願いを叶える者(旧リリカルなのは 願いを叶えし者)
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証明写真と木葉丸
木の葉隠れの里…
2人の少年が忍者になるべく、
新生活をスタートさせた…。
「お前さんら…本当にそんな顔で撮るのか?」
「いいから!!いいから!!早く撮って!!」
「俺を入れないでくれ、アホはナルトだけだ」
据え置き型のカメラを使って写真を撮っている親父は少し困惑しているが、
被写体となる人物は「早く早く!」という風に構えており、どこか忙しない様子である。
「ったく・・・後悔すんなよ!ハイ、チーズ!」
その親父が少年に呆れながら撮った写真が…
「お前は何をやっとるんじゃ…………」
……今、火影の手元にあった。
この写真は、忍者登録書用の証明写真で、
どうみてもこの写真はありえないと火影は感じていた。
と言うかホントあり得なかった。
被写体は歌舞伎のようなポーズを取っており、
明らかにナルトではない誰か。
しかも色々とメイクが施されており、唯一分かるのが髪の色だけだ。
「いや~、特殊メイクに挑戦したんだけど、
なかなか上手く出来なくってさぁ!
おかげで3時間もかかっちまったてばよ!」
三時間もかけた。
何故、"変化の術"ではなく特殊メイクにしたのかが本当に謎である。
「……撮り直し!」
「ええっ!?」
火影が容赦ない判決を下した。
「まったく!忍者登録書を何だと思っておる!
この書類は里だけの隠密性の高い、
お前にとっても大切なものなんじゃぞ!
なんじゃ、この顔は!?全くの別人ではないか!?」
「いやいや、本人が渡しに来たんだから分かるでしょ?」
「儂以外には分からんわ!いいから撮り直してこい!」
「えー…… 」
「因みにユウジd…ユウジはOKじゃ」
今殿って言おうとしたな。
「あいよ」
「えー!ずるいってばよ!」
「はぁ……」
渋るナルトと溜め息を吐くユウジ。
そんな最中、入口の扉が勢いよく開かれた。
「じじィ!!勝負だァ、コレ!!!」
「はぁ!?」
首には長めの青いマフラーに片手に手裏剣を持った少年が勢いよく部屋に飛び込んで来た。
「ああ!また何てことを…」
少し遅れて丸いレンズのサングラスを掛けた男が息を切らして入って来た。
それとほぼ同時に、勢いよく入って来た少年が何もない所で躓き、顔面を強く床に叩きつけてしまった。
「いってェェー!!!」
転んだことよりも転び方が少々マズかったため、
男も大慌てである。
しかし、それは杞憂であった。
少年は少し痛そうに頭を押さえながらではあったが、いつもやっている事とでも言うかの如く普通にムクッと起き上がったのである。
「くっそぉ!トラップか、コレ!?」
「だ……大丈夫でございますか!?お孫様!!
ちなみに何処にもトラップはありません!!」
少年と男のやり取りを見ていたナルトとユウジは、一応火影に訊ねてみる。
「なあ……」
「何だこの茶番は」
「あー、ああ、ワシの孫の木の葉丸と、
その家庭教師をお願いしているエビスじゃ」
「そ、そうなの……」
「やれやれ…」
"いつもこんな調子なのか?"と2人は少し心配そうな顔を彼らに向ける。
すると・・・
「フム・・・そうか!!貴様等が何かしたんだな、コレ!!」
「いやいや、お前が勝手にこけただけだろーが!!」
「なぁ、帰りたいんだけど」
部屋に入ったときの勢いを取り戻し、
その勢いで木の葉丸はナルトとユウジに突っ掛かってきた。
ナルトは相手の胸倉を掴みながらツッコミを返し、
ユウジは無気力で対応する。
「コラ!!ナルト!!手を放さないか!
