ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士
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第63話 =魔法=
この世界にはうれしいことがいくつかあった。
1つは、このゲームを買った人全員に当てはまるだろうが翅による飛行が可能なこと。さらに1つは大部分のヒトは関係ないかもしれないが無事ログアウトできているはずのSAOプレイヤーが生還できていないことについて、なんらかの手がかりはあるとはっきりしていること。まだまだあるが俺が最もそれを感じた1つは………
「その名を以ちて裁け……リリジャス!!」
詠唱が完了し《イビルグランサー》という名の羽の生えたトカゲの上から落雷が落ち、そのHPバーを空っぽにする。
俺がうれしく感じた理由、それはALOの魔法にテイルズの術が組み込まれていることだった。似たような魔法が発動、ではなくいつも画面越しで見ていたいろいろな術が詠唱台詞を言い、スキルを満たしていれば使えるのだ。隠そうとしても隠し切れない喜びだ。
この世界の魔法のように対象に大まかに手を向けて使いたい術の詠唱を言えばそのままそれが発動する。ただし英語でも何語でもない魔法より日本語である術の方ばっかりの使用を避けるためか消費するのが普通の魔法のMP消費よりかはげしいのだが…。まぁ、いまだに発売しているドラ○ンク○ストやポ○ットモ○スター、ファ○ナル○ァンタジーなど大きなタイトルの影に隠れているせいで少々無名なのは変わりない。
「おつかれ」
「援護サンキュ」
そういいながらこちらへ飛んでくるスプリガンの少年、キリトにハイタッチで答える。さっきまでバーサーカーとなっていたキリトがあと1割近く残した状態で逃がしたトカゲを俺が、そのトカゲの特殊能力《邪眼》のせいで一時的に大幅なステータスダウンを強いられた時にはALOの先輩であるリーファの解呪魔法をかけて《古森》と呼ばれるシルフ領の上空で戦闘を繰り広げていた。
「リクヤ君って、不思議な魔法使うね。そんなもの私も見たこと無いよ」
「前から、お前って王道を使わなかったやつだもんな」
「使わなかった、じゃなくて使えなかった、だし…」
アクセサリーデメリットでソードスキルが使えない、なんていう状況にもなったし。…そのアクセサリーからメリットだけを抜きだして新たなアクセサリーにするという一見チートのようなことで作ったバングルも文字化けのせいで全て消去してしまった。
「まぁ、キリト君もおかしいけどね」
「そ、そうかな…?」
「エアリアル戦でヒットアンドヒットはおかしい分類に入るぞ」
お返しと言わんばかりにこちらもキリトのことを言う。実際今さっきのキリトは数匹のトカゲに対してその剣を振り回して次々と叩き落していた。今回はその分早く片付いてよかったのだがリーファ曰く、近距離と遠距離の混成やVSプレイヤーになったときはどうしても魔法で狙われるらしい。そして威力重視の魔法は方向さえ読めば回避は可能らしいのだがホーミング性のものはほぼ無理らしい。
「なるほどね……今までいたゲームに魔法って無かったからなぁ…覚えることがたくさんありそうだ」
「まったくだ…VPMMO初心者には結構きついな…」
時間でいえば24時間×2年間で17520時間という膨大な時間をやっている俺だが作品数で言えばまだ2作目、しかも仕様が結構違うのでまた1から覚えなければならない。
「大丈夫だよ、君たちならすぐ勘がつかめるよ。さ、先に行きましょ」
リーファに頷き今の目的地である湖を目指して再度、翅を鳴らして移動を再開した。
先ほどまで何回もキリト無双が行われたのだが飛翔力が限界に近づき下に降りるまでモンスターは1匹も出ずに草原まで着陸することが出来た。着地すると現実には無い翅の根元が急に疲労するような、そんな感覚に襲われて思わず癒すために軽いストレッチをしたくなり軽く腕を伸ばす。どうやらリーファ、キリトも同じらしくそれぞれ伸びをしたりいろいろな動きをしていた。
「2人とも、疲れた?」
「いや、まだまだ」
「キリトに同じく。俺もまだまだいけるよ」
