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久遠の神話

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第八十六話 運という実力その四

「酷いことに」
「全くですね」
「庶民という言葉は魔法の言葉です」
 浜崎はこうも言った。
「庶民の味方というとそれだけで正義の味方に思えます」
「マスコミがそう言うだけで」
「しかし実際は正義の味方どころか」
「悪と言っていいですね」
「滑稽なことと言うべきでしょうか」
 首を傾げさえしてだ、こう言う浜崎だった。
「このことは」
「今の野党もですね」
「彼等が政権を握るまでは」
「はい、庶民の味方とマスコミも散々宣伝していましたね」
 特にテレビでだ、左翼政党の大物からマスコミに個々に金が流れていたという放置しておきにくい噂まである。
「その結果でした」
「我々は揚げ足取りばかりされました」
「失言が少しでもあれば」
「それで彼等はマスコミの全面的なバックアップを受けて政権に就きましたが」
「その為したことは」
「『庶民』のことは考えていませんでした」
 それも何一つとしてだ。
「全ては嘘でした」
「それぞれ自分のことしか考えていない連中ですね」
「それが彼等の実態です」
「庶民の味方のですね」
「魔法の言葉を使う輩はその魔法を信じていません」
 庶民のことを言う輩は庶民とは違い庶民のことも何一つとして考えていないというのだ、そしてそれはまさにその通りだった。
「彼等は自分だけです」
「それぞれのですね」
「そもそも日教組や連合を知っていれば彼等がどういった者達かわかります」
「庶民ではないですね」
「もっと違う何かです」
 庶民を大衆と言ってもいいだろうか。
「ましてや市民でもありません」
「市民も日本では庶民と同義語ですね」
「彼等が言うには」
「しかし連合や日教組は違いますね」
「彼等はある意味で特権階級です」
 マスコミは特にだ。
「閉鎖的な世界で自分達の権益が保障されています」
「そしてその権益を守る為に動いている」
「労働貴族ですね」
 その組合、連合や日教組の中の権力闘争に生き残り特権や権益を手に入れた者達だ。その彼等がそれだというのだ。
「彼等の何処が庶民か」
「閉鎖的な組織の中で暴利を貪る何かですね」
「悪く言えばダニになります」
 あえてだ、浜崎はこの言葉を出した。
「間違っても庶民ではありません」
「マスコミは情報を独占ししかも多くの安定した収入と様々な権益を持っていますね」
「やはり彼等も庶民ではありません」
「間違っても」
「ですから私は庶民と言う言葉を使いません」
「決してですね」
「魔法、それも得体の知れない魔法の言葉です」
 魔法と言っても様々だ、白魔術と黒魔術という大きな区分があるがこの庶民という言葉はどういった魔法に属するかというと。
「ペテンです」
「その類ですね」
「詐欺に使う様な言葉になってしまっています」
「彼等が使いますと」
「そうした政治家は政治家ではありません」
「政治屋でしょうか」
「政治家と政治屋は違います」 
 政治家は政治の中で生きている、しかし政治屋は政治を生業としているのだ。そこには大きな違いがある。
「政治家はそこに志がありますが」
「政治屋はありませんね」
「これは完全に区分出来るものではありません」
 絶対に相反するものではないというのだ、政治家と政治屋は。 
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