ソードアートオンライン アスカとキリカの物語
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アインクラッド編
休息の時間
前書き
祝!!『アスカとキリカの物語』総合評価1000突破!!
いやはや、900を超えたあたりから今か今かと待ちわびており、大変嬉しいです!!
これもいつもこの作品を読んでお気に入り登録や評価してくれた読者のおかげです!!
ありがとうございます!!
これからも『アスカとキリカの物語』にお付き合いください!!
それではどうぞっ!
野営用ランタンが薄く安全地帯を照らす。
キリトが持ってきたアイテムで、実を言えばかなりのレアアイテムだ。
耐久値が切れるまでずっと明るい光を提供してくれる。
その淡い光に照らされながら、アスカはキリトと〈月夜の黒猫団〉の5人と昼食同様卓を囲んで夕食を頂いている。
かったいパンを香草と干し肉の入ったスープに入れてふやかしながら食べる。
こちらのスープもキリト持参アイテムだ。
それなりに素材ランクが高いようで、おいしい。
このパンをそのまま食べるのはなかなか根気が要りそうなので、正直助かる。
支給されたパンを食べている理由は、いくら食材アイテムは軒並み重さがそれほどでもなく、アイテムストレージを圧迫しないとはいえ、夕食分まで料理を用意できるほどの余裕はアスカにもサチにもなかったからだ。
アスカを含め誰もが黙々と食事に専念している。
と言うより、疲れて会話する元気がない。
「はー・・・・おいしい」
「そうだね・・・・」
キリトのポツリと洩らした感想にサチが同意して、そこで会話が終了した。
昼食を頂いてから既に10時間近く経過している。時刻は日付が変わる少し前。
あれからアスカ達は3度ボスと2時間に渡る戦闘を繰り広げた。今日1日で8時間もボスと戦っていることになる。
ボスのHPバーはようやく2段目が半分を割ったところだ。
まだ折り返し地点にも立ってないと思うとげんなりしてしまう。
それも今みんなの元気が無い理由の1つだ。
疲労困憊なのはアスカ達だけではなく、〈風林火山〉や〈聖竜連合〉の人も疲れ切った表情だ。
フィールドでアスカ達のパーティーと楽しげに会話していた時の面影もなく、静かに食事を取っている。
交代でボスの正面担当だった〈風林火山〉が同じ時間に安全地帯にいるのは、今ボスの相手はヒースクリフ率いる〈血盟騎士団〉以下数名が担っているからだ。
これから6時間ほど、彼らがひたすら時間を稼ぐことになっている。
全員分の睡眠時間を確保するためだ。
いくら団長でも無茶だ、と思いアスカも何とか説得しようとしたが、いつもの様子で、
「情報通りのステータスなら問題ないよ。私1人でも数時間は何とかできる。なあに、このくらいは攻略組トップギルドの団長を任されている身として当然だよ」
と宣われたらそれ以上アスカに抗議できるはずもない。
それに1人でも何とか出来る、というのは誇張でも何でもなく、確然たる事実だ。
〈神聖剣〉。
それこそがヒースクリフが持つ絶対最強のスキル。
ほかのどのプレイヤーも持ち得ない彼のみのスキル―――ユニークスキル。
十時を象った一対の剣と盾を使う。
見た目は少し変わった形の剣と盾を持った片手剣士と変わらないが、スキル内容は比べるのも馬鹿らしくなるほど圧倒的。
流れるような攻撃もさることながら、なお一層圧巻なのは防御力。
これまでの幾度となく行われてきたボス戦で1度たりともHPバーがイエローゾーンに落ちていない唯一のプレイヤー。
確かに彼が率いた部隊ならダメージを与えることを考えなければ6時間程度余裕でボスの相手を出来るかもしれない。
アスカも〈血盟騎士団〉副団長として手伝わないといけない、という義務感が働いたが、〈月夜の黒猫団〉の面々のバックアップをしながら睡眠無しで6時間も戦線維持に参加できるほどアスカも化け物ではない。
ある程度の休息は必要だ。
この階層はポップ率が低いおかげでダンジョンからモンスターの叫び声が聞こえてくることも無い。
それに全員が疲労を溜めているので、熟睡できるだろう。
すでに幾つかのパーティーは支給された寝袋に身を包み、微かな寝息を立てている。
今回のボス戦で全員から徴収されたお金を使って購入した食事等のアイテムの中でもこの寝袋はかなり値が張った。
少しでも経費削減するためにかなり大きい寝袋を購入したため、どのパーティーにも総人数の半数しか支給されていないが、ちゃんと2人入っても余裕な大きさであることは確認している。
