銀色の魔法少女
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第十話 温泉!
前書き
はい!
用事を終えてようやく投稿再開、やややです!
主に足の筋肉痛がひどいです。
まあ、それはさて置き、第十話 温泉回始まります。
side ALL
四月ももう後半になり連休に入った頃、坂を上がる車が二台とサイドカーをつけた大型バイクが一台があった。
前の車に高町家-1、すずか、アリサ。
後ろの車に月村家-1、恭也。
サイドカーに遼、クリムがバイクに乗っていた。
本来なら遼もなのはたちと同じ車に乗る予定だったのだけども、遼は車が嫌いだった。
単純な話、車に弱かった。
彼女は閉め切った車にいるよりも、風が当たるバイクを好んだ。
けれど、毎夜毎夜ジュエルシード探しをしていたためか、彼女はすっかり寝てしまっている。
しかし、その成果もあり、新たに二つのジュエルシードを獲得していた。
今回は本来遼たちは来る予定はなかったのだけれど、遼の体調を心配したクリムが無理やり説得したのだった。
仲良く友と談笑するなのはであったが、その胸の内は曇天のようにモヤモヤとした思いが覆っていた。
(先週会った黄色の女の子たちと黒いあの子、一体何だったのだろう……)
『なのは、またあの時のこと考えているの?』
『ああ、ユーノ君……、やっぱりあの人もジュエルシードを集めてるのかな?』
『多分そうだと思う、管理局の人じゃなみたいだけど、危険だから集めてるのなら悪用はしないだろう……、多分』
『じゃあ、わけを話したら渡してくれるかもしれないんだね』
『う~ん、絶対とは言えないけど、話してみる価値はありそうだね』
『うん! 次に会ったらお名前を聞いて、お話するの!』
なのはの目に強い光が灯る。
そのなのはが話す彼、いや、正確には彼女だけれど、彼女は今、悪夢にうなされていた。
side 遼
私は夢を見ていた。
時々見る、危ない夢。
森の中で、私と誰かが戦っている。
原因はジュエルシード、夜中に発動したそれをめぐって、戦っていた。
そこに白い魔導師、なのはが現れる。
三組はお互いににらみ合い、動かなくなる。
その時だった。
封印してそのまま放置が急激に輝き出す。
一番速く動いたのは私だった。
自分の魔力全てを使って、これを止める。
両手に酷い怪我を負ったが、再封印は完了した。
しかし、私は油断していた。
私の胸を異形の槍が貫く。
元々薄い装甲だったが、先ほどの封印で更にもろくなっていた。
当然、非殺傷設定ではなく、私の心臓は簡単に破壊された。
side ALL
宿に着いたところで、遼は目を覚ます。
酷い夢であったが、彼女はあまり気にしてはいない。
せっかくの旅行に水をさしたくなかったからだ。
それよりも、気になることがあった。
彼女の夢の効果範囲は、最大で二十四時間後。
つまり、この温泉宿の近くにジュエルシードがあることになる。
(まあ、夜中みたいだったから今は大丈夫だろうけど、面倒なことになったな)
ヘルメットを脱ぎ、メガネをかける。
『クリム、適当な時に辺りをサーチしておいて、夜になったら回収しに行くから』
『? あるかどうかわかりませんが、一応了解しました』
クリムは首をかしげるも、サーチ用魔法の準備をする。
(遼は時折変な事を言いますが、その時に限ってそれが当たったりするのですよね)
クリムはまるで予言のようだ、と感じる。
しかし、それも万能ではない。
それを言うのは決まって朝か、寝起きだけだった。
つまり、遼が寝ている間しかそれを知ることはできないということを示していた。
(あの歳で予言スキル、プラス危険ロストロギア持ち……、管理局がほっておくはずがありませんね)
最悪、危険因子としてどこかの世界に拘留されかねない。
(私がいるから遼一人だけでないのは確実ですが、それでも遼の人生を大きく狂わせてしまう)
クリムは思う。
これ以上、遼に悲しい思いをさせたくはない、と。
side 遼
私は今、脱衣所にいた。