だがリーファの言葉はそのやる気を無くさせるようなものだった。
「頑張るわね。…といいたいところだけど、しばらく空の旅はお預け」
「「えぇ~…何でだよ」」
綺麗にハモった俺とキリトに微笑みながらリーファは遠くに見える大きな山脈を指差した。
「あの山が飛行限界高度よりも高いせいで山越えには洞窟を抜けないといけないの。シルフ領からアルンへ向かう一番の難所…って話よ。あたしもここからは初めてだけど…」
「せっかく飛行が楽しくなってきたのに……」
「洞窟まではまだ少し距離があるからその間に楽しめばいいよ」
洞窟を抜ければまた飛行は出来るだろうし…とリーファが付け加える。
「なるほど……洞窟って長いの?」
「かなり。途中に中立の鉱山都市があって、そこで休めるらしいけど……。リクヤ君たちはまだ時間…大丈夫?」
その言葉に現実での時間を確認すると今は午後7時、かれこれ4時間もぐっていることになる。今日は丸まる半日ほど寝たので体力的にもまだまだ大丈夫だし明日も朝練はしばらく無しにしてもらっているので時間的にも大丈夫だ。
「そっか。じゃあもうちょっと頑張ろう。ここでローテアウトしよっか」
「ろ、ろーて?」
「何それ…?」
恐らくこういうゲームの専門用語なのだろう、ネトゲも全然したことの無い俺はまったく耳にしたことの無い言葉だった。どうやらキリトも知らないらしくかたことでリーファに聞き返している。どうやらローテアウトというのは交代でログアウトすることらしい。何故そんなところをするのかというと中立地帯ではログアウトによる逃げを防ぐため数分間意識の無いアバターがその場に残るらしい。その間はやられ放題で気付いたらセーブポイント、なんてこともざらじゃないらしい。
「…なら、俺から先に落ちていいか?」
「いいけど…どうして?」
「夕飯作らないと…」
キリトは今ここにログインしてるから気にしなくてもいいけれど問題は直葉のほうだ。家事のほとんどは俺なのだが料理だけは好みやらなんやらの問題で交代制で今日は俺の日、もしこのまま作らなかったら何言われるかわかったものじゃない。
ということで早速寝オチのログアウト、では無く自発的のログアウトをするためにウィンドウを開きボタンを押す。すると警告メッセージが出たが無視してYesに触れると、周囲の風景が一気に遠ざかり消えていった。
――――
「さて…なんにしようか」
これが多分、全国の主婦の最大の壁なんだろうな…メニューが決まらない…。と考えていると恐らく買い置きと思われるベーグルが。冷蔵庫を見ると生ハムやクリームチーズ、レタスなどいろいろな野菜類もありそのおかげでベーグルサンドということが決まり、早速作る。
作ると言ってもベーグルにその材料をはさむだけで数分くらいで完成、早速直葉を呼びに行こうと2階に上がってノックするが反応は無い…。
「…まだ、あのこと怒ってるのか?」
だが返事は無い。直葉には珍しく寝ているのかと思い台所へ戻って直葉と和人の分のサンドにラップをかけて自分の分をほおばりながら部屋に戻ってナーヴギアを被り、俺はあの世界へとまた戻っていく。
「おっす、待たせたか?」
「いや、全然。じゃあ次はリーファ、どうぞ」
「いいの?…ならお言葉に甘えて」
リーファは言うと同じようにウィンドウを操作してログアウトし、そのアバターは自動的に待機状態になった。その様子を見て先ほど俺も人生初ログアウトだったな、と言うことを思い出す。
「ログアウトってあんな感じだったんだな…」
「なんでそんな初めてみたいに言うんだ?」
「実際初めてだったからな…昨日は寝オチだったし、その前に被ってたときにはそれ自体出来てなかったし…」
「…そうか…そうだったな…」
キリトはそう納得しながら悔しそうに、悲しそうに笑う。あの城であったことを思い出しているのだろうか…。確かに得られたものも多いけどその分、傷になったものも多かった。15,6年の人生だと絶対に得られないレベルの物を。
「……あぁー!!、もう!!」
「な、なんだよ…」
俺の叫び声にキリトは目を丸くして驚いている。もしも周りの木に小鳥が止まっていたら全部どこかへ飛んでいくくらいの大声らしく実際鳥系モンスターが2,3匹こちらの存在に気付いてこちらへやってきた。
