュラ艦の中に突入したんだから、検査入院とかは必須なんだろ。……ルカの奴はどこか他の病院に連れて行かれたけどな」
そう。現在俺とアルトは、フロンティア船団の中でも最大級の規模を誇り医療設備も充実している軍事病院の一室で検査入院をさせられていた。
その理由がバジュラ艦に突入したからという理由なのだから、ある意味しょうがないと言えばしょうがない。けど、暇なものは暇な訳で……
せめてもの救いは人に感染する危険性のある病原菌の類は存在しないって事か。バジュラにはV型ウィルスとかいうのがあるらしいけど、それの感染は確認されていない。それ故に人と会うのは自由だし、お見舞いの類も可能なのだが……かと言って、戦闘翌日の今日はS.M.Sのメンバーは色々な意味で皆忙しいらしいんだけど。
「ま、そういう意味では検査入院ってのはラッキーだったんだろうけどな」
「……それでも俺達の場合、退院したら報告書やらレポートやらを大量に書かされる事になるのは間違い無いんじゃないか?」
雑誌に目を通していたアルトが俺の言葉にそう返してくる。
まぁ、それは間違い無い。フロンティア船団内で唯一バジュラ艦の内部に突入して生還してきたんだから、そのデータやら何やらで忙しくなるのは明白だった。特に俺の機体やアルトの機体なんかは色々な意味でL.A.Iやら新統合軍やらがデータとか付着物とかを調べているだろう。後ついでにバジュラ艦を切り取って持ってきた一部とか。
「俺達の報告書はともかく、あの未確認機に関してはどうなったか聞いてるか?」
雑誌から顔を上げてそう尋ねてくるアルトだが、俺はそれに首を横に振る。
確かにあの未確認機の右足は持ってきたが、それに関してはマクロス・クォーターに戻って来た途端にS.M.Sが調べ、最終的にはL.A.Iの技術者が持っていったらしい。ただ、映像データの類は政府の方で接収していったって話だから……恐らくL.A.Iの方で持っていった右足に関しても、今頃は接収されている事だろう。
後は、その接収されるまでにどのくらいの情報を解析できているかだな。
オズマに聞いたその辺の話をアルトに教えてやると、不愉快そうにその整った表情を歪める。
「政府、か。面白くないな」
「ま、そう言うなよ。そもそも政府が俺達の雇い主であるのは間違い無い事実なんだ。資本主義ってのはそういうものさ」
「妙に世慣れた感じだな」
「こう見えても色々と経験してきてるしな。それよりも、そろそろ食事の時間だ。病院食で不味いとは言っても、唯一の楽しみの時間だ」
「検査入院なんだから、もっと美味いものを出してくれてもいいと思わないか?」
溜息を吐きながらアルトがそう言った時、丁度アルトの携帯が音を鳴らして着信を知らせる。
「っと、悪い」
「別にいいさ。気にするな」
携帯に出ながら部屋を出て行くアルトを見送り、そのベッドの上に転がっている雑誌へと手に取る。
検査入院がこれ程暇だったとは思わなかったな。一応俺がこの世界に転移してきた時も同じような事をやっているが、あの時は寝ている時にオズマから必要最低限の検査はして貰っていたからな。それを考えれば、最初から最後まできちんと検査をするのはこれが初めてって事になるか。
アルトが同部屋って事もあって、空間倉庫から適当に何かを出す訳にもいかないし……売店で漫画雑誌でも買ってくるか?
『お、おい! 何でお前がここにいるんだよ!?』
そんな風に考えていると、廊下から突然アルトの困惑したような声が聞こえて来る。
いや、困惑というか驚きか?