寝相が悪ければ分からないが、普通に横になるだけなら2人入っても窮屈だと感じることは無いはずだ。
すでにアスカ達のパーティーにも4つの寝袋が支給されている。
7人なので誰か1人1個寝袋を使えるが、全員でこれはアスカが使うことを決めてある。
〈月夜の黒猫団〉の男子4人が2つ、キリトとサチが1つだ。
ろくに会話もせずに食事を終えたアスカ達も他のプレイヤー同様に早々に寝ることにした。
折角、〈血盟騎士団〉の面々が寝る時間を削って頑張ってくれているのだ。
可能な限り体力を回復させて明日の戦闘で結果を出すことがそれに見合う礼儀というものだろう。
ランタンの火を消して、配られていた寝袋4つを持ってくる時だった。
「アスカー、悪いんだけどこっちで寝袋の数が・・・・・・・・・」
「ん? どうしたの、リズ?」
最初に訪問者ことリズベットに気づいたサチが訊ねる。
リズベットは寝袋を持ってきているサチの姿を視認すると、言いかけていた言葉をつぐみ、
「・・・・・・サチ、あんたまさかここで寝る気じゃないでしょうね?」
「えっ? そうだけど・・・・どうかした?」
途端、声を荒げた。
「どうかした、じゃないでしょ!? あんたまさかこんな男ばっかの状況で寝る気!?」
これにはアスカも他の5人同様にうっと唸ってしまった。
キリトが本当は女性プレイヤーであることを知っていたので、周りからの目を完全に忘れていた。
女子2人が同じ寝袋に入ればいい、と思いこんでいた。
「いや・・・・大丈夫だよ。ギルドのみんなと寝る事なんて何度かあったし・・・・」
「それでも、ギルメン以外の男2人もいる状況でしょ!?」
「アスカとキリトもそんな心配するようなことないと思うよ・・・・・・?」
リズベットの勢いに飲まれてサチも語気が弱まっていく。
「いやそういう問題じゃなくて・・・・・・って、そうだ!」
パン! と、手を叩いたリズベットが視線をアスカに移す。
「アスカ、悪いけど寝袋1つとサチ貰っていくけど、いい?」
アスカより早く隣に座るキリトが反応しそうになり、慌てて口を閉ざしている。
それを横目で見ながらアスカが訊ね返す。
「なんでだ? 鍛冶屋のプレイヤーの分もちゃんと寝袋が用意されているはずだろ?」
リズが渋面になる。
「あんたら、鍛冶屋に女の子が何人いるかとか考えてなかったでしょ? 10人の内、あたしを含めて3人なのよ」
「ああ・・・・なるほど」
納得する。
確かに男性プレイヤーと女性プレイヤーが同じ寝袋に入るのは色々とまずい。
奇数人数同士なら寝袋の数が足りなくなる。
「〈聖竜連合〉の奴ら、そこまで頭が回らなかったのか・・・・・・」
「アスカが悪いわけじゃないから気にしなくていいわよ。それで、あたしが余っている所がないか探してたのよ」
最初に言いかけたのはこの用件だったらしい。
「で、でもこっちも数がそれだと・・・・」
ケイタは焦った様子だが、こちらが困惑している理由を知っていないリズは不思議そうな顔をする。
「ん? なんでよ? 6人で3つの寝袋使ったら良いじゃない?」
「「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」」
今度こそサチを除く6人が完全フリーズ。
大変困った状況である。
今、この安全地帯には〈血盟騎士団〉以下数名を除く50人以上の攻略組プレイヤーがいる。
こんな所で、キリトの本当の性別をリズに教え、驚きで叫ばれようものなら確実に全員にばれる。
サチも心配そうな目でキリトのことを見ている。
アスカもどうすることもできず、隣へと目を向ける。
パーティーメンバー6人全員の視線を集めたキリトは、
「・・・・分かった。サチのことよろしく」
と言った。
「なんでギルメンじゃないアンタが頼んでんのよ?」と、口を挟みながらも、リズは寝袋1つとサチを両手で引っ張りながら鍛冶屋が寝ているスペースへと消えていった。
「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」
結局、アスカを含め男性陣5人は最後まで何も言えずにその姿を見送った。
後書き
いかがでしたか?
はい。すいません。少し短めでした。
なんか良い区切りがなくて・・・・・・。
ま、まあ次の話を早めに投稿しようと思っているので、それでチャラにしてください!
感想や評価など、お暇な方はよろしくお願いします。
感想を貰うたび、作者のテンションがとても上がりますので!!
それではっ!!
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