「辛気臭くなるなっての!…そんな顔でアスナに会ってもあいつは喜んじゃくれないぞ!」
「わ、悪かったって…」
「ほら、モンスター気付かれた…」
「俺は悪くないぞ!?」
キリトの言うとおり悪いのは俺だがこんなしょうもないかけあいでもキリトの顔には先ほどの悔しそうなそんな表情は消えていた。
「ちょうどいいや。術……いや、魔法の練習だな……」
その場に立つと軽く翅を振るわせる。どうやらすでに回復しているらしくフワリと浮くことが出来たので早速飛び立ちそのモンスターとの高さまで到達すると標準をその鳥モンスターにあわせる。
「正義の意志……雷撃の剣となり咎ある者に降り落ちる……サンダーブレード!!」
詠唱スペルを完成させるとその鳥たちの上空に雷を纏った大きな剣が。それが現れた瞬間、鳥を挟むように魔方陣が出現し剣が中心につき刺さる。そして纏っていた雷を放出し鳥たちを電撃が襲う。
「…おぉ…すげぇ…」
初代くらいからあるこの術、新作が出るたびにどんどん壮大になっていくがそれを目の前で見ることになるなんて…迫力が大きすぎて発動した自分が驚いている。
地面に降りると早速キリトがログアウトしておりさっきのリーファのような姿勢になった。
「おかえりー。意外に早かったな」
「うん、家の人が料理作ってくれてたから」
いい家族だな、と思いアイテム欄から緑のストローのようなものを取り出し口に含む。雑貨屋で1ダースほど買ってきたのだが昔に作られたような煙草みたいだった。吸うと甘いハッカが口の中に広がって結構美味しい。ちなみにその息を吐くと白い息が出るのでマジで煙草みたいだ。煙草は嫌いだけどこれはちょっと病み付きになりそうだな…。
「なに…それ…」
「スイルベーン特産の煙草みたいなもの……いる?」
そのストローを投げるとリーファはマジマジとそれを見つめ、しばらくするとぱくっと口にくわえた。リーファには相当強烈なものだったのか吸った息を吐くとケホケホと咳をし始めた。
「だ、大丈夫か?」
「ケホ、うん…大丈夫…ケホ…」
しばらく咳をしたあと、この先のことなどを聞いているうちにキリトがログインしてきてここから例の洞窟、ルグルー回廊にむけて飛ぶことになり3人が翅を広げたその時…
「……?」
「…キリト、感じたか?」
「どうしたの?」
「なんか…誰かに見られた気がして…」
キリトの言葉に同意する。だが、後ろを見ると誰もいない。木の後ろに小動物くらいなら隠れそうだが今の視線は完璧に人間のものだ。
「見られた気がって……そんな第六感みたいなもの、あるの?」
「…さぁ?」
そんな事を言われても俺は知らないが、キリトが言うには『誰かがこっちを見ている場合、そのプレイヤーに渡すデータを得るためにシステムが俺たちを《参照》するわけだけど、その流れを脳が感じ取る』らしい。
「「……はぁ…」」
ネットに詳しくない俺とどうやらそっち方面には疎いらしいリーファが限界を迎え、ついていけないと言う意味を含めた返事を送ってしまった。
「ユイ、近くにプレイヤーはいるか?」
「いいえ、反応はありません」
キリトの胸ポケットからひょこっと出てきたピクシーはその頭をふるふると横に動かす。
「ユイに見えないのなら……居ないんだろうなぁ…」
「もしかしたらトレーサーがついてるのかもね」
また意味のわからない単語が出てきた…。でも親切なリーファのおかげでトレーサーというのは魔法の一種で小さい使い魔が術者に対称の位置を教える追跡魔法らしい。
「めちゃくちゃ便利だな…それ」
「それって解除できないの?」
「トレーサーを見つければ、そいつを倒せば解除できるけど、術者のスキルが高ければ高いほど対象との間に取れる距離も増えるから、こんなフィールドだと無理ね」
「なんだ、残念。…でも一応警戒しといたほうがいいな」
「だな」「うん」
異口同音に2人が返事したのを聞き、俺たちは地面を蹴って浮かび上がり、ルグルー回廊を目指す。
ここから数分間、どうせなら、ということでアクロバティックな飛び方で何度か墜落しかけてリーファに怒られキリトに笑われたりしたが何とか持ち直して洞窟の入り口まで到達することが出来た。展開的にはキリトが昔見たことのあるらしいファンタジーものに似ているらしいのだがそれに必要な悪魔系モンスターはここには存在しないと言うことでキリトが残念がっていた。その代わりといえばなんだけどオークの退治を任されてしまって少しげんなりしていたが。
