聖闘士星矢Ω 虎座の聖闘士
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第十三話 次鋒戦!疾風対ヨルナミ
第十三話 次鋒戦!疾風対ヨルナミ
『次鋒戦!黄金のJr.!風神・竜崎!疾風!対ヨルナミ!』
レフェリーの合図とともに疾風が鋼鉄聖衣を纏いリングに上がってくる。
「疾風!気をつけろ!奴らなんかしかけてくるぜ!」
「心配無用です。岩鉄の放った魂は私の小宇宙・・・そして魂に火を付けました」
コーナーから叫ぶ大河に疾風が素直な気持ちを応えるが澪とシグはもっと驚くべきことに気付いた。
(虎がまともに他人の名前を呼んだ)
親しき他人の名前をよく間違える大河(澪=ミヨ シグ=シム等)。だが疾風の名前をまともに呼んだことに何やら思う所があるのだが・・・
大河に毒されたのか細かい事はあまり気にしない事にした澪だった。
そしてカンナギサイドでは・・・
「おのれ海龍め・・・」
「カグツチ様・・・ここは私にお任せを・・・幸い奴は動きが少々鈍いようです」
そう呟くと細身の男・ヨルナミは闇聖衣を身に纏いリングに上がった。
リング中央で睨みあう疾風とヨルナミ。
「ふふふ・・・君のような雑魚はすぐに片付けてあげますよ」
「雑魚かどうかは試してみますか?」
ヨルナミの挑発に冷静に対処する疾風。
するとゴングが鳴り響き両者が詰め寄った。
「うおおおおおおお!!」
疾風の左右の拳の連打が放たれるとヨルナミは華麗な動きでかわしていく。疾風の拳が空を切るとヨルナミは疾風の背後に回り込むが疾風はバックステップで距離を取り拳を巻構えた。
「スピードタイプですか・・・なら!」
疾風は拳のスピードを更に速めるがヨルナミも自身のスピードを更に加速させ避け続ける。
既に常人には目で追い切れないようなスピードになる。
すると
「ぐは!」
ヨルナミのカウンターを浴びせられ疾風は吹き飛ばされてしまいリングロープに打ち付けられた。
「どうした!疾風!そんなとろいパンチまとも食らって!」
大河の言葉に澪が考えると表情を曇らせた。
「まさかあいつ・・・まだ身体治ってないんじゃ」
「なに?」
「じゃなかったら・・・あんなとろいパンチ一発食らっただけで吹き飛ばされない」
大河の頭でもわかりやすいように要約した澪の言葉に大河は嫌な予感をつのらせる。
「はぁ・・・はぁ・・・」
ポイズンミストの後遺症のある状況で戦っていた疾風の今の身体が鉛のように重い。その上ヨルナミと言う男はスピードが速い。正に最悪の状況だ。
「ふふ・・・私の持ち味がスピードだけだと思わないでいただきたい」
ヨルナミが闇の小宇宙をたぎらせると右拳を突き出した。
「黒曜!邪空拳!!」
「!?」
ヨルナミの拳から放たれたどす黒いどくろの形をした小宇宙の塊を左拳で受ける疾風。
特にダメージが無いと思ったが次の瞬間会場中に絶叫が響き渡った。
「これは一体!?」
何と疾風の左拳が青白くなってきたのだ。
その拳に近い物を澪は知っていた。
「あれは・・・黒死拳・・・ブラックペガサスの技と同じ」
以前、ペガサス星矢(現サジタリウスの星矢)を苦しめた拳と同じ特性の拳を浴びてしまった疾風。
このままでは血が濁り疾風は死んでしまう。
「く!まだだ・・・私にはまだ右拳がある!」
青ざめていく左拳を抑えながら疾風は小宇宙をたぎらせその拳を放った。
「影道!雷神拳!!」
雷神の拳を放つ疾風だがヨルナミに片手で受け止められてしまった。
「ふ・・・どうやら今のあなたの拳は女子以下のようですね」
「何!?」
正にそうであった先程の拳の為にポイズンミストの後遺症が悪化をしてしまい疾風の身体からどんどん力を奪って行った。その為に疾風の攻撃力は格段に低下してしまっているのだ。
「そのボロボロの身体で今まで戦った事に敬意を表し・・・わが最大の拳で葬ってくれる!」
ヨルナミが疾風を付き離すと自身の小宇宙を最大限に高め両腕を広げるように構えた。
「邪王!激龍拳!!」
両腕から放たれる二つの龍の拳が疾風に向かって飛ぶと胸部の鋼鉄聖衣が砕け散り疾風の上半身がむき出しになってしまい倒れた。
「う・・・うう・・・貴様に激龍を名乗る資格など・・・」
『激龍』という言葉に思い入れがあるのか疾風が立ち上がろうとするとヨルナミは再び拳を構えた。
「ふふ・・・しぶといようですね・・・なら!次が止めです!!」
ヨルナミの両腕から拳が放たれようとした時
疾風の脳裏に過去の出来事が蘇った。
影道本陣での修行の最中、自身縁のある銀髪の少女が疾風を尋ねに来たのだ。
余程苦難の道だったのか少女は消耗し高熱を出していた為、治療の為に本陣から連れ出すために影道総帥に許しを得るために少女を連れてきた。
「総帥!」
少女を抱きながら疾風が読み物をしている総帥の元へ駆けつけた。
「疾風・・・修行はどうした?」
少女の事などまるで興味の無さそうな総帥。とてもじゃないが許しを得ることなどできそうにもない。
