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久遠の神話

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第百五話 テューポーンその七

「気付いたんですが」
「私のさっきの話ね」
「はい、テューポーンは台風で」
「そしてね」
「火山に封じられたんですね」
「シチリアのね」
 イタリアの南にある島だ、イタリア半島はブーツなのでその先にある石と表現されることも多い島である。
「そこの火山になったわ」
「エトナ火山ですね」
「そう、そこに封じられているからね」
「だからですね」
「そう、わかったわね」
「はい、テューポーンは」
 まさにだと言うのだった。
「熱が凄いですね」
「熱が凄いからこそね」
「暴風で、ですね」
 今も身体の周りに起こしている。凄まじい音を立てて。
「これで身体を冷やしもしているんですね」
「わかったわね」
「はい、それだけの熱気があるのなら」
 その身体の中にだ。
「冷気には」
「冷気を口から出す首はあっても」
「それでもですね」
「弱いわ」
 そうなるというのだ。
「そもそも日本では、よね」
「はい、台風は夏か秋に来ます」
「冬には来ないわね。ギリシアでは違うけれど」
 ギリシアでは台風は冬に来る。だがだった。
「厳しい寒さではね」
「台風は生まれませんね」
「わかったわね」
「はい、そして僕の力は」
「水ね」
「氷も使えます」 
 この辺りは彼の加減で変えられる。上城は熱湯を使うことも出来れば氷を使うことも出来るのだ。熱の加減によって。
「そういうことですね」
「それではね」
「はい、じゃあ」
 上城はスフィンクスに対してテューポーンと闘いつつ応えた、そしてだった。
 その巨体も見た、確かにあまりにも大きい。テューポーンの武器はそのl巨体もであることは誰の目にも明らかだ。
 しかしだ、その中でもだった。
 彼は諦めていなかった、それでだった。
 まずはだ、その下飛ぶその下の大地にだった。
 力を放った、それは冷気だった。冷気が大地、テューポーンのいる場所を瞬く間に凍らせてだった。
 巨人の身体、下半身にも及ばせてきた。その冷気はというと。
 聡美はだ、その凍る巨人を見つつ言った。
「ただの冷気ではありませんね」
「何か。こっちにも寒さが伝わってきますけれど」
「零下にしてです」
「どれ位ですか?」
 樹里は聡美にその温度を尋ねた。
「相当なものであるkとはわかりますけれど」
「絶対零度にです」
「近いですか」
「はい、相当なです」
 それこそ、というのだ。
「相当な寒さです」
「その寒さだからです」
「如何にテューポーンといえど」
 神々でさえ逃げた荒ぶる神でもというのだ。
「凍ります」
「そうなるんですね」
「火山に封じられるだけの相手でも」
「この寒さ、そして広い範囲にそれが及んでいると」
「凍ります」
 そうなるというのだ。 
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