戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~
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三章 幕間劇
三若とお疲れ様会
俺は一発屋に来ていた。今日はこの前の模擬演習での祝勝会というより、この場合はお疲れ様会かな。と言う事で予約を入れていたのだった。
「邪魔するよー」
「いらっしゃーい」
一発屋ののれんを潜ると、お馴染みのきよが迎えてくれる。ちょうどお昼時なのか、店内はガヤガヤしていたけど。
「悪いな。忙しい時に予約してしまって」
「いいのいいの。一真はたまにいい魚を持ってきてくれるしね。漁師に向いてるんじゃないかと思う位にね。しかも代金いらずだからこっちは助かってるよ」
「それで、あの三人は来てる?」
「ああ・・・・三人ともとっくに来てるよ。ほらあっちの席」
きよが指さした所には三若である和奏・雛・犬子の三人の姿。
「今日はお疲れ様会だっけ?」
「まあな、前に演習があったから」
「そっかー、それにしても随分と懐かれたようだね」
懐かれたか・・・・まあ確かにこの世界に来た時よりかは懐かれているかもな。で、犬子が俺に気付いたのか、手を振っている。でも声がな。
「静かにしろ。他のお客に迷惑だろうが・・・・」
犬子にハリセン一発してから席に座った。もう始める所だったと言ってたのか、もう料理はあった。でも量は多いんじゃねえの?と言ったら、たまには派手にねーとか言った雛。
「でも多すぎなのでは?確かに俺もたまにはこれくらい行けるが・・・・」
「あ、それなら大丈夫だよ、一真さん。何たって犬子がいるからねー」
と言っていた。犬子って大食いなのか。雛は織田の大食いお化けとか言ってたけど。犬子に聞かれたが、健康的でいいんじゃないかと言った。現代の女性は少食だからな。弁当箱も小さいし。
「では改めて・・・・演習お疲れ様ー!」
『お疲れ様でしたー』
と乾杯してから食べ始める俺達。一応防音結界を張っているけど、まあこの三人や他の客も気付かないだろうと思った。それにこの三人は、絶対大声で騒ぎまくると思ったからだ。
「さすが一発屋だ。どれもうまいが、やはり俺の方が上だな」
「確かひよ達が言っていたが、一真の料理は絶品だと言ってたな」
「そうだよねー。いつか食べてみたいかもー」
「だけどこんなに多いのは出せんぞ、特に犬子には」
「ええ~~っ!」
「あ、雛。そこのお浸し取って」
「ん?これ?はい和奏ちん」
「雛ちゃん、犬子にもちょーだい!」
「いいよー。ほら犬子もあ~~ん」
「・・・・はむっ!もぐもぐ、うん!おいしーー!」
「犬子ってば、相変わらず幸せそうな顔で食べるよねー」
「だってだって、あの煮付けもこのおひたしも、ほんと~~~~においしいんだもん。美味しくて美味し過ぎて・・・・ん~~~~!幸せ~~~~~!」
「幸せ~~はいいけど、口の中に詰め込みすぎだろ」
「わふっ?」
「わふ、じゃないっての・・・・誰も盗りゃしないから、もっとゆっくり食えって」
犬子は本当に犬みたいだなと思った。とか言いつつも、犬子は着物にまでこぼしてるのを見た和奏は取ってあげた。何か犬の親子って感じだな、そういう雛は嫌いな物を和奏にあ~んをさせるが、未遂に終わった。何でも雛は好き嫌いが多いらしいが、所謂偏食家らしい。雛の前には好きな物ばかりあった。
「あ、ちょっと動くなよ。和奏」
もごもごする和奏の口元にご飯粒が付いてたので、取ってやった。
「えっ、えっ!?」
「っと、取れたぞ」
で、俺はわざと和奏の口元にあったご飯粒を食べた。
「・・・・・っっ!!」
「ん?どうした。和奏?」
「お、おまっ、さ、ささっき、ボクの口、ごご、ご飯粒、た、たた、食べ・・・・っ!?」
「それがどうかしたかな、和奏?」
と俺は笑みを浮かべながら、そう言ったら赤くなった。チョロいもんだな、と俺は思った。
「わぉ~~!一真様大胆!」
「へえ~、やるじゃん、一真さん」
「まあな。・・・・大人だしこれくらいは朝飯前だ」
とか言いながらも、雛と犬子は続きをどうぞとか言ってきた。その後、和奏は初心だよなーと思った。しかも耳まで赤くなってるから、あれは怒っても全然怖くない。あれから飲み食いしてたら、あれだけあった量はあっという間になくなっていた。
「悔しいけど、ここで食べる自分で料理する気になんなくなるんだよな」
「分かる分かる!ついつい自分で作ったお料理と比べると凹むからねー」
「まあ玄人と素人の差は当然の事なんだけどねー」
「そういえば三人とも料理出来るのか?」
「出来るのか?・・・・とはそれ心外~」
「当たり前じゃん。自分で用意しなかったら誰が用意してくれるんだよ」
「毎日店屋物が食べれる程、生活に余裕がある訳じゃないもん」
とか言っていた、この三人が作る料理ねー。考えただけで笑っちまうな、犬子なら分かるが和奏や雛に関しては想像もつかない。食い終わった頃なので、結界を解除しようと思ったがまだ騒ぐんじゃないかと思って解除しない。
「そういえば、演習の事まだ話してなかったな」
「実はね、最初はとっても心配だったんだよね、今回の演習ー」
「あー、それは分かるが今回は黒鮫隊の実力も兼ねてだったからな。和奏と犬子は討ち取るの確定だったし」
「確かに。あの距離からの狙撃は気付かないよー。それにそっちには詩乃の策があったんだから、こっちにいたら絶対勝ってたのに」
「詩乃の策があってもなくても勝ってたけどな。それにもしあったとしても絶対二人は実行できないだろうな」
とか言いながらも、反攻はしない二人とも。それに勝ったのは俺と雛達だからと付け加えた。で、叫んでいたから、こりゃ結界解除しなくてよかったなと思った。これ以上叫ぶと、さすがの俺もなのでハリセン一発で黙らせた。
黙らせた後に結界を解除させたら、親父さんに呼ばれて厨房に向かった。何の用だ?と思ったら、刺身を作ってほしいと言われたので、手を洗ってから刺身を作りだした俺。三人は、帰ったが俺はそのまま刺身を作りっぱなしであった。何でも俺がいる時だけは、刺身や他の料理とかは俺が作った方がいいとか。とりあえず夕方まで働かせたが、その間のお給金はいいと言ってから長屋に戻った。
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