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銀色の魔法少女

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第十一話 温泉宿での決闘

 
前書き
はい!
只今8/15 17時55分
ギリギリのやややです!
では唐突に、第十一話 始まります 

 
side ALL

 夜、温泉で騒いだり、卓球で死闘を繰り広げたりしたアリサとすずかが熟睡していた頃。

 例のごとくグリムゲルデにすり代わり、遼はジュエルシードがある場所へと歩いていた。

 一応バリアジャケットをまとい、髪は魔法で黒く染めている。

 クリムが一緒にいないのは、グリムゲルデは一体のみでクリムの分の替え玉が用意できなかったり、保護者同士の会話がはずんだりといろいろと事情が重なったためである。

 そうして彼女は目的の場所へ到着する。

 川を渡り、茂みを探す。

「見つけた」

 数分後、彼女はそれを手にする。 

 幸い、ジュエルシードは発動前だったので封印するのは簡単だった。

 しかし、彼女が魔法を使ったことで、招かれざる客が姿を現した。

「ちっ! 遅かったか!」

 犬耳を生やした女性、使い魔のアルフとその主、フェイト・テスタロッサだ。

「主らも来ておったかのか」

 遼は振り向かず、それをポケットに入れる。

「それを渡してください」

 フェイトはバルディッシュの刃を遼に向ける。

「断ったら?」

「力づくで奪い取ります」

 遼は剣を抜き、フェイトに向かい合う。

「なら、やってみるといい! 小娘!」



side フェイト

 それかの戦いはまさに互角だった。

 私とアルフの連携をかわし、彼は重い一撃を私たちに与えてくる。

 私たちはそれを受け流して、次の一撃を撃つ。

 そのようなことが何度も繰り返された。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

「くっそ、何なんだいあいつは!」

 アルフが焦るのも無理はない。

 二対一だというのに、彼に隙を作ることすらできていない。

 レイの話だと、魔力量は私より下らしいけど、そんなの何の問題にもならないくらい強い。

 いや、それよりも、

「……どういうことですか?」

「ん? 何がじゃ?」

 言葉が足りなかったようで、彼には伝わらず首をかしげる。

「どうして魔法を使わない、ということです」

 正確には攻撃魔法だが。

 彼は私と初めて戦った時も、斬撃のみで、他の攻撃魔法を一切使ってはこなかった。

 今もそうだ。

 全て剣撃のみで対応している。

 普通の魔導師なら、こんな戦法はありえない。

「ああ、なんだそんなことか」

 そんなこと、彼はそう言った。

 つまり、彼にとって他の魔法を使わないことは全くもってどうでもいいことということだ。

「簡単な話、我は遠距離魔法が苦手なだけだ、そんなことをするなら近づいて斬った方が早い」

「……それを私に話してしまってよかったのですか?」

 はは、と彼は笑う。

「少しも問題はない、主が距離を取ろうものなら、我がそこの獣を斬りすてて、追いかけるまで」

 それは、アルフでは相手にならない、と彼は言っているようなものだった。

 実際、二対一で互角なのに私が抜けたらアルフはやられる。

 それはどうしようもない事実。

 だからアルフも何も言わず、ただ唇を強く噛み締めてるだけ。

 そんな時だった。

「見つけた!」

 そんな声が聞こえたと思ったら、この前の白い女の子が現れた。

 どうやら私たちの戦いをかぎつけてここまでやってきたらしい。

「なんじゃ、主も来たのか」

 彼も予想外だったようで、彼女を見つめる。

「あ、この前の……」

 彼女は彼を見ると頬を赤くして、固まる。

 ? 仲間じゃなかったのかな。

「さて、これは少し困ったのぅ」

 彼の言うとおりだった。

 彼女が彼の仲間じゃないのなら、この状況は少しまずい。

 誰かが動けば、その他の誰かにやられる。

 三すくみ、まさにその状況だった。

 つまり、誰も動けない。

 レイが入れば対処できただろうけど、彼は今別の場所でジュエルシードを探している。

 しかし、すぐにそれは崩れ去る。

「!? しまった!」

 彼のポケットに入っていたジュエルシードが暴走し始めたのだ。

 もちろん一番先に動いたのは彼だった。

 彼は剣を戻し、両手でそれを押さえつける。

「く、このぉ!」

 彼の手から血が溢れ、地面をぬらす。

「これで、どうだ!」

 彼を中心に見たこともない魔法陣が展開される。

 私たちのものとは違う、三角形の魔法陣。

「まさか、あれって……」

 白い子の使い魔が何か知っているようだったけど、聞いている暇はない。

「ま、たく、面倒事ばかり起こしよって……」

 少しして、彼はジュエルシードの封印に成功する。

 その手は血まみれで、もう戦うことなどできないだろう。

「あの、大丈夫ですか?」

 白い子が心配そうに近づく、その時だった。

 彼の背後に、レンが現れた。

 おそらく気配を消す魔法を使って彼の背後に忍び寄ったんのだろう。

 私以外誰も気づいていない。
 
 そして、その手に持った彼の愛機である槍をもって、彼を全力で突き刺そうとした、が。

「わかっておるぞ! この小童がぁ!」

 彼は勢いよく振り返る。

「! だけど!」

 けれど、レイもただ驚くだけでなく、その槍で全力で突く。



 彼はそれを、ジュエルシードで受け止めた。



「はぁ!?」

 あれを両手、剣で受け止めていたらおそらく破壊されていただろうけど、彼は運良くなのかジュエルシードで受け止めた。

 レイにも予想外だったようで、動きが一瞬止まる。

 それが命取りだった。

「虚刀流 百花繚乱!」

 彼の膝蹴りがレイのお腹に叩き込まれる。

「う、ぐぅ」

 レイはお腹を抑えて二、三歩下がる。

 その顔色は悪く、骨が折れているように思えた。

「レイ、ここは逃げよう」

「けど、ジュエルシードが、」

「そんな傷じゃもう無理だよ、大人しく撤退しな」

 アルフの口添えもあって、レイを一応納得させることが出来た。

 アルフにレイを任せ、私は彼に向き直る。

「次は、必ず勝ちます……」

 私はそう告げると、急いでこの場から離脱した。 
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