『あら? 貴方確か退避壕の時にランカちゃんと一緒にいた……そう、貴方もS.M.Sに入社したのね』
『は? ランカ? おい、ランカ。こいつに俺の事を何か言ったのか?』
そんな困惑の声のアルトに言葉を返したのは、こちらもまた聞き覚えのある声だった。
というか、あの電話はランカからだったんだな。2人の付き合いがどういうものなのかは分からないが、オズマ辺りに知られないといいけど。そんな風に、本来この場所にいる筈じゃない人物の声を聞いて現実逃避をしていた俺だったが、その現実は俺に対して逃避を許してはくれなかった。
病室の扉が開き、そこから見覚えのある人物が入って来たのだ。
「アクセル、無事ね?」
若干勢い込んで入って来たその人物は、ストロベリーブロンドの髪を大きめの帽子で隠し、生気に満ちた目をサングラスで隠している。
そんな状態でも分かる、いつもの強気な表情とは裏腹などこか焦っているかのような表情。ちなみに、アルトは扉から顔を覗かせると、すぐに携帯で話したままヒラヒラと手を振ったまま離れていくのだった。
「ああ、お前から借りた幸運のお守りのおかげでな」
ベッドの上で寝転がりながら、アルトに借りた雑誌を軽く上げて銀河の妖精と称される歌手に挨拶をする。
そんな俺の様子を見て安堵の息を吐いたシェリルが、手に持っていた果物の盛り合わせが入った籠を俺へと渡してきた。
「いいのか? 結構高いだろうに」
閉鎖系バイオプラントを採用しているフロンティア船団では、基本的に環境艦が農作物や動物を育てている。その為、当然値段はそれなりに高価になり、自然物の類は俺の感覚で言うとブランドものの肉やら野菜やら果物やらといった物と同じ感じだ。
だが、シェリルは口元に笑みを浮かべて小さく肩を竦める。
「あのね、あたしはシェリル・ノームなのよ? 果物の盛り合わせなんて環境艦ごと買える程度には稼いでいるわ。それにカイトスやダルフィムを助けてくれたでしょ? そのお礼もあるのよ」
「確かにあのシェリル・ノームがお見舞いに来ているってのは、報酬としては悪くないかもしれないけどな」
「そうよ。こんなサービス、滅多にしないんだからね」
小さく笑みを浮かべているシェリルを見ながら、果物ナイフを近くの棚から取り出して林檎の皮を剥いていく。
「……意外ね、アクセルが果物の皮をそんなに綺麗に剥けるなんて」
「さすがにウサギの形に切ったりは出来ないが、この程度なら何とかな。ほら」
皮を剥いて切ったリンゴを皿の上に乗せてフォークと共にシェリルの方へと差し出す。
「ありがと。……うん、美味しいわね。さすがあたしが買ってきたリンゴ」
「そこは、せめて俺が皮を剥いたリンゴって事にするんじゃないのか?」
「何よ、あたしが買ってきたのは事実でしょ?」
小さく笑みを浮かべ、再びフォークでリンゴを口に運ぶ。
「ま、そういう事にしておくか。……で、肝心のカイトスやダルフィムについては何か分かったのか? あいにく俺はフロンティア船団に戻って来た途端に検査入院としてここに放り込まれたからな。その辺の情報はまだ聞いてないんだよ」
「……聞いたわよ。良くもまぁバジュラ艦の内部に突入するなんて真似をしたわね」
「……聞いた?」
俺やアルトがバジュラ艦に突入したというのは、一応機密事項になってる筈なんだが……幾ら銀河の妖精だとは言っても、洩らす者がいるのか?
そんな俺の疑問が顔に出たのだろう。シェリルが苦笑しながら口を開く。
「別にS.M.Sの人から聞いた訳じゃないわよ。グレイスっているでしょ? 彼女インプラントだから、ライブの休憩中にもリアルタイムでアクセル達の戦い振りをみてたのよ。……言っておくけど秘密よ? フロンティア船団じゃ基本的にインプラントは違法なんだから」
グレイス、か。あの女を見るとざわつくこの感覚。俺の考えだと間違い無く何らかの意味で黒と出てるんだが……それを、ここでシェリルに言うか?