その方は三代目火影様のお孫さんなんだぞ!!」
「………」
『えー、何この空気…俺が悪いの……?』とナルトは少し焦った。
「殴れるもんなら、殴ってみろ!!」
そんな空気を読まない木葉丸の発言により、
ナルトは
「ンなの知るかってばよボケ!!!」
「いってェェェ!!」
木葉丸の頭に拳の鉄槌をお見舞いしたのであった。
「まったくもう………爺ちゃん!
後で撮り直したヤツを持って来るから、まっててよね!」
「う、うむ…行っておいで……」
エビスが悲鳴を上げたり何やらタラタラと文句を言っているが、ナルトはそんなことも気にせずに早足で歩いて行った。
………ユウジを置いて。
ところ変わって撮影場所への道中、
建物の物陰や電信柱に隠れながら、
そして隠れる場所がないときは"隠れ葦の術"を用いてナルトをストーキングしている者がいたのだが………
「何やってんだよ、木の葉丸。
木目もバラバラだし、ホントにバレバレなんだけど」
ど素人の隠密行動にナルトが気付かない訳がない。
「フフフ……よくぞ見破った!コレ!!
流石、噂通りの男!」
何故かドヤ顔をしながら木の葉丸は隠れていた布から出て来た。
「オレ、お前の子分になってもいいぞ、コレ」
「はっ?」
「その代わり、アカデミーの教師を倒した"あの術"を教えてくれ!!
頼む!!親分!!」
出て来ていきなりこんな事を言い出したのであった。
突然このような事を言われたナルトは流石は困惑した。
あの術…最近になって倒した教師はミズキ一人しか思い浮かばない。
ならば術ってのは多重影分身の術だろう。
「と、とりあえず…場所を移させてくれ…」
「さて、習いたい術って何だ?」
「親分が先生をぶっ倒したヤツなんだな、コレ!」
多分考えは外れていない。
恐らく、たまたま火影と一緒に水晶玉を通してナルトとミズキのやり取りを見ていたらしい。
「あれかぁ~……。
あれは一応禁術なんだけど…
よしっ!じゃあ、まずは基礎から教えていくぞ!
よーく見とけよ!」
「オッス!親分!」
「影分身の術!」
ナルトが術を使うと大きな音と煙が立った。
煙が晴れるとナルトが二人になっていた。
「これが、"影分身の術"だ。
まあ、実際に何度もやってみてコツを掴んでいくのが一番だな。
とりあえず、自分が二人になるって思ってやってみろ!」
「オッス!親分!
"影分身の術"!!!」
しかし、出てきたのは目の色が消え、ヨダレはダラダラ、
まさに野獣を体現した木葉丸だった。
「コレェェェェ!」
木葉丸(分身)は暴れだし、木葉丸(本体)に殴りかかろうとした。
「お前は何を想像したぁぁぁ!?」
木葉丸はびっくりして身を縮めて動かない。
「コレェぶぅふぁ!?」
ボフンッ!
殴りかかろうとした木葉丸(分身)はあらぬ方向へと吹き飛び、
煙となって消えた。
「何やってんだか」
木葉丸を守ったのは置いていかれたユウジだった。
・・・30分後
「やったぞ、コレ!ついに完成したぞ、コレ!」
「ああ!やったな、木の葉丸!」
「ところで、コレ覚えてどうするんだお前?」
少々の説教をナルトを交えて行ったあと、
木葉丸にナルトと教授してやった。
子供にも何となく分かるように説明をして、
何とか覚えることに成功した。
そんな木葉丸は俺の質問に暗い影を見せながらも
ポツポツと語りだした。
「俺の…『木葉丸』って名前は……爺ちゃんがつけてくれたんだ。
この里の名前にあやかって。
でも、これだけ里で聞き慣れた響きの名前なのに誰一人その名前で呼んでくんない!
みんなオレを見る時やオレを呼ぶ時、ただ『火影の孫』として見やがんだ。
誰もオレ自身を認めてくんない。
もうイヤなんだ、そんなの!!
