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久遠の神話

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第九十九話 四人の決断その十四

「ですから」
「剣士の戦いから降りてもですね」
「彼は別の戦いを求めます」
「それだけですか」
「そうした人ですから」
「僕は加藤さんを止められないですね」
「しかしこの戦いを終わらせることは出来ます」
 このことは可能だというのだ、上城は。
「そのことはご安心下さい」
「わかりました、そういうことですか」
「そうです、君は戦いを終わらせることは出来るのです」
 このことは可能だというのだ。
「ですから彼の戦いを止めるのではなく」
「加藤さんに勝って戦いを終わらせることですね」
「この剣士としての戦いを」
「わかりました、じゃあ」
「終わらせて下さい」
 止めるのではなく、というのだ。
「そうされて下さい」
「わかりました、それじゃあ」
「私が今お話することはこれで終わりです」
 マガバーンはカレーを食べつつ笑顔で述べた。
「それではです」
「はい、じゃあ後は」
「もう一杯如何でしょうか」
 微笑みだ、マガバーンは上城に問うた。
「カレーを」
「もう一杯ですか」
「何杯でもあります」
「そうですか、それではです」
 上城はマガバーンのその誘いに乗った、それで笑顔で言うのだった。
「もう一杯頂けますか」
「わかりました、それでは」
「いや、美味しいですね」
 満面の笑みでの言葉だった。
「こんな美味しいカレーとは」
「私のシェフが作ってくれたものです」
「そうなんですか」
「カレーについてはとりわけ得意でして」
「だからなんですね」
「こうした和風のカレーも得意です」
 そうだというのだ。
「ですから」
「それでなのですね」
「私としても召し上がって頂いて何よりです」
 マガバーンは微笑んでまた話した。
「シェフにしましても」
「そうですか、では」
「私ももう一杯頂きます」
 そのカレーをだというのだ、彼のシェフが作った。
「それでは」
「まずは食べることです」
 そこからだというのだ。
「空腹は最も辛い苦痛でもあります」
「お腹が減ってはですね」
「そうです、何も出来ません」
 戦いも、というのだ。
「ですから」
「わかりました、それでは」
「召し上がって下さい」
「それでお家にも帰って」
 上城は笑って言う。
「晩御飯も食べます」
「そちらもですね」
「最近幾ら食べてもお腹が空くんですよ」
「成長期だからですね」
「それに部活をしていて戦っていまして」
 この二つもあってというのだ。
「幾ら食べてもお腹が空きます」
「いいことです、ではです」
「はい、今もですね」
「どうぞ」
 ここでカレーをというのだ。
「好きなだけ召し上がって下さい」
「それでは」
 こうしてだった、二人で今はカレーを食べた。上城はここで戦いのことも考えつつその道を見出していた。戦いを終わらせる道を。


第九十九話   完


                       2014・2・13 
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