| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

願いを叶える者(旧リリカルなのは 願いを叶えし者)

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

顔合わせ

「アレ、ナルトにユウジ?
何でお前がここにいんだよ!
今日は合格者だけの説明会だぜ?」

とある教室。
そこには先日の卒業試験で合格を受けた生徒数十名が
ワイワイと騒いでいた。

その中で合格はないであろうと思われていた二人の生徒が見えれば
そう問いたくなるのも仕方がないだろう。

「ん?ああ……
追試験みたいなの受けて、それに合格したからココにいる訳だ」

「ちょっと、そこの席通してくれる!?」

例のピンク髪の凶暴女、『春野サクラ』がナルト…ではなく、俺に命令してきた。
どうやら、俺の左隣にいるナルトの更に隣に座っているサスケに用があるらしく、
何としてでも隣に座りたいらしい。

「今更動くのは勘弁だな。
動きたくないし」

「いいからどけ!私はアンタ達の向こう側に座りたいのよ!
しゃーんなろー!!」

俺の反論を完全無視。
何の躊躇いも無く理不尽を叩き付けてくるサクラに少しキレそうになったが
何とか我慢してナルトを残し、その一つ上の段の席に移動してやった。



暫くナルトの挙動不審を眺めていたら、何時の間にかイルカが教室に入って来ていたので、
そちらに目を向ける。

「みんな!卒業おめでとう!
今日から君達はめでたく一人前の忍者になったわけだが、
しかしまだまだ新米の下忍……本当に大変なのはこれからだ!
これからの君達には里から任務が与えられることになる。
今後は3人1組の班を作り、各班ごとに1人ずつ上忍の先生が付き、その先生の指導の下、任務をこなしていくことになる。
という訳で、班は力のバランスが均等になるよう、こっちで決めた」

『えーーー!!』

イルカがそう言った途端、生徒たちから大ブーイングが起こった。
しかし、何食わぬ顔でイルカは話を進めていった。









「………じゃあ、次!7班!
尚、この班だけは4人になる!
ではまず、春野サクラ!うずまきナルト!
それと……うちはサスケ!
最後に、赤志ユウジ!」

暴力ピンクの次に自分が呼ばれたナルトは
見てわかるほどに落胆し、「ヒナタが良かったってばよ……」
と呟いているのが聞こえた。

どうやら少し遠くにいるヒナタ本人も聞こえてしまったようで、
顔を赤らめていた。

「意義あり!
どうして私とサスケ君がこんなクラスのビリ二人と一緒になるんですか!」

ほう、言ってくれる。
なんなら今から模擬戦したいところだな。

「最初に言っただろう。
実力が平均になるように組んだ、と」

もの凄い剣幕で怒鳴って来る暴力ピンクにイルカは少しため息を吐いた。

「…………いいか?
サスケは(表向き)卒業生28名中1番の成績で卒業。
そして、ナルトとユウジは成績ドベ(手抜き)。
つまり班の力を均等にすると自然とこうなるんだよ」

「そんなぁ…………」

肩を落とした暴力ピンクはナルトを睨み付けていた。
サスケは鼻をならし、「足を引っ張るなよドベども」というように
腕を組んでいた。




教室で担当上忍を待ち始めてから数時間後。

「何で私たちの班だけこんなに来るのが遅いのよォ!!」

暴力ピンクが騒いでいるが、ナルトとユウジはそれを無視して昼寝を始めた。

「全くもうっ!ナルト、ユウジ!先生を捜してきなさい!」

「…………何っだよ……折角人が気持ちよく寝てるって時に………」
「寝かせてほしいってば………」


「いいから、捜してこい!」

「チッ、メンドクセェ……」
「はぁ………眠……」

ふてぶてしい顔をしながら廊下に出て捜してみれば、目的の人物『はたけカカシ』はすぐに見つかった。

「あー………お前ら、『教室で待ってろ』って言われなかった?」

「あんたが来るのが遅すぎるから暴力ピンクに探しに行けって言われたんだよ」

「ふぅーん。そうなのね(暴力ピンク?)」

「ところで先生。
人の家で勝手に物色しないで貰えます?」

「!?お前、何で知って………」

「あの家には特殊な結界をかけてある。
俺が認めた奴以外が入ると反応してわかるんだよ。
まあ、今度からは本人の許可を取ってくれれば問題はないが」

「う、うん、分かった。そうする……」


その後の3人は、何の味気もない雑談をしながら教室に向かった。
道中、カカシについて色々と話をしたりした。

ナルトについての話しをしたあと、何やら悲しげな空気を出し始めていたのが気になったが、
まぁ良いだろうと思っておく。

まぁそんなこんなで教室に到着。

「いやー、お待たせ…」

何気なく入っていくカカシは頭上にある黒板消しに気が付いてないのかはたまた態となのか、
全く避けようともしなかった。

ドアに挟む形でセッティングしてあった黒板消しトラップは
ドアを開いた瞬間に落下し、

パコォン!

と景気のいい音を出して暴力ピンクの足元に転がった。

俺が拳圧で撥ね飛ばしたのだ。

カカシはそんな俺を見てから直ぐに前に向き直った。

いざ黒板消しを見てみると、
赤いチョークで紺色の布の部分を塗りつぶしてあった。
なんつー陰湿なトラップ仕掛けてんだか…。

「んー……何て言うのかな……
この二人を除くお前らの第一印象は…嫌いだな」

この二人、つまり俺とナルトの事である。







とりあえず第7班のメンバーは、カカシの命令により屋上に移動させられた。
やはりと言うか、黒板消しトラップを仕掛けたのは暴力ピンクだったため、
それに逆ギレをし始めたときはどうしようもなかった。

それはさて置き、屋上に集まったメンバーはとりあえず適当に座れる場所に座った。

「まぁそうだな……まずは自己紹介をして貰おう」

「……どんなこと言えばいいの?」

こいつ、自己紹介の意味しらないのか?

