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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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三章 幕間劇
  祝勝会

「一真様ー、撤収準備、終わりましたー!」

「ご苦労。じゃあ俺達も帰るか」

「了解です」

とりあえず模擬戦とはいえ訓練だからな、いくら隊の事を皆に任せているが、俺が報告書とかあれば読むし指示も出す。実際司令官兼指揮官だったしな、一真隊も戦闘経験を徐々に積めた事によって赤組率いる壬月に勝てたというより、黒鮫隊率いる指示で勝てたようなもんだ。いなかったら、別の策で勝ってただろうなと思っていた。まあ模擬戦で大きな怪我人がいなかった事は幸いだ。

「一真様一真様!」

「ん?何だ、どうしたひよ」

「せっかくの一真隊での勝利なのですから、皆でお祝いしましょうよ!お祝い!」

んー・・・・そうだな。勝ったのは俺達だけではないが、士気を上げるのも司令官兼指揮官としての業務だな。

「そうだな。じゃあ俺の料理を作るか」

「やったー!お頭の料理だー!」

おいおい・・・・そこまで喜ぶなよ。まあ実際俺の料理はころの料理より絶品だとひよが言ってた。

「まあ確かに一真様の料理は絶品ですよね。ひよさんところさんが、調略に行っている間は毎日食べてました。たまに一発屋で済ませてましたけど」

「いいな!お頭の料理が毎日食べれて。ころちゃん、明日からはもっとお寝坊しようよ。そしたら一真様が朝ご飯作ってくれるよ!」

「そうだね・・・・そうしようか」

おいおいおいおい、それだけは勘弁してくれよ。確かに料理作るのは好きだけどさ、毎日はきついぜ。

「私もその策、乗りましょう。上手く立ち回れば、朝食どころか一真様が朝優しく起こしに・・・・」

「それだ!ってまさか詩乃ちゃん、私達がいない間、毎朝一真様に・・・・!」

「・・・・残念ながらそこまで考えが及ばず、未遂です」

「じゃあ詩乃ちゃん。今度からはきちんと作戦立ててよ、作戦!」

「お任せを・・・・皆で優しく一真様に起こして頂きましょう」

おいおい本当にそんな事を俺にさせるなや。俺には奥さんがいるからな、まあこいつらも俺の部下だからそこまではできる範囲だけどよ。

「まあいいや。それで祝勝会は?」

「一真様のご飯が食べたいです!」

「一真様、お願いします」

「私もそれで」

「では本隊は、市への奇襲攻撃を継続する。隊の皆への振る舞い酒を忘れないように」

と言って皆は返事を言った。俺も酒飲みたいし、ここ最近飲んでないからな。という訳で、市に買い物をしに来た俺達。

「そうだなぁ。皆で食べるなら、すき焼きにしようと思う」

「すき焼きって何ですか?私初めて知った言葉なんですけど」

「ああ、そういえばこの時代はまだなかったな。薄く切った食肉や他の食材を浅い鉄鍋で焼いたり煮たりして調理の事だ。具材は様々あるが、薄切りにした牛肉が用いられ、ネギ、椎茸、焼き豆腐、シラタキ、などの具材を入れた物だ。味付けは醤油と砂糖が基本で、食べる時は溶いた生の鶏卵をからめて食べるんだ。うまいぞー」

三人とも想像が出来てないようだった。まあ知らなくて当然かな、とりあえずすき焼きに使う具材を買おうと思ったが、あまりなかった。ネギと椎茸はあるんだけど、牛肉と焼き豆腐とシラタキがない事に判明したのでトレミーから持って来る事にした。皆は想像出来ないから、例えで言うなら鍋料理だと伝えるとひよところは分かったような顔をし、詩乃だけはまだ分からない顔をしていた。そういえばひよみたいに身分が低い者なら知ってる料理だが、高い者は知らないのかと思った。そういえばこの時代は一人一人に膳を用意して食べるからな。一真隊の長屋では机を出して食べてたけど。

「じゃあ今日は三人とも見学な」

「私達の知らない料理、楽しみだなー!あ、一真様。あそこに和奏様達がいますよ」

「お、本当だな。おーい、三人とも」

「一真達も買い物かよ」

「一真隊で祝勝会する事になってな、皆ですき焼きをする事になった。俺が作るけどな」

俺がすき焼きって言ったら、三人とも「何だそれ?」って言うリアクションが来た。改めて説明すると美味そうだなーとか言ってたけど。そういえばこの時代って牛とか飼う事はなかったような気がするがそこら辺はどうだろうな。

