『八神はやて』は舞い降りた
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第1章 悪魔のような聖女のような悪魔
第8話 魔法少女はじめました
前書き
・主人公空振りするの巻。
・魔法少女はじめました。原作のキャッチフレーズ。
「シュベルトクロイツ、セットアップ」
『Jawohl』
リインフォースとともに夕飯の買い物に行った帰り道。バイサー討伐の場面で、うまくグレモリー眷属と居合わせることができた。
すぐさま、騎士甲冑――――防護服(バリアジャケット)のベルカ版――――を展開し、援護に回る。そこで 見た光景は、衝撃的だった。
所詮ヤラレ役だと思っていたバイサーは、思ったよりも強そうにみえたこともそうだが。
それよりも、戦いには全く素人であるはずの兵藤一誠が、パンチ一発で、そのバイサーをのしてしまったのだから衝撃だった。
援護といっても、シールドくらいしか使わなかった。
そのシールドも、初陣の兵藤一誠にリアス・グレモリーがフォローにまわろうとしていたので、なくても大丈夫な援護だった。
かっこよく颯爽とかけつける予定がパーである。
ボクとリインフォースも支援要員として、最低限の活躍はできたと思いたい。
ちなみに、ボクのデバイスは、原作アニメにでてきた騎士杖と同じだ。ボクの身長をやや超えるくらいの短槍に、十字の穂先がついている。
名前がつけられていなかったので、原作通りに「シュベルトクロイツ」と名付けた。
「すげえ、銀髪ボインのお姉さんがいるだと!?」
「ボクの家族を厭らしい目でみないでくれないかね?」
「え……どうしてここに八神さんが――もしかして、八神さんも悪魔だったのか!?」
「それは違うな、兵藤君」
「一誠君。彼女はワケありでね。詳細は明日の放課後でもいいかしら?」
「……先輩がそういうのなら」
「構わないさ。ボクも早く帰って、夕飯の支度をしたいからね――ほら、買い物帰りなんだよ」
白々しく買い物袋を見せる。
買い出しにいったのは事実なので、嘘ではない。
オリーブオイル、にんにく、鶏もも肉 あさり、いか、むき海老、白身魚、パプリカなどなど。今日の献立はパエリアである。
ボクたちの騎士甲冑は、これまたほぼ原作通りだ。
白い大きめのキャスケットとオーバーコートを着込み、背中に4対の小さな翼が生えている。
相違点としては、太もも丸出しの丈の短いタイトスカートが、スラックスに変更されている点がまずひとつ。
もうひとつは、天使や堕天使連中と区別するために、背中の翼を、黒から赤に変えてある点だ。
赤色にした理由は、ヴィータの騎士甲冑の色に合わせたからだが、秘密にしている。
シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラの騎士甲冑は原作と変化なし。
先入観というやつは、そう簡単になくなるものではない。
ボク自身も、原作通りの格好が、彼女たちに一番似合うと思っている。
……まあ、リインフォースだけは、露出の激しすぎるパンクなファッションを、おとなし目に変更したが。
あの格好は目に毒である。
リインフォースのファッションセンスをどうにかしてほしい。
なんでそんなに露出の激しい恰好を好むのか。
騎士甲冑だけではなく、普段から見せつけるような服装をしている。
おかげさまで、街に繰り出すとナンパがすごい。
リインフォースのおっぱいはボクだけのものである。
異論は認めない。
さて、明日詳しい説明をすることになった。
いよいよ、本格的に原作と関わり合うことになるだろう。
目的の戦場見学と顔合わせも済んだことだし、愛しの我が家に帰るとしますか。
腹ペコたちが首を長くして待っているはず。
心配させたお詫びに、今日のパエリアは、腕によりをかけてつくろう。
――――リインフィースも手伝ってくれる?