だから、いま直ぐにでも火影の名前が欲しーんだ!!」
木ノ葉丸は粛々と自分の気持ちを最後まで語った。
ナルトは少し考えてから、口を開いた。
「…お前の気持ちは分かるけど、今のお前じゃダメだ」
「え!?」
「いいか?火影ってのは何でも一人でやってるわけじゃないんだってばよ。
当然、手伝ってくれている仲間がいる。
そんな人たちに手伝いをお願いできるのは
『その人に自分を認めて貰った』人間だ。
実際、オレだってついこの前やっと、認めてくれた人を1人増やせたんだし。
だからいいか?これから言う事をよく聞いてくれ。
『火影になった者が皆から認められるんじゃない、皆から認められた者が火影になるんだ』。
この事を決して忘れないで欲しいんだってばよ」
「……フン!偉そーに説教なんかしちゃってさ、コレ!
オレ、もう子分なんかやーめた!
これからは………ライバルだ!
ユウジ兄ちゃんもだからな、コレ!」
「ああ!それじ「見つけましたぞ!お孫様!」・・・水を差すんじゃねぇよ!」
空気を読まずに現れたのは、サングラスの男、エビスであった。
「さっ!お孫様、帰りましょう!
こんなクズ達といてはお孫様に悪影響が出てしまう!」
「…………ナルト兄ちゃんが……クズ?
ユウジ兄ちゃんも?」
「そうですとも!こんな奴らと一緒にいてはいけま「………兄ちゃん達はクズ何かじゃないぞ、コレ!!」せ………ん?」
「兄ちゃん達は大事なことをちゃんと教えてくれたんだぞ、コレ!!
バカにするなー!!」
「何を仰いますか!
こんなヤツら、生きている価値なんかないんですぞ!」
生きる価値のない者……………か。
そうかそうか……。
エビスのその一言はナルトとユウジの怒りの沸点に達するには十分だった。
「木の葉丸、よく見とけ。
術には其々に使い方って物がある。
特に術の組み合わせは戦況をも変える事が出来る」
「組み合わせ?」
「ナルト、お前が昨日の夜、家でやってた術。
あれを影分身でやったらどうなる?」
「へ?…………よぉし!行くってばよ!」
2人は悪戯を思い付いたかのように
怪しげな笑みを浮かべ、印を組始めた。
「多重影分身の術!!」
「からの変化の術!!」
エビスは何やら良からぬ気配を2人から感じ取り、咄嗟に身構える。
煙がエビスの周りを隠し、煙が晴れると同時に多くの裸の女の子が
エビスを取り囲んでいた。
「「ハーレムの術!!」」
ナルトは金髪ツインテールでスタイル抜群の美女に、
ユウジは様々なタイプ(モデル、幼女、熟女、デブ等)の女性を用意した。
所謂『女塗れ』の状態にされたエビスは盛大に鼻血を吹き出して
地面に倒れ付した。
普段、真面目でお堅いエビスには
ハーレムのような珍しい類の色仕掛けに対しては耐性が0だったので、
効果は抜群であった。
「いっちょあがりぃ!」
「鼻血のアーチか……きったね」
「やっぱり、兄ちゃん達の方がスゴかったぞ、コレ!
兄ちゃん達がいっぱいになったし!」
「まあ、この術もいずれ教えてやるよ。
そんなことより、わかったか?」
「うん!
術は組み合わせでもっと凄くなるんだな、コレ!」
木葉丸はハイテンションではじゃぎまわり、喜んでいた。
「さて、お前には悪いけどオレは明日から一足先に忍者になる!
先に火影になるための一歩を踏み出すけど……いずれお前も追いついて来いよ、木の葉丸!!」
木の葉丸は名前を呼ばれて一瞬固まった。
初めて他人から、ちゃんと名前を呼んで貰えて感動したからである。
木の葉丸は少し照れながらナルトに握手を求め、ナルトもそれに応え、
これからの互いの健闘を祈り合ったのであった。
「兄ちゃん達に負けないくらい、もっと凄くなってやるんだな!コレ!」
木葉丸は俺たち二人に拳を突き出し、その言葉を誓うかのように言いはなった。
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