「そういえば2人って魔法スキル上げてるの?」
「あー、まぁ種族の初期設定のやつだけなら……。使ったことはあまり無いけど…」
「俺は初期設定の『雷系魔法』に『付加魔法』、あとは…『回復魔法』かな。…あ、『闇魔法』も入れてみたぜ」
ちなみにこれは全部、テイルズの術が使えるとわかった瞬間に入れたものだ。『闇魔法』と『回復魔法』は適正種族じゃないためか初期術しか使えず全然使っていないが…。
「リクヤ君が入れてる理由って……」
どうやら察しがついたらしいリーファに元気よく頷くと呆れたような顔をされそのままキリトにスプリガンが得意な灯りの術の使用を頼む。が、当のスプリガンの少年は術のスペルがわからずユイに教えてもらっていた。ユイが単語を丁寧に一区切りずつ言ってくれたので一応効果は得られたものの…
「え…えっと…?…お、オース・ナウザン・の…ノート…?」
いざ、1人で言ってみろ、と言うことになると言えないらしい。
「オース・ナウザン・ノート・ライサ・アウラ。これくらい憶えろって」
「お前みたいに日本語じゃないんだって……」
ジト目でこちらを見てくるキリトだが術じゃなくとも魔法のスペル、雷系や付加魔法の現状で使えるものくらいならすでに俺は暗記できている。
「…ハイカ・ヴァンナ・ディンム・ダマンナ」
俺が詠唱をするとリーファとキリト、そして詠唱した本人である俺に防御ブーストのバフが掛けられた。
「おぉ、やるねリクヤ君。キリト君も使える魔法は暗記しておいた方がいいわよ。いくらスプリガンのしょぼい魔法でもそれが生死を分ける状況だってひょっとするとないとも限らないし」
「もしかしたらキリトが覚えていたおかげで助かって感謝する、なんてこともあるかもしれないしな」
ニヒヒと意地悪っぽく笑うリーファと俺。それに対しキリトは若干傷ついた様子でまた呪文の練習に取り掛かった。リーファの「力の意味を覚えて、魔法の効果と関連付けて覚えるのがコツ」という助言をもらい、何とか初級の幻惑魔法は覚えられたらしい。…まぁ単語数は5というとてつもなく短いものだが…。
「まさかゲームの中で英熟語の勉強みたいな真似することになるとは思わなかったからなぁ…」
「言っておきますけど上級スペルなんて20ワードくらいあるんだからね」
…20ワード、少ないな。と俺は思ったけれどそれを話すとキリトどころかリーファにまで変な目で見られた。どうやらキリトは暗記が苦手らしくて二桁のワード数を言った瞬間、自分の選択肢の中からすでに魔法を捨てておりそのストレス解消のためかオークを何匹も屠っていた。俺もスキル上げのため、魔法を使おうとするのだがキリトの手から放たれる斬撃の威力がすさまじくてフィールドモンスターの中では結構な強さを持つオークすらも柔らかい何かのように斬られて行きポリゴンへと姿を変える。後ろを警戒しようにもユイの索敵魔法も泣いて逃げ出すレベルのレーダーがあるのでほぼ意味が無い。
「あ、メッセー入った。ごめん、ちょっと待って」
なにやら考え事をしていたリーファが顔を上げてメッセージを開くがそれを読んだ瞬間、難しい顔をして画面とにらめっこをしている。それが気になった俺とキリトが近づいた瞬間、
「パパ、にぃ。接近する反応があります」
鈴のような声で警告が。
「モンスターか?」
キリトが背中の大剣に手を掛けるのを見て、俺も持つために鞘に結んであった紐から巨大な太刀の柄に手を移動させる。だがユイはそれに対し首を横に振って答える。
「プレイヤーってことか……何人?」
「…多いです……12人!」
「じゅうにっ!?」
ユイの報告に俺たち全員絶句した。ルグルーを使うのはシルフくらいだ、というのをリーファに聞いたためその12人はシルフの可能性が高いがそれにしたって俺たちは異種族、戦闘になりかねないので抜刀しようとするけれどそれはリーファに止められた。
「…ちょっと嫌な予感がするの……隠れてやりすごそう」
「しかし…どこに…」
「隠れれそうな場所なんてどこにも無いけど」