一瞬そう考えたが、すぐに却下する。こうして見る限りでもシェリルがグレイスに対して並々ならぬ信頼を抱いているのは事実だ。それを考えると、ここでグレイスが何かを企んでいるとか言ったとしてもまともに信じて貰える筈も無いだろう。今はとにかく黙っておく方が吉……だな。
「アクセル? 急に黙り込んでどうかした?」
「いや、何でも無い。それでギャラクシーから逃げてきた艦の乗員から話は聞けたのか?」
「駄目ね。ま、しょうがないわよ。アクセルもそうだけど、バジュラと接触した人達だから検疫が済むまではね」
検疫、検疫か。だが、それにも不自然な点は残る。俺やアルトはまだいい。敵の母艦に侵入したんだから、未知の病原菌を持っていても不思議でも何でも無い。だが、何故カイトスやダルフィムの乗員は検疫を受ける必要がある? バジュラと接触したという意味では、シェリルのライブの時にアイランド1に侵入してきたバジュラと接触した住民も多くいる。だが、それらは殆どが簡易な検査で解放されているのだ。それなのに、カイトスとダルフィムは……いや、単純に俺の考え過ぎか? だといいんだが、な。
「それで、これからの予定はどうなっているんだ? さよならライブをやって帰るにしても、肝心のギャラクシー船団が……」
「ええ、そうらしいわね。あの2艦にしてもギャラクシー船団が襲われた直後に避難してきたって話だから、今ギャラクシー船団がどうなっているのかは分からない」
「じゃあ、もう暫くフロンティア船団に残るのか?」
「でしょうね。悪いけど、こっちも必死だからフロンティア船団を利用させて貰う事になるでしょうね。それこそ、あたしの名前を使ってでも」
溜息を吐きながらリンゴを口に運ぶシェリル。
その姿を見ていると無理をしているように感じられ、思わずその肩にそっと手を置く。
「あまり無理をするなよ」
「べ、別に無理なんかして無いわよ! あたしを誰だと思ってるの!?」
「俺にとってお前は銀河の妖精でも何でも無いシェリル・ノームだよ。ま、色々と強がって素直になれないけどな」
そう口にした途端、照れか怒りか、あるいは恥ずかしさか。とにかくそれらの感情でシェリルの顔が赤く染まる。
「ちょっと、アクセル。あんた年下の癖に生意気よ。そういう台詞は、もう少し大きくなってから気になる相手に言いなさい」
そう告げながら、ぐにっと俺の頬を抓ってくるシェリル。
その行動が照れ隠しであるのは明らかだったので、取りあえずは元気が戻ったようで何よりだと判断する。
そのまま10秒程俺の頬を抓っていたシェリルだったが、やがて痛がっていないのに気が付いたのだろう。少し不満そうな表情をしながらも、俺の頬から手を離す。
「ま、まぁ、いいわ。けどこれで決めた方がいいわね」
「……決める? 何が?」
「さて、何かしら。それはちょっと後でのお楽しみよ。楽しみにしてなさい。じゃ、あたしはこの辺で戻るわね。この後記者会見が待ってるから。早く退院しなさいよ」
最後の1口とばかりに残っていたリンゴを口の中へと放り込み、軽く手を振って病室を出て行く。
一瞬病院の外まで送った方がいいのか? とも思ったが、よく考えたらシェリルであると周囲に知られた時に俺が一緒にいる方が不味い事態になるだろうと判断し、そのまま見送る。
……決して面倒になったからではない。
「帰ったのか?」
シェリルが病室を出て行ってから数分後、携帯を持ったアルトがそう呟きながら病室の中へと入ってくる。
「ああ、一応ギャラクシー船団から逃げてきた艦を助けてくれた礼として見舞いに来てくれたらしいな」
「……その割には俺は殆ど相手にしないでアクセルにまっすぐ向かって行ったけどな。何だ、俺が口を出すのも野暮だからこれ以上は何も言わないが」
「言っておくけど、別に俺とシェリルはそういう関係じゃないぞ? そうだな、敢えて言うとすれば友人関係といったところか」
「俺にはとてもそうは思えなかったけどな」
溜息を吐くアルト。
だが、シェリルが俺に感じているのは男というよりも弟的な感じだろう。普段の態度から見ると恐らくは……間違い無く。
ともあれ、このままの話題が続くと色々と不味いので、話題を変えるとしようか。幸い、アルトにとってもさっきの行動で弱点が出来たし。
「それよりも、お前はシェリルや俺の相手よりも、さっきの電話の相手をフォローした方がいいんじゃないか?」
「んがっ!? おい、俺は別にランカとは……」
「特定の名前を言った覚えは無いんだが? なるほど、オズマの妹が電話の相手だったのか。それはあれだよな? 以前俺やシェリルと一緒に閉じ込められた。……随分と仲が良さそうだな」
シェリルの持ってきた果物の盛り合わせの中からミカンを取り出してアルトへと放り投げ、からかうように告げる。
そのミカンを受け取りはしたものの、アルトの顔色は面白い程に赤く染まっていた。
男にしては随分な美形だが、その辺の耐性はあまり無いらしいな。ミハエルはその点だと百戦錬磨だってのに。
バスケットの中からパイナップルを取り出して果物ナイフで頭頂部を切り落としながらからかうのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:41
PP:660
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
???
撃墜数:641
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