戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~
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三章 幕間劇
刺身料理
今日は城に来ていた。で、たまたま通りかかった麦穂に挨拶した後に、俺は思い出したかのように麦穂と話してた。
「確かこの前の演習で勝ったら何かご馳走してやると約束したよな?」
「はい。確かに約束しましたが、今でよろしいのですか」
「うん。今はもう仕事ないし、それに城に来たのは麦穂を探すために来た訳だ」
俺が言ったら顔を赤く染まった麦穂。で、麦穂は俺の家に来る事になった。あそこからならトレミーと直結で行けるし、何か俺が口説いてるような感じだと思ったのは、俺だけか?で、麦穂の得意な料理を聞いたら、第三者の声が聞こえてきたので振り向いたら壬月がいた。
「ぼた餅などが良いのではないか?麦穂の作るあれは絶品だしな」
壬月は、そう言いながら壁に寄りかかっていた。どこから聞いていたんだと聞いたら、最初っからだったらしい。何となく気配でを感じたが、敵ではないと判断した訳だ。
「もう。声もかけずに黙って盗み見何て、あまり良い趣味とは言えませんよ」
「いやなに。気配を消してた訳ではないから、てっきり気付いているものだと思ってな」
「俺は最初っから気付いてたけどね、敵か味方位は区別出来るからそのままにしてたけど」
「で、一真様の家に行くのか?なら、私も相伴に預かる事にしよう」
「・・・・既に決定事項なんですね」
「構わんだろう?」
「それはまあ・・・・ですが、さすがに今からぼた餅は作れませんからね。あれは前持って下ごしらえが色々と必要なんですから」
「ふむ。それは残念だ」
壬月は言葉のとおり残念な顔をしていたが、すぐに笑みを浮かばせた。何でも麦穂の料理は絶品だそうで、麦穂は謙遜してるかららしい。例えば焼き魚とかも、魚を焼くだけなのに、他の者が作るのとは全然違うようだ。
「ふむ、そうだな。焼き魚というものもいいか」
「はい?」
「家に招かれるのだから、手土産に魚でも獲ってきてやるとしよう」
何か話が進んでったな。魚ねえ、確か海に行くといつも大漁に獲れちまうからな。と言ってきて壬月が、俺の肩を掴もうとするが俺はすらりと避けた。
「魚なら俺が獲ってくるから、二人は先に俺の長屋に行ってて。それと焼き魚ではなく刺身にしよう」
「そうか?一真様がそう仰るのであればいいが、今からだと時間がかかるだろう?」
「いいのいいの。いいから壬月と麦穂は一真隊の長屋に行ってて。誰かいたら俺の部屋に通せと言っておいてな」
と言って俺は歩き出した。そうは言っても、今からでは遅いと思うがまあいいか。ちょうど網をかけていたからな。と、言いながら城の外に出てからトレミーに向かった。厨房の冷凍庫には魚が冷凍してあった。マグロにタイにアジにサンマと、色々あったがフグとタイの刺身にした。本当はマグロの方がいいと思ったが、当時はマグロのランクは下だったと聞く。
なのでランク上のフグとタイにした。冷凍庫から出してから解凍した魚を捌いてから、薄く切っていき皿に刺身を盛った。あとは茶碗にホカホカご飯と味噌汁を用意させてから、空間にしまって長屋に行った。城から出てから一時間くらいか。時計を見ながら、俺の部屋の襖を開けたらお茶を飲んでいた壬月と麦穂。
「お、来た来た。で、一真様のご馳走はどこにあるんだ?」
俺は落ち着けと言った後に、部屋の奥に机を出して来てから二人の目の前に置いた。先程作った物を空間から取り出した。温かさを残したご飯と味噌汁を壬月と麦穂の側に置いてから刺身を中心に置いた。壬月が膳はないのか?と聞かれたので、ここでは俺流で食べるんだと言っておいた。それで食べ始めたらご飯も味噌汁も刺身も美味いと好評であった。
「この魚は何ですか?一真様」
「ん?ああそれはフグだな、そっちにあるのがタイだ」
「こんな高級魚、よく獲れましたね。海で獲ってきたと言うのは本当のようですね」
本当はトレミーの冷凍庫から取ってきただけ何だけど。たまに拠点である所から、食糧を調達してあるが、種類豊富で魚介類から牛・豚・鳥の肉から調味料まで。
「この味噌汁に入っている白い物は何ですか?」
「それか。それは豆腐だ」
「豆腐か。確かに味は豆腐だが、これはこれで美味いな」
前にも言ったかもしれんが、豆腐は僧の食べ物だそうだ。だからあまり食わないと言っていたけど、俺らからすれば豆腐は一般的な食べ物だ。
「そういえば、今更でありますが、演習お疲れ様でした」
「そうだな。壬月も麦穂もお疲れさん」
「うーむ。今回は一真様にすっかりやられてしまった。あの狙撃に関して中々なモノだった」
「確かに・・・・俺達で言うなら歩く武器庫みたいな感じだしな」
と言ったが、歩く武器庫って言うフレーズはどこかで聞いたような。まあいいと思ってご飯おかわりと言ってきたので、俺は手だけを突っ込んでからご飯が盛られた状態で出てきた。厨房には俺以外にいるからな、それに今頃は昼食の時だしな。
「何か見てるとまるで一真様が夫にでもなったように思える」
「まあ確かに。こんな美人に囲まれながら飯を食うのも悪くはない」
「一真様は魅力的な男性ですし、そういう仲になるのも悪くはありません。ただ一真様には妻がいる事もお忘れなく」
俺は分かってるよと言いながらも食事に没頭した。壬月と麦穂は、ああは言いながらも仲は良いのだなと思った。二人は家老だからな。最後まで綺麗に食い終わったので、茶碗と皿をトレミーの厨房に置いてから、壬月と麦穂を見送ったのであった。
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