周りを見渡してもちょっとした窪みがあるだけでほかは少しゴツゴツした壁のみだ。
「ま、そこはお任せよん」
そういい、いつしかみたユイのように胸を張る。ただ1つ違っていたのは揺れているものが有るのと無いという些細な違いだけだろう。言ったら殺されそうだけど。
手近な窪みに引っ張られる形で3人で入るとリーファが手をかざしてスペルを詠唱する。すると俺たちを空気の渦が包み込み視界を薄緑色に染めた。
「…喋るときは最低のボリュームで。あんまり大きい声出すと魔法が解けちゃうから」
「了解…それにしても便利な魔法だな」
「で、リーファさん…近いんだけど」
「……ひゃっ!?…むぐ……」
キリト、俺、そして通路に背を向けるようにしてリーファが立っているため俺とリーファの顔が近い。驚きのあまり注意した
本人が大声を出そうとしていたところでその口を押さえ通路のほうに目を凝らす。
「あと2分ほどで視界に入ります」
ユイの声に俺たちは通路に目を凝らす。
「…あれは、なんだ?」
キリトが何かを見つけたらしく通路の奥、例の12人がやってくる方を睨む。リーファにも俺にも見えないがキリトには見えたらしくそのものの説明を始めた。
「プレイヤーは見えないけど……。モンスターかな?赤い、ちっちゃいコウモリが……」
「…くそっ」
そう罵り声を上げたかと思うとリーファはせっかく自分が掛けた隠蔽魔法を解いて外に出る。同じタイミングでキリトの言った赤いコウモリも俺たちの目に入り、それにむけてリーファが呪文を詠唱し風の矢を発射する。
「リーファ、どうしたんだ?」
「あれは、高位魔法のトレーシング・サーチャーよ。つぶさないと…!」
だが、高位魔法で作られた使い魔なのかいくつも発射される風の矢をひらひらと避けている。
「…黒曜の輝き……快速の槍となり敵を討つ!…デモンズランス!!」
自分の上空に闇の槍を召喚し、それをそのコウモリに向けて放つ。がこれ自体の大きさはリーファの矢よりも大きく避けやすいものだが…
『ピギャァ』
使い魔がその大きなものに目を盗られていたせいでリーファのまだ発射される矢には注意を怠ったのか2,3本に貫かれて撃墜された。
「キリト君、リクヤ君、街まで走るよ!」
「隠れるのは?」
「なしね。トレーサーを潰したからもう敵にはばれてる。この辺に来たら山ほど出すだろうからとても隠れきれないよ。それにさっきの魔法は火属性…ってことは」
「火系統魔法が得意のサラマンダーってわけか」
面倒なことになったな、と思いながらルグルーに向けてダッシュする。救いというかここからダッシュすればリーファのステータス的にも俺もキリトも大差をつけて圏内に逃げ込めるはず。そして中立域にある町ではアタック不可なので逃げ込めばかばこちらの勝ちだ。
「…湖発見っと」
ヴォルトという種族のおかげで2人よりも少々早く走れている俺は湖の真ん中に浮かぶ街を見て何とか一安心した。キリトたちもそれを見たのか少し安堵の表情が見える。
「何とか逃げ切れそうだな」
「油断して落っこちないでよ。水中に大型モンスターがいるんだから」
そういいながらもあと少し走れば町に着く、そんなときだった。俺たちの上を光が通り過ぎ着弾とともに光点が巨大な土の壁へと変化したのは。
後書き
リ「なんか…俺、メイジになってね?」
涙「ソードスキルが無いんだもの、テイルズネタ使うなら魔法しかないっしょ」
リ「なんて適当なんだよ…」
涙「さて……文章がまとまらないまま書いてみた今回、どうでしょうか?グダグダだったでしょ?」
リ「あぁ、吐き気するくらいにグダグダだ…」
涙「ひ…ひどい……ここ、こうしたほうがいいなんてアドバイスくれたらうれしいです
あと、蕾姫さん、コラボありがとうございます!」
リ「あぁ、あのモンハンの話か。…俺がアホキャラに書かれてるのって気のせい?」
涙「気のせいだよ。リクヤ君を忠実に再現したのがあれじゃないか。ということで自分にはまったく不満が無い、ということをこんなところですが報告ですww」
リ「あれ、俺の意見は?」
涙「そんなものはしらん!!ということで…ではっ!!」
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