宿について早々、みんなで温泉に入ることになったからだ。
私はふとあのフェレットモドキを見る。
「……………………」
何やらビクンビクンと悶えていた。
「……、ああ」
少し考えて、その原因を察する。
多分恐く、アレはオスなんだろう。
おおかたなのはが無理やり連れてきて、ここに居るのだろうけど、彼女たちの裸を見るのが恥ずかしいのだろう。
ウブな人(?)と、私は思う。
まあ、凝視されても困るけれど。
「ん?」
妙な視線を感じて、私は振り返る。
なのはにすずか、アリサに保護者のお姉さんたちが、私を見つめていた。
「どうか、したの?」
私は恐る恐る聞いてみる。
「え、いや、あの……」
すずかが何か言おうとしているけれど、さっぱりわからない。
「いやー、遼ちゃんって髪をほどくとすごい美人なんだね」
かわりになのはのお姉さんが答える。
……そう言えばそうだった。
今はメガネもないし、当然髪も解いている。
いつもと違う私に彼女たちが驚いたのだろう。
「自分じゃ、よくわからない……」
私はそう言ってタオルを体に巻きつける。
あのフェレットモドキに見られるのも恥ずかしいし、彼女たちに裸を見せるのに慣れていなかったからだ。
「髪さらさらなんだね~、どんなシャンプー使ってるの?」
なのはが髪に触れてくる。
「えっと……、主に石鹸だけど?」
「石鹸! それでこれって……、反則じゃない!」
アリサが後ろから抱きついてくる。
「肌も綺麗だし、胸も私よりあるのに……」
「アリサ、その結論はまだ早い、私たちはまだまだ成長期、きっと伸びる……」
「ありがとう遼、……ちょっと待って、今自分も含めなかった?」
「私は、なのはのお姉さんみたいになりたい……」
私は羨望の眼差しで彼女を見つめる。
「お姉ちゃんに? どうして?」
「体がしっかりしてて、とても強そう……」
それは一目でわかった。
しっかりと鍛えられた筋肉、隙のない動き。
彼女は幼い頃から、もしかすると私よりも早くから鍛え続けている。
なのはと彼女のお母さんはそうでもなかったけど、高町家はどこかおかしい。
高町父、兄、姉は恐ろしい程の手練。
そんな強さを私も欲しかった。
「それなら、いつでもうちに来ればいいの!」
なのはが元気いっぱいにそう言う。
「……迷惑じゃないの?」
「いんや、朝と夜は私もきょうちゃんに鍛えてもらってるから、その時なら大丈夫だよ、……まあ、小学生にはちょっと辛い時間かもしれないけど」
「……今度、見に行ってから考える」
私は内心とても喜んでいた。
正直バーチャルだけでは不安だったし、クリムは心配して朝のランニングとかをさせてくれない。
これなら十全に私は体を鍛えることができる。
けれど、何気ないこの会話に彼女の思惑が含まれていたことに気づいたのはかなり後になってからだった。
side 美由希
私は驚いた。
なのはが新しく連れてきた友達はすごく可愛かったし、綺麗だった。
しかし、それよりも私が驚いたのが、彼女の内に秘められた強さだった。
隠してはいたけれど、動きを見ればわかる。
なのはと話している時も周りを警戒していたし、何かある度に右手が微かに動く。
あれは多分、不意をつかれても対応できるように体が勝手に反応してるのだと思う。
あの歳で何でそこまで鍛えているのか私にはわからない。
なのはにそれとなく聞いても、彼女の家族のことは知らないみたいだった。
彼女の保護者のクリムさんも今日初めて会ったみたいだし、普段以上のことは知らないと思う。
きょうちゃんも気づいてたみたいで、私に話してきたけど、やっぱり分からなかった。
けど、思わぬチャンスがやってきた。
この温泉が終わったら彼女の稽古をきょうちゃんにつけてもらえることになった。
ま、いつかはまだわからないけど、彼女を知るにはちょうどいい。
今はこの温泉を楽しむとしましょうか!
後書き
ジュエルシード
なのは 三つ
遼 七つ
フェイト 一つ
残り 十
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