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久遠の神話

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第八十六話 運という実力その三

「最早」
「赤坂の料亭も経営が苦しいそうですね」
「多くの店が」
 実際にそうだというのだ。
「企業も使わないですし」
「料亭を話の場には」
「事務所を使います」
 他人に聞かれたくない、そうした話をする時はというのだ。
「そうした時は」
「それが普通ですが」
「しかしこれがどうも」
「風情がですね」
「これは私個人の意見です」
 微笑みに戻ってだ、浜崎は権藤に話す。
「料亭には独特の雰囲気がありまして」
「そこで会合をすることはですね」
「風情があります」
「日本独自の」
「料亭で政治の話なり様々な話をすることは幕末からです」
 その歴史は古いのだ、まさに日本が封建制から変わる頃からなのだ。
「その頃からです」
「幕末の志士達が話に使っていましたね」
「そして志士から生まれた明治の政治家達もです」
 当然幕末の英傑達も料亭を会合の場に使っていた、伊藤博文や山縣有朋、井上馨にしてもそれは同じである。
「そして大正、昭和でも」
「政治家も軍人もでしたね」
「企業家も官僚もです」
 マスコミ関係者もだ、その料亭政治を批判していた彼等も。
「日本の話の裏側は料亭で決まっていたという一面はあります」
「そのことは否定出来ないですね」
「はい、ですから」
 それ故にというのだ。
「私としては料亭が使われなくなったことは」
「寂しいのですね」
「どうにも」
 こう話す、季節ものの野菜のひたしを食べつつ。
「庶民的でないとのことですが」
「庶民的、庶民派を言う人間こそです」
「庶民的、庶民派でありませんね」
「日本でそうであった例は極めて稀です」
 よくこうした言葉を破戒僧の下手な念仏の様に唱えるマスコミこそがそもそも違う、とあるキャスターなぞ年五億の収入があった。日本が不況の時に毎日十時に出て来て不況不況をその不況をさらに煽って五億だ、マスコミだけは不況でなかったとしか思えない笑えないブラックジョークだ。
「政治家でも」
「政治家でもよく市民活動系の政治家が言いますが」
「その実はですね」
「庶民の敵と結託しています」
 これが日本の現実だ。
「テロ支援国家や特権階級化した労働組合等」
「そして日教組ですね」
「はい、どの勢力もです」
 間違っても庶民ではない、庶民と極左勢力やテロ支援国家は全く違う存在だ。
「庶民とは違います」
「口では庶民の為と言いますが」
「そうしたことを言う人間程庶民とは離れています」
「マスコミもですね」
「彼等はむしろ見下しています」
「庶民をですね」
「操りコントロールする存在としか見ていません」
 浜崎はこのことは淡々として話した。
「自分達の思うがままに」
「実際にそうしてきましたね」
「はい、戦後は特に」
 戦後民主主義は教科書で言う様な素晴らしい世界ではないのだ、知識人やマスコミが横暴を極めている世界でもあるのだ。
「酷いものでして」
「左翼政党に一方的肩入れしてきましたし」
「それでどれだけの害が日本に起こったか」
 計り知れないまでだというのだ、浜崎も。 
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