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願いを叶える者(旧リリカルなのは 願いを叶えし者)

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演習2

「お前らアカデミーで手抜きしてたでしょ!」

カカシに肉薄しては離れを繰り返す俺達は中々攻めきれずにいた。

「いつ裏切りに会うかもわからない世界だからな!」

「当然だってばよ!」

本気を出せば即行で終わりになってしまう。
しかし、そんなことをすればこの演習の意味が無くなってしまうためそれができない。

ナルトは気づいて無いみたいだけど…。

「くっ……(こいつら…軽く上忍クラスはあるぞ…)」

辛うじて対応が出来ているカカシだが、何時まで持つかわからないのが現状である。
さらに言えばナルトは兎も角、ユウジの方は本気を出してないのが分かるため、
警戒する他なかった。

「鈴取りがいつの間にか実戦だな!」

ドスドスとブローを打ち込むユウジ。

「なら手加減して頂戴よ!」

ギリギリになりながらも受け止めるカカシ。

「後ろだってばよ!」

そんな俺に気をとられて、
背後から攻撃するナルトに気がつくのが若干遅れたカカシは、
やむ無く幻術を使ってしまった。

「やったってばよー!鈴とっぐってー!
何すんだってばよ!」

幻術による作用で簡単に掛かったナルトは、
カカシから鈴をとったと錯覚し、
その直後にユウジに殴られて気がつく。

「くっそー!幻術なんて卑怯だってばよ!」

「忍者なんだから当たり前でしょ……」

軽口を叩くものの、警戒は解かない。

直ぐにユウジが肉薄する。

「獅子殲吼!!」

「ぐぅあ!?」

カカシの腹部に向けて、獅子の気玉をぶつける。

カカシはもろにくらい、数m吹き飛んだ。

「土遁、土柳搶!!」

ズガガガガガッ!

カカシの周りに土の槍が生え、
カカシの行動範囲を上だけに絞る。

「甘い!」

カカシは飛び上がり、印を結ぼうとしたその時、

「おらぁ!」

「ぐっはぁ!?」

飛び上がったカカシに向けて肉弾特攻でナルトに突き飛ばされた。

飛ばされたカカシは地面を転がりつつ体制を整えてこちらを再度警戒する。
しかし、目にしたのは二人が鈴を見せびらかす姿だった。

「忍者は裏の裏まで読むべしってね。
まぁ、そこそこ楽しめたし……ナルト、昼飯食いに行くぞ~」

「おう!」

「……立つ瀬がない…ね。
ホント…」

カカシは集合場所へと歩いていく二人の姿を寂しく見送るのだった。













"ジリリリリリリリリリリリリリ"

ーーーーーー演習終了。

朝に集まった丸太が3本並ぶ場所。
その真ん中には暴力ピンクが縛り付けられていた。

あの後、サスケは俺達が善戦したことに焦りを感じ、颯爽とカカシに挑むがやむ無く敗退。
カカシから秘伝体術奥義『千年殺し』を受け、
更には土に首からしたまで埋められたのだった。(土遁、地中斬首の術)

その時のカカシは八つ当たりのような感じだったとか。
サスケは土に埋まっている間、ケツの痛みに耐えるような顔をしていたようだ。

暴力ピンクはサスケを探している最中にカカシから幻術を掛けられて気絶。
その時見せられたのが、サスケが他の女と寝ていると言う生々しい幻術を見たそうだ。

カカシ曰く、黒板消しの恨みらしい。(当たってないのに…)

「よーし、それじゃあ結果発表するよー」

「その前にこの縄ほどいてよ!」

暴力ピンクの言葉を聞き流し、結果を促すカカシ。

「取り敢えずお前らはアカデミーに戻る必要はない」

「ぃやったー!」

「ふっ……(っっっ…」

「と、当然よね!」

「はぁ…」

カカシの曖昧な言葉に喜びを露にする三人。
俺はその意味が分かっていたための溜め息だ。

「そう、お前らはアカデミーに戻る必要はない。
今すぐ忍者を辞めろ。
ユウジとナルトは可哀想だがな…」

「ちょ、ちょっと!
何で忍者を辞めないといけないのよ!
確かに鈴は取れなかったけど…でも、忍者を辞めるほどじゃないでしょ?」

その言葉に暴力ピンクが反旗の声をあげた。

サスケは無言でカカシを睨み付ける。
……片手でケツを押さえているが。

ナルトは絶望を目の当たりにした顔をしている。

少しの溜め息を吐いた後、カカシの空気が変わった。

「この演習の本当の目的はチームワークだ!
この二人が俺と手合わせする前、お前らを誘った時、即答で断ったそうだな!
サスケ!お前は二人の善戦に焦りを感じての個人プレー!
独断専行で撃墜ときている!
サクラ!お前はサスケを探すだけにしか頭が行かず、
なんの成果も挙げられなかった!
そんな仲間も頼れない奴等がこの先忍者としてやっていけると思ってんのか!
お前ら忍者舐めてんのか?!あぁ!?
それに比べてお前らがドベと言っている二人はどうだ!
チームと呼べるかは曖昧ながら、二人で協力して鈴を取りに来た!
これがどういうことか分かっているのか!」

