万華鏡
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第四話 緑の葉その三
「さて、どうしたものだよ」
「難しいわよね」
「あたし達だけでできるか?」
遂にはこんなことまでだ。リーダーの美優が言った。
「難しいな」
「それじゃあね」
里香も考えていた。そしてだ。
ふと気付いた感じの顔になってこう言った。
「顧問の先生か先輩に聞いてみる?」
「先生か先輩に?」
「作曲の仕方を聞くの?」
「私達だけでわからないのならね」
それならばだというのだ。
「先生に聞くのが一番でしょ」
「確かにね。それじゃあね」
「今から」
「ええ、聞いてね」
それでだというのだ。
「それからやってみましょう」
「じゃあ今から先生か先輩に聞いて」
「それからね」
五人で話してだ。それからだった。
丁度部室で皆を見守っていた顧問の先生。やや赤い薄い感じの髪の四十代に入ったばかりと思われる男の先生にだ。五人で尋ねたのだった。
「あの先生いいですか?」
「お聞きしたいことがあるんですけれど」
「何だい?お金儲けと女の子以外のことなら話せるよ」
その先生は尋ねてきた五人に笑顔で言ってきた。
「何でもね」
「安心して下さい、お金のことじゃないですから」
「女の子のことっでもないです」
「それなら大丈夫だよ」
その二つ以外だからだというのだ。
「それで何かな」
「はい、ちょっと気になることがありまして」
「作曲のことで」
具体的にだ。五人はこのことについて先生に尋ねた。
「どうやって作曲していけばいいか」
「考えてるんですけれど」
「ああ、作曲だね」
作曲と聞くとすぐにだ。先生はおの笑顔で言ってくれた。明るく屈託のない、それでいて人を安心させる笑顔だ。
その笑顔でだ。五人にこう言ったのである。
「それだったら。君達はじめての作曲になるかな」
「はい、そうです」
「実は」
「だったらね。まずは作曲をしない方がいいかも知れないね」
これが先生の回答だった。
「まだね」
「えっ、どうしてですか?」
「作曲したら駄目なんですか?」
「駄目とは言わないよ」
先生はそうしたことは言わなかった。
「けれどそれでもね」
「それでもですか」
「今は」
「うん、作曲って難しいんだよ」
顧問だからこそ言えてわかっていうることだった。
「作ろうと思っても中々ね」
「できないんですか」
「そういうものなんですか」
「そうだよ。中々ね」
「ううん。そういえば何か」
「難しいかも知れないですね」
ここで五人も気付いた。先生に言われて。
「作曲って作詞以上に」
「楽譜書かないといけないですから」
「だからですか」
「難しいんですね」
「一朝一夕にはいかないよ」
そこまでのものだとだ。先生も言う。
「難しいからね」
「けれど歌うなら」
それならだとだ。琴乃我やや強い口調で言う。
「どうせなら」
「自分で作詞作曲してなんだね」
「そうしたいけれど駄目ですか?」
「駄目とh言わないよ」
そうしたことは決してだとだ。先生も言う。
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