――――もちろんです、マスター。とびっきりの料理をつくりましょう
◆
――ここ数日は、驚愕につぐ驚愕の連続だった
――兵藤一誠という人間が過ごしてきた17年間で、もっとも濃い時間だったと思う
かわいい女の子に、人生で初めて告白されたと思ったら、殺されかける。
リアス先輩にお呼ばれされたと思ったら、悪魔になっていた。
しかも、俺は最強の神器を宿す赤龍帝……らしい。
先輩の下僕――――眷属悪魔というらしい――――になって、ハーレム王(上級悪魔)を目指し見習い悪魔稼業に精を出す。
極めつけに、今日は、はぐれ悪魔との戦いに赴いた。
「先輩たちは、八神さんの事情を知っているんですか?」
「ええ。はぐれ悪魔討伐では、よく手を貸してもらっていてね。けれども、家の事情に関しては、私しか知らないわ」
バイサーとかいうはぐれ悪魔との戦いは、荒事とは無縁の人生を送っていた俺に強い衝撃を与えるに十分だった。しかし、先輩たちの援護と赤龍帝の籠手によって、初めてにもかかわらず有利に戦えていた。
そのせいだろうか。うかつにも、調子に乗ってしまった俺は、窮地に陥る。
近くにいた木場がフォローに回ろうと急ぐが、間に合わない―――そのときだった。
『危ないよ。パンツァーシルト』
――『Panzerschild』
どこかで聞いたことのある透き通ったソプラノボイスと、渋めの機械音声が響き、バイサーの攻撃をはじいた。
――大きくよろめくバイサー
その隙を突き、いまできる最大のブーストをかけてがらあきの腹部を殴り飛ばした。
結局、この一撃が止めとなり、初の実戦は終了した。
気になる声の正体は、クラスメイトにして、駒王学園三大お姉さまの一人である「八神はやて」だった。
機械音声は、手に持っている杖?槍?とにかく、十字をつけた長柄の武器から発生しているようだ。
シュベルトクロイツというらしい。
「八神さんの事情については、教えてもらえないんですか?」
「ごめんなさいね。本人のいないところで言うべきではないわ」
「いえ。それなら仕方ありませんよ。明日、直接尋ねてみます」
「そうしてもらえると、助かるわ」
いろいろと尋ねたいこと――――とくに銀髪巨乳のお姉さんのこととか――――があったが、明日纏めて話すと約束して、この日は解散した。
◇
「ただいまー」
「お帰りなさいませ」
リインフォースとともに玄関に入ると、シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラが出迎えてくれた。八神家総出である。
やっぱり心配してくれていたらしい。
戦い方がなっていない!って感じで激おこぷんぷん丸だったらどうしようかと。
杞憂だったようだ。
いやあ、照れりこ照れりこ。
サーチャーでボクの雄姿(笑)を見守ってくれたそうだ――完全装備で。
介入する気まんまんじゃないですか、ヤダー。
素晴らしい援護でした、とか褒め称えてくれるが、あれどう考えてもボクたちいらない子だったでしょうよ。
とまれ、しばらく無事を喜び合い、実戦の報告――の前に、夕飯の支度をすることにした。
だって、お腹がなったしさ――ヴィータの。
顔を赤くしちゃって、かわいいやつめ。
食事も終わり、一息ついたところで真面目な話に移る。
バイサーが思ったよりも強そうだったこと。
そのバイサーを一撃で倒してしまった赤龍帝――兵藤一誠のこと。
そして、これからのこと。
「原作通りの展開になったわけですが、これからの方針はどうしますか?」
「うーん、いままで通り不介入でいこうかと思っている。グレモリー先輩に協力を求められたら応じるけれど、こちらから積極的に関わるつもりはないかな」
リインフォースに尋ねられ、不介入の方針を伝える。
いまのところ、原作に関わってもメリットがない。
原作キャラといちゃいちゃしたいなら話は別だが、ボクは原作キャラに特に思い入れはない。
自衛程度の戦闘でいいだろう。
あとは、明日の会談についてかな。
どこまで情報を公開するか話し合う。
とりあえず、サーゼクス・ルシファーと同レベルまでにすることになった。
つまり、謎の神器『夜天の書』として、ほとんど公開しないわけである。
実力を悟らせないために、夜天の書の情報は限定的にしか伝えていない。
見せた魔法は、身体強化、飛行とシューターくらいのものである。
結界や転移魔法なんかは秘匿している。
実力という意味では、基本的に接近戦をするので、嘘ではないはずだ。
というか、ボクが全力で広域殲滅魔法を放てば、駒王町が火の海になってしまう。
誇張抜きでそれだけの能力をボクは有している。
歩くロストロギアの名は伊達ではないのだ。
ふと、アーシア・アルジェントのことを思い出す。
最近、アーシアのことがどうも気にかかって仕方がない。
理由はわからない。
気がかりは、もう一つある。
はぐれ悪魔と相対したときに感じるどうしようもない衝動。それは――憎悪。
父が殺されたからだろうか。憎くて憎くて仕方がない。
憎しみに支配されそうになる。
いや、はぐれ悪魔だけではない。悪魔自体に拒絶反応がある。
世話になっているサーゼクス・ルシファーでさえ好きになれないのもそのせいだろう。
いろいろと思い悩むが―――
そんなことよりゲームしようぜ!
下手の考え休むに似たり。
答えの出ない問題を考えたところで仕方があるまい。
真面目な話がひと段落したところで、遊びに突入する。
ゲームのタイトルは、「大乱闘!クラッシュブラザーズ」。
前世のアレとほぼ同じである。
その日は、夜遅くまで笑い声が絶えない八神家であった。
ちなみに、八神家最強は、シグナムのリンクである。
後書き
・主人公は永遠の魔法少女(意味深)
・歩くロストロギア。原作はやての通り名。主人公はかっこいいので気に入っているが、ハイスクールD×Dにはロストロギアの概念そのものがなかった、残念。
・シグナムのリンク。烈火の将は伊達ではない――といいつつ、爆弾とブーメランで攻撃してくる。
ページ上へ戻る