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久遠の神話

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第九十九話 四人の決断その十三

「しかしです」
「それでもですか」
「はい、彼は戦い続けます」 
 それはするというのだ。
「あくまで」
「剣士の戦いから降りてもらうことは出来るんですね」
「それは出来るので」
「戦いは終わらせられるんですね」
「そうです」 
 こう上城に話す。
「この場合は彼に戦いを捨ててもらうのではなく」
「戦いから降りてもらうんですね」
「そうするしかありません」
 マガバーンは上城に確かな声で述べた。
「剣士の戦いからは」
「あの人の戦闘狂自体は止められないんですね」
「では貴方は食事を止められますか?」
 マガバーンは落ち着いている声で上城に問うた。
「それは」
「食べることをですか」
「はい、止められますか」
「いえ、それは」
 上城はマガバーンの今の問いに首を横に振って答えた。それはとてもというのだ。
「無理です」
「そうですね、それは誰もがですね」
「つまり加藤さんにとって戦いはそうしたものですね」
「はい、御飯やナンと同じです」
「つまり食べるものの中でもですか」
「主食です」
 それになるものだというのだ。
「あの人にとっては」
「だからですか」
「彼の戦闘狂自体は止められません」
 彼にとっては食事と同じだというのだ、戦いは。
「それ自体は」
「それはどうしてもですね」
「どうしても無理なものが世の中にはありますね」
「はい、そしてこの場合は」
「彼の戦い好きがそれです」
 何があろうと止められないものだというのだ。
「仕方がありません」
「そうなんですね」
「はい、しかし」
 それでもだというのだ、マガバーンは上城にさらに話す。
「彼は戦えればいいのです」
「剣士の戦い以外の戦いでもですね」
「ストリートファイトでも地下世界の非合法バトルでもです」
「戦えればいいからこそ」
「剣士の戦いでなくともいいのです」
 加藤としてはというのだ。 
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