カカシは怒鳴り散らす。
余りの剣幕に全員が言葉を失って沈黙する。

「……先生ぇ…つまり連帯責任でオレ達も忍び辞めなきゃいけないってば……?」

「…そうなる。
だが、他の班に入れてもらえるように火影様に頼んでみるつもりでもいる」

その言葉に若干ながら安堵の表情を見せるナルト。
しかし、ここでもちゃちゃを入れるのが暴力ピンク。

「なっ!何でこの二人だけ好待遇なのよ!ヒイキじゃない!」

「お前は俺の話を聞いていなかったのか!
お前の結果が一番酷かったんだぞ!
この二人がこの結果に文句を言うのは分かる!
だが、お前が言う筋合いはない!」

再度怒鳴られた暴力ピンクは無言となり、下を向いて泣き始めた。

暫く沈黙が続き、漸くしてカカシは口を開いた。

「…………これから一時間後にもう一度演習を行う。
次はもっと過酷にするからな!それまでに弁当を食っておけ!
只し!サクラにはやるな!それを破ったら即刻忍者を辞めて貰うからな!」

そういい残してカカシは姿を消した。




とは言ったものの、俺とナルトはもう弁当を食っちまったしな…。
次からはチームワークをカカシに見せなくてはならないわけだし、
一人だけ腹ヘリで動き悪いと困るしなぁ…。

「はぁ……ナルト、一旦家に戻るぞ…」

「え?でも演習は…」

「一時間もあるんだ。
一旦帰って装備整えるのも悪くない。
それに、ここにいろとは言われてないからな」

「ん…分かったってばよ」

ナルトは俺の意図を察してくれたようで、
舜身の術で家へと向かった。

後ろから暴力ピンクが叫ぶ声がした気がしたが、気のせいと言うことにしておいた。

















家に帰って手軽な料理を作った後、
残り時間25分辺りの時間で演習場に到着した。

しかし、カカシは既に帰ってきており、
暴力ピンクとサスケが俺達を睨み付けた。
その目はまさに『何しに戻って来やがった』と言っているようだった。

「お前ら、何処行ってたの?」

カカシが訪ねる。
カカシは内心、俺とナルトを信頼し始めていたところだったのだが、
この場から居なくなったことに訝しさと少しの嫌悪感を抱いてしまったようだった。

「何処って、その二人から聞いてないのか?
俺達は家に戻ってたんだが?」

「……この二人には合格を言い渡した。
何故だか分かるか?」

「ふむ…」

この場には先程の面子。
その足元には一つの弁当箱…それが暴力ピンクの足元に………あぁ、成る程。

「サスケから弁当を分けてもらったわけだな?」

「そう言う事だ。
忍びとして、上忍の指示や任務をこなせない奴はグズ呼ばわりされる。
だが、仲間を大切にできない奴はそれ以上の屑だ。
再度聞く。
お前たちは、仲間を置いて、何処にいっていた?」

「その前に聞くけど、この後演習はしないのか?」

「…言っただろう?
お前たち以外には合格を言い渡したと」

「ふーん、なら、この弁当も用済みになったわけだ?」

「何?」

俺はナルトの背負っていたバッグから先程作ってきた弁当を取りだし、
序に水筒もとりだす。

「腹が減っては戦はできぬ。
あんたは更にきつい演習をすると言った。
そんなきつい演習を、一番酷かった、更には腹が減って限界寸前のやつが
いい動きが出来るとでも?」

「…まさか……」

「確かにあんたはそいつにはその弁当をやるなと言った。
だがこの弁当は違うし、あんたがここを離れる前、
ここにいろとも言ってない。
詰まり、装備を整えるのも、何を作ってこようとも、
時間にさえ間に合えば問題は無いと言うことになる。
…どうだ?何か間違っていたか?」

俺の論破にナルト以外の3人が絶句する。
特に暴力ピンクの顔が一番酷く、明らかに同様が見てとれた。

大方俺が『一旦家に戻るぞ』と言ったのを過酷言に変えてカカシに報告したのだろう。

「まぁ、あんたの言った仲間に対した思想が
今回の俺達の行動で×点貰うのならば、合格なんて要らないし、
忍びを辞めるのだって構わないぞ?
忍びだけが生きる道じゃ無いからな」

俺の言葉に更に顔を悪くする暴力ピンク。
カカシはしまったと言わんばかりの顔をしていた。
サスケは未だにケツを押さえている。

「ナルトはどうだ?」

「オレも、仲間は大切にするべきだって思うし…
俺達で考えた行動だったし……。
それで不合格なら辞めるってばよ…忍者……」

「あ………いや………」

「それじゃ、忍者辞めるのじいさんに伝えてくるわ」

「ユウジの兄ちゃん、これからどうするんだってばよ?」

「んあ?まぁ、世界を回ってみるのも面白いんじゃね?
良いことあるだろ?迫害されなくて済むし」

「お!なら!なら!温泉とか行ってみたいってばよ!」

「おう、良いz「まったーーー!」………」

カカシがおどおどしながらも何かと話そうとするのを無視し、
ナルトと今後について話していたところに待ったをかけられた。

「正直、お前たちを軽く見てた……いや、軽く見すぎていた。
まさか弁当を持ってくるなんて考えてなかった…。
すまん!お前達も合格だ!」

「………へ?」

ナルトは行きなりのことで唖然とし、呆ける。

「あー、ナルト。
詰まりは忍びを続けても良いってことだ」

「………た…………たってば……」

「はぁ?」

「やったってばよーー!」

ブツブツ言っていたかと思うと、両手を空へと突き出し、
大歓喜を体現するナルト。

「じゃ、じゃあ帰るか?
一応合格祝に肉でも食いに行こうかなって考えてんだけど」

「ふーん。
ナルトはどうする?」
「行くってばよ!」

「そうかい」

俺の質問に即答で返すナルト。
暴力ピンクは少しホッとしているようだが、未だに気まずさが残っている。
サスケは何かを考える仕草を取っているものの、やはりケツを押さえていた。
















勿論カカシの奢りだったわけだが、
カカシの財布が軽くなったのは言うまでもない。  
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