万華鏡
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第四話 緑の葉その四
「けれどね」
「難しい」
「そうなんですね」
「特に君達はバンドをはじめてばかりだから」
つまり初心者だ。そこから話す先生だった。
「相当難しいよ」
「ううん、そうなんですか」
「難しいですか」
「かなりね。止めはしないけれど」
それはしないというのだ。
「チャレンジも大事だから」
「それでもですか」
「難しいんですか」
「うん。作曲は何時でも難しいけれど」
こう言ってからだ。先生はこうも話したのである。
「バンドをはじめてばかりだと特にそうだからね」
「じゃあ今はどうすればいいんですか?」
「作曲が難しいなら」
「それじゃあ一体」
「何すればいいんですか?」
「そうだね。まずはね」
一呼吸置いてからだ。先生は答えた。
「勉強かな」
「勉強!?」
「勉強っていいますと」
「うん。色々な曲を演奏してみることだね」
これが大事だというのだ。
「それからだね」
「じゃあ他のバンドの曲?」
「これまでの色々なバンドの曲をですか」
「演奏してみることがですか」
「大事なんですか」
「オリジナルっていうのは何もないところから生まれないんだよ」
先生は穏やかな声で琴乃達に話す。
「それじゃあね」
「じゃあどうやったらオリジナルが生まれるんですか?」
「それだったら」
「だから。勉強からだよ」
そこからだ。オリジナルが生まれるというのだ。
「色々な音楽を勉強してね」
「そこからなんですか」
「オリジナルができるんですか」
「どんな音楽でもそうだよ」
他の音楽と同じくだというのだ。
「日本の。昔の音楽、和楽もね」
「それもですか?」
「あの琴とか笛の」
「あの音楽もですか」
「全部中国からだからね」
アジア文化は中国からはじまる。それは日本とて例外ではなくだ。中国の音楽からはじまっているというのだ。
「あの国の音楽を取り入れてね」
「それで、ですか」
「ああした音楽になったんですか」
「そうだよ。この部活のロックやポップスだってそうじゃないか」
先生は笑顔で軽音楽部の音楽についても話した。
「先生はプレスリーが好きだけれど」
「あっ、エルビス=プレスリーですか」
「アメリカのあの歌手ですね」
「プレスリーは最高だったよ」
先生は機嫌よく話していく。
「どの曲もね」
「ううん、プレスリーっていっても」
「そうよね」
「ちょっと。私達には」
「あまり聞いたことないし」
「こうだって言えないですけれど」
「まずは聴いてみる」
先生は今度は教師らしく格言めいたことを言ってきた。
「音楽はそこからだよ」
「プレスリーもですか」
「聴いてみることですか」
「そこからですか」
「そう。聞くよりもね」
先生はこうも言った。
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