「ねえねえ!祝勝会だったら、犬子達も行っていいですか?そのすき焼きっていうの食べてみたいですっ!」

「え?まあいいが・・・・正直言うと雛以外の二人は負けたじゃん。しかも脳天に」

「ぐっ、確かに負けたけど祝うくらいはいいんじゃないのか!」

「犬子も!頸刈られた記念って事でいいから!食べたーい!」

負けた側や頸刈られた記念とか何だその縁起のないのは、すると雛が言ってきたが、そういえば壬月に呼ばれてるのではと。そうしたら本当に呼ばれていたらしい、俺らの祝勝会より壬月のお呼ばれにキャンセルは出来ないだろう。あと雛は麦穂に呼ばれてそっちで祝勝会をするらしい、和奏と犬子はお叱り会だそうだ。丹羽衆とやるそうだが硬そうなので俺達は俺達でやると言って三人は行った。夕方になっていたので、早めに買い物をして足りない物はトレミーから持って来る事にして長屋に戻ってきた。

「ただいまー」

「ふう、たくさん買いましたね」

俺はそうだな、と言って長屋の台所に行った。一時的に台所を現代風にしてから創造をした。現代風の方が俺には使いやすいからな、しかも火がある所をガスコンロにして、水道はトレミー経由。蛇口を捻ると水が出たので確認よし。あとで元に戻すけどな。たぶん美濃を織田のモノになったら、俺らも移動するだろうし。足りない牛肉と焼き豆腐とシラタキはトレミーから調達したが、食糧はD×Dからたまに調達をしている。トレミーには300人の隊員が住んでるからな。

「わ!すごーい。何なんですかこれは!」

「どうしたの、ひよ。凄い、さっきまであった鍋類が消えてる。これは一体?」

「これは俺達が住んでる現代風の台所だ・・・・あとで戻すけど」

と言って早速準備を始めた。具材は全部揃ってるからあとは切るだけ。俺はエプロンをしてから、野菜を切りだし、野菜や豆腐などの具材は食べやすい大きさに切っておくけど。すき焼き鍋を熱して牛脂をひき、牛肉を入れて火が7割ほど通るまで焼く。焼けた肉の上に砂糖をのせ、その上から料理酒、醤油を入れる。野菜や豆腐など、牛肉以外の具を入れる。水分は野菜から出るが、ここで好みにより水や日本酒、昆布出汁を追加してもいいけど。野菜の水分で味が薄くなるため、砂糖と醤油で味を調整する。こんなもんか、三人とも見てたが速すぎたのか何が何なのか分からなかったらしい。

「さてと、そろそろ出来上がるから誰か机を準備させろ。あとこの器に卵を入れろ」

「じゃあ、私が用意させますね。ひよは机をだしてー」

「はーい」

机を出して、机には器の中に鶏卵が入れてある。俺は机の中心に台を置いてから、しばらく煮込んでから火を止めた。そしてすき焼き鍋を浮かせてから、台の上に置いた。俺は皆に卵を液体にしろと言って、混ぜた後に俺が味見をしたら美味かったので皆に取っていいよと言ってから皆食べだした。

「これは・・・・凄く美味しいです。牛の肉を食べるのは初めてでしたが、まさかこのような料理があるなんて」

「うんうん、おいしーい。これは鍋料理より美味しいかも!」

「私もこんなに美味しいとは思わなかったです。知らない食べ方でしたから、少し驚きではありましたが、こんな料理もあったのですね」

三人とも満足のようでよかった。今度からはもっとこの時代にない料理をたまにしようかなとも思った。

「今日一番のお手柄は、和奏様と犬子ちゃんを討ち取った一真様のお蔭だね」

「あれは俺じゃなくて黒鮫隊の者だ、それに狙撃したのも俺じゃないし。まあ名乗ったのは俺だけど」

「確かに、あんな遠い場所から狙撃する何て私最初は信じられませんでした!」

「私もです。鉄砲の事に関しては、ある程度聞いていましたが、まさかあれ程の高性能だとは」

そうだよなー。この時代の鉄砲はあんな長距離での狙撃出来ないはず。確か精々200mくらいだったか、この時代にとって鉄砲は武士にとって脅威だけど、俺達にとっては別に脅威ではない。俺が前やったようなテクニックで、暴発させたりとか。