「そりゃあ、好きなもの、嫌いなもの……あとは…
将来の夢とか、趣味とか……ま!そんなのだ」

「じゃあ、とりあえず見本ってことで先生からやってみれば?」

ナルトの言葉にカカシは頷く。

「あー………、
オレは『はたけカカシ』って名前だ。
好き嫌いをお前らに教える気はない。
将来の夢って言われてもなぁ……
ま!趣味は色々だ………っと、こんなところだな」

「ねェ……結局分かったの……名前だけじゃない?」

とかサクラが呟いているが、
カカシはあえて聞こえないフリをしてそのまま司会を続けた。

「じゃ、次はお前らだぞ。右から順にな」

と言って、カカシはナルトの方に目を向けた。

「オレからか……
オレの名前は『うずまきナルト』!
好きなものは修行と一楽のラーメンとユウジの料理!
嫌いなものは………うーん………何だろ?
まぁあいいや。
んで、将来の夢は…火影になる!そんでもって皆から認めてもらえる人間になるんだ!」

最後の一言を言ったときのナルトは、
何処か遠くを見るような、そして悲しそうな目をしていた。

(なかなか面白い成長をしたな、こいつ……
でも、こんな12、3の子供がそんな目をするなんて…
さっきの話し、ほぼ事実なんだな)

カカシもナルトの境遇を想像してか、
少し可哀想だと思っていたりする。

「…それじゃ、次!」

「……名は『うちはサスケ』。
嫌いなものなら沢山あるが、好きなものは別にない。
それから……夢なんて言葉で終わらす気はないが、野望はある!
一族の復興と、ある男を必ず………殺すことだ」


その一言でその場に冷たい空気が流れた。

ナルトはナルトで
『殺すことって……オレの事じゃないだろな…』
とか思って挙動不審。

暴力ピンクは目をハートにしている。

カカシは目を細めていた。

「よし…じゃ、次…………女の子」

「私は、『春野サクラ』。
好きなものはぁ……ってゆーかぁ、好きな人は…
えーとぉ………将来の夢も言っちゃおうかなぁ……キャーーー!!」

カカシとナルトは『コイツ、頭大丈夫かな?』
という目で見ていた。

「嫌いなものは、この二人です!」

バッと俺とナルトを指差す暴力ピンク。
ナルトはどこ吹く風のように気にせず、オレはというと…

「おろろろろ…………」

先程の"将来の"辺りから吐いていた。

(この年頃の女の子は…忍術より恋愛だな。)

当然、カカシもサクラの自己紹介には呆れていた。

「なら最後、赤志」

ん?オレの名前だけ知っていたのか?
…………となると、じいさんの計らいってやつか。

「あー、俺は赤志ユウジ。
好きなもの………は自分を平均で保つやつ、
諦めないやつ、真実を受け入れるやつ……あとあんパン。

嫌いなのは………ウザいやつ、自己中、自己満な性格のやつ、
物事を正確に図れないやつ、……あと豆。

将来の夢………か。
いや、目標はとある二人の人物に会ってお礼を言うことかな」

「ん?誰だってば?」

「内緒だ」

ナルトは不思議そうに聞いてくる。
こればっかりは教えちゃなんねぇな。

カカシはそんな言葉に何かを考えているようだった。


「よし!じゃあ、自己紹介はそこまでだ。
明日から任務やるぞ」

「えっ、どんな任務なんですか?」

「まずは、この5人だけであることをやる」

「…と言うと?」

「サバイバル演習だ」

ナルトと俺以外は唖然とした反応を示した。

「何で任務で演習やんのよ?
演習なら忍者学校で散々やったわよ!」

「…相手はオレだが、これはただの演習じゃない」

「「…………?」」

カカシが醸し出す空気が若干変わってきたことに、
やはり俺とナルト以外は疑問を感じた。

「ククク……」

そして、カカシは突如静かに笑い始めたのであった。
その動作は気持ち悪いぞ?

「ちょっと!何がおかしいのよ、先生!?」

「いや………まぁ、ただな………
オレがこれ言ったら、お前ら絶対引くから」

そう言って今度は勿体付け始めた。
こいつ話の先導を握るの上手いな…。

「は?そんなに引くゥ………?」

「ああ。なんせ、卒業生28名中、
下忍と認められる者はわずか5名。
残り10名は再び学校に戻される。
この演習は脱落率66%以上の超難関試験だ!」

それを聞いたサクラは顔から血の気が引いて俯いており、
サスケは顔に薄っすら汗をかき始めた。
一方、俺とナルトはと言うと

「へー」「ほー」

あまり関心のない返事でカカシの言葉に応えた。

「ハハハ………ホラ、引いた。
(でも、ユウジは兎も角、ナルトが引かなかったのは意外だったな)」

少しおちゃらけた感じでカカシは言うが、
俺とナルト以外の2人は先程のカカシの言葉で既に放心状態に近かった。

「あー、ということは……アレですか。
卒業試験は前座だったってこと?」

「まあ、そういう事だ。
あれは、下忍になる可能性のある者を選抜するだけ。
とにかく、明日は演習場でお前らの合否を判断する。
忍び道具を一式持って来い。
それと、朝メシは抜いて来いよ?吐くからな」

「吐くって!?そんなにキツイの!?」

「まあ、詳しいことはプリントに書いといたから、
明日遅れて来ないよーに!」

俺とナルトを除いた2人は緊張した面持ちでプリントを受け取り、
その日は帰路に着いた。  
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