「総帥・・・彼女がすごい熱を出しています・・・消耗も激しい・・・すぐに治療できる場所まで行かなければ・・・私を一時帰還させて下さい」
影道総帥に必死に祈願する疾風だが総帥は答えた。
「・・・修行中はいかなる事にも目を向けてはいけないと言ったはずだぞ」
厳しい態度を見せる影道総帥に疾風は自分の気持ちをぶつけた。
「しかし・・・彼女は私のせいでこうなってしまった・・・私には彼女を助けなければならない義務があります!お願いします!私に彼女を救わせてください!」
疾風の一点の曇りもない言葉に総帥は少女の元へ歩み寄り少女を抱きかかえ左手を翳した。
「・・・・・」
優しい光が少女の身体を包み込んだ瞬間。
「う・・・ううん・・・疾風?・・・私は一体?」
何事も無かったかのように疾風の方を見る少女。それを見た疾風は驚愕した。
「・・・凄い・・・まるで奇跡・・・」
疾風の言葉に影道総帥は答えた。
「奇跡ではない・・・『影道回生覇』だ」
「影道回生覇?」
「病とは総じて血の道が滞って起こる物・・・ならばそれを取り除き・・・運動機能を正常に戻す・・・ただそれだけの事に過ぎん」
すると疾風は影道総帥に詰め寄った。
「わ!私にも出来ますでしょうか!?」
「・・・10年は無理だ」
「え?」
「だが・・・お前が長い修行を乗り越え・・・この回生覇を習得出来た時・・・お前はさらなる高みへと進むだろう」
すると疾風の背後に老師の姿が現れた。
「フォッフォッフォ・・・総帥・・・良い物を見せてもらったのぉ」
「老師?ここまで足を運んでくださるとは・・・」
老師に礼をする影道総帥。
すると老師も礼を返すと疾風に向かって語りかけた。
「フォフォフォ・・・総帥・・・・お主に疾風を預けて正解じゃった・・・疾風よ・・・今の拳を見たか?」
「はい!」
「拳とは傷つけるだけではなく癒すこともできる・・・これを見てほしかったのじゃ」
優しい笑みを向ける老師。
「これこそ・・・不動心!」
その言葉を思い出した疾風は渾身の力を込めて立ち上がった。
「邪王!激龍拳!!」
ヨルナミの拳が放たれると同時に疾風は左拳を構えた。
すると優しい光が疾風の身体を包み込んだ瞬間。
「はぁ!!」
ヨルナミの拳を弾き飛ばした。
「ば!馬鹿な!我が最大の拳をその身体で・・・いやどうしたというのだ・・・貴様の身体は!?」
ヨルナミは疾風の身体を見て驚愕した。
先程まで青ざめていた疾風の身体はギラギラとした生気がみなぎっていた。
「ま・・・まるで奇跡」
「奇跡ではない!これぞ影道回生覇!」
「影道回生覇?」
「影道の蘇生の拳!起死回生の秘拳だ!」
影道回生覇により己の中にあったポイズンミストを解毒し拳を構える疾風にヨルナミは答えた。
「ば・・・馬鹿な・・・蘇生の拳だと?そんなものがあってたまるか!!」
ヨルナミが拳を繰り出すが先程までと違い華麗な動きで回避する疾風。
すると疾風はヨルナミの背後に回り込みその拳を放った。
「食らえ!影道!雷神拳!!」
「うぎゃあああああああああ!!」
本来の威力を取り戻した影道雷神拳を浴びたヨルナミはスタジアムの天井を貫きリングへと舞い降りた。
「ば・・・馬鹿な・・・これほどの威力とは・・・」
握り拳を作るヨルナミ。
すると疾風の背に巨大な双龍・・・更に雷神が浮かび上がった。
「な!なんだそれは!?」
「私の闘気が最大になった時この龍は浮かび上がる・・・そして私の中の最大のスピリットが燃える時この雷神は浮かび上がる!!これぞ・・・廬山と影道が合わさった拳!!」
小宇宙・そして闘志を最大に高める疾風。
そして
「双龍!雷神覇あああ!!」
拳から放たれた双龍に雷神の力が合わさった拳を放つ疾風。
雷神を纏った双龍がヨルナミの身体を飲み込んだ。
「う!うああああああああああああ!!!」
凄まじい小宇宙と共に消滅するヨルナミ。
その事が勝者を告げた。
「勝者!竜崎疾風!」
レフェリーの宣言と共に安堵する疾風。するとコーナーに戻り呼吸を整えようとするが膝をついてしまった。
「疾風!?」
大河が駆け寄ると疾風は呼吸を荒げながら呟いた。
「はぁ・・・はぁ・・・やはり・・・私の回生覇はまだ未熟だったようです・・・解毒は出来ても・・・ダメージの回復は・・・まだ・・・」
そう・・・先程の回生覇で完全に解毒は完了しポイズンミストの後遺症は消えた。
だがヨルナミから受けたダメージも相当であった為回復には至らなかったのだ。
「く!だが・・・私は」
一人分を補うべく次も戦おうとする疾風。
だが疾風の身体を岩鉄から引っぺがした誓いの旗で包み込んだシグが疾風をリングから降ろした。
「シグ!?」
「次は私の番だ・・・」
小宇宙をたぎらせながら黄金のJr.『巨竜』シグがリングに上がった。
後書き
とうとう中堅戦になった。シグの対戦相手はマリシ・・・だが奴はシグの拳を同等の威力で放え返した!あれは一体!?
聖闘士星矢Ω 虎座の聖闘士 中堅戦!シグ対マリシ
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