「皆よくやったから、お疲れ様だ」

「お疲れ様です!」

「ですが・・・・やはり一真様あっての私達だと思いますよ」

「そうですねー。私も、一真様とひよに声を掛けてもらえなかったら、仕官出来ませんでしたし」

「墨俣の一件ですか?」

「そうだな、あ、肉が無くなったからまた煮てくるわ。ちょっと待ってろ」

と言って俺はすき焼き鍋を浮かしてから、ガスコンロに置いて肉や野菜を煮込む。煮込んでる間に話し声が聞こえたが、ひよはどうやって久遠の所に入れたのだという疑問がころから飛んできた。確かに俺が知る前から仕えていたしな、話によると久遠の部隊の小者を募集してから入れたのだと。俺が知る当初のひよは、普請奉行、台所奉行をした後、長の草履取りをした際に、冷えた草履を懐に入れて温めておいた事などで久遠の歓心を買う事に成功したんだったな。おっと煮えたから、火を消してからすき焼き鍋を浮かして台の上に置いた。

「で、今何の話してたの?」

「ひよが久遠様の草履取りした所です。それでそれで?」

「色々あって、戦場でも久遠様のお伴をするようになって・・・・」

「色々って?」

「久遠の草履を暖めていたんだよね」

「そうです、そうです」

「草履を暖めたって?お尻の下にでも敷いてたの?」

「ち、違うよー!こうやって・・・・」

何か嫌な予感がしたので鍋を置いた後、俺は後ろを向いた。この行動をとった俺はある意味正解だったのかもしれない。

「胸元で暖めていたんだよー」

俺の予感的中!なんか服を脱いだ音が聞こえたが、知らん知らん。

「ちょっ!ひよ!?」

「とりあえず、ひよ。早く隠せ!」

「へ・・・・・?」

「ちょっと、ひよっ!それはダメだってばっ!」

何かパニックになったひよ。俺が早く隠せと言ったので、早く胸元しまってと言うころ。詩乃は俺が後ろを向いたのか、少しホッとしている。で、しまったひよは、俺には見たのかと質問してきたが胸元開く前に後ろを向いたと言った。

「全く、ここには男の俺もいるんだから気を付けなよ。ひよ」

「は、はい~!?」

「一真様の言う通りだよ、ひよ。女だけだったらいいけどここに知らない男性がいたら襲われていたかもよ」

と言ってたころ。まあ俺は見慣れているけど、さすがに無理か。そう思って俺は酒を飲む。トレミーから持ってきた酒だ。で、また食い始める三人共、だが卵が無くなってきたと言ってきたから空間から卵を追加させた。食べた後、茶碗に入れたご飯にすき焼きのタレを入れたご飯を食べた。鍋だったら雑炊だけどな。

「(おかしいな?一真様に見られてもいないのにどうしてこんなに残念なんだろう。へんなのー)」

「ふう、美味かったな」

「お腹一杯です」

「すき焼きの最後は、白米に残った汁をかけて食べるという意味がわかりました」

「ちなみに鍋料理の最後は雑炊なんだー。だけどすき焼きの汁をかけて食べる方が倍美味いだろう」

と言って、俺は鍋を浮かして食洗に入れる。少し水洗いしてからだけど、使った器に箸とまな板や包丁など調理道具も入れてからスイッチオン。

「またやりましょうね、一真様!」

「そうだなー。だけどやるには道具が必要だ。この台所とかな」

「次も一真様が作ってくれるのですよね?」

「士気を上げたり、勝利したらな。それにこれは今の所俺らしか知らない料理だと思うし」

俺は手を洗った後に三人に一人ずつ頭を撫でた。一撫でするごとに、心が暖かくなるなと思った。まあ軍人の俺だけど妻である奏とはいつも一緒に寝ている。無論奏がいない時は桃香や愛紗とかだったか。一緒に寝る前に情事をしてから寝るってのもあったな。

「ふあ・・・・。何だか眠くなっちゃいました」

「そうか。だったら自分の部屋で寝てこいよ、俺はまだ眠くないからな。これでもお前らより大人だから」

「あの・・・・お片付けは?」

「もうやってるから心配するな。それに包丁や箸以外は俺が持ってきた物だからな」

「それでは、おやすみなさいませ。一真様」

と言って三人はそれぞれの部屋に行って眠った。俺はというと、酒をちびちびと飲んでいた。あと食洗が終わったら食器やすき焼き鍋をトレミーの厨房に返還した後に、台所を現代風から元に戻した。そして俺は自分の部屋で寝てから、朝になって朝食を作ってから三人を優しく起こしたのであった。 
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